DISSIDIA FINAL FANTASY Brave Soul 作:蒼牙王
OP:セクシー・アドベンチャー(ルパン三世OP)
零夜たちはアジトに向かって先に進む中、ティナが突然足を止める。その様子だと何かあったのだろう。
「どうした?」
「うん……耳の中がゴワゴワして嫌な雰囲気なの。誰か耳掃除してくれないかな?」
ティナのお願いに対し、零夜たちはずっこけてしまう。
戦いの最中に耳掃除を頼むのは前代未聞。いくら何でも緊張感が無くて情けないとしか言いようが無い。
「まったく。出撃前に準備しろと言ったのに……」
「仕方がありませんね。では、私がやりますので」
零夜は呆れながらため息をついてしまい、メイルはくすっと笑いながら引き受ける事に。
メイルは胸ポケットに手を突っ込み、ゴソゴソとある物を取り出した。それは耳かきセットであり、耳かき、ピンセット、綿棒など様々な種類があるのだ。木製のケースには丁寧な彫刻が施されており、メイルの几帳面さが伺えた。
ティナが耳掃除を終えるまで、ここで休憩する事に。束の間の休息と言っても良いだろう。
「さっ、ティナさん。耳掃除をしますので、膝の上に頭を」
「じゃあ、遠慮なく」
ティナはメイルの膝の上に頭を置き、横にして耳掃除をされる体勢に入る。草の香りとメイルの膝の温もりが、彼女に安心感を与えた。
メイルは穴刀を取り出し、ティナの耳の産毛を剃り始めた。彼女の繊細な手つきで、穴刀がティナの耳の産毛を丁寧に剃っていく。更には耳の中にも産毛があるので、丁寧に剃っていた。カチカチという軽やかな音が響き、ティナは目を閉じてその感覚に身を委ねる。メイルの動きはまるで職人のように正確で、ティナの緊張をほぐすような優しさがあった。
「ティナさん。耳の産毛、だいぶ伸びてましたね。放っておくと、耳垢もたまりやすくなりますよ」
メイルが微笑みながら柔らかい声で言う。彼女の手は一瞬も無駄なく動き、耳かきセットの中から次に耳かき棒を取り出す。木製の耳かき棒は滑らかで、彼女の手の中でしっくりと馴染んでいる。
「うん、最近戦いが起きたからね。耳掃除なんて頭から抜けてたし……」
ティナは少し照れ笑いを浮かべながら答える。メイルの膝の温もりと、耳かきの手順が織りなすリズムに、彼女の心は少しずつ落ち着いていく。メイルは耳かき棒を手に持ち、慎重に零夜の耳の穴に差し込む。
「力を抜いててくださいね、ティナさん。リラックス、リラックス」
メイルは優しい笑みで囁くように言い、耳かき棒をゆっくり動かし始める。シャリシャリという音が耳の中に聞こえ、零夜は思わず小さく笑ってしまう。
「くすぐったい」
「ふふ、くすぐったいのは良い耳の証拠ですよ。ちゃんと手入れされてる耳は敏感なんです」
メイルは楽しそうに答えながら、さらに奥へと耳かきを進める。彼女の技術はまるで魔法のようで、ティナは心地よさに身を任せ、つい眠気を誘われそうになる。その様子をティファたちは、優しそうな笑みで見つめている。
「メイル、耳かきが上手ね。気持ち良さそうで見事よ」
「長年、坊ちゃまのお世話をしてますからね。これくらい朝飯前ですよ。それに、坊ちゃまの耳は素直で掃除しやすいんです。倫子さんやエヴァさん、他の皆さんの耳は、ちょっと頑固な耳垢があって苦労するんですから」
メイルは笑顔で微笑みながら、ゆっくりとティナの耳垢を取っていく。更に倫子たちの耳についても、冗談交じりに言っていたのだ。彼女の軽やかな口調に、倫子たちは驚いたように聞き返す。
「余計な事を言わないでよ!」
「これも仲間同士、色々助け合ってるんです」
メイルはウインクしながら言葉を濁す。彼女の手は止まることなく、次々と耳垢を取っていく。これまでの耳垢はティッシュの上に置かれ、小さな山の様にそびえ立っていた。
メイルは耳かきを終えると、今度は綿棒に持ち替える。そのままベビーオイルを綿棒に浸し、耳の表面を優しく拭き始めた。更に中にも綿棒で拭いていき、耳垢が取れた跡のかゆみも引き始めたのだ。綿棒の柔らかな感触が、ティナにさらなる安堵をもたらした。
「はい。残るは反対側ですが、ティナさんはいつもどんな手入れをしているのですか?」
「一人で綿棒のみかな?」
「それは駄目です。耳かきは用途によって色んなのを使います。一人で綿棒のみでは、取れないのもありますよ」
「そうなのね……」
「綿棒だけでは、奥の細かい汚れや皮脂がどうしても取りきれないんです。これからは定期的にお手伝いしますから、安心してくださいね」
メイルは頼もしく微笑むと、手際よく反対側の耳へと移行する。
ティナはくすぐったさと心地よさが入り混じった絶妙な感触に、ほっと息を漏らした。さきほどまでの戦いの緊張感や移動の疲れが、嘘のようにスーッと溶けていくのを感じる。
すると、奥に耳垢が残っているのを発見した。メイルは慎重に耳かき棒を滑らせながら、ティナの耳の奥を優しく覗き込む。
「ほら。奥の方に耳垢があります。これが嫌な雰囲気の正体です」
「そうなんだ。じゃあ、お願い」
「では、早速」
メイルは息を潜め、ほんのわずかに手首を返して、奥に潜んでいた頑固な耳垢をそっとすくい上げた。
カチリ、と小さな音がして、メイルの手元からティッシュの上へ、また一つ新しい耳垢がコロンと転がり落ちる。
「まだあります」
メイルはその後も耳垢を次々と取りまくり、
「はい、取れましたよ。これで両方ともすっきりです」
「わぁ……! 本当に、頭のなやみが嘘みたいに消えたよ。メイル、ありがとう!」
ティナはパッと飛び起きると、両手で両耳をキュッと押さえて満面の笑みを浮かべる。そのあまりの晴れ晴れとした姿に、周囲の仲間たちも思わず和やかな笑みをこぼした。この様子なら今後の戦いも大丈夫だろう。
「ふふ、お役に立てて何よりです。さて、他にも耳の調子が気になる方はいませんか? 放置すると戦いの最中に集中力が落ちますからね」
メイルが穏やかな笑みを浮かべながら他のメンバーに声を掛けたその時、ティファが少し気まずそうに自分の右耳のあたりをトントンと軽く叩いた。恐らく気になる事があるのだろう。
「あのさ……みんながすっきりした顔をしてるのを見てたら、私もなんだか右耳の奥がもぞもぞしてきた気がするのよね。もしかして、私も溜まってるのかしら……?」
ティファのその言葉に、周りの視線が一斉に集まる。
格闘家として常に研ぎ澄まされた感覚を持つ彼女だが、激しい戦闘の連続で細かい違和感に気づいていなかったようだ。
「じゃあ、ここは私の番ね。こう見えても私も耳かきは得意なの」
「お願いね。ベル」
ティファの耳掃除はベルが担当。果たしてどうなるのか。
ED:君の中の英雄(機動戦士ガンダムAGE ED)
今回の豆知識
耳掃除は重要。耳垢が詰まると調子が悪くなる。
感想等よろしくお願いします!