こちらダンジョンマスター。異世界にてソシャゲ式ダンジョン始めました 作:スネージヤナ最高でしたね(追い課金)
この場を借りて深く感謝致します。
実家を模したマスタールームにて。
オレは皿の上に広げたポテチをバリバリ食べながら、リンスレットの冒険を観戦していた。
テレビでは丁度彼女がモンスターと戦っている最中だ。
複数のモンスターに囲まれているが、一切の焦りはない。
細剣が鋭い軌跡を描き、一撃必殺の刺突が閃く。
正確無比に急所を穿たれたモンスターは、灰のように霧散した。
最後の一撃は、〝デルタスラスト〟
突進からの刺突が繰り出されたと思ったら、リンスレットは既に切り上げに移っていた。
切り上げと同時に跳躍しながら距離を取る。
その動きは鋭角的かつ物理法則を無視していた。
横から見れば三角形を描くかのようだ。
元から如才ない動きだったが、更にその動きに磨きが掛かっているのが何となく分かる。
あいつ、ワシより強くね? (※ 村人以下の雑魚が言ってます)
「やっぱ〝直感〟はマストよな」
機動戦士然り、某復活する少年漫画然り、夜さん一旦ステイナイト然り。
直感というのは大体の作品においてつよつよ能力だ。
それはこちらでも同様であり、汎用性◎。
最優先に習得をオヌヌメしたいスキルである。
運営としては心苦しいけど、やっぱスキルの格差はどうしても生まれるよな。
チートな組み合わせが生まれないよう気を付ける必要もあるし。
VRMMO物の主人公みたいなぶっ壊れは絶対許さんぞ!
あれは読み物だから
オレがプレイヤーだったら即アンインストールして、ディスコでめった刺しにするわ。
「マスター、彼女はどうですか?」
キッチンでミロを作ってきたシロちゃんがオレの膝の上に座った。
オレが一々膝の上に乗せていたせいか、最近は自分から座ってくれるようになった。
ちなみに猫耳パジャマである。
とても可愛い。
お風呂にもちゃんと入るようになったので、良い香りもするようになった。
あとはツンデレになるのを待つだけである。ちなみに進捗は0%。
拒否という概念のない純粋無垢なクール系ロリに色々と教え込む吾輩。
もうダメかもしれんね。
逆に考えるんだ。
ダメでいいや。
「良い感じにデイリーを消化してってるよ」
ちなみにこのダンジョンのデイリークエストはこんな感じだ。
・モンスターを10体倒す。+20
・モンスターを20体倒す。+40
・ボスモンスターを倒す。+40
・戦技を使いモンスターを3体倒す。+20
・採取物を10個集める。+20
・スタミナを180消費する。+60
・一時間ダンジョンに滞在する。+40
・レベルアップをする。+100
・初めて次の階層に到着する。+100
これらのいずれかを達成し、
そんでデイリークエストの報酬はこんな感じ。
・聖魔石×50
・2000円
・魔鉱晶×3
・スキル結晶のカケラ×1
・モンスターの素材×3
デイリーならこんくらいが妥当だろう。
円を採用してるのは、このダンジョンでしか使えない通貨だからだ。
ついでに、この世界共通の通貨は『エル』らしい。
金貨とか銀貨換算じゃなくて良かった。
異世界物でたまに出てくるけど、金貨や銀貨の価値なんて一々覚えてられんのよ。
作品によって幾らでも変わるしさ。
円の用途は、
ちなみにモンスターの素材もここが使いどころとなる。
元々は魔力を対価にするつもりだったが、そうすると冒険者が戦闘に割ける分の魔力が無くなるからな。
そうなったら本末転倒だ。
そんなに徴収するつもりだったん? と思ったそこのユー。
ソシャゲをプレイしたことあるなら分かるだろ?
スキルレベルを上げるには、ゲーム内通貨がアホほど要求されるんだ。
何で一人のキャラを育てるだけで数百万も飛ぶんですか?
オレはそれに沿っているだけ。
つまりユーたちの世界のソシャゲが悪い。おいどんは悪くねえ!
そういうわけでこのダンジョンでも、専用の通貨を実装するに至ったわけだ。
魔鉱晶は武器の強化素材。
スキル結晶のカケラは、百個集めたらスキル結晶に合成が可能となるアイテムだ。
これを使うとスキルポイントが+1される。
しょっぱと思うかもだが、入手機会はデイリー以外にもあるから無問題だ。魔鉱晶も然り。
そして聖魔石さん。
うふふ、こいつはね、こいつはね。
持ってるだけで、とっっっても幸せになれる石なんだ。
とってもとってもとってもとっても――と~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っっっても幸せになれる石。
え!? そんな幸せになれるお石さんが現金で買えるんですか!!!? うおー!
ダンマス最高! ダンマス最高! ダンマス最高! ダンマス最高!
――フッ、未来の若人たちが賞賛する姿が目に浮かぶぜ(※ 1話参照)
「確かに、探索ペースも悪くないですね」
ちびちびとミロを飲みながらシロちゃんが言う。
ポテチを口元に持っていくと、はむと咥え込んだ。
最初は食事に対して懐疑的だった彼女も、味を覚えたらこんなもんよ。
よしよししてあげよう。
相変わらず無反応!
『これは、何かしら』
二人でリンスレットの冒険を眺めていると、彼女はある物を見つけた。
リンスレットが見つめる先。
そこには空間に裂け目があり、青い光が漏れ出ている。
お、遂に見つけたか。
オレは彼女と意思疎通を図るため、リンスレットの思考にチャンネルを繋げた。
《テステス。えー、こちらまっくろくろすけ。まっくろくろすけ。リンスレット嬢、応答を願います》
『え? ク、クロ様?』
リンスレットは狼狽しながら辺りをキョロキョロ見渡した。
その顔には困惑がいっぱいだ。
まあ突然頭にオレの声が響いたんだから当たり前か。
《今、オレはお前の脳に直接語り掛けてるから、そのまま聞いてくれ》
『わ、分かりました』
《お前にはデイリーとスタミナの消化をお願いしたわけだが、デイリーに関してはさっき達成を確認した。ご苦労だったな》
『いえ、このくらいお安い御用です』
《それは重畳。で、次はスタミナの消化だが、目の前に裂け目があるだろ?》
《はい》
《そいつは『マナスポット』っつってな。裂け目に触れると、その空間内に入ることができるんだ。その空間内にいるモンスターを全部倒すと、スタミナを消費して特別な報酬が貰えるようになるんだ》
『特別、ですか?』
《そ。マナスポットは幾つか種類があってな。例えば今、お前の目の前にあるマナスポット。そいつからはたくさんの経験値が貰えるんだよ》
マナスポットは、空間の裂け目から零れる光の色で判別が可能だ。
青い光からは、通常の三倍以上の経験値が。
赤い光からは、スキルや戦技の強化素材が。
紫の光からは、魔鉱晶が。
黄色い光からは、
『つまり入った方が良いんですよね?』
《イエス。モンスターの強さはそんな変わらんからリンスレットの実力なら問題ないよ。とりあえず今日はここでスタミナを全部使い切っとけ。それが終わったらいつでも切り上げてくれて大丈夫だ》
『分かりました。クロ様、ご丁寧にありがとうございます』
《おう、頑張え~》
軽い応援をしてからチャンネルを閉じた。
「……人を惹き付けるには、これだけのタスクを用意する必要があるんですね」
しみじみとシロちゃんが呟いた。
キミのダンジョン、ひとかけらのセンスも無かったもんね。
「よりけりだけどな。ソシャゲを知らん奴からすりゃあ、どれだけ簡略化しても馴染むまでは苦労するだろうし」
オレは肩を竦めた。
ソシャゲをプレイしたことある奴なら、このダンジョンも『あ~ね、完全に把握。では課金システムから話を聞こうか』となるだろうが、この世界の住民はそうもいかない。
ゲームを知らん人間のゲームプレイってマジで異次元だからな。
横スクロールアクションでジャンプすら覚束ないVtuberを見たときの衝撃よ。
リンスレットは上手く順応できているが、それは彼女が優秀な人間だからだ。
多分、普通の人間ならレベルやステータスの段階でいっぱいいっぱいなんじゃねえかな。
そこに戦技やらスキルときて、更にそれらの育成要素。
そんでデイリーやらスタミナ要素まで来たら、てんてこまいになってもおかしくないと思う。
だからそれらを実装するんのは、もうちょい待ってからにしようかは今でも悩んでんだよな。
でもソシャゲ式と銘打った以上、あんまズレたことはしたくないし。
ソシャゲにシャブ漬けにされた側としては、デイリーとスタミナの消化は呼吸と同列なのである。
帰宅後に最初にやることが『ソシャゲの起動』な人はオレとお友達だ。
ここんところはリンスレットに意見を聞くのが正解かな。
もうあいつ、従業員として抱え込んだろか。
そこからブラッシュアップという択も全然ありだと思う。
「まあ何にせよ、何かしらの工夫が必要なのは事実だよ。お前さんが飲んどるミロだって企業努力の賜物だ」
「人間とは難しいですね」
「とりあえず共感することから学んでこうな」
「肯定。なんでやねん」
「へっ、おもしれー女」
それ完全にこっちの台詞やねんな。
昨日漫才を見せたのが原因か。
人の感性を身に付けるには、まだまだ時間が掛かりそうだ。
・村人以下の雑魚
未だ冒険者がリンスレットしかいないため、彼女の意見を聞きながらダンジョンをブラッシュアップしようか検討中。このあとそんな悠長なことを言ってられないことに気付く。
・村人以下の雑魚から勧誘を受ける元公爵令嬢
他にやることないし別にいいかなと思っている。
たくさんのモンスターを葬ってまたレベルがアップした。
ちょっと楽しくなってきた。バーサク適正あり。
・村人以下の雑魚をマスターと呼ぶロリっ娘
今日も今日とて人間への理解を深めるために色んな作品を視聴中。ミロおいちい
・聖魔石
持ってるとこれ以上ないくらい幸せになれるパワーストーン。
消費するたびに胃がキリキリ痛む。スリザリンは嫌だ。スリザリンは嫌だ。スリザリンは嫌だ。