無能力転生者はリリカルなのは世界で生き延びたい(令和版) 作:百男合
八神家のみんなと海水浴。信頼度が足りない。
アリサ嬢に誘われいつものメンバーと海へ。前期ラスボスが健康な姿に⁉
みんなで水中用Gメモリを試して楽しみました。そして増えるムラサメ姉妹たち。
9月になりました。原作開始2か月前です。
新学期になり登校する俺。これからは夏休みのように1日中デバイスとGメモリ開発に時間を取れないので時間管理が大切になってくる。
そうそう、デバイスのムラサメシリーズとジムⅡのGメモリのほうは研究チームに任せらるくらい開発が進んだので俺はもうお役御免だそうだ。あとは工場でムラサメシリーズが作られ全国の病院に送られていくそう。
これで父さんや原作のはやてさんのように何らかの理由で車椅子で生活する人でも歩けるようになるというのは医療として画期的なことだろう。俺も鼻が高い。
でもね、それは生きてるという前提があってこそなんですよ。
この世界はモブにも主役にも厳しいからね。少なくともはやてさん死にかけるし、それを回避するよう動かなければ。
つい2か月前にクロノくんがデュランダル持ってないという問題が浮上したばっかりだしね。ほかにも問題がないか警戒しなければいけない。
「お前、最近うちに来すぎじゃねーか?」
で、そのために今日も八神家を訪れるとヴィータに開口一番そう言われてしまった。
「そうかな? 週1から週4に変わっただけだと思うけど」
「いや来すぎだよ。4倍じゃねーか」
「心配しなくても君の分のはやてさん特製クッキーは残しておいてあげるよ」
「分け前の話をしてんじゃねーよ!」
以前よりとげとげしさがなくなったヴィータの声を聴きながら俺はシグナムに声をかける。
「シグナムさん。今日も稽古お願いします」
「またか? お前も懲りないな」
「うふふ、いってやりシグナム。帰りに牛乳買ってきてな」
はやてさんの世話をしていたシグナムが足のマッサージをシャマルに引き継ぎ席を立つ。
後に知ったが、やれやれといった雰囲気を出していたシグナムだったが心がウキウキしてるのを俺以外の全員が知っていたらしい。
いわく、なんか足取りもいつもより軽かったそうだ。
「シグナム~今日もやるのか? 飽きねえなぁ」
「あらあら、2人とも頑張ってきてね」
守護騎士2人に見送られて俺たちは人気の少ない海が見える公園に向かった。
耳に聞こえる波の音。砂浜を足に踏みしめながら、俺たちは向かい合う。
シグナムが人よけの簡易結界を張り、レヴァンティンを起動させバリアジャケットに着替えた。
「いつでもいいぞ。来い」
「それでは遠慮なく」
『グフカスタム!』
デバイスのムラサメにGメモリを挿し込み、ゴーレムと一体化する。
ゴングはない。「いつでもいい」という言葉に甘え錬成されたガトリングシールドの銃撃をお見舞いした。
だがそこはさすがの烈火の将。剣の騎士シグナムの名の通り剣ではじき返してガトリング部分を斬り捨てる。
嘘だろ⁉ 至近距離からの銃撃だぞ。一体どんな反射神経してんだ。
返す刀で切り返そうとするのをシールドで防ぐ。シールドの下の3連ガトリング砲を放つがこれもよけられた。
しかも首を動かしただけで。反射神経がすごいってレベルじゃない。
「このっ」
右手のヒートソードをわざとレヴァンティンで受けられた。それがわかるのはこれまでの戦いで何度も負け彼女の実力を知っているから。
彼女なら紙一重でかわし、袈裟懸けに俺を斬るのが造作もないことも分かっている。
だが、あがく。何度もムラサメでシュミレーションし、最善の一手を打つために努力する。
「パージ!」
一言つぶやき、左腕のシールドとガトリングが砂浜に轟音を立てて落ちた。それをいぶかしげに見るシグナム。
「どうした? いつもの小細工は打ち止めか?」
「いいえ。小細工はこれからです」
次の瞬間、左腕から出た分銅のような物体についたワイヤーがシグナムの太ももに巻き付く。
アンカータイプのヒート・ロッド。電磁攻撃により敵機にダメージを与えるグフのものと違いこちらはかぎ爪状に変化し射程距離を延長したもの。
ワイヤータイプに変化したことで電磁ムチとしての攻撃力は低くなったが拘束するのに不十分ということはない。
俺は右手を振り上げると握ったヒートソードでシグナムを攻撃。
が、受けられ、すかされ、はじかれる。
足の自由を奪ったというのにシグナムの顔色は依然変わらずレヴァンティン1本で攻撃をしのいでいた。
「さすがですね。目算では23%はこの攻撃で決着がつくはずだったんですが」
「低すぎる可能性だな。それに、お前は目に出やすい。狙う場所さえわかれば防ぐのはたやすいぞ」
なんてことを言ってきやがるんですよ。プチむかつく!
なので拘束したワイヤーをヒートソードで切って、別のGメモリをムラサメに挿し込む。
『アクエリアス!』
機械音声と共にグフカスタムの装備がパージ。両腕にヒートロッドを装備したゴーレムと一体化する。
「ほう、見たことない姿だなそれは」
ふっふっふ、その余裕がいつまで続くかな。
さっきヒートソードでワイヤーを切ったので錬成したワイヤーはまだ残り続けている。
つまり足封じはこの攻撃のための布石!
俺は両腕のヒートロッドをシグナムに向けて発射する。
「先端がとがったムチか? 変わった武器だがそんなもの我が剣の⁉」
剣に巻き付いたヒートロッドがシグナムの手からレヴァンティンを取り上げる。
おれは右手にレヴァンティンをとると、シグナムに対して笑顔で言う。
「で、これが70%の勝算でした」
今の自分は結構なドヤ顔をしているんだろうなと思いながらシグナムを見ると、一瞬ポカンとした顔をした後首を振りため息をついた。
「私もまだまだだな。まさかこんな手にやられるとは」
「いや、シグナムさんが油断してないと使えない手でしたから。9回の負けはこの日のための布石でした」
相手が俺を見くびるよう。弱い存在だと油断するように。
負けは勝ちの途中っていうしね。とりあえず一矢報いられて満足。
「とりあえずこの足に絡みついたものを解いてくれないか? そしてレヴァンティンを返してくれると助かる」
シグナムの声に自然と太ももに絡みつく黒いワイヤーに目が行く。
うぉっ! スッゲームチムチの太もも。前世はセクシー女優でいらっしゃる?
栄養が全部セッ〇スにいってるんじゃねぇかこのスケベ守護騎士がよぉ。
こんな交尾専用ボディで烈火の将を名乗るなんて各方面に失礼だよね。
「……ろう、おい、司郎!」
はっ、あまりのエロ同人的シチュエーションに頭がち〇ちん亭に支配されてしまった。
俺は慌ててシグナムを拘束するワイヤーを分解するとレヴァンティンを返す。
バリアジャケットを解くシグナム。俺もGメモリを引き抜き元の姿に戻る。
「あいたっ!」
シグナムが急にレヴァンティンの柄頭で俺の頭を殴ってきた。
え? なに? 負けた腹いせ? 烈火の将が?
俺が頭の上に疑問符を浮かべているとシグナムは顔を赤くしてそっぽを向く。
「言っただろう。お前は目にでやすい」
えっと、つまりエロい目で見てたことバレバレってことですか?
「すんませんでした!」
人払いの結界を解いてさっさと帰り道の途中にあるスーパーを目指そうとするシグナムに、俺は額を地につけて謝るのだった。
で、今俺は見渡す限りの砂の丘にいます。
ちなみにここ、地球じゃありません。
「おいシグナム! なんであいつがここについてきてるんだよ!」
バリアジャケット姿で文句を言うのはヴィータ。それに気まずそうな顔をしながらシグナムが答える。
「仕方ないだろう。私から1本とったら闇の書蒐集の現場を見せると約束していたのだから」
「だったら負けてんじゃねーよ!」
がーっ! と怒りを抑えきれてないヴィータに気まずそうな顔をするシグナム。
うん、今回の負けは油断によるものが大きかったからね。気が乗らないのも仕方ない。
だがこのチャンス。俺は最大限に生かさせてもらうぞ。
「闇の書によるとこの世界にいるオオトカゲが蒐集の対象みたいね」
「この広さだ。手間がかかりそうだな」
シャマルとザフィーラの言葉によし来たと俺は手をあげる。
「はいはーい。俺が偵察してきます」
「お前が? できんのかおい」
ヴィータの疑わしそうな視線をかわしながら俺はGメモリをムラサメに挿す。
『バウ!』
「じゃあ行ってきまーす」
「待て。お前に何かあったら主はやてに申し訳が」
下でシグナムが何か言っていたがMAモードになった俺には聞こえないぜ。
さっそく地面すれすれを飛行して数時間経過。何も出てこないな。
もうこの星一周しちゃおうかなと思ったら砂が盛り上がって巨大な何かが出てきた。
おおっ⁉ 釣れた釣れた!
オオトカゲって言ってたけどこれアースドラゴンっていう種類じゃない? なんか顔つきが狂暴なんですけど⁉
俺は高度をあげながら逃げ回る。念話でシグナムたちに見つけたことを知らせるとこちらに駆けつけるから逃げ続けろとのこと。
仰せの通り逃げ回っているがバウの残り稼働時間が心もとない。仕方ない、ここはと別のGメモリを取り出す。
『アッシマー』
再びMA形態にチェンジ。その間なんと0,5秒。
巨大トカゲを引き付けながら砂の海を行く。
途中で巨大トカゲが砂に潜って逃げようとしたので大型ビームライフルの魔力弾を顔めがけて放つ。
だが鼻に当たったもの以外はまるで効いていないようだった。やっぱり「散弾ではなぁ!」なのかアッシマー。
怒ったオオトカゲが鼻息をふんすふんすしながら追いかけてくる。
助けて! 助けて守護騎士のみんな!
「ラケーテンハンマー!」
祈りが通じたのか空中から巨大なハンマーが降ってきてオオトカゲを1撃の元葬った。
俺はその砂柱の余波を受けて砂まみれになって墜落したけど。
「よぉ、囮ごくろうさん」
ぺっぺと砂を吐きながらMSモードに変形しているとニッと笑ったヴィータがそんなことを言ってきた。
それからヴィータが闇の書を開いて撃墜したオオトカゲのリンカーコアの魔力を闇の書に蒐集する。
「ふー、終わり終わり。じゃ、帰ろうぜ」
「待った」
そのまま帰ろうとするヴィータの肩に手を置き、足を止めさせた。
「あ? なんだよ。砂まみれにしたのは悪かったけど」
「そうじゃなくて、あれ」
俺は巨大なオオトカゲを指差す。
それにヴィータは頭に? マークを浮かべる。
「な、なんだよぉ」
「あの動物は俺たちの都合で殺しちゃったんだから、きちんと葬るべきだと思うんだ」
その言葉にヴィータは鼻白んだ。
「馬鹿かてめぇ。そんなことしてる暇があったらあたしたちは他の魔力の強い動物を狩りに行く。ただでさえ今回はお前のおもりがあるってのに」
「ふーん、そうですか。でも、このことはやてさんが知ったらどう思うかなー?」
俺の言葉にぴくりとヴィータが反応する。
「自分の病気を治すためとはいえ命を大切にしない守護騎士たちに幻滅とかしないかなー。逆にこういう小さなことでもしっかり弔いの儀式をする守護騎士の姿には感心すると思うんだけど」
「だぁあああ! わかったよ!」
その後略式ではあるが俺とヴィータは死んだオオトカゲを弔い魂を慰めた。
墓は作らなかった。身体が巨大すぎたし他の動物たちが骨になるまで食べてくれるだろうという判断からだった。
他の3人の守護騎士と合流し、元の次元――地球へと帰るとシャマルが砂まみれの頭をなでてくれる。
「ありがとう。ヴィータちゃんに気を使ってくれて」
「はて? なんのことやら」
「あの娘も主のためとはいえ関係ない魔獣たちを殺戮することに思うところがないわけじゃないのよ。それを少しでも軽くしてくれて、本当にありがとう」
その言葉に背中がかゆくなる。
そんなつもりはなかったんだけどなぁ。
ふと気になって聞いてみる。
「シャマルさんもそんなこと、思うんですか?」
「ふふ、秘密」
なんだか大人っぽい余裕で返されてしまった。
その後ザフィーラに「今回はよくやったな」と労われ、シグナムには「ああいうのはやめてくれ。肝が冷える」とお叱りを受けた。
まあ、順調に闇の書が蒐集されていることは確認できたし、その助けもできたので今日は良しとしよう。
そんな時東から昇ってきた朝日を見ながらそういえば今日月曜日だったわと徹夜確定の事実に今更気づいたのだった。
禁止!
なのなの亭は販売禁止です!
それより改変する前のタイトルが シグナム「特別な稽古をつけてやる」だったんだがどう思う?