DISSIDIA FINAL FANTASY Brave Soul   作:蒼牙王

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一回戦はここで終わり。果たして突破するのは?

OP:Falco-ファルコ-


第5話 集結の八組

 会場に設置された巨大なモニターには、一回戦の激しい攻防がリアルタイムで映し出されている。泥臭い乱戦が続く中、誰が生き残るのか全く予想がつかない状況だ。

 そんな熱気にあふれる映像を、零夜は両腕と背中に心地よい重みを感じながらじっと見つめていた。

 

「わあ、あそこの試合、すごいことになってるよ……!」

 

 リノアが零夜の右腕にぴたりと寄り添い、反対側ではユウナが心配そうに服の裾をギュッと掴んで覗き込んでいる。さらに背後からは、ティファが零夜の背中に腕を回すようにしてしっかりと密着していた。

 一番乗りで予選を勝ち抜いた安堵感からか、三人からのダイレクトな温もりと甘い香りに包まれ、流石の零夜も少しだけ照れくさそうに視線を彷徨わせる。

 

「そんなに引っ付かないでくれ……身動きが取れなくなる……」

「だって、零夜さんがすごく頼りになるんだもん。このまま離れないでよね?」

「そうですよ! 私たち、絶対にこの大会で最後まで勝ち残るんですからね!」

 

 ヒロインたちの楽しげで少し甘えたような声に苦笑しつつ、零夜はなんとか体勢を保ちながら視線を再び大型モニターへと戻した。

 画面の向こうでは、残る本戦への切符を賭けて、参加者たちが文字通り血眼になってキャラクターを奪い合っている。

 

「皆が必死になっているのがよく分かる。誰もが勝ちたい気持ちが強いだろう」

「本当ね。ゲームの中とはいえ、ここまで本気になれるのは、やっぱり大切なパートナーがかかってるからだわ」

 

 ティファがモニターの凄惨な映像を見つめながら、真剣な声音で呟く。圧倒的な実力で早々に一回戦を制した零夜たちとは対照的に、残りの枠を巡る戦いはまさにボロボロになりながらの総力戦だった。

 

(それにしても……この大会、ただのゲームにしては妙にリアリティがありすぎる。決勝が終わった後、一体何が起きるっていうんだ……?)

 

 零夜は内心で深く思考を巡らせる。主催者である山村の怪しい笑み、そして敗者が強制送還され、参加者たちの行く末が「決勝終了後に明らかになる」という不穏なルール。この大会の裏に隠された真の目的を暴き、彼女たちを守り抜くためにも、決してここで足を止めるわけにはいかない。

 その時、モニターの映像が大きく切り替わった。女子高生らしき少女が、クラウド、スコール、ティーダの三人を引き連れ、猛スピードでゴールエリアへと滑り込む姿が映し出される。見事な予選突破の瞬間だった。

 

「ゴール! 間宮美桜組、二番目でトーナメント進出! クラウドをパートナーにして、スコール、ティーダと共にゴールだ!」

 

 山村の興奮した実況が会場に響き渡る。その圧倒的なメンバー構成をモニターで確認した零夜は、思わず呆れたようにぼやいた。

 

「逆ハーレムの展開だな……」

 

 零夜が唖然としていると、間宮美桜と三人の戦士たちが転移の光に包まれ、無事に会場へと姿を現した。

 

「やったぁ――っ! クラウドさん、スコールさん、ティーダさん、私たち勝ち抜けましたね!」

 

 Tシャツにデニムのショートパンツという活発な装いの美桜は、満面の笑みを浮かべて両手をパッと広げ、一緒に戦い抜いた彼らを見上げて大はしゃぎしている。

 その傍らで、スコールは少し気だるげに鼻を鳴らし、ティーダは爽やかに笑いながら親指を立ててみせた。

 

「ふん、まあ足手まといにはならなかったな」

「いやー、結構スリリングで面白かったぜ! よし、次もこの調子で行こうな!」

「……やれやれだ」

 

 クラウドは相変わらずといった表情で腕を組んでいたが、美桜の嬉しそうな様子を無下に否定するようなことはしない。そんな賑やかな一団の姿を、零夜たちは少し離れた場所から見守っていた。

 

「すごいわね、あの女の子……クラウドだけじゃなく、スコールやティーダまで引き連れてゴールしちゃうなんて」

「本当ですね。なんだか、見ているこっちまで元気が出ちゃいます!」

「そうね。私たちも負けられないから!」

 

 リノアとユウナが感心したように微笑み合うと、ティファも大きく頷きながら気合いを入れ直す。

 すると、歓喜に沸いていた美桜がふと零夜たちに気づき、目を輝かせて駆け寄ってきた。

 

「あの、零夜さんですよね。あなたの噂は聞いています。八犬士でありながら、プロレスラーと勇者をこなしているなんて凄いですね」

「大した事はない。仲間を守る為なら、どんな困難でも乗り越える。それだけさ」

 

 零夜が優しく微笑みながら答えたその瞬間、背後に立っていたクラウドが一歩前へ踏み出し、彼をじっと見据えた。その瞳には、並々ならぬ興味と鋭い闘志が宿っている。

 

「お前とは一度勝負をしてみたくなる。お前がハルヴァスの勇者であるのなら、一度戦わないと気が済まないからな」

「気が済まない? まさか戦うというのか?」

「ああ、そうだ。お前ほどの男がどんな実力を持っているのか、この剣で確かめたくなった」

 

 クラウドは静かにバスターソードの柄に手を掛け、周囲の空気をピリッと凍りつかせるような眼光を零夜へと向ける。純粋な戦士としての本能が、零夜との激突を求めていた。

 突然の展開にリノア、ユウナ、美桜が息を呑む中、スコールは興味なさそうに背を向け、ティーダはウズウズとした様子で二人のやり取りを見守っている。

 

「クラウド……本気で言ってるの? まだトーナメントが残ってるんだよ?」

 

 かつての仲間であるティファが少し呆れたようにため息をついて嗜めるが、クラウドはどこ吹く風といった様子で微動だにしない。

 

「……ふん、丁度いい。どうせ勝ち上がっていけば、いつかは当たる相手だ。ここでやっておいても悪くはないだろ」

 

 その真っ直ぐな闘気を受け止め、零夜は真剣な表情へと切り替わり、堂々と肩をすくめてみせた。

 

「挑戦状は受けて立つ。だが、この大会の決勝の舞台か、あるいはトーナメントの真っ只中でだな。こんな場所でするもんじゃない」

「……そうだな。お預けだ」

 

 零夜の理路整然とした返答に、クラウドはふっと僅かに口元を緩め、剣の柄から手を離して戦闘態勢を解いた。

 張り詰めていた空気が緩み、ティファが安堵の息を吐き出したのとほぼ同時だった。会場のあちこで光の柱が立ち上り、残る六組が次々と転移してくる。

 これで、トーナメント進出を果たす八組のプレイヤーがすべて集結したのだ。

 

「これで本戦進出の八組が決まった! では、モニターでその出場チームを確認しよう!」

 

 司会の山村がニッコリと不気味な笑みを浮かべながら、芝居がかった動作でパチンと指を鳴らす。すぐさま巨大モニターが切り替わり、見事生き残った八組のチーム名が大々的に映し出された。

 

 1:東零夜、ティファ・ロックハート、リノア・ハーティリー、ユウナ

 2:間宮美桜、クラウド・ストライフ、スコール・レオンハート、ティーダ

 3:如月冬美、クライブ・ロズフィールド、ノクティス・ルシス・チェラム、プロンプト・アージェンタム

 4:チャーリー村田、ティナ・ブランフォード、セリス・シェール、イロハ

 5:君原奈美恵、ウォーリア・オブ・ライト、セシル・ハルヴィン、カイン・ハイウインド

 6:秋原忠助、ラグナ・レウァール、ヴァン、バルフレア

 7:八重樫碧、ライトニング、フリオニール、ガイア

 8:栗川壮介、クルル・マイア・バルデシオン、ヤ・シュトラ、プリッシュ

 

「ふむふむ、実力者から思わぬダークホースまで、バラエティ豊かな八組が出揃ったな。なお、オニオンナイト、バッツ・クラウザー、ロック・コール、ジタン・トライバル、シャントットは元の世界に強制送還された。他の参加者たちはとある場所に転移したが。それでは――いよいよ、最終トーナメントの第一回戦の組み合わせを発表するぞ!」

 

 山村の不敵で楽しげな声が響き渡るのと同時に、モニターの文字が激しくシャッフルされ、カシャカシャと無機質な音を立てながら対戦カードが決定していく。

 脱落者たちの不穏な末路がサラリと語られる中、次に待ち受ける過酷な試練へ向けて、零夜たちは静かに息を呑んだ。果たして、どんな対戦カードが出来上がるのか……。




ED:こころの惑星〜Little planets〜(うえきの法則ED)

今回の豆知識
敗者は決勝が終わった後、明らかに。果たして何が起こるのか?

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