DISSIDIA FINAL FANTASY Brave Soul   作:蒼牙王

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OP:INNOCENCE(アイシールド21OP)


第46話 とんでもサーカス

 零夜たちがミッドガルの中に辿り着くと、そこでは住民たちがピエロの様な姿で変な姿ではしゃいでいた。

 

「おいおい。ミッドガルの住民たちもピエロになっているぞ! これもカオス軍の影響なのか?」

「セフィロスの仕業ではないのは確かね。いったい誰が黒幕なのかな?」

「さあ?」

 

 零夜が驚きの声を漏らし、恵とティファは真剣な表情で考える。

 確かにこの様な事をしたのはカオス軍には違いないが、セフィロスがこんな事をするとは思えない。別の誰かだ。

 

「それじゃあ、クラウドたちとはここで一旦別行動だ。俺たちはこのエリアの怪しい気配を探るぞ!」

 

 零夜の指示に、クラウドは静かに頷き、大剣を肩に担ぎ直した。バレットたちも同意したと同時に、クラウドと共に行動する事に。

 

「ああ、頼んだ。こっちは正面の迎撃と奥への道を開く。何か分かったら通信しろよ」

「任せとけって!」 

 

 クラウドたち本隊が前方の敵を引き受けて派手に暴れてくれている間に、零夜とティファと恵の三人は、ピエロたちの狂騒が渦巻く裏通りへと足を踏み入れた。

 周囲を見渡せば、かつては無機質で重厚だったスラムやプレートの街並みが、極彩色の風船や紙吹雪、さらにはくるくると回転する巨大なルーレット台などで埋め尽くされている。すれ違う住民たちは一様に赤い鼻をつけ、「ハッピー・サーカスへようこそ!」と不気味な笑みを浮かべながらステップを踏んでいた。

 

「まったく……見る影もないわね。こんな悪趣味な真似、セフィロスの趣味じゃないのは確かだわ」

 

 ティファが眉をひそめながら、目の前でジャグリングをしているピエロ姿の住民をそっと避ける。その隣で、恵は鋭い視線を周囲の建物へと走らせていた。

 

「セフィロスじゃないなら、カオス軍の中でも別の幹部――あるいは、こういう人間を弄ぶのが大好きな趣味の悪い奴の仕業ね」

「ああ。どちらにせよ、この住民たちを元に戻すには、その元凶を叩き出すしかないな」

 

 三人が警戒を強めながら進んでいくと、前方のサーカステントの影から、パァン! と景気よくクラッカーの音が響き渡った。零夜たちは気になる表情で、音のした方を見る。

 

「おやおや、こんなお上品なパフォーマー様たちが、我がアミューズメントパークにご到着とはねぇ!」

 

 ひときわ甲高く、ねっとりとした道化師の声が響く。

 ネオンの光が明滅するテントの屋根の上から、ひらりと軽業師のように飛び降りてきたのは、全身を色鮮やかな道化の衣装に包み、顔の半分を不気味な仮面で隠した男だった。その手には、怪しく禍々しい魔力を放つマジックステッキが握られている。

 

「お前が……この街をこんな風に変えた黒幕か!」

 

 零夜が瞬時に村雨の柄に手を掛け、一歩前に出て身構える。

 ティファと恵も格闘技の構えで、一触即発の緊張感がその場の空気をピリリと引き締めた。

 

「黒幕なんて人聞きが悪いなあ。僕はただ、この退屈な世界に『最高のエンターテインメント』を提供してあげているだけさ! さあ、僕の作った最高のマリオネットたちと一緒に、君たちも永遠のステージで踊り狂いなよ――!」

 

 道化師がステッキを大きく振りかざした瞬間、周囲のピエロたちが一斉に怪しい光を放ちながら、一斉に襲い掛かってきた。すると、ティファはその中にいる人物に驚きを隠せずにいた。

 

「マーレさんにマリンもいるわ! 早く目を覚まさないと!」

「そう言う事なら!」

 

 零夜はすぐにピエロとなっているマリンに接近し、盛大に水をぶっかける。すると、マリンが正気に戻り、目をパチクリとしていた。

 

「あれ? ティファお姉ちゃん!」

「マリン!」

 

 ティファがマリンの下に向かおうとしたその時、マリンに怪しい光線が掛けられる。彼女は煙に包まれ、犬の姿となってしまった。

 

「元に戻したので、お仕置きしました」

「余計な事をするな!」

 

 道化師の発言を聞いた零夜がツッコみ、指パッチンでマリンを元に戻そうとする。しかし、今度はタヌキになってしまった。

 

「ちょっと、何タヌキにしてるのよ!」

「しまった!」

 

 モフモフとした茶色い毛並みに、ぽんぽことしたお腹のタヌキになってしまったマリンが、ぴょんぴょんとその場で跳ねながら「きゅーっ!?」と情けない声を上げる。それを見たティファは、怒りで瞳を炎のように燃え上がらせた。当然零夜が驚くのも無理ないが。

 

「これならどうだ!」

 

 今度は道化師が魔術を掛け、ウサギに姿を変えてしまう。マリンはピョンピョン飛び跳ね、どこかに向かおうとしていた。

 

「それならこいつだ!」

 

 零夜が再び指パッチンすると、今度は真っ白な羽毛に包まれ、立派なトサカを頭に乗せた鶏の姿に。マリンがパニックを起こしながら、その場でパタパタと羽ばたきながら暴走し始める。

 

「ちょっと、どうして鶏になっちゃってるのよ! 零夜、早く何とかして!」

「俺だって本気でやってるんだよ! この道化師の魔法のせいで、指パッチンの波長が狂っているんだ!」

 

 頭を抱えて焦る零夜の前で、道化師はマジックステッキをクルクルと回しながら、ケラケラと卑劣な笑い声を響かせた。まさに卑劣としか言いようがない。

 

「ひゃはははっ! いいねぇ、鶏の次はどの動物にしようか? カピバラ? それともトカゲちゃんかな?」

「ふざけた真似を……いい加減にしなさいよ、このドブネズミ野郎!」

 

 怒り心頭に発したティファが、拳に凄まじい闘気を纏わせ、一歩踏み出す。その傍らで、恵も冷ややかな目を道化師に向けながら、構えを低くした。

 

「人間の尊厳を弄ぶクズに、これ以上喋る権利なんてないわ。リカバリー!」

 

 恵が魔術を唱えると、淡い光の粒子が鶏になって暴れていたマリンをふわりと包み込む。次の瞬間、ピカッと眩しい光が弾け、見覚えのある少女の姿へとマリンが戻った。

 

「ううっ……私、今度は鳥になってた気がするぅ……! もうやだぁ、お腹空いたぁ……」

「マリン、無事だったのね! よかった……本当によかったわ!」

 

 ティファが慌てて駆け寄り、再びマリンをしっかりと抱きしめて涙ぐむ。マーレも正気に戻り、安堵の胸をなで下ろした。

 これで人質や一般人の安全は完全に確保された。怒りのリミッターが外れた零夜とティファ、恵の三人は、それぞれ殺気を帯びた眼光を道化師へと向ける。

 

「お楽しみタイムはここまでだ、道化師。仲間を弄んでくれた分の借りは、たっぷりと返してもらうぜ」

「……生きて帰れると思わないことね」

「ふざけたのはこれで終わりよ」

 

 ティファの瞳が怒りの炎でメラメラと燃え上がり、恵も冷徹な微笑みを浮かべる。

 さすがの道化師も、三人のただならぬプレッシャーに気圧されたのか、冷や汗をダラリと流しながら後じさった。

 

「ひっ……!? ま、待て待て、ただのジョークじゃないか! おい、誰かこいつらを止めてくれぇ――!」

 

 道化師の悲鳴をかき消すように、零夜たちの踏み込んだ足音が裏通りに響き渡る。

 怒涛の反撃劇の幕が、今まさに切って落とされた――!




ED:ボーイの季節(ティファバージョン)

今回の豆知識
人に魔術を掛ける時は迷惑を掛けないように!

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