天司長 緑谷出久のヒーローアカデミア 作:ジャック・オー・ワンタン
「へっへっへ・・・ねぇちゃんいいギター持ってんじゃん。俺といい事しようぜ?」
「キモい!来んな!」
少女は青ざめながら迫りくる敵から逃げようとするも腰を抜かしているのか上手く身動きが取れないでいた。少女一人に対してこんなによってたかって・・・許せない!
「待て!」
「あぁ?」
僕は迷うことなく少女の前に立つと刀を手に敵達の前に立ち塞がる。
「なんだテメェ?」
「彼女が嫌がってるだろ?」
「だから何だよ!テメェに関係あんのか?」
「それともあれか?ヒーロー気取りでもしてんのか?」
敵の一人がそう言うと奴らは下品な高笑いを上げ出す。
「ね、ねぇ・・・まさかアイツらと戦うつもり?ヒーロー呼んだ方がいいって!」
ふと、背後にいる少女が僕にそう言ってくる。・・・この子、震えてる。そうだろうな。僕と同じくらいの年頃だし・・・でも本心はこの状況から直ぐに解放されたいはずだ!
「大丈夫!僕が片付けるから!」
背中にある六枚羽を展開した途端、彼女は頬をやや赤くする。
「な、なんだ!?翼が・・・」
「関係ねぇよ!」
すると敵の一人が構わず腕をガトリング砲に変形させて発砲した。
「危ない!」
僕は咄嗟に少女を抱き上げると六枚羽で彼女と全身を包む。
「セヴン!」
すると六枚羽はまるで強硬な盾の様に障壁を纏って迫る弾丸を全て防いだ。
「なにっ!?」
「狼狽えるな!ただのガキだ!これでも喰らえ!」
今度は別の敵が腕を刃物に変えて襲ってくる。
「アブセンス・オブ・ライト!」
「ぎゃあああああっ!」
しかし、接近される前に無数の光弾を放ち、撃退するとそれを見た敵達は一斉に後ずさりする。
「な、なんだ・・・あのガキ!?」
「つ、強い!」
怖気づく敵達を他所に僕は抱いていた少女へ声を掛けた。
「つかまって」
「えっ?きゃあああっ!」
彼女を左腕で抱きかかえた僕はそのまま空に上がると上空で奴らを見下ろす。
「ちょ・・高いって!!降ろ・・・」
「大丈夫!僕に任せて」
「・・・ッ!」
その言葉に少女は顔を赤くする。そんな彼女にも構わず右腕を掲げて光のサークルを展開し、敵達に天司の罰を与える。
「裁きの時だ!パラダイス・ロスト!」
サークルから無数のレーザーが放たれ、次々と敵達を殲滅していく。遠くで奴らの悲鳴が聞こえ、路地裏で爆発と大きな砂埃が起こった隙に僕はそのまま少女を連れてその場を離れた。
「あの・・・ちょっと。」
「なに?」
「そろそろ・・・降ろしてくんね?超ハズいんだけど。」
少女にそう言われた僕は彼女の自宅を尋ねるとその近くまで降下してようやく彼女を解放する。その時には空はすっかり暗くなっており、辺りは街灯と建物の明かりが点き始めていた。
「はい。もう安心だよ。」
「・・・ありがと。」
頬を赤くする少女は耳たぶに付いたイヤホンジャックをいじって恥ずかしそうにする。どうやらあのイヤホンジャックが彼女の個性の様だ。
「家、近いけどまだ危険だから気を付けてね。それじゃ・・・」
「待って!」
すると少女は僕を呼び止めてあることを尋ねてくる。
「どうやったら・・・アンタみたいになれる?」
「どういうこと?」
「その・・・どんな心構えであの時敵に立ち向かったのかなって・・・」
その問いに僕は微笑んで答えた。
「考えるよりも動いていた。でも一番は君が助けを呼んでいたからかな?」
「ッ!?」
「それじゃ!」
「あっ!」
次の制止には答えることなく僕は夜空へと舞い上がる。・・・そういえば名前聞くの忘れたな。でもいいか。また会えそうな気がするから。
◇◇◇
数か月後、年が明け入試シーズンが近づいてきた。中学最後の冬休みを迎えた僕はある日、一人で外出をする。リュックにキャンプ道具を持って。
「あ、ここここ!」
山にあるキャンプ場へ向かった僕は見晴らしのいい場所を見つけると白い息を吐きながらテントを立てる。・・・うん、こんな感じかな?寒い冬になると余計にあれを呑みたくなってくる。
リュックから手ごろな珈琲メーカーを取り出すとお湯を沸かし、椅子に腰かけた。
「そろそろかな?」
湧いたポットを手に取り、カップにお湯を注ぐと瞬く間に一杯の珈琲が完成する。
「いただきます」
熱そうな珈琲を冷ましながらゆっくり口の中に注ぐ、・・・美味い。この独特な苦みと酸味。忘れもしないあの時と同じ味・・・
「サンダルフォン・・・。」
ふと、ルシフェルの記憶の中にある人物の名を呟く。彼と最後に珈琲を飲んだのはいつだろうか?彼は空の世界で役目を果たせているだろうか?・・・いや、大丈夫だろう。あの世界には四大天司と特異点もいる。彼らがきっと導いてくれている筈だ。
「"どうして空は蒼いのか"?・・・この世界も同じ疑問を持つ人が現れるだろう。その時は答えられるといいな。」
ゆっくりと目を閉じ、真上に広がる蒼い空を感じる。・・・あぁ、この瞬間が永遠に訪れたらいいのに。
「はっ!?」
咄嗟に目を覚ました僕は何かを感じ取って起き上がる。気が付くと空は黒く染まり、夜が更けていた。・・・しまった!寝すぎた!!早く帰ろう!・・・なんだ?
敵の気配を感じて辺りを見渡す。こんな時に敵か?どこだ?三振りの刀を召喚して警戒する。額から汗を流し、気を集中させた・・・次の瞬間。
近くの森で火の手が上がり、一気に燃え広がる。
「・・・!あれは!」
そして森から出てきた僕と同じ年頃の少女がこちらに向かって駆け出すとその後を追うように炎の個性を扱う敵が姿を現すのだった。
今回、デク君が助けた少女・・・ヒロアカを知っている方なら勿論ご存知のキャラです。でも、今は言わないでおきましょう!
そして話の最後にまた現れた別の少女・・・このキャラも上記同様ヒロアカ原作をご存知の方なら知っているキャラです。次話で名前もちょろっと出てくるかもしれません。
本作のデク君。本当に罪な男にしちゃうかもしれません・・・。