DISSIDIA FINAL FANTASY Brave Soul   作:蒼牙王

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OP:セクシー・アドベンチャー


第43話 ミハエルとの決戦(後編)

 オーガに変わり果てたミハエルは、勢いよく拳を振り回しながら襲い掛かってくる。こうなると総力戦となる為、正々堂々と諦めずに立ち向かうしか方法はあるまい。

 

「オーガモードのミハエルはかなり手強い。だけど、諦めなければ必ず勝てます!」

「なるほどな。ここは連携で立ち向かうしかない!」

 

 シエルのアドバイスを聞いた零夜たちは、真剣な表情で一斉にミハエルへと立ち向かう。カオス軍の一員である彼を野放しにはせず、容赦なく倒すしか方法はない。

 

「大勢なら流石に耐えきれないでしょ!」

 

 トワが『千里眼』でミハエルの挙動の軌道を完全に見切り、あらかじめその進路上に展開した数重の魔法陣から、閃光を伴う束縛の魔力鎖を放つ。

 ジャキィィン! と重い音を立てて、オーガモードに変貌したミハエルの両足が地面に縫い止められた。

 

「なっ……! この僕の動きを止めるというのか……!」

 

 驚愕に目を見開くミハエルが強引に振り解こうとするが、その隙をエヴァと日和が絶妙のタイミングで見逃さない。相手が動けない今だからこそ、容赦なく倒すのみだ。

 

「隙だらけよ! ブレイククロー!」

「ショットブレイカー!」

 

 エヴァの俊敏な爪撃と日和の強烈な魔法弾が、ミハエルの強固な装甲の継ぎ目へと同時に炸裂する。

 さらに、セリスとティファが放つ重層的な魔力弾が追撃の嵐となって叩き込まれ、鬼神の如き巨体を揺らがせた。

 

「ふざけるな……! こんな人間たちの足掻きが、僕に通じるものかぁっ!」

 

 ミハエルが全身から放つ凄まじい光と闇の爆風で拘束を吹き飛ばすが、その眼前にはすでに、マツリとミリーが鮮やかな連携で壁を作り上げていた。恐らくこの先を見据えていたので、この程度は予測済みだ。

 

「通じるさ。テメェ一人の歪んだ絶望じゃ、アタイらが積み上げてきた絆の重みには勝てねぇよ!」

 

 マツリが『ミラーシールド』でミハエルの全方位からの反撃を完璧に封じ込め、その背後からミリーが最大出力のマジカルバーストを浴びせる。

 圧倒的な質量と連撃の前に、オーガモードを纏っていたミハエルの巨体が大きくバランスを崩した。あと一撃喰らってしまえば、敗北は確定だ。

 

「今よ……零夜!」

 

 シエルの叫びを合図に、零夜がゼロの距離へと踏み込む。二振りの刀――村雨とエクスカリバーに、すべての闘気と仲間たちの想いを完全に収束させる。

 青白い光が闘技場全体を眩く照らし出し、プロレスラーの魂と忍者格闘術の極みがひとつに重なり合う。

 

「ハヤカワ一家の想いも、リサの涙も、そして俺たちの未来も……すべてを踏みにじったその報い、ここで受けてもらう! 真空波動斬!」

 

 零夜の強烈な斬撃は、ミハエルを真っ二つに切り裂く。それは闇を切り裂く一撃その物で、これこそ決着を着ける一撃となっていたのだ。

 

「そんな馬鹿な……! この僕が……!」

 

 ミハエルがそう呟いたその時、彼の脳裏に走馬灯が流れ込む。

 ――炎に包まれた、十年前のあの夜。

 瓦礫の山に取り残され、恐怖と絶望に震えていた幼い日の記憶。

 あの時、ミハエルは叫んでいた。誰か助けてくれと、自分を置いて逃げないでくれと。だが、聞こえてきたのは冷たい足音と、他人の背中だけだった。

 ――誰も僕を救わなかった。誰も僕を見ていなかった。だから、この世界なんて壊れてしまえばいい。

 そう信じ込み、歪んだ復讐心だけを糧にここまで駆け上がってきたはずだった。

 しかし、いま目の前にいるのは、あの日の自分とはまったく異なる者たちだ。

 命を賭けて仲間を守り、理不尽な運命に真っ向から立ち向かい、どれほど絶望的な状況でも決して手を取り合うことを諦めない――泥臭く、熱く、眩いほどの『絆』を纏った者たち。

 

(……僕が欲しかったのは、本当は……こんな風に、手を伸ばしてくれる仲間だったのか……?)

 

 ミハエルの脳裏に浮かんだその想いは、溢れ出た涙とともに光の粒子へと溶けていく。

 歪んだ憎しみの鎧は完全に砕け散り、彼の背後から吹き荒れていた黒いオーラは嘘のように霧散していった。

 

「ぐっ……はっ……!」

 

 オーガモードが強制解除され、元の姿に戻ったミハエルがその場に膝をつく。全身に刻まれた『真空波動斬』の深い一撃から、まばゆい光が溢れ出していた。

 彼の身体は限界を迎え、崩れゆく空間の欠片とともに、ゆっくりと光の粒子となって消えかけていく。

 

「勝負あり……だな、ミハエル」

 

 零夜は村雨をそっと鞘に収め、静かな眼差しでミハエルを見下ろした。怒りではなく、ただ一つの戦いをやり遂げた者同士の確かな重みがそこにはあった。

 

「……ふっ、完敗だよ。君たちの……その眩しさに目が眩んだらしい……」

 

 ミハエルは自嘲気味に小さく笑うと、最後にふっと穏やかな表情を浮かべ、その姿は完全にかき消えるように光の中へと消えていった。

 黒幕の消滅と同時に、これまで不気味に唸りを上げていたアンダーデュエルマッチの施設全体が、大きな地響きを立てて崩壊を始める。

 

「やった……勝ったんだ……!」

「皆で勝って良かったよ!」

 

 ティファやトワ、エヴァたちが零夜の元へと飛び込み、互いの無事を確かめ合うように抱き合う。リサもまた、ハヤカワ一家の遺品をしっかりと胸に抱きしめながら、大粒の涙を拭い、晴れやかな笑顔を浮かべていた。

 すると、彼らの目の前にコスモスが姿を現す。その様子を見た彼らは気になる表情をしてしまう。

 

「皆さん、ミハエルの討伐お疲れ様でした。ここは崩れそうなので、私の陣地に転移しましょう。そこで話がありますので」

「話ですか?」

 

 コスモスの説明に零夜たちは頷くが、話については疑問に感じる。一体何の話なのか気になるのも無理はない。

 

「カオス軍との更なる戦いです。詳しくは転移してからで」

「カオス軍との……更なる戦い……!?」

 

 崩落を続ける闘技場の轟音を切り裂くように、ティファが思わず声を張り上げた。ミハエルを倒してすべての決着がついたと思った矢先に飛び込んできた新たな脅威の気配に、仲間たちの表情に再び緊張の色が走る。

 

「詳しい事情はここを脱出してからです。急ぎましょう!」

 

 コスモスが静かに手をかざすと、彼女の周囲に神秘的な転移の光が幾重にも展開される。足元の床が盛大に崩れ落ちていく絶妙のタイミングで、眩い光の陣が零夜たち全員の体を優しく包み込んだ。

 そのまま零夜たちはこの場から転移。地下の空間は崩壊して、あっという間に無くなったのだった。




ED:君の中の英雄(ティファバージョン)

次回でこの章は終わりです。感想等宜しくお願いします!
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