DISSIDIA FINAL FANTASY Brave Soul 作:蒼牙王
OP:セクシー・アドベンチャー(ルパン三世OP)
零夜たちは目的地となる軽井沢に着いたが、敵のアジトまではまだ距離がある。全員で歩きながら進む事に。
「敵について確認だが、スピード攻撃の鉤爪戦士である宮原隆介。音を完全に支配する変異魔術の使い手『ガロ』。巨大な機械甲殻をまとう怪力男『バルガ』。幻術と毒の煙で精神をかき乱す紅一点の『シエル』。空間を歪めて攻撃を跳ね返すトリッキーな剣士『レイド』。巨大な炎の竜を従える炎使いの『ゾルド』。統括者であり、一番厄介な最強の懐刀『ゼノン』か。分かったけど……何故エヴァは俺に抱きついたままだ……」
零夜は敵の情報を整理したが、何故かエヴァが抱き着いた状態だ。当然彼は疑問に感じるが、彼女は尻尾をブンブンさせながら喜んでいるのだ。
「この場合は仕方がないからね。たまにはこういうのも良いんじゃない?」
「まあ、そうかもな……」
「へっへっへ……」
ティファの苦笑いに零夜がそう応えるしかなく、エヴァは尻尾をブンブン振りながら喜んでいる。まるで犬の様だが、本凸はフェンリルの獣人である事をお忘れなく。
すると、恵が零夜の隣に移動し、彼に声をかけてきた。
「ねえ、零夜。恐らく最初に襲い掛かってくるのは、ガロじゃないかな? 音を完全に支配する変異魔術の使い手だし」
「その可能性が高いだろう。しかし、そのガロはどんな奴だろうか……」
「そうね。こちらの足音や詠唱の声を完全に遮断されたり、逆に強烈な超音波で聴覚を狂わされたりする厄介な戦いになりそうだし」
恵の分析に、後方から歩いてきたトワがスマホ端末の画面を片手にピタリと頷く。その様子だと当たっているのだ。
「その通りよ。ガロの操る魔術は、物理的な攻撃を防ぐ結界すら音の振動で共鳴させて無力化する厄介な代物だわ。下手に近づけば、鼓膜を破られて一発で戦闘不能にされかねないわね」
トワの警告に、周囲にいたリノアやユウナも自然と表情を引き締める。音という不可視の凶器を相手にするとなれば、これまでの力押しだけでは通用しない。
「音を支配するなら、逆に音を立てないように動くか、あるいは振動を相殺する魔法をあらかじめ張っておく必要がありそうだな……って、エヴァ、そろそろ離れてくれないか? 歩きにくいんだが……」
零夜は自分の腕にぴったりと絡みつき、嬉しそうに尻尾をブンブンと左右に振っているフェンリル獣人の少女へと、さすがに困ったような視線を向けた。いくら何でも恥ずかしくてたまらないだろう。
「やーだ。軽井沢の冷たい空気から零夜のぬくもりを守るための重要任務だからね。これ以上離れたら、あたしが寂しさで戦闘不能になっちゃうもん」
「戦闘不能になるのは別の意味だろ……」
呆れ顔を隠せない零夜だったが、エヴァの尻尾が嬉しそうにパタパタと揺れているのを見ると、強く引き離すこともできず、結局そのまま歩くことを許容するししかなかった。その甘い(?)やり取りを、ティファはクスリと微笑ましそうに見守り、恵、倫子、セツナ、カミラはぷくーっと頬を膨らまして嫉妬していた。
※
総勢二十三人の大所帯は、鬱蒼と木々が茂る軽井沢の林道を、警戒を怠りなく進んでいく。
木漏れ日が差し込む静寂な別荘地帯。だが、その穏やかな風景の裏側には、カオス軍の幹部たちが張り巡らせた冷酷な罠が待ち受けているはずだ。
「みんな、油断するなよ。そろそろ敵のテリトリーに入る頃だ。いつでも戦闘に移れるように――」
零夜が全員に向けて注意を促そうとした、その瞬間だった。
――キィィィン……ッ!
「っ……!? この音は……!」
突如として、周囲の空間を切り裂くような、頭が割れそうなほどの鋭い高周波が辺りに響き渡った。鳥のさえずりも、風のざわめきも、すべての自然の音が綺麗にかき消され、ただ耳鳴りを誘う不気味な静寂と破壊的な振動だけが世界を支配していく。
「音が……消された……?」
リノアが驚愕の表情で周囲を見回す。その直後、木々の茂みの奥から、ふわりと軽やかな足音とともに、不敵な笑みを浮かべた男の影が姿を現した。
「よくここまでたどり着いたな、おマヌケさんたち。……歓迎のファンファーレ代わりに、まずは耳と頭をぶっ壊してやろうか?」
冷徹な響きを含んだその声の主こそ、音の魔術を操る『闇の七人衆』の一人――ガロだった。その姿を見た零夜たちは真剣な表情になり、エヴァは彼から離れる。
「奴がガロか。油断は禁物だ。音の魔術に効果ないメンバーはいるのか?」
零夜の質問に対し、カミラが手を挙げる。その様子だと何か策略があるみたいだ。
「こう言うのは私の得意分野よ。奴は徹底的に倒さないとね」
「では、カミラ姫、お願いします」
零夜からの頼みにカミラは笑顔で答え、真剣な表情でガロの方を振り向く。同時に戦いも幕を開けるが、音の魔術をどう対策して倒すかだ。
「私は魔族と吸血鬼のハーフよ。吸血鬼の感覚はね、人間のそれとは比べ物にならないほど鋭いの。だからこそ、こうした耳障りな不協和音や音波の振動をどう無力化するかは、私にとって得意中の得意分野なの」
そう告げるやいなや、カミラの周囲に淡い紫色の不気味な魔力の波紋が静かに広がる。それはガロが放つ高周波の振動と絶妙に干渉し合い、脳髄を焼くようなキィィンという不快な耳鳴りをたちどころにかき消してみせた。
「なんだと……!? 俺の音の魔術を相殺したのか……っ!」
ガロの顔に、初めて明確な焦りの色が浮かぶ。自分の絶対的なアドバンテージであるはずの“音の支配”が通用しないと知るやいなや、彼は苦々しく舌打ちして両手を素早く前方に突き出した。
「だが、音の振動だけが俺の武器じゃねえよ! 喰らえ、『ソニック・ブラスト』!」
ガロの両掌から放たれた圧縮された空気の刃が、耳を聾する轟音と共に一直線に零夜たちへと襲い掛かる。物理的な破壊力と高圧の衝撃波が混ざり合った、まともに直撃すればただでは済まない危険な一撃だ。
「させない!」
だが、その一撃の軌道を鋭く見切っていたかのように、零夜が神速の踏み込みで前へと躍り出る。村雨とエクスカリバーの双刃を美しくクロスさせ、迫り来る衝撃波の中心へと正面から叩き込んだ。
「双刃・烈風断!」
ガキィィン! と爆発的な金属音と凄まじい衝撃が林道に轟き、零夜の放った風の斬撃がガロのソニック・ブラストを真っ二つに両断して四散させる。衝撃の余波で周囲の木々が激しく揺れ、舞い散る落ち葉が細切れに切り裂かれていく。
「なっ、俺の魔術を真っ向から切り裂いただと……!」
「お前の音や衝撃波が厄介なのは分かった。だが、俺たちの強力な連携の前には、そのトリックも意味をなさない!」
零夜の鋭い眼光に捉えられ、ガロは冷や汗を流しながら焦りを感じてしまう。まさかトリックが破られてしまうとは。
ガロとの戦いは始まったばかりだが、果たしてその結末は如何に……。
ED:君の中の英雄(機動戦士ガンダムAGE ED)
今回の豆知識
どんなに強力な技でも、連携をこなせば必ず打ち破れる。
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