世界に光をもたらす鍵の担い手 作:鍵の担い手
謎の鮪との戦闘した次の日の朝。
高町家の食卓はある事で盛り上がっている。
それはなのはが先日学校の帰りに保護したユーノというフェレットの事。
昨日晩御飯を食べている時になのはが一時保護の件を話していたのを聞いていたんだけど、どうやら夜のうちに何か動物病院で事故があったのでそのまま連れてきたらしい(ちなみにその時間帯は鉱石の解析と日記を書いていたので全く気付かなかった)。
保護する条件はなのはがきちんとお世話こと。
ボクとしても皆が家に居ない間は構えってやれるので退屈はしないんだけど……実際に見てみるとまぁこれが
これはお話ししないとね。
「というわけだからライト君。家にいる間はその…」
「いいよなのは。家にいる間は相手するから」
「ありがとう。じゃあ行ってきまーす」
元気よく学校に行くなのはを見送ってから、テーブルの上でこちらを見ているユーノの前に座る。
それから暫く視線を交わし、少し間を置いてからボクはユーノの優しく抱き上げた。
「
「……」
ユーノは何も答えなかったのでボクはゆっくりとおろしてからお茶を淹れていると、頭の中に声が響き渡った。
『やっぱり僕の事が分かるんだね』
「言葉を発するのではなく念話っていやらしくない?」
『えっとまぁそれは……』
「ごめん。まぁでもいい選択肢だとは思う。えっと借りの姿だよね。お茶とかまずい?」
『あ。大丈夫。元は人間体だから気にしないで』
「了解」
自分と彼の分を淹れてからお互いの目の前に置いて再度向かい合うと、今度は念話ではなくきちんと言葉で話してくれる。
「えっと君も別の世界の人間…だよね?僕みたいに何か目的あって?」
「残念漂流者。もともと時空が歪みやすい世界だったけど…巻き込まれてこの世界に来てなのはに助けられたんだ」
「それは大変だったね。という事は君の事はなのは達には話してないんだ?」
「……目が覚めていきなり『ボクは別の世界から来た人間です』って言える?」
「あーそれは……」
言葉にこそユーノはしなかったけど、表情を見て何を考えているかは分かる。
というかちょっと待てよ。
ちょうどいいからユーノに色々と相談してもいいのか。
「ねぇユーノはどうしてこの世界に?」
「大切なものを探しに来たんだ。僕は自分の世界で遺跡の発掘とかしているんだけど、そこでジュエルシードっていうのを見つけて移送していたんだけど、その途中の事故か何かに遭遇したみたいで。21個のジュエルシードがこの世界に散らばってしまったんだ」
「それは大変。いつぐらい?」
「大体一カ月位前だよ。」
「……一か月」
ちょうどボクがこの世界に来たのもその頃…これはもしかしてかな?
「ねぇユーノ。ボクがこの世界に来たのもその頃なんだ」
「え…それって……」
可能性としてはかなりあり得そう。
ユーノの移送事故とボクの時空転移。
中々見つからなかった鍵穴が見つかった様な気がする。
「ユーノ。ボクも手伝っていい?こういうの慣れてるし。ボクの世界でも原生生物とかあっち側の存在と戦ってたから」
「それは助かるけど…いつかなのはに気づかれるよ」
「まぁユーノという前例があるし。今なら全部話しても大丈夫。嘘をつき続けるのも辛いし」
「嘘って…(あぁそうか。色々と話を合わせるために……)」
どのみちいつかは話さないといけない日が来る。
その日がいつにしても、今のなのはなら大丈夫だと思っている。
早い方が嬉しいけど。
「その時は頼むユーノ」
「う、うん。それはいいけど……」
両手を合わせてお願いした上に、こっそり隠してあったお菓子を献上する。
これで裏切られたら…その時は無言で泣くしかないね。
「あ、そうだ。ライトの世界はどんな世界?」
「んー。ボクの世界は大昔の戦争で滅亡しかけてね」
「え?」
目を丸くして驚くユーノ。
まぁいきなりこんなことを言ったらそうなるか。
せっかくだしボクの世界の事を軽く話すことにしよう。
「ボクの世界はあっち側とこちら側が合ってね。ボクはこちら側の人間なんだけど、大昔にあっち側と大きな戦争があって、その時にほぼ全部の小さな世界が滅んでしまったんだ」
「そうなんだ…でもライトが居るってことは…」
「うん。ギリギリの所で持ちこたえたのと、わずかに残った純粋な光と闇が世界を再構築してね。お陰で滅亡はしなかったけどあっち側とこちら側しか残らず、しかもその影響で定期的に時空が歪んであっち側と繋がることがあるんだ。それを閉じたり、そこから割り込んでくるあっち側の邪悪な存在を倒すのがボク達の仕事」
「成程…だから凄まじい魔力を持っているんだ」
「まぁばれないようにしてるけど」
その辺はロストに任せているので問題なけど、今後の事を考えると早く父さんと合流したい。
魔力制御も結構負担かかるんだよね。
「となると早く帰りたいよね?自分の世界の事が心配だし」
「全然。ボクより優れた使い手は各地にいるし、次の厄災は二年後だからそれまでに帰れれば」
「あ、あれ?意外とそこまで深刻に考えてない?」
「そんなことはないけど…まぁ焦っても何も始まらないし」
急がば回れともいうし、焦って所でやらかすのが目に見えてるし。
冷静に追いついて行動しないと。
『マスター。ユーノ殿に確認したいことが』
「いいよおいで」
服の中から姿を現すホープ。
ユーノの周りを一周してからボクの右手に来たのでそのまま剣形態に。
その様子に一瞬驚くユーノだけど、見慣れているのか直ぐに冷静になる。
「それが君のデバイスかい?」
「違う。これはボクの心。キーブレードっていってね。父さんから託さた大昔から存在する物。ボクの世界で数少ない継承型のキーブレードの一本。もう一つもそうでね。こっちは遺跡で偶然見つけた物で、ホープと対となる物なんだ。基本的に継承の義ってのを行った後に心が形になるんだけど、ボクのはちょっと特殊なパターンだね。古のキーブレードを継いでるのは片手しか居ないし」
「そうなんだ。喋ったからてっきりデバイスと思って(それにしても不思議な物だね。指定遺失物でも無さそうだし)」
「あぁ記憶を解除した時にボクの心が宿って人格が生まれたんだよ。昔の使い手が相当やんちゃだったみたい」
その辺の記憶を見たけど、正直言葉にしたくない。
だって内容が生々しいから二度と見たくないし言いたくないし。
あれを見ると他の継承者の記憶もろくでもないんだろうな。
その記憶がボクの力になるから嬉しいけど、本音は素直に喜べない。
「でも
「何か…あったのかい?」
「まぁ…その……」
ーその時が来るまで…その子達の力はお預け。分かった馬鹿弟子?
ーっ…先生―――。
その時の光景が脳裏に過る。
悩み苦しんでいた時に出会ったある人。
その人に力の使い方とか魔法の事を教わったけど…この話はやめておこう。
とても苦い思い出だし。
『マスター。そろそろよろしいですか?』
「っとごめんホープ。用があるんだよね」
『はい。先ほどのジュエルシードという言葉を聞き、もしかしてこれの事ではないのかと思いまして』
ホープから先日回収した鉱石が出てくる。
それを見たユーノは、これがジュエルシードと説明してくれた。
どうやら手に入れた存在の思いとか気持ちとかに反応するとかで。
じゃあ昨日の鮪は?ってなるけど、動物の考えていることなんて分かることもないので流すことに。
「ひとまず夜間の回収はこちらでやろう。魔法とかに慣れてないなのはのサポートは任せるよ」
「うん。レイジングハート共々何とかするよ。体が癒えるまでの間だけど」
「…そっか(簡単になのはが放り出すとは思わないけど)」
ジュエルシードを再度回収し、今後の事を軽くユーノと話をしてから自室に戻る。
それにしても…どうやら面倒な事に巻き込まれてしまったみたいだね。
ジュエルシードの件は自分から願い出たことだけど、時空転移に関しては巻き込まれだろうし。
一体どこのどいつがこんなことを……。
『マスター。一年前の事は貴方のせいではありません』
「…だとしてもボクが未熟だったからあの事故か起きてしまった。もう少し慎重に動いていれば…」
瞼を閉じるとその時の光景が浮かび上がる。
炎に包まれた森の中で呆然とその光景を見ている自分。
そしてその近くには……っとダメダメ。
こういう話はしないんっだてば。
「だから力に枷を掛けられて当然だよロスト。その時が来るまで解ける事はない。その分二人には苦労を掛ける。未熟なマスターだけどよろしく頼むよ」
そっと鍵に触れてから図書館で借りてきた本を読み始めるのであった。