DISSIDIA FINAL FANTASY Brave Soul 作:蒼牙王
零夜たちはガロを撃破し、敵のアジトへ向けて進んでいた。残りはあと六人。どれも手強いのは確実だ。
「アジトまであと少しか。にしても、いきなり襲い掛かってくるとは予想外だったぜ……」
「そうね……けど、油断しない方が良いと思うし、どれも手強いのは確実だからね」
零夜のため息に恵も同意しながら頷く。
確かにガロの他にも手強い奴らは六人いる。彼らを倒さなければ、先に進めないのは明らかだ。
すると、ティファがある事を思いつき、皆に声を掛ける。
「恐らく次はバルガを出そうとする可能性が高いと思うわ。防御力で圧倒しようとしているし」
「となると、私に作戦があるわ。皆、円陣を組むわよ」
セツナはある考えを思いつき、円陣を組んだ後に自らの作戦を伝える。その話を聞いた零夜たちは驚きを隠せずにいた。
「本当にそれで大丈夫なのか?」
「ええ。バルガが防御力が高くても、必ず隙があるからね。いざという時は私が何とかするわ」
セツナが笑顔を見せた途端、彼女たちの耳に足音が聞こえる。恐らくズシンズシンの音であるとしたら、バルガである事は確実だ。
「来たわ!」
セツナの合図で彼女たちが身構えたその時、バルガが姿を現す。絶対的な防御を持っているが、見た目からすればスピードが遅いと言えるだろう。
「お前らがガロを倒したのか。だが、いくらお前たちの数が多くても、この俺には勝てない事を教えてやる!」
バルガは自らの身体に鎧を装着し、戦闘態勢へと入り始める。その鎧は鋼鉄製で防御が高いのが特徴だ。
「やはり防御力の高い鎧を装着したか。気をつけろ!」
零夜の合図に全員が頷いたその時、バルガがスピードを上げて突進してくる。ぶつかってしまえば御陀仏だ。
「回避!」
セツナの合図で全員が回避し、バルガは岩に激突。すると、岩は物凄い音を立てながら破壊してしまった。ぶつかってしまえばひとたまりもない。
「セツナ。作戦の用意を!」
「任せて! 全員それぞれの配置へ!」
零夜の指示と同時に、セツナが皆に呼びかける。ティファたちも一斉に頷き、指定された位置へと移動し始めた。
「何をするか知らないが、俺には勝てないんだよ!」
バルガが振り返って突進し始めたその時、セツナが真剣な表情をしながら指を鳴らす。その行動こそ、作戦開始の合図だ。
「攻撃開始!」
セツナが合図を出した瞬間、待ち構えていたようにティファとマツリが同時に地面を蹴り出した。そのスピードは速く、狙った獲物は逃さない狩人の目をしていた。
「ハッ!」
「オラァッ!」
左右からほぼ同時に繰り出されたティファの強烈な回し蹴りと、マツリの重厚な盾による強打が、バルガの鋼鉄の鎧へ炸裂する。
ガキィィンッ! と、甲高い金属音と鈍い衝撃音が重なり合い、突進の勢いを削がれたバルガは、その巨体をわずかにふらつかせた。
「チッ、小癪な……! 蚊が止まったような衝撃だぜ!」
バルガが怒りの咆哮を上げ、二人を薙ぎ払おうと腕を振り回す。だが、その瞬間、彼の足元で眩い魔法陣が輝き出した。
「そこです!」
後方で杖を構えていたユウナがタイミングを合わせ、強力な重力魔法『グラビデ』を発動させる。突如として増大した重力がバルガの巨体にのしかかり、鎧の重量も相まって、彼を地面へと強引に押さえつけた。
「ぐ……お、重てぇ……ッ!?」
膝をつきそうになるバルガ。その隙を逃さず、今度はイロハが疾風のごとく駆け抜ける。
「参ります! 秘剣・燕返し!」
イロハの放った流麗な一閃が、バルガの鎧の継ぎ目、わずかな隙間へと正確無比に吸い込まれた。
ザシュッ! という音と共に、鋼鉄の鎧の隙間から鮮血が舞い上がる。
「ギャアアァァァッ!? こ、この俺の鉄壁の鎧に傷をつけただと……!?」
バルガが苦悶の声を上げ、驚愕に目を見開く。防御一辺倒で今まで攻撃を受けたことなどなかった彼にとって、このダメージは想定外だった。
「まさかこの作戦でダメージを与えるなんて……」
「相手の鎧には隙があるからね。そこを狙えばOKよ!」
イロハの微笑みに対し、セツナはウインクしながら声を掛ける。この程度は余裕であり、問題ない笑みを浮かべていた。
「くそッ、調子に乗りやがって……! 塵芥どもが、まとめて串刺しにしてやるわッ!」
怒り狂ったバルガが鎧の隙間にある全砲門を開放する。ガシャリと不気味な音を立てた直後、その全身から無数の鋼鉄の針が雨あられのように一斉射出された。
回避行動をとった零夜たちの周囲に、針が突き刺さる音と土煙が激しく立ち上る。
「ハハハッ! どうだ、逃げ場はねぇぞ! そのまま蜂の巣になりやがれ!」
バルガの凶悪な笑い声が、騒音と共に林道に響き渡る。すると、土煙から零夜が飛び出し、強烈な爆弾を投げてきた。
「そこだ!」
零夜が投げた爆弾は当たって爆発するが、今の攻撃は効果ない。しかし、針の部分に焦げた跡が残っていた。
「そう簡単にはいかないか!」
無数に突き刺さる鋼鉄の針の雨の中を、零夜は紙一重の回避と二刀流による弾きで突破し、バルガの目前へと強引に肉薄した。
零夜が懐へ滑り込ませた特製の爆弾が、バルガの鋼鉄の鎧のど真ん中で炸裂する。
轟音と共に閃光が走り、バルガの巨体がわずかにのけぞった。しかし、直後に立ち込めた煙が晴れると、そこには無傷で立ちはだかるバルガの姿があった。
「ハハハッ! 甘い、甘いぜ! 俺の鉄壁の鎧は、生半可な爆発じゃ傷一つ付かねえよ!」
バルガが勝ち誇ったように声を荒げ、再び鎧の全砲門から無数の針を再装填しようとする。
その時、土煙の向こうで激しい戦闘を繰り広げるバルガの全身の装甲を、リノアが鋭い眼光で見据えた。
先ほど零夜が放った爆弾の直撃を受け、バルガの鎧の継ぎ目や針の射出口付近には、黒々とした焦げた跡がしっかりと残されていたのだ。
「零夜、ナイスよ! 彼の鎧、熱には弱いみたい!」
リノアは魔導銃を構え直すと、すぐさま隣に立つユウナへとアイコンタクトを送る。その様子だと何か策があるみたいだ。
「ユウナ! 私の魔法の威力を、あの焦げた部分に集中させて増幅させるわ! あなたの強力な魔力でサポートして!」
「分かりました! リノアさん、行きましょう!」
リノアとユウナが同時に魔力を解放し、二人の周囲に虹色に輝く魔法陣が幾重にも展開される。
遠距離からの強力な魔法連携。――カオスの幹部・バルガの絶対防御を打ち砕く、新たな反撃の狼煙がいま上がろうとしていた。
ED:君の中の英雄(機動戦士ガンダムAGE ED)
今回の豆知識
バルガは絶対的防御の持ち主。しかし、その弱点は?
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