DISSIDIA FINAL FANTASY Brave Soul 作:蒼牙王
OP:Falco-ファルコ-
倫子たちからの衝撃的な報告を受け、美桜たちが騒然とざわめき立つ中、ステージ上の山村、徳田、野川、國重の四人はどこか腹を括ったかのような様子を見せていた。恐らくは地下での忌まわしい出来事についても、すべてを洗いざらい話すつもりなのだろう。
「バレては仕方がない。俺たちはマスターの頼みで、選ばれし参加者たちを集めていたのさ。その目的は……合体モンスターの製造だ」
「合体モンスターだと!?」
手にしていたマイクを無造作に放り投げた山村が、隠すこともやめたように不敵な笑みを浮かべて宣言する。その禍々しい告白に、零夜たちが驚きを隠せないのも当然だった。
その傍らでは、徳田、野川、國重の三人もうそ寒い笑みを顔に張り付かせ、完全に開き直った態度で横一列に立ち塞がっている。
「そうだ。この大会自体が、最強の戦士たちの戦闘データと肉体を効率よく回収するための餌場にすぎなかったのさ。お前たちは全員、マスターの実験台として選ばれた栄誉あるモルモットってわけだ」
徳田が吐き捨てるように冷酷な言葉を言い放つ。
その予想を遥かに超えた外道な目的に、美桜は信じられないといった様子で小さく口元を両手で覆い、隣に立つリノアやユウナは恐怖と激しい怒りにその華奢な体を震わせた。
「ふざけるな……っ!」
零夜が柄を力任せに握りしめると、村雨とエクスカリバーの身が狂おしく鳴り響いた。殺気を孕んだ鋭い瞳で山村たちをキッと睨みつける。その背後では、ティファやセリス、さらには駆けつけたブレイブエイトの面々もそれぞれの武器を構え、怒りのオーラを激しく立ち上らせていた。
「人の命や、戦う者たちの誇りを何だと思っている……! そんな悪趣味な実験、俺がここで全部叩き潰してやる!」
零夜の全身から放たれる凄まじい気迫に圧倒され、山村たちは一瞬わずかにたじろいだ。だが、すぐに歪んだ狂気的な笑みを深めて言い放つ。
「やれるものならやってみろ。だが、その前に俺たちと戦ってもらおうか。四対四のガチンコで!」
山村の威勢のいい宣言と同時に、彼ら四人は手持ちの武器を構えて一斉に戦闘態勢へと移行する。山村は異世界帰りの経験を活かした魔術と剣術のハイブリッド。他の三人は、山村から伝授された魔術と格闘を駆使する戦闘スタイルだ。
「ここは俺、ティファ、リノア、ユウナで!」
零夜が即座に指示を飛ばすと、ティファ、リノア、ユウナも間髪入れずに鋭い構えを取り、真剣な表情で敵を見据えた。舞台はこの広いメイン会場。勝負はどれだけ速攻で畳み掛けられるかにかかっていた。
「零夜君? なんでこのメンバーで行くのかな?」
「いや、最初に決まったチームですから! すぐに戦いに向かいます!」
背後から注がれる倫子の冷ややかな視線とジト目を皮膚で感じ取りながら、零夜は気まずそうにほんの少し顔を逸らした。だが、すぐに表情を引き締め直して力強く一歩前へと踏み出す。ティファ、リノア、ユウナの三人も真剣そのものの眼差しで敵を見据え、一刻も早く目の前の敵を倒し終えようと集中を高めていた。
「行くぞ! 一気に押し切る!」
零夜の力強い号令を皮切りに、ティファがしなやかなステップで地を蹴り、リノアとユウナが左右の脇へと素早く展開して魔力を極限まで高め始める。
対する山村は不敵な笑みを口元に浮かべたまんま、その手元に禍々しい闇の魔力を纏った黒い長剣を瞬時に現出させた。
「フッ、いいだろう! 異世界で培った俺の剣技と魔術の合わせ技、その身で味わわせてやるよ!」
山村が深く踏み込むと同時に、周囲の空間を揺るがすほどの凄まじい魔力弾が放たれる。だが、その軌道を完全に見切っていたかのように、後方のユウナが素早く眩い防御結界を展開し、押し寄せる奔流を完璧に防ぎ切ってみせた。
「結界は任せてください! 皆さん、そのまま前へ!」
「よし、頼む!」
ユウナの頼もしいサポートを受け、零夜は村雨とエクスカリバーの二刀を頭上でクロスさせ、山村の正面へと一直線に肉薄する。異世界帰りの凄烈な剣技を受け止める激しい金属音が、会場のコンクリートに甲高く響き渡った。
さらに、徳田、野川、國重の三人へ向かって、前衛のティファが風を切るような怒涛のラッシュを叩き込んでいく。
「私たちの仲間を、そしてこの大会を汚した代償……ここで払ってもらうわ!」
ティファの研ぎ澄まされた回し蹴りと鋭い掌打が、魔術と格闘を組み合わせる野川の硬い防御を鮮やかに打ち砕く。体勢を大きく崩した野川の無防備な背後から、リノアが解き放った光の魔法弾が正確に撃ち抜かれ、容赦なく追い詰めていった。
「うおっ、こいつら、想像以上に連携が……!」
「油断するな! 組織の意地を見せるんだよ!」
圧倒的な勢いに気おされた徳田と國重が必死に反撃の魔術を詠唱しようと試みるが、零夜の神速の双刃がその閃きを綺麗に断ち切る。
最初こそ不気味な余裕を浮かべていた黒幕の四人だったが、零夜たち四人の隙のない完璧なコンビネーションと圧倒的な実力差の前に、みるみるうちに防戦一方へと追い込まれていくのだった。
「悪いが俺は止まらないのでね!」
零夜は疾風のごとき身のこなしで山村の懐へと潜り込むと、その両腕をガッチリと掴んで勢いよく背後へと投げ飛ばした。激しい衝撃と共に床へ強打した山村は、背中の激痛に悶え、立ち上がるまでに大幅な時間を要するだろう。
すると、山村の隙を確信した零夜が突然後ろを向き、凄まじい脚力で勢いよく上空へ跳躍。空中できれいな月面宙返りを披露した。
「ムーンサルトプレス!」
「げほら!」
零夜の体重と落下エネルギーが乗ったムーンサルトプレスが寸分の狂いもなく炸裂し、山村は一撃で戦闘不能に陥る。同じ異世界帰りであったとしても、積み重ねてきた実力の差は一目瞭然だった。
山村が床に大の字に倒れ伏し、ぐったりと意識を手放したその隙を、今度は隣のティファが見逃さなかった。彼女は鋭い眼光で、狼狽える野川を見据える。
「なるほど、プロレス技ってわけね……! 私だって見よう見まねだけど、負けてられないわ!」
ティファは風を斬る身のこなしで野川の懐へと飛び込むと、その襟首をガッチリと掴んで力任せに上空へ投げ飛ばした。宙に放り投げられた野川が慌ててバランスを崩した瞬間、ティファは驚異的な跳躍力で真上の空へと舞い上がる。
そして、零夜の立ち回りに負けじと体を美しい弧を描くように反らせ、そのまま勢いよく身体ごと一気に落下していった。
「とどめよ、ムーンサルトプレス――っ!」
「ぐはっ……!?」
ティファの放った華麗かつ強烈なプレス技が野川の胴体を正確に捉え、轟音と共に直撃する。直接打ちつけられた野川は白目を剥き、そのまま派手に気絶して完全な戦闘不能へと追い込まれた。
「さすがティファさん、決まりましたね!」
「うん、お見事だったよ!」
後ろで見守っていたリノアとユウナが、パチパチと手を叩いて心からの称賛を送る。残された徳田と國重は、主戦力だった二人があっけなく沈められた光景を目の当たりにし、顔を真っ青に染めてガタガタと後ずさった。
「ば、馬鹿な……! あの山村と野川が一瞬で……!?」
「こうなったら、俺たちの手で――」
徳田と國重は顔を歪め、最後の悪あがきとばかりに必死で魔術の詠唱を急ごうとする。しかし、リノアの放った高速の魔法弾が足元のコンクリートを抉り、直後にユウナが展開した光の結界魔法が二人の全身を完全に拘束した。
「そこまでです。大人しくしてもらいましょうか」
ユウナの澄んだ声が響くと同時に、二人はガッチリと光の鎖で縛り上げられ、もはや指一本すら動かせなくなる。こうして山村たち四人は、零夜たちの圧倒的なチームワークと実力の前になすすべもなく全滅させられたのだった。
それを見届けた倫子は素早く四人の足元に転移魔法陣を発動させ、会場の外で待機している警察の元へと彼らを一括で送り届ける。これで残る障害は、地下室で蠢く怪物のみとなった。
「ふう……これで一まず、厄介な連中は片付いたな」
「けど、油断はできないぜ。まだ地下に怪物がいるからな。すぐに案内するぜ」
マツリを筆頭に、零夜たちはぞろぞろと地下室へ続く通路へと向かい始める。だが、その逞しい後ろ姿を、美桜はじっと動かずに見つめていた。自分が何もできないまま、ただ守られるだけで終わるのは絶対に嫌だ――その固い思いが、彼女の胸の奥でメラメラと燃え上がっていた。
やがて、美桜は意を決した表情で振り返り、この場に残っていたクラウドたちへ意を決して声を掛ける。
「皆さん、私から作戦があります」
「その作戦とは?」
「実は……」
美桜は真剣な眼差しで仲間を見つめ、自身が胸の中で温めていた作戦をクラウドたちに伝え始める。その作戦が、この異界の戦いの結末を決定づけることになるのを、この時はまだ誰も知る由がなかった――。
ED:こころの惑星〜Little planets〜(うえきの法則ED)
今回の豆知識
ムーンサルトプレスはプロレスの人気技。バック転ができなければ実現不可能!
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