無能力転生者はリリカルなのは世界で生き延びたい(令和版)   作:百男合

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 あらすじこと前回の3つ。
 プレシアさんを囲んで真木家、怒りの説教。
 温泉回なのに温泉シーンがないなんてどういうことなの……?
 なのフェイついに成る。が、このオチはどうなの。


第13話 この素晴らしい日に祝福を

 5月29日はフェイトさんの誕生日である。

 ただ、この誕生日。この世に初めて生まれた日なのかハラオウン一家になってから新しく設定された誕生日なのかどうかは公式で明言されていない。

 なのでプレシアさんに聞いてみることにした。

「フェイトの誕生日? たしかに9年前の今頃生産したと思うけど」

 というプレシアさんの言葉。まさかとは思い嫌な予感をしながらも俺は尋ねる。

「娘の誕生日ですよ。もちろん毎年祝ってたんですよね?」

 圧をかけながら問うとプレシアさんは冷や汗をかきながら明後日の方角を向く。

【悲報】フェイトさん誕生日を今まで祝ってもらってなかった。

 さすがの出来事にうちの親を巻き込みプレシアさんを囲みながら回転説教(物理)することに。

 あんたほんとに何考えてんのと。

 フェイトさん大好きだったくせにこういうところがポンコツなのは遺伝なのかもしれない。事実を聞いたアリシアさえ「ママ、ちょっとひどいと思う」と言いプレシアさんにさらに心のダメージを与えていた。

 なので今年は盛大にうちで祝わざるをえない!

 とりあえずなのはさんはもちろんすずかちゃん、アリサ嬢にも声をかける。あとクロノくんとユーノくんにも。

「ハッピーバースデー!」

 フェイトさんが帰ってくると同時にクラッカーを鳴らし、困惑しているフェイトさんを誕生日席に着かせる。

 ちなみにフェイトさんは6月の転入に向けてアリシアと一緒にこの世界に関する常識をお勉強中だ。なので誕生日パーティーの飾り付けが終わるまでプレシアさん家で時間調整をしてもらうことができた。

「誕生日? えっと、誰の?」

 あなたですよと言いたいところをぐっとこらえ、後ろについてきたプレシアさんに言ってもらう。

「フェイト、今日はあなたがこの世に生まれた日。つまり誕生日なのよ」

 と事前に用意してもらったプレゼントをフェイトさんに渡すプレシアさん。

 ちなみに中身は両親監修だ。あまりにも自分の趣味にはしったチョイスに何度子供向けのプレゼントだと説教したかと怒られていたこと、知ってるんですよ。

 まあ、言わないけど。

「フェイトおめでとう。これはわたしから」

「アリシア姉さん」

 アリシアが渡したのはかわいいキャラものの文房具だった。

 まあ、生まれて数日の上あまり予算がない中選んだにしては上等な部類だろう。

「え、でも今までこんなことしたことなかったじゃない。いったいどうしたの? 母さん」

 その言葉に事情を聞いているとはいえ3人娘の顔が厳しくなるが、俺はどうどうと落ち着かせる。

 今回の誕生日は主役のフェイトさんが嬉しく楽しくなければ意味がないのだから。

「研究も一区切りついたし、今まで尽くしてくれたあなたに感謝を伝えなければならないと思って。だから真木さんやお友達にも協力してもらったのよ」

 プレシアさんの言葉にポカンとした表情のまま固まってしまうフェイトさん。

 これ、状況に感情と理解が追い付いてないな。

 まあ、誕生会が始まればそのうちいやでも喜んでくれるだろう。

 俺は父さんに目配せすると、この日のために用意した料理が運ばれてくる。

 ローストチキンにシーザーサラダ、サンドイッチとちらしずしにおつまみのピンチョス、そして中央に置かれる9本のろうそくが立てられた誕生日ケーキ。

 部屋の明かりが消されライターでろうそくに火がつけられる。それから誕生日おめでとうの歌が歌われ、戸惑いながらもフェイトさんが火を吹き消すと盛大な拍手と共に「おめでとう」の大合唱が行われた。

「私、こんな……こんな風に祝われたことがなくて。本当に、夢みたい」

 目の端に涙をたたえながら言うフェイトさん。時を同じくしてプレシアさんの胃がキリキリと痛んでいるみたいだが気にする人間は1人としていない。

 だって、それだけのことをしてきたのだから。いい薬だろう。

「フェイトちゃんおめでとうなの。これ、私から」

 なのはさんがラッピングされた箱のようなものをフェイトさんに渡している。

 中身はアクセサリー……いや、リボンかな? 案外お菓子の詰め合わせかもしれない。

「おめでとうフェイトちゃん。私とアリサちゃんからはこれを」

「おめでとうフェイト。ま、これからよろしくね」

 すずかちゃんとアリサ嬢が並んでプレゼントを渡す。すずかちゃんのプレゼントは細長く薄い箱で、アリサ嬢のプレゼントは両手で包めるほどの大きさの箱だ。

 なんでもないようだけど結構お高い商品なんだろうなぁ。さすがお金持ち。

 で、人間形態のユーノくんとクロノくんの番がやってきた。

「おめでとうフェイト。これは僕から」

「おめでとうテスタロッサさん。気に入って貰えるかはわからないが」

 女性陣の華やかなラッピングされたものとは違い、一色で簡素にラッピングされた箱を渡す男子2人。

 こういう時、男女差って出るよなー。まあ、2人とも考えて選んでくれただけ良しとしよう。

 え? お前はどうするのかって?

 ふっふっふ、こういう時のために俺には得意としている魔術があるじゃないか。

「さて、テスタロッタさん。俺の番だがいいだろうか」

 手に抱えきれない量のプレゼントを持ちアワアワしているフェイトさんを前に、俺は材料を取り出す。

 中身はプラ版。100円ショップで買えるどこにでもあるものだ。

 これに手を当てて、れんきーん!

「わぁ……」

 錬成された手をつないだなのフェイ像を見てフェイトさんが目を輝かせる。しかもこの像は天使のように背中に羽が生えている特別版だ。

 一方で他の参加者は不満顔。

 そりゃそうだ。自分たちはしっかり選んだのにお前だけ100円ショップの材料で楽しやがってという言葉にはしないがふざけんじゃないぞという圧を感じる。

 焦りなさんな。本命のプレゼントはこれからだ。

「さて、前座はこれくらいで。本当のプレゼントはこちら!」

「え? こ、これは……⁉」

 驚くのも無理はない。

 俺が広げたのは普段フェイトさんが着ないようなゴシックロリータの服。

 フリル地獄という言葉が似合う華美な服に、フェイトさんは茫然としていた。

「あんた、これはちょっと」

「うん、欲望に正直すぎだよ真木君」

 軽蔑の視線を送るアリサ嬢とすずかちゃん。

 だが待ってほしい。俺はある意味フェイトさんのことを考えてこのプレゼントをチョイスしたのだ。

「テスタロッタさん、普段はこういうひらひらした服着ないでしょ。だから、たまにはいいかと思って」

 俺の言葉に恥ずかしそうにこくんと頷くフェイトさん。

「うん、正直言うとなのはの制服姿とかうらやましくて。でもいいの? こういう服高いんじゃ」

「ああ、大丈夫。全部手作りだから。生地も思ったより安かったし」

 俺の言葉に「て、手作り⁉」とどよめく来客たち。

 なんだよう、男が裁縫できちゃ悪いかよぅ。

 早速着替えてもらうと黒いゴシックロリータ服はフェイトさんの金髪との対比でよく似合っていてそこだけ別世界のようだった。

 うんうん。思った通り似合ってる。まあ、二次創作絵でそのことは知ってたんだけどね。

 それから食事が始まった。

 ゴリゴリのゴシックロリータじゃなくてロリータっぽい普段着を目指したおかげで腕の可動域も大きいし普通に食べる分なら問題ない。

 はずなんだけどなんだかフェイトさんに料理を食べさせる遊びが女の子組の間で流行していた。

 あら^~視力上がるわ~。

 と内心で思いつつ俺は男の子組へと話を振る。

「初めまして。真木司郎です。今日はテスタロッタさんの誕生日を祝いに来てくれてありがとう」

「改めて話すのは初めましてだな。クロノ・ハラオウンだ。お招きありがとう」

「ユーノ・スクライアだよ。僕もお招きありがとう」

 手を差し出すユーノくんの手をがっしり握り返し、俺は顔を近づける。

「いやあ。フェレットの時とは違い男前じゃないかユーノくん」

 驚いた顔でこちらを見るユーノくんに俺はさらに言葉を続けた。

「ところで高町さんが魔法のことを隠さざるを得ない状況に自分が追い込んだこと、理解してる? 家族や友人にまで嘘をついて心が傷ついていく彼女に対してちゃんとケアはした? もちろんしたよね? してないなら軽蔑モノなんだが」

「え、あ、ちょ、ちょっと」

「やめないか」

 圧をかけて追い込んでいるとクロノくんが呆れたように手を出しユーノくんの握っている手を外す。

 今のも魔術だろうか? 鮮やかなお手並みだ。

「ごめんね、高町さんは友達だから気になってて」

「ぼ、僕もなのはの友達だよ。でも、うん。君の言うことも一理あるかも。ごめん」

 頭を下げるユーノくんにええんやでの精神で俺は手を振り振りする。

「ところで君の両親は何者なんだ? 僕の両親とも知り合いだったみたいだが」

 クロノくんの問いかけに俺は首を傾げ、自分の知っていることを話す。

「いや、知らん」

「知らんって、嘘だろう?」

「そもそもミッドの魔導士っていうのも最近知ったことで。この9年うちでは魔術のまの字も話題に上がったことはない」

 事実を言ったのだがクロノくんは納得がいっていない様子。

「そんなはずはない。僕と戦った時も戦闘に慣れていた様子だったし、あんな戦術今まで経験したことがなかった。きっと優秀な魔導士だったはずだ」

 といってもねぇ。知らないもんは知らないんですよ。

 両親が全然話してくれないからねぇ。まあ、リンディさんと知り合いだったのはこっちも驚いたけど。

「2人とも、食べてるかい?」

 その時(くだん)の父親が料理にぜんぜん手を付けていない男性陣の様子を見に来た。

 俺はクロノくんに「聞いてみたら?」とアイコンタクトしてみたが「聞けるか⁉」と必死の形相で睨み返してくる。

「あ、あの。真木くんのお父さんはリンディさんとお知り合いなんですよね」

 その時ユーノくんが父に尋ねた。お前が聞くのか? と俺とクロノくんは驚愕する。

「ん? そうだね。昔の上官の奥さんがリンディさんだったから。ちなみに上官にはよく赤ちゃんだった君の写真を見せられてのろけられたものだよ」

 という父の言葉に衝撃を受けるクロノくん。

「じゃ、じゃああなたの上官というのは僕の父の」

「クライド・ハラオウンその人だよ。あの人は優秀な上司だった」

 しんみりとした顔で小皿にちらしずしを取り分ける父。こんな顔は初めて見る。

「話が聞きたくなったら、いつでもおいで。リンディさんの知らない……というか執務中の彼のことならいくらでも話せるから」

「はい」

 感動した様子で俺の父を見るクロノくん。

 うーん。意外な関係性だ。リンディさんだけでなくクロノパパともお知り合いだったとは。

 クロノパパで思い出したがもうすぐ6月。つまり闇の書が発動するまで数日ということになる。

 今度はどうすれば生き残れるかなー。クリスマスまでの平和は約束されてるけどその後はわかんないしなー。

 とりあえず八神はやてと月村すずかが出会えるようにセッティングしておかなくてはいけないなと考えながら宴席を見る。

 フェイトさんは笑顔で、なのはさんとすずかちゃん、アリサ嬢は楽しそうで、プレシアさんはもらい泣きしていてそれをアリシアと母さんが慰めていて。

 うん、平和だ。平和そのものだ。

 こんな平和な生活が、ずっと続けばいいのにな。

 

 

 

 ちなみにこの後アルフに誕生日会のことを伝えるのを忘れていて、プレシア邸でお留守番していたことが判明。

 ご機嫌を取り戻すのに数日かかったのは内緒だ。

 




アルフ「フェイトの誕生日会と聞いてずっとスタンバってました」
司郎「はい」
アルフ「はいじゃないが。前回の温泉でもあたしがいる描写がほとんどなくて一緒にいたのにいなかったみたいじゃん!」
司郎「申し訳ない」
アルフ「次はないかんなー」
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