無能力転生者はリリカルなのは世界で生き延びたい(令和版) 作:百男合
フェイトちゃんの誕生日をしました。
なのは「フェイトちゃんかわいかったなぁ」
アリサ「真木、今度私のために服を作りなさい。絶対よ」
すずか「私も、作ってほしいなぁ」
アリシア「わたしにもフェイトと同じような服、ほしいー!」
司郎君、服飾の道を行くのもアリか?
第14話 おいでよ八神家の家
6月に入り転校生側がクラスにやってきた。
「フェイト・テスタロッサです。海外からやってきました。仲良くしてくれると嬉しいです」
ぺこりと頭を下げる金色のツインテールの少女を俺は笑顔で見つめる。
そう、フェイトさんの転校イベントだ。原作より半年ほど早いのはこの際置いておいて、これでなのフェイが見られるのは嬉しい限り。
休憩時間になると早速クラスメイト達が彼女を囲んでいる。それをなのはさんやすずかちゃん、アリサ嬢がさばいておしゃべりしている姿。尊いですねぇ。ありがとうごさいます。本当にありがとうございます。
昼休み。給食を終わると隣のクラスからアリシアがやってきた。
「わたしもフェイトと同じクラスがよかったー!」と嘆いていたが、同じ顔の美少女がクラスに2人いたら混乱するでしょう。
別クラスにした担任の判断は英断だったと思う。今以上に話題になったらキャパオーバーしそうだしな。
で、それから数日後。母親のルヴィアから新しいムラサメシリーズのデバイスを作ってほしいと頼まれた。
日付と母の職業が医者ということからピンとくる。
これ、はやてさんと闇の書の
とりあえず数日で作り上げ、ついでにジムⅡのGメモリも渡しておく。
これではやてさんが車椅子じゃなくて普通に歩けるようになるはずだ。
息子にデバイス制作を依頼したものの、その用途まで明かしていなかった真木ルヴィアは、Gメモリまで渡されて驚くしかなかった。
息子はさも当然のように「それも必要でしょ」と言っていたがなぜわかったのだろう?
6月4日。その日勤め先である病院に運び込まれてきた少女を前にルヴィアは唖然とするしかなかった。
正確には彼女の付き添いできていた大人と子供たちの姿を見て。
2人は成人済みの女性で1人は子供、もう1人は獣耳が生えた獣人という組み合わせ。さらにその姿というのが、その。
黒一色の、非常に簡素なものでボディーラインが丸見えだったのだ。
ルヴィアは人払いの結界魔法をかけ、電話で診断中だから入ってこないようにと受付に念を押す。
それからはやてと向き合い、「あなた、魔導関係者ね」とズバリ踏み込んで尋ねた。
「え? 魔導? なんのことです?」
しかしはやての反応は意外なものだった。明らかにこっちの世界とは無縁の存在達を連れていてすっとぼけたのである。
いくつかの問答の末、本当に彼女がなにも知らないと分かると今度はリーダーらしきポニーテールの女性に尋ねた。
「あなたたちはミッドチルダ関係の人ですか?」
「我々はヴォルケンリッター。主のために闇の書の
「あははちゃいますちゃいます! この人たちは外国から来た親戚でして」
はやてが必死にごまかすがルヴィアはしっかりと耳で聞いてしまった。
闇の書。その言葉に冷たいものが背中を伝う。
夫の怪我と夫の上司、クライド・ハラオウンが亡くなった原因。
それが目の前に現れた。
普通ならパニックになるところだったが、彼女は意外にも冷静だった。
まずはやての身体を調べ、闇の書の影響による麻痺だということ。地球の現代医学では治せないことをはやてと守護騎士たちに告げる。
それからもしミッドチルダ――異世界の技術なら治療の手段があるかもしれないことをはやてたちに提案した。
「えっと異世界? 先生も冗談がきついわー。え? ホンマ?」
苦笑いしていたはやてもルヴィアが本気だと分かると閉口し、「運ばれるなら別の病院が良かったかも」と小声でつぶやいていた。
まあ、そういう反応にはなるだろうなと思いながら、ルヴィアは自分の名刺をはやてと守護騎士たちに渡す。
「もし決心がついたら連絡をちょうだい。悪いようにはならないよう手配するつもりだから」
それと守護騎士たちにこの時代の服を着て擬態するように進言しておいた。
そのことに気づいたはやてはお礼を言って帰っていったのが数日前。
その日は非番だったので午後の4時過ぎに診察書に書いてあった住所を頼りにはやて宅を訪れていた。
「はーい、どうぞ。って、この前の先生やん!」
現代の服を着たあの時のポニーテールの女性、シグナムに連れられて家へ入れてもらうと車椅子のはやてと面会する。
彼女はひどく驚いていたが息子が作ったデバイスとGメモリを渡し起動させると、車いすから立ち上がった。
「はやてちゃん! 先生、これは?」
ショートカットの女性、シャマルがその様子を見て驚いていたがルヴィアは手を前に出して待ったをかける。
一方ではやては自由に歩けることに舞い上がっているようだ。ルヴィアははやてに少し保護者と話があると断りシグナムとシャマルの2人を別の部屋に連れ出し話をする。
「はやてちゃんは歩けるようになりましたが病状の根本的解決にはなりません。これから先、おそらく身体の麻痺は全身に広がるでしょう」
と私見を述べ、やがて命に関わる病であることを告げた。
「ですから、できるだけ早い治療をおすすめします。ミッドチルダの時空管理局に知り合いがいまして、彼女を通して治療の方針を立てていければとこちらは思っています」
「それは、今の段階ならはやてちゃんは助かるということですか?」
シャマルの言葉にルヴィアは首を振る。
「いいえ。そもそも闇の書が使用者にどんな影響を与えるのかは未知数。うまくいけば彼女と闇の書のリンクが切れ正常に戻りますが悪くすれば」
ルヴィアは言いよどみ、口を開いた。
「闇の書の持ち主として時空管理局に拘束、検体として管理される未来もあるかと思います。つまり生きた標本にされる可能性もあると」
「なんだそれ! ふざけんな!」
声に振り向くとあの時病室にいた子供がルヴィアをにらみつけている。
子供の姿をしていても恐らく見た目通りの年齢ではないのだろう。「グラーフアイゼン!」と、鉄槌型のアームドデバイスを起動させ怒りをにじませこちらをにらみつけてきた。
しまった。防音結界を張るべきだったと反省するルヴィアに、シグナムとシャマルは子供の守護騎士に落ち着くように言う。
「よせヴィータ。ここは主はやての家だぞ」
「そうよヴィータちゃん。この家を更地にするつもり?」
「主はやてに受けた恩を仇で返すつもりか」
いつの間にかいた青いオオカミまでも会話に加わってきた。
ヴィータと呼ばれた子供は「で、でもよぉ」と抗議の声をあげる。
「大切に思っているのね。はやてちゃんのこと」
その様子を見て、自分の心配は杞憂であったことにルヴィアは安堵した。
もしここにいる守護騎士が八神はやてなどどうでもよく闇の書の蒐集を優先するような機械的な人物だったらリンディたち時空管理局に通報しようと心に決めて今日ここにやってきたのだ。
だがそこにいたのは主である八神はやての身を案じ、理不尽な対応には怒る心ある人々だった。
ならば自分がするべきことは決まっている。
「はやてちゃんになにかあればいつでもうちの病院か私に電話してきて。力になるから。私にもはやてちゃんと同じくらいの子供がいるから、他人事とは思えないのよ」
そう言って笑うとヴィータと呼ばれた子供の守護騎士は警戒を解いてくれた。シャマルは深々と頭を下げ「うちのヴィータちゃんがすみません」と謝ってくる。
ルヴィアは「こういうことはよくある」と笑って流し、はやての様子を確認してから愛する家族の待つ我が家へと帰った。
その後ルヴィアは1週間に1度は八神家を訪れ個人的にはやてを診察するのが習慣となる。
闇の書の被害者である夫だけにははやての存在を話したが、ルヴィアが自分がしっかり様子を見て危険と判断したらすぐ通報すると念押しすることで不干渉を貫いてくれることとなった。
近いうちに息子にもはやてを紹介しよう。何かいい方向に働くカンフル剤になってくれるかもしれない。
そうと決めたらと2度目の定期健診の日、ルヴィアは息子を連れて八神家を訪れることになる。
貴方の足が自由に動けるようにしてくれた人はこの人だと伝えるために。
えー、どうも。真木司郎です。
どういうわけか休日。母親に連れられてやってきてしまいました。
八神家に。
そう、あの孤児の設定なのに持ち家だったり子供の1人暮らしを放っておくのは無理があるという海鳴市行政の矛盾の塊。八神家です。
グレアムさんの支援のおかげもあるんだけど、結構いい生活してるよねー。守護騎士4人の服一式そろえたり食費も結構かかるのにそれを普通に行える経済力。
ここまでするなら普通に養子として面倒見てたほうがいいとは思うんだけどそこはミッドと地球の差かな? ミッドの多様性って言葉、便利だね。
さて、玄関を通り慣れた様子で奥のはやてさんの部屋に向かう母親についていこうとすると感じる敵意の視線。
振り向くとそこには赤い悪魔がメンチ切ってました。
なんていうか、ザフィーラより番犬してるなこのヴィータ。今にもかみついてきそうだし鎖があってもとびかかってきそう。
「こんにちはーはやてちゃん。調子はどう?」
「あっ、先生。特に変わりはないですぅ。ってヴィータ! 何にらんどんの⁉」
あっ、こっちに気づいた。
はやてさんの言葉に「にらんでねーです」となのはさんとフェイトさんに言ったようにふてくされ気味に声を出すヴィータ。
「今日はねぇ。うちの息子もつれてきたのよ! ほら、あなたが歩けるようになったあのデバイスを作ってくれた人」
母さんの声が家用のものになってる。それにこそばゆいものを感じながら、俺は奥へ向かいリビングにつくとはやてさんに挨拶した。
「どうも。真木司郎です」
「ひゃー、うちと同い年くらいやん。それなのにあんなわかりやすい説明で足を動かせるようにしてくれる機械を作れるなんてすごいやん」
尊敬のこもった視線。うむ、苦しゅうないぞ。苦しゅうないぞ!
はやてさんに渡したGメモリの『ジムⅡ』には父さんの時にはなかったチュートリアル機能を付けていた。
おかげで魔術のまの字も知らないはやてさんでもゴーレム魔術を利用して足を動かすことができたわけである。
それにしてもA's開始半年も前に八神家と知り合ってしまったなぁ。もう原作崩壊ってレベルじゃないぞ。
まあ、肝心のなのはさんとフェイトさんに会ってないからいいか。
「お茶を用意しました。先生もどうぞ」
と人数分のお茶を運んでくるシャマルさん。
これは……料理のうちに入らないよね? 残念シャマルさんの影響を受けないよね?
恐る恐る口にすると普通の紅茶だった。安心。
あっ、そうだ。
「これ、つまらないものですが皆さんで食べてください」
俺は用意していた翠屋のお菓子詰め合わせを八神家のテーブルに広げる。
はやてさん宅に行くことは前日突然言われたので閉店前の翠屋に行って滑り込みで買ってきた。そういうことは3日前くらいに言ってほしい。
菓子の匂いにつられたのかヴィータがにらみつけるのをやめてリビングへとやってきた。おなじくシグナムとザフィーラも。
「あっ、この子はザフィーラっていって見た目ほど怖くないから大丈夫やよ」
俺の視線を追って慌てた様子で言うはやてさん。
一体何をそんなに慌てて……って、ああ。そうか。
普通の人間は家にオオカミがいたら驚くわな。
「大丈夫です。知り合いに同じような人がいるので。その人も今はオオカミの姿をしているだけなんでしょう?」
俺の言葉に母さん以外の全員が驚き、「ほう」とザフィーラが興味深そうな声をあげる。
「初見で見破られたのは初めてだ。どうして私が獣人の姿になれると?」
「いや、母さんから聞いてましたから。4人の外見と名前については」
ただ者ではない……みたいな展開を期待した方、すみません。
事前情報知ってただけなんです。
思いっきり肩透かしされたザフィーラは目を点にしてきょとんとしてたし、シグナム、シャマル、ヴィータの3人は思いっきり笑いをこらえていた。
「ぷっ、くくくっ。君、めっちゃおもろいやん」
そんな中、はやてさんがこらえきれないといった様子で笑顔を浮かべながら俺に声をかけて来る。
「気に入った。今度ヴィータのおっぱいを揉む権利をあげるわ」
いやそんなオ〇ーナを買う権利をやろうみたいに言われても。
それに権利だけもらっても実際揉ませる気ないでしょうあなたは。
「揉むほどないじゃないですか」
なので打ち返させていただきますその絶好球。冷めた目でヴィータを見るのも忘れない。
「てめぇ、喧嘩売ってんのか⁉」
俺たちのやり取りを聞いたシグナムとシャマルがこらえきれず噴き出す。その姿に「あ゛あ゛⁉」とさらに怒りゲージが1本追加されるヴィータ。
「やっぱおもろいわ君。今後も遊びに来てほしいわぁ。その時はうちがクッキー焼いておもてなしするから」
翠屋のお菓子をつまみながら笑顔で言うはやてさん。
なるほど、それは魅力的なお誘いですね。
結局そのあと母親の検査を経て少し話をしてこの日は八神家をお暇することとなった。
帰り際、「また遊びに来てな」と言うはやてさん。帰り道で母親に「なるべく会いに行ってあげて」と言われたので近いうちにお邪魔することになるだろう。
ところで闇の書の蒐集率って今どのくらいなんですかねぇ。
気がかりなことはそれだがまあ、半年後までは大丈夫だろうと自分に言い聞かせ帰り道を行く。
いつの間にか咲いた紫陽花が梅雨の訪れを告げていた。
フォウ・ムラサメ爆誕!
使用者をお兄ちゃん、お姉ちゃんと思って話しかけてくれるすごい(メンヘラな)やつだよ。