天司長 緑谷出久のヒーローアカデミア 作:ジャック・オー・ワンタン
雄英高校の入試をあと数週間に控えた頃・・・僕は自宅で珈琲を呑みながら優雅な時間を過ごしていた。入試の過去問の結果も十分。これなら受かりそうだしたまにはゆっくりしよう。
「出久。最近珍しいわね。珈琲呑むなんて。」
「そう?」
母さんに珈琲を呑んでいることを不思議がられる。ルシフェルの力を得てから好きになったなんて口が裂けても言えない。未だに力が宿ったことも言えてないのだから。・・・でも、いずれは言わないといけない。入試が近付いたら正直に言おう。
「そういえば出久。雄英の試験受けるの?本当に大丈夫なの?」
「大丈夫。無個性でも試験を乗り越えられることを証明してみせるから!」
「そう?最近鍛えてるって言ってたけど心配で・・・こんなに可愛くて美しいうちの子に何かあったら。」
心配そうな表情を浮かべる母さんに微笑んで安心させる。どうやら美のオーラは母さんにも通用するようだ。
ピンポーン
刹那、インターホンが鳴る音が聞こえてくる。・・・誰だろうか?宅配便?荷物なんて頼んでたっけ?
「誰かしら?」
「僕が見てくるよ。」
母さんにそう言って僕は玄関まで向かうと躊躇なくドアを開ける。
「えっ?」
宅配便の人かと思いきや訪問者を見て僕は硬直する。家の前にいたのはスーツをがっしりと着こなした人・・・それも一人ではなく複数・・・。それに家の前には如何にも高そうな黒い車が並んでいた。
え?誰?ヤクザ?にしてはちょっと違うような・・・
「緑谷出久さんですね?」
「え?はい、そうですけど。」
スーツの人に突然名前を呼ばれて困惑する。なんで僕の名前を知ってるんだ?
「ヒーロー公安委員会です。私達と一緒にご同行願えますか?」
「どういう事ですか?」
「貴方の個性は我々にとって必要なのです。ですので・・・来てもらいますよ。」
「ッ!?」
得体の知れぬ恐怖を感じた僕は咄嗟に六枚羽を展開して空を飛ぶ。
「逃げたぞ!保護しろ!」
「な、何?何です?何の騒ぎ!?」
「お母様ですか?失礼ですがお邪魔しますよ!」
「ちょっと!何ですか!貴方達!出久!?出久!!なによあれ!」
ごめん!母さん!心の中で謝罪しながら遠ざかる公安と母さんの声を他所に空を飛ぶ。逃げないと!なんだあの得体のしれない人達!?ヒーロー公安委員会って言ってたけど・・・本当なの?
「僕のせいだ・・・僕のせいで母さんが!」
置いてきた母さんの身を案じる。隙を見て助けよう。見たところ武器とか個性は使ってこなさそうだ。
「・・・っと!待ってくれるか?」
「え?」
刹那、高速で僕の前に影が現れる。誰だ!?
「貴方は・・・ホークス!?」
「あれ?俺のこと知ってるの?嬉しいな!」
「知ってるもなにも!貴方はビルボードチャートNO.3。『速すぎる男』と呼ばれた剛翼ヒーローですよね?」
「いいね!そこまで知ってるなんて光栄だよ!じゃあ・・・俺の指示にも答えてくれますね?」
「えっ?」
ホークスはそう言うと個性で作成した剛翼の刀を手に襲いかかってくる。しかし、僕は直ぐに腰に召喚した暁と曙を手にすると二刀流でそれを対処する。
「反射神経も良し。成程、公安が欲しがる訳だ。ぶっちゃけ俺もサイドキックとして欲しいくらいだ!」
「目的は何なんですか?母さんは?」
「安心して欲しい。君の家族に手は出していない。君を知るために家宅捜索はしているけどね。」
「僕を知る為に?」
「君のその個性・・・それはこのヒーロー社会にとって禍根となり得るものだ。」
ホークスはそう言ってゴーグルから鋭い眼差しを覗かせる。
「つまりそれを悪用する人間だっている。君はそのつもりじゃなくとも周りはそうじゃない。だから公安が動いたってことさ。」
「なのになんでホークスが来ているんですか?」
その問いにホークスは答えず剛翼の刀で僕を退ける。強い!ルシフェルの力があっても互角だなんて!これが・・・No.3ヒーローの実力なのか?
「緑谷出久!抵抗はやめろ!今なら君は敵と見なして捕まえることはしない!中学生敵の烙印を押されるのは嫌だろう?」
「うっ・・・」
ホークスの説得に僕は暁と曙を持った手を降ろす。確かにそうだ。最初は公安の人達にビックリして思わず逃げたけどこのまま彼と戦って逃走したらヒーローどころか敵認定されてしまう。そうすればオールマイトの様なヒーローなんて叶えることは出来ない。
「・・・分かりました。」
「いい子だ。話が早くて助かる。」
ホークスは微笑むと僕の背中を叩いて慰める。こうして僕はNo.3ヒーローと思わぬ邂逅を果たすと彼に連れられてヒーロー公安委員会の元へ送還されるのだった。
◇◇◇
ヒーロー公安委員会へ送還された僕はホークスに付きっきりでとある一室に座らされる。あの後、家宅捜索を終えた公安の人達に身元の再確認をされた後、母さんにもルシフェルの力の事を話し、車に乗せられた。
ホークスによると母さんには口止め料として腰を抜かす程の多額のお金を渡したらしい。公安が大金をはたいてでも僕を欲しかったということだろう。
「緑谷出久。中学3年生か。ということはあと少しで高校生だな。」
「は、はい。」
「志望校は?」
「雄英です。」
志望校を聞いた公安の役人は眉を上げて関心する。
「ヒーローを目指す志は本物の様だ。だが、ヒーロー資格が無い者が個性を使ってはならないことは分かっているね?」
「は、はい・・・」
厳しい言葉でそう言われ、俯く。これからどうなるんだろう・・・まさか逮捕されるのか?最悪な結末がよぎったのも束の間、役員は続けて言った。
「だが、我々公安としてもその圧倒的力と美しい翼を失うのは惜しい。そこで君には公安の直属のヒーローとなって貰いたい。ヒーローを志す君としても悪い話では無いだろう。」
「えっと・・・その・・・それって断ったら。」
「それなりの処遇を考えることになる。」
断った時の答えを聞いて背筋が寒くなる。それって遠回しに逮捕するって言ってるようなものじゃないか!いや、それより酷いかもしれない。
「待ってください。」
すると助け舟を出すかのようにホークスが口を開いた。
「なんだね?ホークス。」
「確かに彼は公安直属のヒーローとしての素質があります。ですが俺とは違い、普通の家庭で育った身。それに雄英高校志望とヒーローを志す気持ちは本物です。ならば彼が雄英高校ヒーロー科の課程を終えてから考えても良いのではないでしょうか?」
「ふむ・・・それは彼にヒーローのいろはを雄英で学んでから公安に入れろと?」
役員の言葉にホークスは頷くと彼は暫く考えた素振りを見せて頷いた。
「・・・まあ、いいだろう。君がそこまで言うなら手を打とう。但し、条件はある。在学中の職場見学とインターン先は我々直属のホークスのみに限定させて貰う。それと自分が公安と繋がっていることは例え家族であっても口外しない。以上の二つだ。守れない場合、残念だがホークスに始末させて貰うよ。」
役員の提示した条件に更に寒気がする。条件を破ったら僕はホークスに殺される!?本気なのか!?咄嗟にホークスの顔を見ると彼は飄々とした表情を向けてくる。・・・これ、本気だ!
「どうなのかね?緑谷出久君。」
役員の鋭い目つきに畏怖しながらも僕は意を決して答える。ここまで来たら仕方ない。乗りかかった船だろう。
「分かりました。僕を・・・ヒーローにさせてください。」
震えた声で頭を下げ、嘆願する。
「そんなに力まんでいい。交渉成立だ。」
それだけ言い残した役員は満足気な表情で部屋を退出するのだった。
と、言うことでまさかのホークス登場とデクVSホークス回でした。ルシフェルと同等の力を持ってるデクに対してほぼ互角の実力をみせたホークスは流石としか言いようがありません。
何故、公安直属ルートにしたのかと言うと先ずはルシフェルとホークスという翼を持った者同士相性が良いこととルシフェルの力を公安が欲しがらない訳がないという考えがあり、この流れにしました。
ワンチャンあの銃のお姉さんが救われるかも知れませんがタイムパラドックスになりそうなのでここは読者に委ねたいと思います!アンケートを出しますので貴方の手であの銃のお姉さんがどうなるかを決めて下さい!
そして公安に目を付けられ、後戻り出来なくなったデク君は果たしてどうなるのか?次回、お楽しみに!
本作における
ヒーロー公安委員会
役割は原作と同じだが、本作では闇の部分が描かれることが多い。ルシフェルの力を持つ緑谷出久の監視と管理に力を入れることになる。ルシフェルの力が相当欲しかったのか緑谷家に口止め料として多額のお金を渡すなど汚い手を使っている。
本作における
ホークス
皆大好き速すぎる男。ヒーロービルボードチャートNO.3。公安直属のヒーローであり、公安の命令で緑谷の監視・管理を任される。
本作ではオールマイトとの絡みが少なくなる代わりに彼との絡みが多くなる予定。
本作のナガンどうなっちゃう?
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原作通り
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緑谷が救済