DISSIDIA FINAL FANTASY Brave Soul   作:蒼牙王

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今回は合流からの新たな展開です!

OP:Falco-ファルコ-(うえきの法則OP)


第11話 暴かれた陰謀

 零夜は腕を組み、真剣な表情を浮かべながら頭上の巨大モニターを見つめていた。画面に映し出されている美桜チームの試合は、一進一退の互角の展開が続いている。だが、この均衡が崩れなければ長期戦へと持ち込まれる可能性が高い。美桜は格闘術と魔術を巧みに織り交ぜて戦うスタイルだ。彼女がどこで勝負に出るかが、この試合の明暗を分ける鍵となる。

 

(上手くやれるかだな……)

 

 心の中でそう呟いた瞬間、モニターの映像が大きく動いた。膠着状態を破るように美桜のチームが一斉に前進し、猛攻を仕掛けて八重樫チームを猛烈に追い詰め始める。相手チームの隙のない連携に一時は突っ張られていたものの、美桜は瞬時に戦況の歪みを分析し、自らの足で力強く前線へと踏み出した。

 

「クラウドさん、スコールさん! 私が前衛の隙を作ります! ティーダさんは側面からサポートをお願いします!」

 

 美桜が凛とした声を張り上げると同時に、その小柄な全身から青白い魔力の光が勢いよく溢れ出す。彼女は格闘術と魔術を融合させた独自の戦闘スタイル『魔導体術』の使い手だ。美桜が激しく床を蹴り飛ばすと、瞬く間に間合いを詰め、拳に纏わせた爆炎の魔術を八重樫チームの前衛へと真っ直ぐ叩き込んだ。

 ドカンッ! と腹に響く激しい爆破音がステージ上に轟き、八重樫チームの強固な陣形が見事に崩れ去る。

 

「今だ……っ!」

「逃がすか!」

 

 その一瞬の隙を、歴戦の戦士たちが逃すはずもなかった。

 美桜が強引にこじ開けた突撃口へ、クラウドが大剣を担ぎながら疾風のごとく飛び込み、スコールが刃を閃かせて怒涛の連撃で追い詰める。さらに側面からはティーダが縦横無尽に駆け回り、敵チームの体勢を完全に打ち砕いていった。

 最初こそ様子見の拮抗した展開が続いていたものの、美桜の果敢な一撃を皮切りに、一気に美桜チームのワンサイドゲームへと傾いていく。

 

(……なるほどな。ただ守られているだけじゃない。自ら攻めの起点を作り、あの三人の攻撃力を最大限に引き出しているのか)

 

 モニター越しに繰り広げられる怒涛の猛攻を見つめながら、零夜は感心したようにふっと口元を緩めた。これほどの圧倒的な連携であれば、勝敗が決するのにそう時間はかからないだろう。

 ――その時だった。

 

 

「零夜く――ん!!」

 

 

 メイン会場の静寂を切り裂くように、切迫した甲高い叫び声が響き渡った。

 あまりの剣幕に、零夜はもちろん、隣で画面を見守っていたティファやリノア、ユウナ、ティナ、セリス、イロハも弾かれたように思わず振り返る。

 会場の入り口から飛び込んできたのは、息を荒らげ、額に汗を打たせながら必死に走ってくる女性たちの姿――ブレイブエイトの面々だった。先頭を切る倫子が、真剣そのものの血相で零夜のもとへまっすぐ駆け寄ってくる。

 

「倫子さん……!? それに皆、どうしてここに……」

「挨拶は後や、零夜君! 大変なの、すぐにここから離れないと……っ!」

 

 ハァハァと激しく肩を上下させながら、倫子が零夜の胸元に両手を力いっぱい押し当てて叫ぶ。その切迫した瞳と尋常ではない様子に、彼の表情が一瞬で険しく引き締まった。

 

「落ち着いてください、倫子さん。一体何があったのですか?」

「 地下の実験室で……あの神川って奴が、大会の脱落者たちを無理やり合体させて、気味の悪いモンスターを作り出してるの!」

 

 日和が青ざめた顔で声を震わせながら言葉を継ぎ足す。その衝撃的な事実に、ティファたちは思わず口元を手で押さえて絶句した。まさか華やかな大会の地下で、そんな惨劇が進行していたとは予想すらしていなかったのだ。

 

「脱落者を……合体モンスターに……!?」

「ええ! 敗者となった参加者たちをデータごと取り込んで、何か恐ろしい実験の素体にしていたのよ……! この大会そのものが、最初から奴らの罠だったの!」

 

 恵が悔しそうに小さな拳を固く握りしめ、冷や汗を流しながら訴えかける。

 ステージ上の司会者たちはまだ試合の盛り上がりに夢中で気づいていないが、この会場の真下で、とんでもない狂気が蠢いているのは間違いなかった。

 

(……やはりそうか。敗者の『強制送還』や『転移』の裏で、そんな非人道的な真似を……!)

 

 零夜の瞳の奥に、静かで激しい怒りの炎がメラリと灯る。主催者たちの不気味な企みの正体がついに繋がった以上、指をくわえて見過ごせるわけがない。

 ふと、エヴァが零夜の隣に立ち並ぶティファたちヒロイン陣に視線を向けた後、ジト目で彼を鋭く睨みつけた。やはり胸騒ぎの嫌な予感は的中していたのだ。

 

「やっぱり。私たちを差し置いてここまでやるとは……」

「え、エヴァ、これはその……ぎゃあああああ!!」

 

 エヴァは怒りと嫉妬のままに零夜の頭部へガブリと容赦なく噛みつき、零夜はあまりの激痛に耐えかねて悲鳴を上げた。これこそがブレイブエイトなりの、いつものお約束とも言える光景だった。

 

「だって、零夜が女性をパートナーにして行動しているからでしょ!」

「だからと言って噛みつくなー!」

 

 零夜は痛みに叫び声を上げながら、頭に食らいついたエヴァを引き剥がそうと必死に暴れる。だが、彼女の顎と嫉妬がもたらすパワーは凄まじく、万力のごとくビクとも離れない。

 あまりにも滑稽でカオスなその姿に、日和たちは呆れ果てて呆然と立ち尽くし、メイルたちは苦笑いするしかなかった。

 

「零夜君が悪いんだからね!」

「今回に至っては完全に悪いから!」

「少しは頭を冷やしなさい!」

 

 倫子、カミラ、セツナの三人が、頬をぷっくりと膨らませ、フンとそっぽを向く。全員の無事が確かめられたのは喜ばしいが、目の前で美しい女性たちに囲まれたハーレム状態を見せつけられては、彼女たちの嫉妬心が黙っているはずもないのだ。

 そのままようやくエヴァが零夜から離れた瞬間、間髪入れずに今度は恵が怒涛の勢いで彼に襲い掛かる。いわゆるバトンタッチである。

 

「私たちが必死になっている時に、女と組んで大会に参加するとはどういう事よ! しかもFINAL FANTASYのティファさんとタッグを組んで!」

「うおっ! いきなり攻撃するな!」

 

 零夜は慌てて身をよじり、風を切るように繰り出される恵の連撃を紙一重でかわしていく。FINAL FANTASYのヒロインたちも、まさかこちらの世界の人間模様(それも刺激が強すぎる面々)を目の当たりにするとは思ってもみなかったのだろう。

 

「あはは……零夜さん、モテモテなんだね……」

「なんだか、私たちが加わる隙がないくらい賑やかですね……」

 

 リノアとユウナが困ったような笑みを浮かべながら頬をポリポリと掻く。ティナ、セリス、イロハも呆れたような、しかしどこか面白がるような好奇の視線を零夜に向けていた。

 そんな中、ティファだけはどこか羨ましそうな眼差しで零夜を見つめていた。絆の深さが窺えるそのやり取りを見れば、気になるのも無理はない。

 

(仲良いな……)

 

 ティファが胸の中で静かに羨ましがっていたその時、頭上の巨大モニターに美桜チーム勝利の瞬間が大きく映し出された。美桜が見事に八重樫を撃破し、準決勝の突破――すなわち決勝進出を決めたのだ。

 まばゆい光の粒子が収まり、バトル空間から美桜たちのチームが元のメイン会場へと姿を現す。美桜の表情には、見事な勝利を掴み取った達成感と、少しばかりの心地よい疲労の色が滲んでいた。

 

「ふう、なんとか勝てました……! 皆さん、お疲れ様です!」

 

 美桜が大きく息を吐き出しながらほっと頬を緩めると、クラウドは相変わらず腕を組んで黙し、スコールは静かにうなずき、ティーダは爽やかな笑みを浮かべて親指を立ててみせる。さらに、敗者チームから引き抜かれたライトニング、フリオニール、ガイアの三人も、それぞれ新たな仲間としての圧倒的な威圧感と頼もしさを纏って横一列に並んでいた。

 これで間宮チームは総勢七人の大所帯となり、文字通り強力無比な布陣へと進化を遂げたのだ。

 

「お疲れ様、美桜。見事な勝ちっぷりだったな」

 

 零夜が恵の怒涛の追撃からようやく逃れ、肩で激しく息をしながら美桜たちへ歩み寄って声をかける。彼の頬にはエヴァに噛みつかれた痛々しい痕と、恵の攻撃を必死にかわし続けた疲労がくっきりと刻まれていた。

 

「あ、零夜さん! ありがとうございます! 私たち、無事前に決勝に進出できました!」

 

 美桜がパッと花が咲いたような嬉しそうな笑顔を弾けさせる。しかし、その場に漂いかけた和やかな空気を完全に引き裂くように、倫子が勢いよく二人の間へ割り込んできた。

 

「そこまで。ここから戦いは不要や。この大会は仕組まれているんよ。あの四人組と地下にいる青髪の男によって!」

「ええっ!?」

「なんだと!?」

 

 倫子からの衝撃的な告発に、美桜たちは目を見開いて絶句する。まさか栄光の大会の裏で、そんな恐ろしい陰謀が動いていたとは夢にも思わなかったのだ。

 その騒ぎと視線に気づいた山村たち運営側は、自分たちの企みが完全に露呈したことを察し、一転して真剣な殺気を孕んだ表情で零夜たちを固く睨みつける。もはや大会を平穏に続行することなど不可能。自分たちの邪悪な野望を果たすため、立ちはだかる邪魔者はすべて力ずくで叩き潰すのみだった。




ED:こころの惑星〜Little planets〜(うえきの法則)

今回の豆知識
ガールフレンドがいるのに他の女性と組むと酷い目に遭う。皆さんも要注意!

ブクマ、感想等宜しくお願いします!
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