DISSIDIA FINAL FANTASY Brave Soul   作:蒼牙王

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OP:セクシー・アドベンチャー


第41 話 ミハエルの隠された秘密

 闇の七人衆を滅ぼし、残るはミハエルのみ。すると、モニターの電源が切られ、ステージ中央に彼が姿を現す。それを見た零夜たちは、思わず警戒してしまった。

 

「これで闇の七人衆は全滅。君たちはこれで死ぬ事はない」

 

 ミハエルの褒め言葉を聞いた零夜は、真剣な表情をしながら彼を向く。この戦いの元凶である彼を、野放しにする理由にはいかないのだ。

 

「ミハエル。残るはお前だけだな。すぐにでも戦ってもらう」

「そうか。けど、僕としてはその意志は無いんだけどね?」

 

 零夜からの宣戦布告に対し、ミハエルは興味なさそうな表情をしてしまう。彼はこれ以上戦う気はなく、自分の手駒がやられた以上は立ち去ろうとしていたのだ。

 

「お前は部下を容赦なく見捨てるつもりか! それに、部下たちに対して成功したら願いを叶えると言っただろ!」

「願いね……ああ、七人衆を集める為、僕が考えた嘘っぱちさ!」

「「「!?」」」

 

 零夜の質問に対し、ミハエルは衝撃の発言をこの場でだしてしまう。その内容に誰もが驚くのも無理はない。

 

「僕は戦力を増やす為、様々な人材をスカウトしてきた。スカウトされた奴らはとんでもないバカばかりだよ。リサはスリキンがスカウトしたから違うけどね」

「――今、何て言ったの……?」

 

 静まり返った闘技場に、絞り出すような震えた声が響いた。

 その主は、リサだった。彼女はティファに寄り添っていた体をガタガタと震わせながら、信じられないものを見る目でステージ中央のミハエルを睨みつけている。

 

「ん? ああ、聞こえなかったかい? つまり、君たちが命懸けで戦わされた『闇の七人衆』なんてものはね、僕の退屈を紛らわせ、世界を引っ掻き回すためのただの便利なチェスの駒に過ぎないってことさ。願いなんて叶える気も最初からなければ、死んだって痛くも痒くもない。……いやぁ、それにしてもここまで綺麗に全滅させられるとは計算外だったけどね」

 

 ミハエルは悪びれる様子もなく、薄ら笑いを浮かべながらそう言い放った。仲間たちの命も、リサが背負わされた過酷な苦悩も、すべてをゲームの道具程度にしか思っていないその冷酷すぎる言葉に、闘技場の空気が一瞬で凍りつく。

 

「自分の欲望のために、仲間を……人の心を弄んだって言うの……! ハヤカワ一家を人質にして私を縛り、こんな地獄みたいな戦いを強いておきながら……!」

 

 リサの瞳から怒りの涙が溢れ出し、彼女の身体から禍々しくも強い闘気が爆発的に噴き出す。それはカオス軍の幹部としてではなく、あまりにも理不尽な悪意を踏みにじられた一人の人間としての、純粋な怒りと絶望の顕現だった。

 

「それだけじゃない。シエルも僕に好意を寄せていたけど、正直ウザかったよ。こんな裏切り者には興味無いしね」

「そんな……!」

 

 シエルもミハエルの言葉に衝撃を受けてしまい、その馬で涙を流しながら泣き崩れてしまう。その様子を見たティファは、彼女の元に駆け寄り始めた。

 

「酷い! どうしてこんな事を!」

 

 ティファの涙目の叫びにミハエルは平然としている。まさに外道としか言えないだろう。

 

「僕はこれまで辛い過去を経験したんだ。それに、君たちの様な輩を許せないんだよ。仲間という事も嫌いだし、何もかも滅べば良いんだから」

 

 ミハエルの発言を聞いたシエルは、涙を止めて真剣な表情をする。恐らく彼の言葉を聞いて、何かを思い出したのだろう。

 

「ミハエル……あの時の事を恨んでいるのね……」

「あの時? どういう事?」

 

 シエルの発言に零夜たちは気になる表情をする。恐らく昔の事で、何か関係があるのだろう。

 

「実は私とミハエルは同じ街の出身です。直接出会っていないのですが、彼を知らない者は誰もいない。そう。十年前に起きた孤児院滅亡事件が、切欠だったのです……」

「孤児院滅亡事件……?」

 

 零夜が怪訝そうに眉をひそめると、シエルは震える両手を強く握り締める。どこか遠くを見るような、それでいて痛ましい過去を抉り出すような眼差しでミハエルを見据えた。

 

「そう……十年前に起きた、ある街の孤児院の火災事故。いいえ、事故じゃないわ。あれは大人の裏切りと、信じていた『仲間』たちに見捨てられて起きた、最悪の人災だったの」 

 

 シエルの言葉に、ミハエルの纏う空気がわずかにピクリと波打った。だが、彼はすぐに薄ら笑いを深め、興味なさそうに肩をすくめる。

 

「ふん、過去の感傷かい? そんな昔の、しかも他人の不幸話なんて聞いてやらないね」

「聞いてよ、ミハエル! あなたはあの時、たった一人で炎の中に残された……! 誰もあなたを助けようとしなかった。一番信頼していた友達も、あなたを置いて自分だけ逃げ出したんだから……!」

 

 シエルの叫びに、闘技場の空気がふたたび凍りつく。

 ミハエルの瞳の奥で、わずかに黒い感情の揺らぎが走った。それは冷笑の裏に隠された、決して癒えることのない深い絶望の痕跡だった。

 

「あの時の事件か。その時は自力で脱出し、大人たちと仲間を容赦なく殺したのさ。全員遺体をバラバラにして血祭りにね!」

 

 ミハエルの口から飛び出したあまりにもおぞましい告白に、闘技場の空気が完全に凍りついた。

 かつて受けた裏切りと絶望への復讐として、幼い身でありながら大人と仲間を皆殺しにしたという狂気の過去。シエルは息を呑み、信じられないものを見る目で彼を見上げる。

 

「そんな……それが、あなたの復讐だったの……? だからって無関係な人たちを巻き込み、こんな残酷なゲームで弄んでいい理由にはならないわ!」

「関係ない? ふざけたことを言うな。あの時、誰も僕を救わなかった。だからこの世界に価値などない。すべてを僕と同じ絶望の底に沈めてやるのが、僕の望みだ!」

 

 ミハエルが冷酷な笑みを浮かべた瞬間、彼の足元から凄まじい黒い魔力が噴き上がり、闘技場の床や壁が激しく亀裂を入れて崩壊を始めた。空間そのものが彼の歪んだ執念に呼応するかのようにねじ曲がっていく。

 

「さあ、時間も惜しい。ここから先はこの場所でのラストバトルだ。光が勝つか闇が勝つか。レッツファイトだ!」

 

 ミハエルの宣言と同時に、ステージは闇のデスゾーンへと変化。ここから先は多数対一のハンディキャップマッチだが、彼は手強いのは確実。果たしてどうなるのか。




ED:君の中の英雄(ティファバージョン)

いよいよミハエルとの決戦です!

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