世界に光をもたらす鍵の担い手 作:鍵の担い手
今日はライトとなのはが一緒にお出かけをする日である。
目的地は地元の商店街で、今日はあるイベントがあるとか。
しかしなのははそれとは別のもう一つ目的があり、その事を準備をしながらユーノと話している。
「ねぇユーノ君。ライト君は答えてくれるかな?」
「心配なのなのは?」
「うん。内容が内容だし…」
一緒に住んでいるライトに何かを聞きたいなのはだが、どうやらその内容が難しいものらしく、ちゃんと答えてくれるか心配している様子。
そんな彼女に、ユーノは直ぐにフォローを入れる。
「大丈夫だよなのは。ライトは答えてくれるから。それに知りたいから聞くんでしょ?」
「うん。ユーノ君と会って、こことは違う世界がある事を知って。それまでは疑問に感じなかったけど、お父さん達から聞いたライト君の話とユーノの君から聞いた事を整理して。
そのもしかしてにどうして至ったのか。
ユーノから聞いたこことは違う世界の話のほかにもう一つ、ライトの事を色々と調べてくれていた両親達から聞いたある事が決め手の一つだった。
「ライト君だけど、どうやら本当にどこから来たのか分からないみたいなんだ」
「…というと?」
「あぁ。なのはが見つけた日以前の事を警察の方に調べて貰ったんだけど、水難事故も起きていないし、何だったら船すら通過していないみたいなんだ」
「じゃあいきなりどこからか現れた…てこと?」
「まだ決める付けるには早いけどね。もう少し調べてみるわ」
「……どこから来たか分からないかぁ」
ライトがなのはと会って一か月半、いまだにどこのだれかが全く分からない状況が続いて、手掛かり一つない。
しかし…なのははふと思い当たることがあり、その話をユーノに相談したのだ。
「ユーノ君。もしかしてライト君って別の世界から来たのかな?」
「…ど、どうしたのいきなり。ライトってどこから来たか分からない記憶喪失の子だよね」
「うん。だからこそって思ったんだ。ライト君と会った日の前。水難事故とか起きていなくて。船も通っていなくて。本当にどこから来たのか分からない子だったんだ。でもユーノ君から別の世界の話を聞いて、もしかしたらライト君もかなって」
「それだけで決めるのは早いと思うよ?」
ユーノの指摘は最もだけど、なのは自身はもう一つ気になっていることがあった。
「確かにそうだけど、もう一つ気になることが合って。その…記憶喪失だってのもちょっと引っかかるというか」
「…?そうかな?」
「うん。記憶喪失にしては色々と手慣れているような気がするの。本当に名前以外忘れてるなら、全ての事は初めてのはずなのに、何事もすんなりこなしちゃうから。皆は物覚えがいいって言ってたけどちょっとだけ気になって」
「成程…(うーん。ライトは上手くやってる様に感じるけど、なのはから見たらそうではないのかな?)」
「でもライト君は記憶喪失だって言ってるし、本当に物覚えがいいだけかもしれないし…聞きたいけど違ったら嫌だし…」
気にはなっているけど、その先に一歩踏み出せないなのは。
その様子を見たユーノは、少し考えてから小さく頷いてなのはに伝えた。
「なのは。勇気を出して聞いてみよう。きっとライトは答えてくれる」
「え…?」
「大丈夫だから…ね」
というやり取りの後、ユーノと少し作戦会議をしてからライトとお話をすることにしたのだ。
とはいえストレートに聞く訳にも行かないので、どこかに遊びに行っていいタイミングでユーノと作戦を考えていると丁度商店街でイベントがあったのでそのイベントを狙うことにしたのだ。
「よし準備完了。行ってくるねユーノ君」
「行ってらっしゃいなのは」
なのはは笑顔でユーノに伝えてから一階に降りると、玄関で準備を済ませたライトが既に待っていて、なのははリビングに居た家族に声を掛けてからライトと一緒に家を出る。
「確か商店街…だったかな?」
「うん。イベントやってるから一緒に」
「了解。じゃあ行こう」
二人は仲良く話をしながら商店街へと向かうのであった。
――――――――――
ーなのはsideー
商店街に到着した私とライト君。
早速イベントの受付場所に向かおうとしたけど…思っていたよりも人が多くて大渋滞。
特に子供が多くて、お母さんやお父さんと一緒にいるのを至る所で目に入った。
「うーん…人が多いねライト君」
「これは迷子になりそう。はぐれたら大変」
お互い携帯をもっているとはいえ、この人混みだとはぐれたら中々合流出来なさそう。
けどその前に、受付場所に辿りつけるか怪しいかも。
「どうするなのは?イベントって確かスタンプラリーだよね。お店を巡って判子押す奴。押した個数で抽選回数が変わるんだっけ?」
「うん。最大で20個集めて五回回せる。でもこの人混みだと…」
一回抽選出来たらいい方かもしれない。
抽選の商品もかなり良いものだし、出来れば沢山回したいけど…。
「…よし。ここは手を繋いで回ろう。ボクが前を歩いて道を作るから」
「ふぇ!?」
中々強引な事を言うライト君。
確かに同年代の男の子に比べて一回り大きいライト君なら可能かもしれないけど、流石にちょっと気が引けるというか…。
というか簡単に手を繋ごうって言ったけど、ライト君って結構大胆なのかな?
「…とは言ったけどそれは恥ずかしいか。ごめんなのは」
「気にしないで。ちょっとびっくりしただけ。はいライト君。離さないでね」
右手を出すと、ライト君はちょっとだけ照れながら私の手を握って歩き始める。
その時に、ライト君の手に沢山の豆が出来ていることに気づく。
その豆は何かを振るった時に出来るもので、お兄ちゃん達に時々道場で稽古してるからその時出来たのかと思ったけど、それにしては数が多いし、何となく手の皮も分厚い様な…。
「どうかしたなのは?」
「ううん。ライト君の手って大きいなって」
「大きいって…まぁ男だし。恭也君達と稽古してるからかな。豆だって多いでしょ。つぶれた日のお風呂なんて悲惨だし」
そういえばお風呂から上がった後に絆創膏貼ってたっけ。
豆がつぶれたり怪我をした時のお風呂ってとても染みるから、ちょっとトラウマになるよね。
「っと。受付場に到着だね」
「エントリー済ませちゃおっか」
スタンプラリーの受付の場所に到着し、私達は受付を済ませてから回る順番を決め、比較的人の出入りが少なそうな場所を選んで回り始める。
一つ一つとスタンプが集まっていく中、ライト君はどこか懐かしそうな顔をしていた。
まるで近いことを経験したことがあるような感じ。
「ねぇライト君。こうやって誰かと二人でお出かけしたことがあるの?」
「……どうだろうね?」
逆に質問するように聞き返してくるライト君。
これはもしかすると私の感がていることが全部気づかれているのかも…。
それはそれで後々話がしやすいけど…。
「…なのは。早く集めてしまおう。景品無くなるし」
「うん!」
気にはなるけど頭の隅に置いておき、20個のスタンプを集めた私達は抽選会場に向かったけど、会場には警察の人が来ていて慌ただしくしていた。
「何かあったのかな?」
「盗み…とか?」
「そんなまさかぁ…」
流石にそんな事は起こるわけがないと思いながら近くの人に聞いてみると、抽選の景品だったひし形の鉱石がいつの間にか消えていたらしい。
盗難を疑った管理者は直ぐに警察を呼んで調べて貰っているらしいけど…。
「ひし形…まさか…」
「……」
もしかしてジュエルシードなのかもしれないと思ってしまう。
だとすると直ぐに探しに行かないといけない。
だけど気配は感じない、となると盗難なのかな。
「大丈夫なのは?」
「あ…大丈夫。この様子だと抽選は出来なさそうだね」
「そうだね。諦めよう」
残念だけど抽選は諦めて、私達はちょっと遠回りして帰ることに。
その道中でライト君からいろんな話を聞いた。
仲良くなった商店街の人や、お店のお手伝いをしている内に出会った人の事とか。
とても楽しそうに話してくれて。
そんなライト君を見ていると、私も嬉しくなるのと同時に…やっぱりどうしても知りたくなってくる。
本当のライト君の事を。
「ライト君。砂浜に行かない?」
「……いいよ。行こう」
少し間を置いてからライト君は答えて、手を繋ぎながら砂浜に移動し、ライト君が倒れていた場所で足を止める。
ライト君は少し空を見上げてから海の方を向いて、水平線をとても懐かしそうに見続けていた。
(話をするなら今しか―――)
「……ねぇなのは。ボクは―――」
私が話をするより先に、ライト君が何かを決意したような表情を浮かべて何かを言おうとした時だった。
背後から一瞬だけ変な気配を感じて振り返ると、とても大きなヤドカリが居て、鋭利な爪を私に振り下ろそうとしていた。
「っ!」
ヤドカリの中心部にジュエルシードがあるのを見て、直ぐにレイジングハートに呼び掛けようとする。
けど、ほんの一瞬だけ戸惑ってしまった。
ライト君が見て何を言うのか、どう思うのか。
ライト君が予想通りでユーノ君と同じ異世界人なら何かと説明が付くけど、普通の一般人だとすればそうはいかない。
今レイジングハートを呼んでジャケットを纏ってライト君を守って。
その結果……折角友達になれたのに縁が途切れたら嫌だと思ってしまって、一瞬だけ反応が遅れてしまった。
「レイジング―――」
「―――なのは!」
レイジングハートに呼びかけるよりも先に、ライト君が私の手を引っ張ってそのままお姫様抱っこして空高く飛び上がった。
「あ……」
「……」
飛び上がったライト君はそのまま空中で停止して、地上にいるヤドカリさんを見てから、私と視線を合わせてくる。
その時のライト君はちょっと罰が当たった様な顔をしていて、何か言いたそうにしているけど、どう話したらいいか悩んでいるようにも見えたので、私から切っ掛けを作ることに。
「その…ライト君。やっぱりユーノ君と一緒?」
「確かに異世界人だけとユーノとはちょっと違う来かたというか……あ」
「なら記憶喪失も……ライト君?」
ダラダラと額から汗を流しているライト君。
えっと何か聞いたらいけない事を聞いたかな?
以前から気になっていたことを聞いたのと、普通に空中に浮いている時点で普通の人間ではないわけだし。
「…ユーノを出しにするのは酷いと思います。ある意味では止め指されました。逃げ場がありません」
「ふぇ?」
「……とりあえずあのジュエルシードを回収してしまおう。お話はそれから」
ゆっくりと地面に降りたライト君は、私を優しく降ろしてヤドカリさんの前に立つ。
それから右手を前に出すと、黒い光と一緒に不思議な鍵の様な剣が姿を現した。
「鍵の…剣?」
「ロスト…ボクの闇の心の模した人格が宿った≪過ぎ去りし思い出≫という名のキーブレード。君には悪いけど、直ぐに終わらせる」
ライト君の纏っている気配ががらりと変わる。
普段はとてもやさしくて穏やかなを気配を纏っているのに、今のライト君はとても力強い気配を纏っていた。
(そっか。これが本当の―――)
本当のライト君なんだと思っている間に、手慣れた動きでジュエルシードをヤドカリさんから引きはがすライト君。
ヤドカリさんは元の大きさに戻り、ライト君は優しく右手で持ち上げてから何かの魔法をかけて地面に降ろすと、ヤドカリさんは両爪を上げてお礼を伝えてから地面に潜っていった。
「ありがとうだってなのは」
「分かるの?」
「うん。子供の頃に修行で森とか山にいたから自然と動物達と触れる機会が多くて」
「自然豊かな世界なんだ。ライト君の世界って」
「まぁあっち側は……」
ライト君は言葉を途中で止めて、不思議な鍵の剣を小さなアクセサリーに姿を変えて、近くのベンチに指を指した。
「続きはあそこで話そう。近くにコンビニあるからアイスでも食べながら」
「うん。色々と聞かせてね」
近くのコンビニでアイスを買ってからベンチに向かってお話を始めるのであった。