無能力転生者はリリカルなのは世界で生き延びたい(令和版) 作:百男合
主人公母、はやてさんと闇の書の関係を見破る。
週1で通って検診することに。
突撃、隣の八神家訪問。あれれ~? 海鳴市行政っておかしいぞー?
今、俺は時空管理局の戦艦アースラにいる。
なのはさんとフェイトさん。それにユーノくんとアリシアを招待するクロノくんのお誘いにただ乗りさせてもらった。
もちろん両親には内緒で。
両親……というか母さんが管理局アンチっぽいんだよなぁ。それに両親がやらかしたアースラ乗っ取り事件のお詫びという建前もある。
さっそく艦長であるリンディさんに翠屋のお菓子詰め合わせを渡し深々と頭を下げる。
「この度はうちの両親がご迷惑をかけまして」
「え、ちょ、ちょっとクロノ? シンジさん……じゃなくて真木さんのお子さんも連れてきちゃったの?」
あれ? なんか歓迎されてない感じ?
そりゃ管理局に弓引いたテロリスト予備軍みたいな両親の子供だけど、リンディさんはそんなこと気にしないよね?
俺がうるうる目を
「とりあえず連れてきてしまったものは仕方ないわ。ようこそアースラへ。私たちはあなたたちを歓迎します」
なんか「2人にどう説明すれば」ってリンディさんがブツブツ言っていたけど気にしない。うん、気にしない。
早速俺は目的のものを探すためにクロノくんに声をかける。
「で、クロノくん。管理局の汎用型デバイスってどこに保管されてるの?
「少しは欲望を隠す努力をしないのか君は。エイミィ、連れて行ってやってくれ」
はーい、という声をあげクロノくんの未来の嫁ことオペレーターのエイミィさんが案内役をしてくれることに。
「お菓子はお預かりしますね。あとでみんなでいただかせていただきます」
他の4人はブリッジでまだお話があるとのことで先に連れて行ってもらう。
十中八九管理局へのスカウトの話だよなぁ。なのはさんとフェイトさんは魔力ランクオーバーSだし、プロジェクトFATEの成功作であるアリシアももちろん同じオーバーSだ。
管理局としては喉から手が出るほど欲しい人材だからね。うん。
対する俺はC-。デバイスと周辺機器が作れる手先が器用なだけの人材さ。
『我が主。管理局の汎用性デバイスなど解体してどうするのですか?』
るーるるーと1人寂しげにしているとムラサメが機械音声で現実に引き戻してきた。
どうするってそりゃもちろん。
「俺が使う新しいデバイスを作るためだけど?」
『浮気ですか? 出るとこ出ますが』
どうしよう。ウチのデバイスに信頼モンスターの霊が憑依しちゃった。
「だってお前、武装ないじゃん。魔力弾撃てないじゃん」
俺が事実を告げるとエイミィさんがなんか驚いてる。デバイスと人間との漫才はお嫌いですか?
『その代わりに膨大な演算を瞬時に行えますが? なんなら今ここでこの艦のコントロール権を奪って強制シャットダウンさせてみせますが?』
こらこら、熱くなってできないこと言わない。エイミィさんこの前の事件を思い出して顔色青くなっちゃってるじゃないか。
……できないよね? え、できるの?
とりあえずエイミィさんに冗談ですよと伝えておく。俺のデバイスってお茶目でして。
それに対してエイミィさんは乾いた笑いを浮かべデバイス保管庫まで案内してくれた。
あの……なんか、すみません。
ブリッジでのリンディとの話という名の勧誘が終わり、クロノに連れられてデバイス保管庫に来た4人が見たものはこれ以上ないほどバラバラにされた汎用型デバイスの姿だった。
「すごーい。これ、全部しろうがやったの?」
「というか、状況的にそうとしか思えないけど」
目を輝かせるアリシアとやや引き気味で困惑するユーノ。
「……これ、ひょっとするとレイジングハートがこうなるかもしれなかったんだよね」
「バルディッシュ、大丈夫だよ。司郎には絶対渡さないから」
ぼそりと告げたなのはの言葉に震えあがるインテリジェンスデバイス2体。
以前軽い調子で「2人のデバイス見せて」と言われた時断ってくれた主人に心から思う。
ありがとう。断ってくれて本当にありがとうと。
「これは、また見事にバラバラにしたな。ちゃんと戻せるのか?」
機械の鳥のようなデバイス――ムラサメに写真を撮らせながらパーツを並べていた司郎は、クロノの言葉に「余裕」と返し分解したデバイスを今度は元の汎用型デバイスの形に戻していく。
「スキスキスキあなたが欲しい~スキスキスキ好きのはーなぞのーふふふん♪ ふんふんふんふ♪ ふふーふふふんふふふふん♪」
鼻歌を歌いながらカチャカチャと高速で手を動かし、あっという間に元の汎用型デバイスを作り上げてしまった。
その様子に唖然とするしかない5人。
「あ、クロノくん。これ、接触部に詰まってた異物。多分これが原因で故障してたんだと思う」
さらに問題点まで提示してくる。試しに完成したデバイスに魔力を流してみると青い光を放ちながら起動した。
「直したのか? これを君が⁉」
「うん。おかげで大体の構造はわかったよ。ありがとう」
ぺこりと頭を下げる司郎。その肩をがっちりつかむのはエイミィだ。
「クロノくん、この子絶対スカウトしよう!」
「エイミィ?」
「ここにある不良在庫……じゃなくて壊れたデバイスが直れば相当な収入……じゃない、艦の維持費が潤沢になると思うんだ」
見ると目が完全に金に支配されている。それを見て司郎が「失礼ですが前世は守銭奴の落第忍者でいらっしゃる?」と訳の分からないことを言っていた。
「悪いがそれはできないよエイミィ。母さんから司郎は両親の同意がない限りスカウトできないと厳しく言われているからね」
「そんな!」
途端に落ち込むエイミィ。取らぬ狸のなんとやらだが相当ショックだったらしい。
「で、得る物はあったかい司郎?」
「うーん。まだ3種類目だから何とも。とりあえず保管されてる解体していいデバイスもうちょっと調べてもいいかな?」
3種類、という言葉にその場にいるエイミィを除いた5人が固まる。
え、何こいつ。分解したのはこのデバイスが初めてじゃなかったの?
クロノがエイミィを見るとうなずき返してきた。
「エイミィ、司郎をスカウトできないか母さん……艦長に掛け合ってくる。ついてきてくれ」
「了解!」
この人材を逃してたまるかと目に書いてある2人がブリッジに向かって駆け出す。
だがリンディから突きつけられた返答はNOの2文字。2人は必死に説得したがその決定が覆ることはなかった。
結局俺がデバイス保管庫から出てきたのはそれから2時間後のことだった。
保管庫にあったデバイス全種類を分解、再構築し、壊れた部品や足りない部品があれば無事だったデバイスからニコイチで直してを繰り返し。気づけば相当な数のデバイスを修理してしまった。
「これで魔力弾が撃てるようになるぞー。やったね!」
『新しいデバイスなど不要だと思います。主には私だけで充分であると提言します』
喜ぶ俺の周りをデバイスのムラサメが飛び回り文句を言っている。
あ、そっか。言い忘れてたわ。
「俺、別にもう新しいデバイスを作る気はないぞ」
『―――は?』
さっきまでのシザーマンに居場所を教えるオウムのように騒いでいたムラサメがぴたりと止まる。
「考えが途中で変わった。俺が知りたかったのは魔力弾の撃ち方というか、魔力弾を作るための構造だったから。それを取り入れたGメモリを作ることにしたよ。お前以外のデバイスを持つのは当分先になりそうだ」
沈黙するムラサメを置いて、そのまま訓練所へと向かう。
今の時間、なのフェイがクロノくんと合同訓練をしているはずだ。食堂に行ったときに聞いたから間違いない。
ファンとしては見に行かなくちゃ!
「ムラサメ、ちゃんと戦闘を録画しといてくれよ。あとでしっかり見るんだから……ムラサメ?」
さすがにいくら何でも返事がなさすぎると思い振り向いてみると、ムラサメが肩に止まるところだった。
『主』
「おん?」
『私は主が主でよかったと思いました』
「え、何それ気持ち悪い」
思わず思ったことを素直に言うとムラサメは肩から飛び去り先を飛んでいく。
よくわからん奴だなと思いながら訓練所に行くとそこにはクロノくんと戦うなのフェイの姿が。
「フェイトがんばれー!」
応援するアリシアとは対照的に周囲の管理局員たちは真剣な顔で戦いを見守っている。
あっ、設置型のバインドにフェイトさんが捕まった。なのはさんがクロノくんを狙って魔力弾の集中砲火を浴びせてるが最小の動きでよけてる。
さすがエロゲ版のゲーム主人公。やりますねぇ!
俺はそんなことを考えながらユーノくんの隣に座り戦況を聞く。
「で、どっちが勝ってるの?」
「クロノの3勝1敗だよ。負けたのは最初の1回だけであとは勝ち越し」
ふーむ、なるほど。
ムラサメに戦闘の様子を記録させながら戦闘の様子を見る。
というか、完全になのはさんとフェイトさんの戦闘パターンバレてるなこれ。
フェイトさんが近づこうとするたびにバインドで拘束してるし、それに追撃しないでなのはさんと砲撃対決してるし。
遊ばれてる……というか鍛えられてるというべきかこの場合。さすが管理局の魔導士。戦闘慣れしてらっしゃる。
その時ビーッ! と機械音が鳴り戦闘中止の合図が告げられた。それに管理局の魔導士たちは安堵のため息をついている。
そりゃ管理局としてはそこら辺の野良魔法使いに負けるわけにはいかないんだろうけどそんな露骨な態度をとらなくても。
クロノくんは多分訓練のつもりなんだし……と思っているとエイミィさんに声をかけられた。
「お疲れ様、司郎君。不用品の修理……じゃなくてデバイスのお勉強は終わった?」
「ええ。大変勉強になりました。おかげで新しいアイディアが湯水のごとく沸いてきてます」
笑顔でそう言うと俺の姿を見つけたクロノくんが声をかけてきた。
「なんだ司郎。もうデバイスいじりが終わったのか。よかったら君も身体を動かして行くかい?」
それはなのフェイに代わって俺と戦えということだろうか?
無理無理、死んじゃう。
俺はお断りしようとしたがなのはさんとフェイトさんに、「司郎君の戦い方、見てみたいの!」「司郎、私たちの仇をとってきて」言われ、さらに「しろうやれやれー!」とアリシアに言われ仕方なく訓練場に向かう。
まあ、女の子にあそこまで応援されたら行かないわけにはいかないよね。
俺はデバイスにGメモリを挿し込み戦闘準備をする。
『タイタス』
「ほう。あの時見た近接特化のゴーレムか。面白い」
クロノくんがデバイスを構え、試合開始の合図が鳴る。
さて、クロノくんといえばバインド。バインドといえばクロノくんというほどクロノくんにはバインド使いのイメージが強い。
なので危険視するのは設置型のバインドのみ。俺は一直線にクロノくんの元へと向かい走り出す。
『主、2歩右足前に設置型のバインドの痕跡を確認。よけてください」
はいよ!
急に方向転換する俺に驚いた顔をするクロノくん。砲撃を続けるが俺の肩や脚部のゴーレムアーマーはそれをはじいていく。
「ここだぁっ!」
みぞおちを狙った空中飛び膝蹴り、間一髪デバイスで防がれたがそのまま押し切る。
クロノくんがドッジボールの球みたいに飛んでいくが俺は右腕を振り上げながら追撃に移った。
次の瞬間、空中から無数の剣のような光が俺に向かって降り注いでくる。
『グフカスタム!』
これはタイタスでは防ぎきれないと急いでグフカスタムのGメモリを挿しカイトシールドに隠れる。
ひえぇ、これは殺す気の攻撃じゃない?
ヒビだらけになったカイトシールドをクロノくんに向かって投げ、ヒートソードを両手で握り駆けていく。
『スティンガースナイプ』
「うぉっ、マジか」
だが次の瞬間放たれた大き目の魔力弾にヒートソードがぶっ壊された。
魔力量が違いすぎる。俺の魔力量ではあの砲撃に耐えるだけのゴーレムは作れない。
仕方ない、こうなったら。
俺は虎の子のGメモリをムラサメに挿し込んで備える。
『ギャン
機械音声と共に甲冑をまとった騎士のような姿になった俺は猛スピードでクロノくんに突っ込む。
「くっ⁉」
今更バインド? 遅い遅い! 目と鼻の先までの距離になって俺は右手に構えた大型のランスを
「は?」
俺の突然の行動に? マークを浮かべる観客たち。
大型ランスで突けば決着がついていたのになんで? という疑問なんだろうけど、残念ながら相手は格上のクロノくん。
C-の俺が作ったランスなんてやすやすと壊すだろう。先程のヒートソードのように。
なのでここからは永全不動八門一派・御神真刀流小太刀二刀術でいかせてもらう!
なのはさん家の道場で教え込まれた古武術を超スピードでクロノくんに向かって叩き込んでいく。
もちろん考える時間とバインドの仕込みをさせる時間を与えないためだ。
さらにこのギャンって機体、こんな見た目だが格闘に強い。別作品の主役機と渡り合えるほど。
息をつかせぬ連続攻撃にクロノくんのバリアジャケットが受ける傷が増えていく。
試合終了の機械音が鳴るまで攻撃を続け、終わったころには2人は汗だくだった。
「ぜー、ぜー、対戦。ありがとうございました」
「はー、はー、まったく、無茶をするな君も」
ギャンKのGメモリをムラサメから引き抜き、元の姿に戻るとクロノくんと固い握手をする。
互いに浮かべるのは満足げな笑顔。男同士の戦いはやっぱこの終わりだね。
「おやおやー。クロスケ負けてるじゃん」
「ぷぷぷ、2人とも必死で受ける」
おや、このメスガキっぽいしゃべり方なのに合法なケモケモしたお姉さんたちは。
声に顔を向けるとリーゼアリアとリーゼロッテの2人が訓練所に入ってきていた。
あれー? この2人ってグレアムさんの使い魔だよねー?
なんで原作開始5カ月前のここにいらっしゃるんですか?
「遠距離戦ばっかりしてるから近距離戦がおざなりになってんじゃないの? 今度鍛え直さなきゃねー」
「私たちのご主人なんだから、もっとしっかりしてよねー?」
ん? 今なんか聞き逃せないことを聞いたような。
目で問いかけるとクロノくんはウザがらみしてくる2人の手をよけながら、俺に説明してくれる。
「ああ、この2人は僕の使い魔で師匠でもあるんだ。こっちがリーゼロッテでこっちがリーゼアリア」
待て待て待て。
さらっと言ったが俺は誤魔化されんぞ。
「え? クロノくんの使い魔? もっと偉い人のじゃなくて?」
「? 確かに半年前まで2人は引退したグレアム提督の使い魔だったが今は僕の使い魔として契約してるよ」
ちょっと待て。この世界ってグレアムさんもう引退してるの?
ってことは仮面の男がいないからなのフェイと管理局に対して邪魔する存在はいない?
「クロノくん、ちょっとデバイスみせて」
俺の言葉と鬼気迫る表情に一瞬驚いたクロノくんだがどうしてもと頼むとしぶしぶ渡してくれた。
「いいけど、分解してくれるなよ」
うん、デュランダルじゃない。S2Uだ。
ということは、闇の書最終決戦で闇の書本体を凍らせてくれる人がいない?
あかん、このままじゃ患者(はやて)が死ぬぅ!
とりあえず当面の目標に【デュランダルの作成】が追加された1日だった。
で、デバイス整備室に大量にあった不良品デバイスを直したことに改めてリンディさんにお礼を言われた俺は新しいGメモリのアイディアを持って意気揚々と自宅へ帰ってきたのですが。
なぜ御母堂が笑顔で腕を組んでいらっしゃるのですかねぇ……?
「シロウ、リンディさんから聞いたわよ。今日はずいぶんと楽しかったみたいねぇ」
あっ、これ全部バレてるやつだわ。
リンディさん。両親に黙ってくれてるんじゃなかったんですか? え? そんな約束はしていない?
それはそう。
結局その日は父さんも巻き込んで両親2人によるお説教が夜まで続いた。
隠し事ってなかなかできないもんだね。
クロノ「え? 司郎の魔術ランクってCなのか?」
エイミィ「らしいよー。それなのにクロノくんにあそこまで食い下がっててすごかったねー」
リーゼロッテ「ぷくく、格下に一方的に殴られてたんだクロスケ」
リーゼアリア「ざぁーこざぁーこ♡」
エイミィ「は? クロノくんはザコじゃありませんが? ちゃんとした魔導士ですが?」
リーゼロッテ「そんな風に甘やかすとクロスケのためにならないよエイミィ」
リーゼアリア「そうそう。私たちのご主人様なんだからもっと強くなってもらわないと」
エイミィ「そうやってことあるごとにクロノくんにくっつくの、やめてもらっていいですか」
リーゼロッテ「なにエイミィ? 嫉妬? 私たち使い魔なのに」
リーゼアリア「クロスケ嫌がってないし。別にいいよねー」
クロノ「いやよくは」
エイミィ「よくないよねクロノくん」
リーゼロッテ・アリア「いやーんエイミィこわーい」
なのフェイ、ユーノ、アリシア「しゅ、修羅場だ」