世界に光をもたらす鍵の担い手 作:鍵の担い手
「はいなのは。チョコミント」
「ありがとうライト君」
コンビニで買ったアイスクリームをなのはに渡し、ボクは隣に座ってメロンのアイスを食べ始める。
そのまま無言の空間が続くと、なのはは
「インテリジェントデバイス…だっけ。ユーノから聞いたけど」
「うん。元はユーノ君が持っていたのを譲ってもらったんだ」
「自己解析に分析。他にも色々と出来るんだっけ。一応ボクの相棒も出来るけど、解析と分析だけだし。能力もそこまでないからなぁ」
というかそもそも他のキーブレードにはない能力だし、あくまでもキーブレードに残された記憶を元に解析と分析をしている。
そういう意味ではRHのようなデバイスは羨ましいかな。
あったらとても便利だし、主の思いに応えてくれるみたいだし。
しかもRHって超高性能って話だし。
「ライト君も不思議な剣を使ってるよね?」
「うん。キーブレードっているボクの世界の剣。使える人はそこまでいないんだけど、ボクのは昔から託されてきた大切な物なんだ」
2本のキーブレードを呼び出してなのはに見せる。
白と黒、≪約束のお守り≫と≪過ぎ去りし思い出≫。
もともとは一人の少年が使っていた物で、時代が経つにつれて光と闇の世界に託さていったキーブレード。
それが巡り巡ってボクの手に来たわけだけど。
「デバイス…とは違う?」
「うん。ボク達の心が形になった物。後は継承型。この2本は後者だね」
「心が形になったかぁ…あれ?という事はライト君は3本持ってるってこと」
「……えぇっとそれは」
良いところをなのはは突いてくる。
実際に一時期…≪過ぎ去りし思い出≫と会う前は≪キングダムチェーン≫っていう自分のキーブレードを使っていたけど、今は訳あって使えない。
「色々あって使えないというか…それにこの2本も師匠の手によって枷がかかってるし…」
「何かやらかしたの?もしかしてそれが原因でこの世界にきたとか?」
「あ。それはない。というか漂流者だし。って…まずはここから話さないと…」
一番最初に話さないといけない事を後回しにしてしまったが、なのはに一通り説明する。
ユーノとは違ってこの世界に漂流してきたこと。
記憶喪失に関しては半分嘘で半分本当の事。
異なる世界の事を知ったなのはに話しても大丈夫な事を話す。
「成程…。ライト君の世界で時空が歪んで、何かがライト君に直撃して気づけば病院…」
「うん。それとジュエルシード移送事故と重なっているからこっそり集めててね。もしかすると元の世界に帰る道が見つかるかもしれないから」
ホープに頼んで5つのジュエルシードを取り出してRHに渡す。
これで集まった数は7つ…のこり14個となった。
「えっと良かったの?折角集めたのに」
「じゃあ奪い取る?ボクから」
「う…それは…出来ないって分かってて聞いてるでしょ」
「だから渡した。ボクだってなのはと争いたくないから」
どのみちいつかはユーノに渡さないといけないわけだし、ボクが持っているよりもRHに管理してもらっている方が確実だろうし。
「あとなのは。嘘ついててごめん。あと隠し事も。いつかは気づかれるって思ってたけど、ユーノが言ってたようにもっと早く伝えるべきだった」
「ううん。事情が事情だし、ライト君ちゃんと話してくれたから。それに私だって色々とお父さん達に内緒でジュエルシード集めてるし」
「というかあの人に気づかれてないのがある意味不思議な気が…」
なのはは何処まで士郎さんの事を知っているか分からないけど、あの人の体の傷を見ただけで結構やばい人というか歴戦の猛者というか。
絶対隠し事とか気づかれる気がするけど…(下手したら記憶喪失が嘘ってのもバレてるんじゃ…)。
「ともあれ…まぁボクの事情はこんな感じ。その…なんというか今後とも仲良くしてくれると」
「仲良くって…別に隠し事とか嘘ついてたぐらいで何も変わらないよ。だって
「友達か…」
そういえばボクって同年代の子供とほとんど接したことがないんだよね。
友達とかいないし、一番年が近いのは闇の世界に住んでいる従妹だし…。
そもそも子供も少ないし…。
「どうかしたの?」
「…ボクの世界は子供が少なくてね。同年代の子供で一番年が近いのは従妹だからさ。友達もいないんだよね。だらちょっと嬉しくて。なのはに友達って言ってくれたから」
「そう…なんだ。何か事情があるとか?」
「まぁ色々と。ちょっと悲しい話になるからまた今度ね」
流石にこの辺りの話は悲しいのでまたの機会に。
ひとまずボクの事情は一通り説明は済んだので、今後の事をどうするか決めないといけないのだが、なのはと色々話をして、今まで通りの生活を送りつつ、ジュエルシードの捜索と両親がボクの事を見つけてくれるのを待つことに。
「でもどうやってライト君を見つけるのかな?」
「知り合いに頼むと思うよ。その辺の知り合いがいるみたいだから気長に待つ」
「そっか。早く会いたいよね。ご両親も心配してるだろうし」
「…過保護なのも困るけど」
「ライト君…?」
ぼそっと小さな声で言ったのだが、なのはに聞かれていたみたいで、少し不思議そうな顔をする。
こればかりは家族の話なので、笑顔で気にしなように伝える。
「さってと。帰ろうなのは。他に話があるなら帰ってからにしよう。そろそろ帰らないと桃子さんに心配される」
「うん。もっと聞きたいことがあるから。ゆっくり聞かせてね」
「はは。答えれる範囲でね」
残っているアイスを食べきってから帰宅するのであった。
――――――――――
「うーん…中々見つからないなぁ…」
とある部屋で、白衣を着た一人の男性がモニターとにらめっこしている。
そう…ライトの父であるシグルド博士である。
彼が居るのは次元航行艦アースラと呼ばれる船の中だ。
「あの魔法は確実に彼女の魔法…となると同じ事をしているはずだから、何かしらの履歴が残るはずなんだけど…」
ライトを襲った謎の魔法、彼はその正体に検討が付いている様子。
なので同様の事が無かったか調べているが中々分からないみたいだ。
「しかし一体どうしてライトを…狙いやすいからか?それとも…」
思考を巡らせるシグルド、そんな彼の元に一人の女性…ライトの母親であるアイラが珈琲とお菓子を持ってくる。
それらをシグルドの前に置くと、彼女もモニターを覗き込んだ。
「なかなか見つからないみたいね。最後の手段使う?貴方はともかく私なら辿れるわよ」
「そこまでしなくていい。どのみち一年後にはマスター試験があるし、その前には別の世界に行く必要があった。それが少し早まっただけの事」
「けどあの子は…」
心配そうな顔を浮かべるアイラだが、シグルドはそんな顔をしておらず、逆に問題ないと言いたそうな顔を浮かべていた。
「大丈夫。いざとなれば≪約束のお守り≫に宿っている彼女の心が守ってくれるから」
「だとしてもねぇ…」
母親としては心配かしらと言葉を続けるアイラと大丈夫さと言い切るシグルド。
そんな二人の元に緑髪の女性と全身黒コートを纏った一人の少女が姿を現す。
「もう少し父親らしく心配したらシグルド」
「やぁリンディ。ニアも来たんだね」
「はい。例の物を持ってきました。
アースラの艦長であるリンディ・ハラオルンとライトの従妹であるニア。
リンディは早速モニターを覗き見し、ニアは手に持っていた自身が纏っている黒コートをアイラに渡す。
「ありがとうニア」
「いえ。これがないとライトも力が引き出せませんから」
「そうね。あの子が託してくれた光闇の衣。これがあればライトの光と闇の力を最大限まで引き出せるわ」
「これが無くてもライトは十分強いですけどね。魔法も剣術も一流ですし」
「でも色々あったんでしょあの子?」
話を聞いていたリンディが二人の間に入る。
ちなみに彼女だが、ライトの両親とは古い付き合いで、子供同士の付き合いはないものの、定期的に会う仲ではある。
ので、ライトの事と彼等の世界の事はある程度把握している。
「あぁ。一年ほど前にある魔物の封印が解かれてね。闇の世界も光の世界も大騒ぎだったんだけど、その時にライトが仲良くしていた白い狼が殺されてしまってね」
「その時に怒りでキーブレードを振るった上に闇の力を暴走させてしまって。大変だったんです」
「そう…確かライト君って特殊な子なのよね」
「うん。光と闇…二つの力を宿している子。キーブレードを二本同時に使えるのもその辺りが理由らしいけど」
実の所、両親ですらどうして相反する力をライトが宿しているのか分かっていないらしい。
仮説は立てているらしいがどれも決定力ないので、あまり深く考えず、代わりのその力を正しく使える方向性にしたとか。
「だからキーブレードが出せるようになってからシンシアに稽古をつけて貰ってたけど…」
「シンシアもその時の異変でライトを止めるために肉体を散らせてしまったのよ」
「肉体を散らせた?」
含みのある言い方にリンディは聞き返すと、ニアは右手を出して時計を模したキーブレードを取り出す。
そのまま自身の胸に向けると、小さな光が姿を現した。
「ライトを止めるために肉体を捨てて己が心をライトの中に封じ込めた。それで彼の力を抑えつけたんです」
「…そのことを彼は?」
「知らないだろうね。その時は来るまではおとなしくしてるんじゃないのかなぁ」
「そもそも
「あはは…」
大きなため息を吐くアイラと、キーブレードを仕舞って苦笑いを浮かべているニア。
どうやら色々とやらかしている人物のようだ。
「で…そんな貴方は何を作っているのかしら?」
リンディが視線を向けた先には、大きな試験管の様なものがあり、中には白と黒の星型のアクセサリーが入っている。
「ライトのインテリジェントデバイスだよ。私達の世界に居る分には不要だけど、これから他の世界に行くとなれば必要だからね。だからそのコート…光闇の衣を持ってきてもらったんだ。武器は不要だからバリアジャケット特化だね」
「その割にはかなーり能力高そうだけど?」
「あぁ。後はキーブレードの中にいるホープとロストを移したら唯一無二の代物になる」
悪い顔を浮かべながら端末を操作するシグルドに対して呆れ顔を浮かべるリンディ。
そんな二人を見ていたニアは、何かを思いだしたかのように手を叩いた。
「そうだ。ライトの居場所が分かりましたよ。どうやら第97管理世界の日本国海鳴というところにいるみたいで」
「そうか。思ったよりも早かったね。という事は…」
「うん。さっきレティに色々と手伝ってもらってね。私とニアで先行するわ。早い内に見つかるといいけど」
「直ぐに見つかりますよ。心の繋がりを辿れば。無事だと嬉しいですけど」
「まぁそこは大丈夫。これを持って行きなさいニア。君に合わせて調整してあるから」
ニアは長方形のデバイスをシグルドから受け取り、キーブレードを顕現させて人が一人通れる程度の転移ゲートを開く。
「これはシグルドに渡しておくわ。ゲートは閉じるけど…」
「うん。私も直ぐに向かう。くれぐれも無理はしないように。ニアもよろしく頼むよ」
「はい。ちゃんと警護しますので」
「あら~私はまだまだ現役よ」
ニコニコと笑顔でニアの肩に手を置くと、そのままゲートへと連行。
二人の姿が見えなくなるとゲートが消失してしまった。
それを見送ったリンディは何かを言いたそうな顔をしながらも、シグルドの向かいに座った。
「あぁいうのは困るんだけど…まぁいいわ。それよりシグルド。第97世界は丁度観測しているのよ。ちょっと面倒なロストロギアが発見されてね。ジュエルシードっていうんだけど、少し前に移送事故があって、その移送をお願いした子がその世界に渡航してるのよ」
「それはまた…時期は?」
「……」
「リンディ?」
時期を訪ねたのだが、リンディは何も答えず笑みを浮かべる。
それだけでシグルドは理解し、真剣な顔でモニターと再度向き合った。
「観測は任せる。私は色々と調べものがあるからね」
「そう…分かったら教えて頂戴」
「うん。クロノ君によろしく」
シグルドはリンディに背中を向けながら手を振り、リンディそんな彼をやれやれと言った顔を浮べながら冷めた珈琲を淹れなおして退室するのであった。