DISSIDIA FINAL FANTASY Brave Soul 作:蒼牙王
ティファの耳掃除はベルが担当する事になり、彼女の頭を膝の上に乗せて行う事に。ベルはオーバーオールの胸ポケットから耳かきとイヤースコープを用意し、ウインドウを起動させる。
「最近ではイヤースコープを使って治療するのもあるからね。じゃあ、耳の様子を……」
ベルが胸ポケットから取り出した小型のイヤースコープの電源を入れると、手元の小さなホログラムウィンドウに、ティファの耳の内部の様子が生々しく映し出された。
その映像を覗き込んだ零夜や周りの仲間たちから、「おぉ……!」と感嘆の声が漏れる。画面の中には、普段は見えない耳の奥の様子がハッキリと映し出されていた。
「あらあら。こんなにも溜まっているわね。すぐに取るから大丈夫よ」
「う……私、自分では全然気づかなかったわ」
ティファはベルの膝の上に頭を預けたまま、少し恥ずかしそうに頬を赤らめてしまう。戦う前にケアをしていなかったのも悪いので、こうなるのも無理はないだろう。
「それじゃあ、画面をよーく見ながら慎重に行くからね。ティファ、少し息を抜いてリラックスしてて」
ベルは左手に持ったホログラムウィンドウに映るイヤースコープの映像を真剣なまなざしで見つめつつ、右手に持った耳かき棒をティファの耳の穴へとそっと差し入れた。
画面越しには、耳の皮膚の繊細なひだや、ほんのりとピンク色に染まった耳道がクリアに映し出されている。
「おぉ……本当に中の様子が丸見えだな。これならどこに何があるか一発で分かるわけだ」
「私も見たーい!」
零夜が興味津々といった様子でベルの手元のウィンドウを覗き込むと、エヴァも背伸びをしてピタリと寄り添ってきた。皆気になるのも無理はないだろう。
「ちょっと、みんなそんなに覗き込まないでよ……なんだか見世物になってるみたいで恥ずかしいじゃない……」
ティファはベルの膝の上に頭を預けたまま、キュッと目を閉じて両手でスカートの裾をぎゅっと握り締める。いくら戦闘のプロである彼女でも、自分の体の内側、しかも耳の中を大勢の仲間にじっくり見られるとなると、さすがに照れくささが勝ってしまうようだ。
「ふふ、大丈夫よティファ。みんな仲間なんだから恥ずかしがることはないって! ほら、画面を見てごらん。入口付近の軽い汚れは、こうして優しくなでるだけでスルッと取れちゃうんだから」
ベルは楽しそうに微笑みながら、耳かき棒の先端を巧みに動かす。
カサカサ、カサッ……と、心地よい微かな音がティファの耳元に響いた。
「あ……うん、なんか、カサカサって音がして変な感じだけど……全然痛くないし、むしろ……」
「むしろ?」
「……なんだか、ちょっとこそばゆくて、気持ちいいかも……」
「でしょー?」
ティファは少し頬を赤らめながら、ぽつりと本音を漏らす。その素直な反応に、ベルは得意げに鼻を高くした。自分の特技を褒められた事で、自信に繋がったのだろう。
「私の耳かきテクニックは伊達じゃないんだからね! メイルに負けじと、私も日々腕を磨いているんだから!」
「さすがベルね。手つきがすごく丁寧で安心できるわ」
リノアやユウナも感心したようにうなずきながら、その様子を温かく見守っている。
ベルはさらに手元を集中させ、ウィンドウの映像を確認しながら耳かきを少しずつ奥へと進めていく。
画面の中では、ピンク色の通路の先に、先ほど確認した茶色く固まった頑固な耳垢の塊がしっかりと捉えられていた。
「よし、入口の産房や細かいカスはこれで綺麗になったわ……。問題はこいつね。画面の奥、ちょうどカーブした曲がり角のところに、しっかり張り付いているわね……」
ベルの呟きに、零夜たちもゴクリと息を呑んでウィンドウに視線を集中させる。確かに張り付いている耳垢はかなり厄介なので、慎重に行わなくてはならない。
「ねえベル、それって固いやつ?」
「うん、かなり手強いね。乾燥して壁みたいにへばりついてるから、無理に引っ張るとティファが痛がっちゃうから。だから――こうして、専用の平型ヘッドに持ち替えて、隙間にそっと差し込んで……浮き上がらせるように……っと!」
ベルは器用に道具を持ち替え、さらに慎重な手つきで耳かきの先端をティファの耳の奥へと滑り込ませていく。パリパリという音が、耳の中に響き始めた。わずかに力を込めて押し上げるたび、乾燥した硬い耳垢が剥がれていくような微かな音がティファの耳の奥で響く。
「んっ……」
ティファはくすぐったさと緊張感のあまり、わずかに肩をびくりと揺らし、目を固く閉じたまま小さく息を漏らした。その可愛らしい反応に、隣で覗き込んでいたエヴァがクスリと笑う。
「ティファ、なんだかすごく緊張してるみたい。大丈夫? 痛くない?」
「う、うん……痛くはないのよ。でも、自分の耳の中でそんな繊細な作業をされてるって思うと、なんだか変な汗が出てきちゃって……」
照れくさそうに頬を染めるティファの頭を、ベルは優しくポンポンと軽く叩いて安心させる。
「安心して、私の手つきはプロ級だから絶対に傷つけたりしないからね。ほら、画面を見て? ちょうど壁みたいになってた塊の端っこが、綺麗に浮き上がってきたところだから!」
ベルがホログラムウィンドウを指し示すと、画面の中では確かに茶色い頑固な耳垢の塊が、周囲の皮膚からパカッと浮き上がっているのがハッキリと確認できた。
「おぉ、すごいな! 本当に綺麗に浮いてるぞ!」
「これならもう一息ね。ベル、頑張って!」
零夜やリノアたちも自分のことのように見守りながら声を飛ばす。その応援を受け、ベルの瞳にさらに鋭い職人の光が宿った。
「よし、ここが一番の肝心要ね。これだけの大きさの塊が綺麗に取れたら、ものすごく気持ちいいはずだから……。それじゃあ、ピンセットに持ち替えて、一気に引き抜くよ!」
ベルは器用に耳かきから専用の小さなピンセットへと持ち替え、イヤースコープの画面を凝視しながら、慎重に、かつ迷いのない手つきでその奥へと差し入れた。
カチッ、とピンセットの先端が硬い耳垢をしっかりと捉える。
「……そーっと、逃がさないように……よいしょ、っと!」
ベルが息を止めてそっと引き抜いた瞬間――。
スポンッ、と心地よい小さな音がして、ティファの耳の奥をずっと塞いでいた大物の耳垢の塊が、綺麗な状態で綺麗に引っ張り出された。
「あっ……!」
ティファが思わず声を漏らす。ピンセットの先には、想像以上の大きさだった乾燥した耳垢の塊がしっかりと挟まれていた。
「わぁ、すごい……! こんな大きなのが詰まってたなんて……!」
エヴァが目を丸くして驚き、零夜たちも「おぉ……!」と感嘆の声を上げる。
ベルは得意げに胸を張り、ピンセットの先端に挟んだ塊をみんなに見せびらかした。
「これが私の完璧な耳かきテクニックの成果よ。反対側もやりましょう」
「うん。お願いするわ」
ベルはティファの反対側の耳もやる事になり、その数分後にはようやく終わりを告げられた。
しかし、休む暇もない。七人衆はあと残り五人いるのだから。
ED:君の中の英雄(機動戦士ガンダムAGE ED)
耳掃除は定期的に行いましょう。毎日やるのはNG!
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