DISSIDIA FINAL FANTASY Brave Soul   作:蒼牙王

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今回は本編へのインターバルですが、他は誰が勝ち残るのか。

OP:Falco-ファルコ-(うえきの法則OP)


第3話 次々と出る強敵たち

 予選ブロックの激闘が次々と決着を迎える中、リノアブロックで突如巻き起こった波乱に、アリーナから大きな衝撃の上がった瞬間だった。まさか熟練の大人のゲーマーたちを抑えて勝ち抜いたのが、弱冠十二歳の少年だとは誰も想像していなかっただろう。

 

「さあ、本戦に行くメンバーが次々と決まっていくぞ! おっと、リノアブロックの勝者は……なんと小学六年生だ!」

「えっ、小学生が勝ったの……!?」

「すげえな最近のガキは、大人のゲーマーたちをごぼう抜きにしちまったぞ……!」

 

 ざわめく周囲の参加者たちから、次々とどよめきと感嘆の声が上がる。巨大モニターの画面内では、見事に勝利を手にした小学六年生の少年が、誇らしげに胸を張って小さくガッツポーズを決めていた。

 その光景を目にしたFINAL FANTASY VIIIのヒロインであるリノアは、驚きにパチクリと目を丸くさせていたが、やがてその表情をパッと華やぎ、ふっと愛らしい笑顔を浮かべた。幼い少年が見せた圧倒的なプレイングへの感心と、どこか微笑ましい彼の姿に、興味をそそられないはずがなかった。

 まもなく光の粒子とともに、勝利した少年がステージへと転移して戻ってくる。するとリノアは、軽やかな足取りで迷わず彼のもとへと歩み寄っていった。

 

「すごいじゃない! 私のパートナーってことは、かなり気合を入れてゲームをやり込んできたんだね?」

 

 リノアがそっと屈み込み、少年の目線に合わせて首をかしげながら語りかける。少年は少し照れくさそうに頬をポリポリと掻きながらも、パッと表情を輝かせて元気いっぱいに答えた。

 

「へへっ、当然だよ! オレ、リノアのことめっちゃ好きだし、技のタイミングとかも完璧に研究してきたんだから!」

「ふふ、頼もしいパートナーだね! じゃあ本戦も、その気合と腕前で一緒に突っ走ろうか!」

 

 リノアが楽しそうに差し出したハイタッチの手。少年は跳ね起きるように弾んだ動作で、パチンと力強くその手を叩き合わせた。年の離れた名コンビの誕生を祝福するように、会場全体から温かい拍手が沸き起こる。

 

「まさかあの子が勝つなんて凄いわね……」

 

 無邪気に喜ぶ少年とリノアの姿を見つめながら、ティファが感心したように息を漏らす。だが、その隣に立つ零夜は微笑むこともなく、腕を組みながら真剣な表情で眼前の光景を凝視していた。彼の研ぎ澄まされた思考は、この華やかな大会の裏に潜む違和感を捉えていた。

 

「どうしたの、零夜? 何か考えていたけど……」

 

 ティファが彼の横顔を覗き込み、心配そうに声をかける。零夜は腕を組んだまま、静かに視線を巡らせて低く呟いた。

 

「ああ……この大会、何かおかしいんだ。この様なゲーム大会を開くのは何かしらの理由がある……もしかすると、ここから先は嫌な予感しかしないからな……」

 

 零夜の切迫した真剣な言葉に、ティファはハッとして周囲へ視線を走らせた。

 予選を突破した参加者たちは、憧れのキャラクターたちと笑顔で言葉を交わし、歓談を楽しんでいる。無事に予選を突破できた歓喜と安堵に満ちあふれており、これから始まる本戦に対する懸念や危機感など、誰の頭にも微塵も浮かんではいないようだった。

 

(これから先は嫌な予感か……)

 

 ティファは心の中でその言葉を噛み締めながら、零夜にそっと寄り添い、低音で作戦の意思疎通を始める。この大会が単なる楽しむためのイベントではないと理解した以上、彼女の胸中にも、どのような事態が起きようとも最後まで生き残るという強い覚悟が、静かに、そして確かに芽生えていた。

 

 ※

 

 やがて最終予選であるユウナブロックも無事に終了を迎え、これで予選通過者二十九名の顔ぶれがすべて出揃った。

 

「うわぁ……すごい! 私、勝っちゃったんだ……!」

 

 ステージ上に収束した光の中から姿を現したのは、小さなリュックサックを背負った、あどけない表情の小学一年生の少女だった。自分が成し遂げたあまりにも大きな快挙に、少女は大きな目を白黒させながら、どこか夢心地な様子でキョロキョロと周りの大勢の観客を見回している。

 

「いやはや、小学六年生の次は小学一年生とはな! 今日の大会は未来の天才ゲーマーたちが大暴れだぜ!」

「本当だな! 年齢に関係なく、この厳しい予選を勝ち抜く実力を持っているとは恐れ入った!」

 

 マイクを手にした司会者の野川と國重が、大熱狂のハイテンションで実況の声を張り上げる。

 その歓声の中、FINAL FANTASY Xのヒロイン・ユウナは、ふわりと優しく表情を緩め、少女のもとへと穏やかに歩み寄った。彼女の瞳には、驚きを通り越した温かい慈愛の光が満ちている。

 

「すごいね、こんなに大きな大会で勝ち抜くなんて。本当によく頑張ったね」

 

 ユウナは袴の裾に気を配りながらその場にしゃがみ込み、小さな少女と目線を合わせて柔らかく語りかけた。少女は顔をパッと輝かせると、トコトコと小さな足音を立てて彼女のもとへ駆け寄っていく。

 

「ユウナさん……! 私、ユウナさんのことずっと応援してたの! ゲームもいっぱい練習したんだよ!」

「ふふ、ありがとう。その頑張りはちゃんと届いていたよ。じゃあ、本戦も一緒に力を合わせて頑張ろうね」

 

 ユウナがそっと差し出した小さな手へ、少女は両手を重ねるようにして元気いっぱいにタッチした。会場からは先ほど以上の割れんばかりの拍手と、観客たちの温かな歓声が沸き起こる。

 だが、その華やかな熱気と祝福のムードから少し離れた場所で、零夜とティファは静かにその一部始終を見つめていた。

 

「六年生に続いて、今度は一年生か……。偶然にしては、何だか出来すぎている気がしないか?」

「どういうこと? 子供たちが勝ち上がることが、何か不自然なことなの……?」

 

 ティファが首をかしげて尋ねると、零夜は眉間にシワを寄せ、重い口を開いた。

 

「あぁ。ゲームの腕前が良いのは否定しないが、この大会の規模や参加している大人たちのレベルを考えれば、子供がここまで勝ち抜くのは本来なら至難の業だ。それに――」

 

 零夜は一度言葉を切り、鋭い眼光で会場のあちこちに配置された監視カメラや、運営スタッフたちの動きをくまなく巡らせる。その表情は、このゲーム大会の表層の下に蠢く見えない悪意を警戒しているようだった。

 

「主催者側が、意図的に特定の誰かを導いている可能性もゼロじゃない。ここから先の本戦、油断すれば足元をすくわれるどころじゃ済まないぞ」

 

 零夜の含みのある真剣な警告を受け、ティファは喉を鳴らしてごくりと唾を飲み込んだ。会場全体の浮かれた雰囲気に流されそうになっていた意識が瞬時に引き締まり、彼女は決意を込めてそっと両拳を握りしめた。

 

「うん……わかった。零夜の言う通り、気を引き締めていくね」

 

 ティファが決意を固めたその直後、会場全体を揺らすように司会者の山村の声が響きわたる。集まった参加者全員に向け、パートナー決定の余韻を破る告知が放たれた。

 

「予選通過おめでとう。しかし、君たちはここからが本番。そのまま指定されたステージへ転移しよう!」

 

 山村がニヤリと笑ってパチンと指を鳴らした瞬間、強力な転移の光が零夜たち参加者を覆い尽くし、全員を一瞬にして別の空間へと転送していった。

 静まり返ったメインステージに残された四人の司会者たちは、参加者たちが去ったあとのモニターへゆっくりと視線を合わせる。

 

「一組がこの大会に気づいているみたいだが、俺たちは明らかに奴が優勝すると思う。他の奴らは全然気付いていない様だ」

 

 徳田がつぶやいた観察眼に対し、山村はニヤリと歪んだ笑みを浮かべた。

 

「そうか。ここから先は地獄のゲーム。さて、僕らの賭けは当たるかだな」

 

 言葉を交わしながら、山村はポケットから二個のサイコロを取り出すと、手元で高々と放り投げた。くるくると空中で回転したサイコロを、片手で鮮やかにキャッチする。開いた掌の上にあったのは、不気味に揃った一のゾロ目だった。

 

「うおっ! ゾロ目!」

 

 野川たちがまさかのゾロ目に驚き声をあげる中、山村はゾロ目のサイコロを見つめながら、心の中で冷徹に最悪のシナリオを描き出していた。

 

(一般人の参加者たちに東を倒すのは不可能だ。この嬉しさこそ、最後の晩餐となるだろう)

 

 主催者たちの不吉な思惑が渦巻く中、転移された参加者たちを待ち受ける地獄のゲームが、ついにその幕を開けようとしていた。




ED:こころの惑星 〜Little planets〜(うえきの法則ED)

今回の豆知識。
大会には必ず裏がある。危険な大会には必ず近づかない方がオススメだ。

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