DISSIDIA FINAL FANTASY Brave Soul 作:蒼牙王
OP:Falco-ファルコ-(うえきの法則OP)
一回戦の最終試合――君原奈美恵チームと八重樫碧チームの激突は、予想に反して壮絶なものとなった。一時は互角の攻防が続いたものの、最後は八重樫の鋭い機転が光り、見事に君原を打ち破って逆転勝利を収めたのだった。
これで準決勝の組み合わせは、零夜組対チャーリー組、そして美桜組対八重樫組に決定した。
「さて、いよいよ準決勝に突入! 残るは後三試合となっているぞ!」
「脱落者はどうなるかは、決勝で発表される予定だ! 勝ちたいのなら、生き残るしかない!」
マイクを握る徳田と國重の煽るような宣言に、会場の参加者たちは一様に息を呑む。だが、その熱狂と緊張が入り混じる空気の中、零夜だけは真剣な表情を崩さず、司会者である山村たちを冷ややかに見据えていた。
脱落者の処遇をあえて決勝まで隠す。その不自然な進行に、彼らが裏で何か恐ろしい企みを進めているのは間違いないと感じていたのだ。
「では、準決勝第一試合。零夜組とチャーリー組。なお、この試合に勝てたチームは、相手チームのFINAL FANTASYキャラを引き抜く事が可能です。全部取っても大丈夫です!」
「相手のキャラを全部引き抜ける……だと……!?」
山村の口から飛び出した前代未聞の過激なルールに、会場のあちこちから驚愕と戸惑いの声が上がる。敗者の戦力を根こそぎ強奪できるという非情な宣告に、参加者たちが大きくざわめいた。
だが、そんな動揺を断ち切るように、容赦ない転移の光がアリーナ全体を包み込む。
「行くぞ……!」
零夜の低い声と同時に、零夜組とチャーリー組の八名が一斉にバトル空間へと転移させられた。
彼らの目の前に現れたのは、夜の闇にネオンの光が妖しく明滅する、サイバーパンク調の巨大な都市ステージ。高層ビルが立ち並び、複雑に入り組んだ立体交差や無数の障害物が点在する、極めてテクニカルな戦場だった。
光が収まると、アスファルトの路上を挟んで、両チームは互いに数メートルの距離を置いて対峙した。
「まさか準決勝で零夜のチームと当たるとはね。相手にとって不足はないが……容赦はしないぜ」
チャーリーが愛用の銃をくるりと指で回しながら、冷徹かつ自信に満ちた笑みを浮かべる。その背後では、ティナが静かに魔導の波動を高め、セリスが魔剣を構えて冷気を纏わせた。イロハも聖剣の柄をしっかりと握りしめ、一瞬の隙も見せない鉄壁の構えをとる。
対する零夜は、村雨とエクスカリバーの二刀流を静かに引き抜き、その鋭い眼光を正面の敵へと真っ直ぐに向けた。
隣ではティファが拳を握りしめて闘志を燃やし、リノアとユウナもそれぞれ魔法の構えを取りながら、仲間である零夜の背中をしっかりと支えている。
「相手がチャーリーたちなら、最初から全力で行くしかないな……! 全員まとめて叩き伏せる!」
零夜の気迫に満ちた宣言を合図にするように、上空のドローンが非情な開始のブザーを鳴り響かせた。準決勝第一試合、開幕だ。
「最初から一気に攻める!」
チャーリーが銃を構え、ティナたちと共に前衛へ駆け出そうと踏み込んだ――その瞬間だった。
彼の背後の空間に、突如として眩い魔法陣が展開される。
「そこだ!」
「がはっ!」
魔法陣から飛び出した零夜の神速の斬撃が無情にも閃き、チャーリーの背中を正確に、かつ容赦なく斬り裂いた。
反撃はおろか、何が起きたのかすら理解する間もなく、チャーリーは前のめりにドサリと倒れ伏す。そして勝敗の判定が下ったのか、彼の体はあっけなく光の粒子となってその場から転移してしまった。
あまりにも鮮やかな奇襲。リーダーが倒れたことで、フィールドには終了を告げるブザーがけたたましく鳴り響いた。
『し、試合終了! 勝者、零夜チーム!』
上空のドローンから放たれた勝利宣言が、静まり返ったサイバー都市のステージにこだまする。
開始からわずか数秒の出来事に、観戦していた参加者たちだけでなく、残されたティナやセリスたちも武器を構えたまま目を丸くして立ち尽くしていた。
「なっ……一瞬でリーダーが……!?」
セリスが驚愕の色を浮かべながら、チャーリーが消えた跡地を呆然と見つめる。イロハも槍を構えたまま、信じられないといった様子で息を呑んでいた。
勝負が決した瞬間、フィールドを包んでいたサイバーパンク調の景色が霧散し、両チームは一瞬にして元のメイン会場へと帰還させられる。
「ふう……危なげなく勝てたな」
零夜は持っていた二振りの刀を静かに納め、何事もなかったかのように息をついた。その横に、ホッと胸を撫で下ろしたティファと、嬉しそうな笑顔を浮かべたリノア、ユウナが駆け寄ってくる。
「お疲れ様、零夜! 流石の速攻だったね」
「はい、とってもかっこよかったです!」
二人の称賛に零夜が小さく微笑んで応えた、その時だった。再び、司会者である徳田の声が会場全体に響き渡る。
「第一試合は東零夜チームの勝利だ! そして――事前の説明通り、勝者である零夜チームには、敗者チームであるチャーリー組のFINAL FANTASYキャラクターを引き抜く権利が与えられる!」
徳田の宣言に、会場が再びざわめきに包まれる。
ティナ、セリス、イロハの三人は、自分たちの去就がどうなるのかと、緊張した面持ちで零夜たちを見据えた。
「全員引き抜いても大丈夫……か。どうするの、零夜?」
ティファが少し心配そうな眼差しを向けながら零夜の顔を覗き込む。
零夜は腕を組み、目の前に立つティナたち三人へ静かに、だが確かな信頼を込めた視線を向けた。彼女たちの実力は先ほどの戦いやこれまでの試合で十分に証明されている。
「迷うことはない。全員、俺たちのチームに引き受ける」
零夜の力強い即答に、ティナたちは驚いたように目を見開いた。まさか自分たち全員を引き入れてくれるとは予想外だったのだ。
「えっ……いいの? 私たちは負けた身なのに……」
「もちろんだ。これからの戦いはもっと厳しくなる。お前たちの力が必要だ。一緒に決勝まで突っ走ろう」
零夜の真っ直ぐな言葉に、ティナはどこか救われたような優しい笑みを浮かべ、セリスとイロハも安堵したように深く頷いた。
こうして、零夜チームは新たに三人の強力な仲間を加え、さらに強大なパーティーへと進化を遂げたのだ。
「これで第一試合は終了! 続いては、準決勝第二試合――間宮美桜チーム対八重樫碧チームの対決だ!」
司会者たちの新たなアナウンスを合図に、零夜たちの視線はもう一つの準決勝へと移っていく。
待機スペースに立つ美桜は、自分の番が来たことに小さく肩を揺らした。一回戦の時はクラウドたちの圧倒的な力に怯えてばかりだったが、今回は違う。彼女の瞳には、強い光が宿っていた。
(私も……負けられない!)
美桜は胸の前で両手をぎゅっと握りしめ、心の底から決意を固める。自分だってやればできる事を、憧れの人たちの前で証明するために。彼女は真っ直ぐな視線で、目前に迫る戦いの舞台を見据えていた。
ED:こころの惑星〜Little planets〜(うえきの法則ED)
準決勝も無事に突破。次回は別サイドの話となります。
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