DISSIDIA FINAL FANTASY Brave Soul 作:蒼牙王
OP:Falco-ファルコ-(うえきの法則OP)
「では、これより第二試合。チャーリー村田、ティナ・ブランフォード、セリス・シェール、イロハ組と秋原忠助、ラグナ・レウァール、ヴァン、バルフレア組だ」
司会を務める徳田の高らかな宣言を合図に、ステージに立つチャーリー組と秋原組の計八名が、一斉に光となってバトル空間へと転移していった。
メイン会場に残った零夜は、巨大なモニターに映し出される新たな戦場へ、真剣な眼差しを向ける。
「恐らくこの試合の勝者が俺たちと戦う事になる。見逃す理由にはいかないだろう」
零夜が腕を組みながら静かに忠告すると、傍らに立つティファ、リノア、ユウナの三人も深く頷いた。この試合は、次の対戦相手の実力と戦術を見極めるための重要な情報源。何れにしても、一瞬たりとも目を離すわけにはいかない。
「チャーリーは確かガンマンだったね。銃さばきを得意としているらしいよ」
「秋原さんはビショップで魔術と回復を得意としています」
「前衛をキャラに任せて、自分は後方支援か。まあ、零夜なら大丈夫だと思うけどね」
リノアが思い出すように口元へ指を添え、ユウナが真剣な表情で相手のデータを補足する。更にティファが零夜の顔を覗き込み、信頼に満ちた笑みを向ける。三人の言葉に、零夜もわずかに口角を上げて優しい笑顔で応え、再びモニターの戦況へと視線を戻した。
※
画面の向こうに広がっていたのは、無数の高層ビルが立ち並び、入り組んだ路地やアスファルトの道路が続く都会の街並みだった。
複雑な地形は身を隠す障害物に事欠かない一方で、死角が多く、いつどこから奇襲を受けるか分からない極めて危険な戦場だ。
転移の光が収まると同時に、両チームはそれぞれの持ち場で素早く作戦会議を始めた。
「ここは障害物が多い。敵の動きが直前まで見えない分、慎重にいこう」
チャーリーが愛用の銃のシリンダーを軽く指で払いながら、仲間のティナ、セリス、イロハへ鋭い視線を巡らせる。ゲーマーとしての腕前は高く、この難関ステージでいかに的確な指示を出せるかが勝敗を分けるカギだ。
「そうね。私の魔法も、建物が邪魔になって広範囲には撃ちにくいわ。セリス、イロハ、前衛は任せるわよ」
「了解したわ、ティナ。私の魔剣で敵の足を止めつつ、イロハと一緒に一気に懐へ飛び込む」
「はいっ、私も全力で援護します!」
セリスが氷の魔剣を構えて力強く頷き、イロハも聖剣の柄を両手でギュッと握りしめる。前衛の突破力を二人に託し、チャーリーとティナが後方から銃撃と魔術で戦況をコントロールする、隙のない布陣だ。
※
一方、彼らから数ブロック離れた薄暗い路地裏では、秋原チームも緊迫した面持ちで額を突き合わせていた。彼もまた生粋のゲーマーであり、相手の厄介な戦力構成はすでに察知している。
「みんな、聞いてくれ。相手にはティナやセリスといった強力な魔法剣士がいる。真正面からぶつかったら分が悪い」
「へっ、ビショップのあんたがそこまで言うなら、派手に正面突破ってわけにはいかないか」
秋原の言葉に、バルフレアが苦笑いを浮かべながら愛銃を肩に担いで肩をすくめる。
「だったら、このビル街を利用して奇襲を仕掛けるのが良さそうだな。オレとバルフレアで上からかく乱する。ラグナさんは前線で正面を頼むぜ!」
ヴァンが身軽な足取りで近くのビルの外壁をチラリと見上げ、ニヤリと笑って提案した。
「よし、まかせろ! オレの銃の嵐で一網打尽にしてやるぜ!」
ラグナが豪快に笑いながら、頼もしい手つきで機関銃を構える。秋原は彼らの背後からいつでも回復や支援魔術を飛ばせるよう、静かに己の魔力を高めていた。
「行くぞ!」
互いの作戦が定まり、秋原が力強く号令をかけた瞬間――都市の静寂を切り裂くように、乾いた銃声が響き渡った。
ビルとビルの間に広がるアスファルトの上で、一瞬の油断が命取りとなる激しいサバイバル戦の幕が切って落とされたのだ。
※
その戦いの火蓋が切られたのをモニターで確認する中、会場にいる間宮美桜のチームでは、スコールだけが興味なさそうに画面から目を逸らし、背を向けていた。
歴戦の傭兵である彼は、すでにこの勝負の行く末を完璧に察しているらしい。
「どうしたのですか? 試合途中ですよ?」
美桜が不思議そうに首を傾げて問いかける。
「見なくても分かる。この試合、チャーリーたちが勝つだろう」
スコールの静かで揺るぎない断言に、美桜はわずかに目を丸くし、慌てて再びモニターへと視線を戻した。
画面の中では、ヴァンとバルフレアがビル街の立体的な地形を利用し、高所から奇襲を仕掛けようと宙へ飛び出していた。
しかし、それを迎え撃つチャーリーの眼光は、すでに冷徹なまでに冴え渡っていた。上空のわずかな気配を察知すると、愛用の銃を素早く引き抜き、迷うことなくビルの上へ向けて連続で発砲する。
「甘いな、動きは読めている!」
乾いた銃声がコンクリートの壁に反響する。放たれた弾丸はまるで計算し尽くされたかのように、跳躍したヴァンの軌道を完璧に捉えていた。
「うわっ、マジかよ!?」
突然の正確な狙撃に、ヴァンは空中で姿勢を崩し、たまらず近くのビルの外壁へと着地して身を隠す。
その一瞬の隙を見逃さず、セリスが瞬時に氷の魔剣を振るった。放たれた極寒の魔法がビルの外壁を一気に凍りつかせ、ヴァンの足場を容赦なく奪い去る。
さらに、裏路地から回り込もうとしていたバルフレアの退路を完全に塞ぐように、ティナの放った炎の魔法が激しく爆ぜた。
「っ……動きを制限されたか。手強いな、あいつら!」
バルフレアがチッと舌打ちしながら、炎の壁から距離を取る。
一方の地上では、ラグナが豪快に銃を乱射しながら突撃を試みていたものの、立ちはだかるイロハが聖剣の盾でその弾幕を完璧に弾き返し、一歩も引かない鉄壁の守りを見せつけていた。
後方では秋原が必死に回復魔法や支援魔術を飛ばして陣形を立て直そうとするが、チャーリーチームの緻密な連携と的確な判断力の前に、徐々に、しかし確実に押し戻されていく。
「見事だな……。個々の力だけじゃなく、それぞれの役割が完全に噛み合っている」
モニター越しに繰り広げられる洗練された戦いぶりを見つめながら、零夜が感心したように呟く。ティファたちも、チャーリーたちの見事なチームワークにすっかり目を奪われていた。
「これじゃあ、秋原さんたちはじわじわと追い詰められちゃうね……」
リノアが心配そうに画面を見つめる。
「はい。前衛のラグナさんたちが孤立しかけています……!」
ユウナの緊迫した言葉通り、秋原チームは次第に有効な手を失い、完全に包囲網へと追い込まれつつあった。
すると次の瞬間、チャーリーが激しい戦闘のどさくさに紛れ、ビル群の死角を縫うような鋭い疾走で、秋原のいる後方へと肉薄した。
前衛を突破され、背後を取られた秋原にとって、それはまさに最悪の展開だった。
「まっ、まさか直接こっちに来るなんて……っ!」
秋原は冷や汗を流しながら慌てて後退しようとするが、獲物を狙う狩人のようなチャーリーの足取りは淀みなく、一気にその間合いを詰めていく。
「隙だらけだぜ、秋原!」
チャーリーが愛用の銃を素早く構え、秋原の足元へと牽制の弾丸を放つ。鋭い銃声と共にアスファルトが抉れ、秋原の退路は完全に塞がれた。
遠く背後では、ティナの魔導の光とセリスの魔剣がラグナたちの動きを封じ込め、イロハが鉄壁の守りで彼らの追撃を許さない。完全に孤立無援となった秋原を前に、チャーリーは冷徹な眼差しを向け、銃口をまっすぐに突きつけた。
「ここで終わりだ!」
チャーリーの指が引き金を絞る。放たれた無情の一撃が、秋原の展開した防御魔術を綺麗に打ち破り、その胸元を正確に捉えた。
「うわっ……!」
秋原がたまらずバランスを崩し、地面へと倒れ伏す。
その瞬間、勝敗の決着を告げる電子音が都市フィールドの空に鳴り響いた。
『そこまで! 秋原忠助、戦闘不能! 従って、勝者・チャーリー村田チーム!』
上空のドローンから放たれた冷徹なアナウンスと共に、激しい戦いを繰り広げていた両チームの姿が光に包まれる。敗退した秋原チームは敗者の規定通り、ヴァンたちは元の世界へ、秋原は指定された場所へと転移させられていった。
そして、見事に第二試合を制したチャーリーたちの姿が、元のメイン会場へと帰還し、モニターに大きく映し出される。彼らは互いの健闘を称え合い、抱き合いながら喜びを分かち合っていた。
「次の戦いに向けて万全の準備をしておく必要があるな。俺たちも負けられない」
零夜は腕を組みながら、静かに、だが確かな闘志を込めて呟く。
二回戦で激突する相手の全容が決まった以上、気を引き締めて真剣に対策を練らなければならない。ティファ、リノア、ユウナの三人も、彼の言葉に真剣な表情でコクリと頷いた。
ED:こころの惑星〜Little planets〜(うえきの法則ED)
今回の豆知識。
相手の実力と仲間の分析を正確にこなさなければ、負けは確定になる。
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