DISSIDIA FINAL FANTASY Brave Soul 作:蒼牙王
アンダーデュエルマッチは零夜たちが連勝し、残りはあと二人。リサとスリキンを倒さなければ、この戦いで勝利とは言えないからだ。
『では、ルーレット始めるよ。さて、誰になるか気になるけど、これに君たちが勝てば勝利となる。さあ、まずはどれから押す?』
モニター越しに聞こえるミハエルの声を聞いた零夜は、味方サイドのスイッチを押す。なんと味方サイドからは零夜が出る事に。
次に対戦相手のスイッチを押すと、なんとリサが出る事になっていた。
「まさかあなたと戦うなんてね。けど、ここで負ける理由にはいかないから」
「俺も最初からそのつもりです」
リサからの宣戦布告に対し、零夜は真剣な表情で応える。相手が誰であろうとも、ここで負ける理由にはいかないのだ。
「そしてステージは……プレーンステージ。そのままとなるね」
ステージは変化せず、そのままの状態に。ここでは真剣勝負となるので、どれだけの実力なのかが確かめられる。まさにガチンコ勝負だ。
(リサは法術と格闘を駆使する。俺が彼女の相手になっても勝てるか分からない。だが、ここで負けずに立ち向かうのみだ!)
零夜が心の底から思った直後、試合開始のゴングが鳴り響く。ここから先は小細工無しのガチンコバトルだ。
ゴングの余韻が消え去ると同時に、リサの身体が薄紫色の禍々しい魔力を纏い、爆発的なスピードで前へと踏み込んだ。
「甘いわね……!」
リサの手から放たれた鋭い法術弾が、まるで弾丸のような軌道を描いて零夜へと直撃せんとする。
だが、零夜は一歩も引かず、二振りの刀――村雨とエクスカリバーの柄に手をかけ、鮮やかな居合の構えでその飛来物を綺麗に両断した。
ザシュッ! と魔力が空気中で霧散する中、零夜はそのまま一気に間合いを詰める。
「リサ、お前の強さは本物だ。だが、その力をこんな歪んだミハエルの支配のために使う必要はない!」
「……黙って! 私が選んだ道よ、あなたたちに何が分かるというの!」
リサの表情に焦りと怒りの色が混ざり、拳に強力な法術の紋様を浮かび上がらせながら、零夜へと強烈な掌底を叩き込む。
ガシリと受け止めた零夜の腕に、ビリビリと痺れるような強烈な衝撃が走った。法術と接近格闘を完璧に融合させたリサの攻防は、これまでのどの幹部とも違う、洗練された高い完成度を誇っていた。
観戦席で見守るユウとアイは、両手を固く組み、祈るような眼差しで二人の激突を見つめている。
「リサ姉……お願い、目を覚ましてよ……!」
子供たちの切実な叫び声が、プレーンステージの張り詰めた空気にこだまする。その声を聞いた瞬間、リサの動きがほんの一瞬――コンマ数秒だけ、僅かに揺らいだ。
「……っ!?」
その微かな迷いの隙を、零夜の鋭い戦闘勘が逃すはずがない。
「今だ……!」
零夜は瞬時に体勢を低くし、プロレスラーとしての剛腕と忍者格闘術を巧みに組み合わせた鮮やかなタックルで、リサの懐へと深く飛び込む。その一撃で彼女は弾き飛ばされてしまったが、すぐに体勢を立て直した。
「油断したかもね。けど、ここからは本気だから!」
「だと思ったぜ。俺もここから先は拳で立ち向かう! 行くぜ、リサ!」
「受けて立つわ、零夜!」
互いに全魔力と闘気を込めた拳が、真正面から激突する。
プレーンステージの中央で凄まじい衝撃波が爆発し、砂塵が舞い上がる。激しい戦いはますますエスカレートし、どちらが勝ってもおかしくない状況だ。
「凄い試合! こうなるとどっちが勝つか分からないわ!」
「ええ。どちらにしても負ける理由が強いのは確実。油断ならないみたいね」
この試合を見ていたセリスが興奮し、トワは真剣な表情で見つめている。何れにしてもこの戦いは見逃せず、どちらが勝ってもおかしくないだろう。
紙一重の攻防の末、零夜の鋭い踏み込みから繰り出された渾身の回し蹴りが、リサの防御をわずかに打ち破った。
「うあっ……!」
リサの体が大きくバランスを崩し、たまらず片膝をつく。息を荒くさせながらも立ち上がろうとするが、すでに彼女の足元はフラついており、完全に勝負の軍配は零夜へと傾いていた。
「そこまでだ……! 勝負ありだな、リサ!」
零夜が最後の一撃を放とうと踏み込んだその瞬間――。
「おい、リサ! 何こんなところで戸惑っているんだ!」
観戦席の一角から、地を這うような野太い怒号が響き渡った。
声の主は、リサの仲間であるスリキンだ。彼は自慢の武器を握り締めながら、全身を怒りで震わせながら叫んでいた。
「お前、負けたら分かっているよな! お前が一度でも負けてしまえば、そこの一家が俺の仕掛けた呪いによって、呆気なく死ぬと言う事を!」
「「「!?」」」
スリキンからの衝撃的発言に、零夜たちは驚きを隠せずにいた。まさかハヤカワ一家に呪いが掛けられていて、リサが負けたら死んでしまう事は想定外だ。
「じゃあ、リサが闇の七人衆に入ったのは……」
「そうだ。ハヤカワ一家に呪いを掛けて人質にして、無理やり入れさせたからな。しかも、リサが負けたら、彼らはあっという間に死ぬ。 因みにお前たちの力じゃ呪いは解けないんだよ!」
「な……なんだって……!?」
スリキンの口から飛び出した衝撃の真実に、闘技場の空気が一瞬で凍りついた。
零夜は大きく目を見開き、目の前で片膝をつくリサへと視線を戻す。
「リサ……本当なのか……? お前が闇の七人衆に入ったのは、この家族を人質に取られたからなのか……!?」
零夜の問いかけに、リサは唇を噛み締め、悔し涙を滲ませながら地面を見つめた。その表情がすべての真実を物語っている。彼女がカオス軍に加わったのは自らの意志などではなく、愛するハヤカワ一家の命を救うための、あまりにも過酷な自己犠牲だったのだ。
「リサ姉……そんなの嘘だよね……? 私たちのために、そんな苦しい思いを……っ!」
アイがポロポロと大粒の涙を零しながら声を震わせ、ユウもまた歯を食いしばりながら拳を握り締めていた。ジョーとマリーも、我が子の身代わりとなっていたリサの姿に、胸を引き裂かれるような思いで絶望の表情を浮かべる。
「ふはははっ! よく分かっただろ、零夜! お前がどれだけ強くても、このデュエルでリサを勝たせなければ、あのガキどもは一巻の終わりだ。さあ、どうする? 自分の手で仲間を救うつもりが、大切な家族を皆殺しにする引き金を引くことになるぜぇ!」ら
スリキンが勝ち誇ったように下卑た笑い声を響かせる。
勝てばリサを倒せるが、それはハヤカワ一家の死を意味する。かといって零夜が負ければ、今度は自分たちを含めた全員が腕輪の毒で命を落とす。まさに、どちらを選んでも地獄という最悪の詰み(チェックメイト)だった。
「ふざけるな……そんな卑怯なやり口が許されるわけないでしょ……!」
「それでも人間なの!?」
「文句ならミハエル様に言うんだな。あいにく、俺たちのゲームに慈悲なんてものは持ち合わせてねぇのさ!」
観戦席からセリスとトワが怒りの声を上げるが、スリキンは余裕の表情で鼻を鳴らす。
絶望的な沈黙が闘技場を支配する中、ジョーが突然ニヤリと笑う。それを見たマリー、ユウ、アイも察し、彼の周りに集まる。
「そうかそうか。そう言う事なら最後の作戦を出すしか無いな。リサさんの苦しみを終わらせる為、我々一家が犠牲になるしかない!」
ジョーの予想外の宣言に、零夜たちは驚きを隠せずにいた。まさかリサを救う為に自己犠牲となるのは予想外で、誰もが何も言えずにいたのも無理はなかった。
ED:君の中の英雄(ティファバージョン)
ハヤカワ一家が覚悟を決めた。次回、別れは必須です。
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