無能力転生者はリリカルなのは世界で生き延びたい(令和版) 作:百男合
ハロウィンらしいハロウィンを初めて迎える真木一家。
原作負けイベントのはずなんですが……あるぇ?
やっぱりプレシアさんが生きてるのが大きいんじゃない。誰だプレシアさんを生かしたのは? 俺だ!
八神家を訪れるとシャマルがデバイスに使うカートリッジに魔力を注いでいるところだった。
「八神さんは?」
「シグナムとヴィータとお買い物よ。私とザフィーラはお留守番ね」
なるほど。来るタイミングが悪かったわけか。
せっかくだから俺はカートリッジに魔力を注ぐ作業を手伝うことにする。
繊細な魔力作業が必要だと注意されたがこんなのGメモリ相手にいつもやってる。
ひょいひょいと次々にカートリッジに魔力を注いでいく姿にシャマルは目をしばたかせて驚いている。
「え? 均等に魔力が注がれてて無駄がない。あなた、魔力コントロールがうまいのね」
「ゴーレム使いだからですかね。あとは慣れですよ慣れ。似たような作業を毎日しているので」
残り3分の1となり自分の分は終えたのでシャマルの分のカートリッジに手を伸ばそうとしたとき手を叩き落とされた。
「これ以上はもういいわ。私の仕事をとらないで頂戴」
「シャマルさんは回復術師として十分働いていると思いますが」
俺の言葉に首を振るシャマル。
「だってヴィータちゃんはほぼ一撃で敵を葬るしシグナムも傷を負うことのほうが稀だもの。最近、私出番ないのよね」
頬に手を当てため息をつくシャマル。
「そんなことないでしょう。回復役がいると分かってるからある程度無茶できるし戦えるのでは?」
「はやてちゃんに仕えてから私の手が必要な戦闘なんて本当に数えるほどしかないのよ。まあ、あの日のリンカーコアを奪った件が特別だったのは否めないけど」
シャマルの言葉にそりゃそうだろうなと俺は頷く。負けイベントだったのに普通に勝ちそうだったもん。
この世界のなのフェイすげぇ。
「ところで……あなたはどうして私たちに協力してくれるのかしら?」
おや? そんなこといまさら聞きますか?
「そりゃもちろん八神さんが俺の友達だからですけど」
「それだけじゃないでしょう。はやてちゃんに恋でもしてるの?」
え? シャマル先生恋愛脳だったの? ちょっと引くわー。
男が動く理由が男女のあれこれだと思ってるのは正直引くわー。
「な、なにその顔⁉ 普通はね、そういう理由でもないと命がけの魔力蒐集なんて手伝わないって話なのよ」
ああ、さいですか。
でも俺、はやてさんに恋愛感情はないんですよ。誓ってもいい。
「じゃあシグナムに対する点数稼ぎかしら? あの子、堅物そうに見えても結構かわいらしいところあるし」
なんでだよ⁉
シャマルの言葉に思わずずっこける俺。
やっぱり恋愛脳なんじゃないですかシャマル先生?
「あら? でもシグナムのこといやらしい目で見たんでしょ」
……見たけどさぁ。
それは青少年のアレというか、わかるでしょう。
「しかしはやてちゃんとシグナムが理由じゃないとすると……ひょっとしてヴィータ? それともまさかザフィーラが」
「それはない」
そこだけはきっぱりと否定させていただく。
何が悲しくて同性愛者な上にケモナーというレッテルを人に貼られなければならないのか。
それでキャーキャー言いそうな人はいるけどさぁ。シャマル先生もそうなの?
「というか、シャマルさん完全に違うってわかっててからかってるでしょ」
「ふふっ、どうかしら」
笑顔で流された。プチむかつく!
「シャマルさんが原因とは思わないんですか?」
俺の言葉に一瞬手を止め、それからころころと笑うシャマル。
「それこそあり得ないでしょう。私とあなた、接点がほぼないに等しいじゃない」
やり返そうとしたら軽くあしらわれたでござる。
しかし俺もただやられるだけじゃない。さらに言葉を重ねる。
「いやいや。見た目が超好みだったりするかもしれませんよー」
「そういうのは10年経ってから言いなさい。それとさっきの言葉、はやてちゃんやみんなの前で言える?」
「すんませんでした」
強すぎる反撃に早々に俺は白旗をあげた。
くっ、このぽややん癒し手強すぎる。薄い本他の2人より少ないくせに。
そんな話をしていたらカートリッジに魔力を注ぐ作業が終了していた。
「おかげでいつもより早く終わったわ。ありがとう」
「いえいえ、こんなことでお手伝いになれば」
笑顔でカートリッジを片付けるシャマル。その時玄関の扉が開く音とシグナムとヴィータ、はやてさんが入ってくる音が聞こえてきた。
間一髪だったな。と思って机を見ると何事もなかったように優雅にお茶してるシャマル。
うーん、役者だなぁ。
その後帰ってきたはやてさんと一緒にお茶菓子を食べてなにかと俺にかみついてくるヴィータの言葉を華麗にかわし、その日はお暇したのだった。
はやてさんの病状が思わしくないそうだ。
脚だけだった麻痺が全身に広がりこのままでは入院しなければならないと守護騎士たちが話しているのを聞いてしまった。
そうか。もう闇の書の封印が第一段階解除されたんだ。ということは相当な魔力が集まったんだな。
母さんはミッドの病院での治療を勧めたが守護騎士たちは悩んでいる。
なにしろようやく会えた理想の主だからなぁ。さもありなん。
いざという時は契約を解除しようというシグナムの言葉に1番反対していたのはヴィータだった。彼女が1番はやてさんになついてるからな。むべなるかな。
しかし契約解除まで考えてるとは恐れ入った。彼女たちは闇の書を完成させるためのプログラムなのにその本能に逆らってでも主を守ろうだなんて。
愛です。愛ですよナナチ。なぜそこで愛⁉
なんてことを1人考えていると部屋から出てきた守護騎士たちに見つかった。
「どこから聞いてた」
隣の部屋で。というと怒られそうなので「最初から」と答える。
それに複雑そうな顔をする面々。というか守護騎士なのに気配に対する注意が散漫すぎるだろ。冷静じゃなかったとはいえ。
「で、結局どうするんですか? ここで全員抜けてはやてさんを元の1人ぼっちにする気ですか?」
俺の挑発ともとれる言葉に「てめぇ!」とヴィータが激昂する。が、シグナムが「落ち着け」と肩に手を置き、俺を見る。
「とりあえず闇の書の蒐集は続ける。闇の書の呪いが全身に回る前に闇の書を全部埋めてしまえばいいだけの話だからな」
うん、それ嘘。
騙して悪いが闇の書が完成すればその呪いから解放されるということ自体が嘘なんだ。
闇の書の防衛プログラムが暴走してヤベーことになる。
とはさすがに言えないので俺は気になっていることを告げる。
「闇の書の蒐集率はいかほどで」
「大体400ページぐらいだな」
シグナムの言葉におや? と驚く。原作より集まってるじゃん。
これならフェイトさんのリンカーコア抜かなくても……あっ、だめだ。シグナムとフェイトさんの触手シーンはマストだから見ないと。
「闇の書の蒐集。俺も手伝いますけど交換条件があります」
俺の言葉に警戒心をあらわにする守護騎士一同。それに対し、俺は告げた。
「必ず生きて八神家に帰ってくること。夕飯は全員で食べること。それが守れないなら、俺はお手伝いしません」
俺の言葉にポカンとした一同だったが内容を飲み込むと「もちろんだ」と俺と握手してくれた。
ヴィータ以外はな! そんなに俺のこと嫌いなのかとさすがにショックを受ける。
まあ、問題ない。闇の書蒐集を頑張っていこう。えいえいおー!
「司郎、なぜ君がそいつらと共にいるんだ⁉」
表情を硬くし声も同じくらい固いクロノくん。
「司郎君、説明してほしいの」
「司郎、何かの冗談だよね?」
レイジングハート・エクセリオンとバルディッシュ・アサルトを手に何かの間違いだとこちらを見ているなのフェイ。
はい、どーも。真木司郎です。今回は岩場の異世界からお送りしております。
今俺はクロノくんとなのフェイに捕捉された守護騎士たちと一緒に捕縛されようとしています。
どうしてこうなったかと言いますといつものように闇の書の蒐集をしていたら管理局に捕捉され転送してきた3人と鉢合わせしたという次第でして。
うん、原作通りだね。
問題なのは俺の正体がモロバレだということ。仮面の男みたいに正体隠してないから仕方ないんだけど、2人からしたら「何してんだこいつ?」状態だよね。
なのでその隙を突かせてもらう!
「女の子2人は任せた!」
シグナムとヴィータに声をかけると俺はGメモリをムラサメに挿す。
『マスター!』
機械音声と共に近接格闘特化のゴーレムを身にまといクロノくんに向かって突貫する。
「くっ、司郎! どういうつもりだ⁉」
困惑は油断に直結する。俺の抜き手がクロノくんのバリアジャケットを貫通した。
紙一重で脇腹を避けたのはさすがだと言いたいがこのメモリの神髄はここからだ!
「どうしたどうしたどうしたどうしたどうした!」
「ぐっ、クソ! このぉ!」
目にもとまらぬ早業で拳をクロノくん目掛け放っていく。
その姿はまさに流派東方不敗。あまりの速さにクロノくんは反応ができず防戦一方だ。
その反応に俺は確信を得て右手からビームクロスを出しクロノくんのデバイスを巻き取る。
「あっ」
初めて見るGメモリに戸惑いもあっただろう。俺が敵という状況に体が思うように動かないことも原因だろう。
だが1番の理由は油断だ。Cランクの俺などいつでも制圧できるという強者の圧倒的なおごり。
それを利用して俺はクロノくんのデバイスをビームクロスで巻き上げ受け取る。
「しばらくこれは預からせてもらおう。またな、クロノくん」
「待て司郎! デバイスを返せ!」
声を背中に受けながら俺は別のGメモリをムラサメに挿し宙を飛ぶ。
『トールギス!』
殺人的な加速で結界の中心点まで向かうとドーバーガンを放つ。
それだけで結界は破壊され、守護騎士たちの逃げ道を作り出した。
「シグナム、ヴィータ! 一度引いて体勢を立て直しましょう」
シャマルの声に戦っていた2人は引いていく。なのフェイが持つ新しいデバイスの性能にてこずっているようだ。
まあ、それも原作通りなんですけどね!
俺はシャマルの元に向かうと転移魔法でその場から消える。
これ、完全になのはさんとフェイトさんに敵認定されたよなぁ。
覚悟していたとはいえ推しに敵認定されるのはきつい。
そんなことを思いながら俺は八神家にたどり着くと、「しばらく家に置いてください」と流れるような土下座を披露したのだった。
今回出たGメモリ
『マスター』 近接格闘特化のメモリ。ビームクロスで相手を縛ったり武器を取り上げたりできる。
マントで身体を包んだ防御形態にもなれる。
『トールギス』 オールレンジ攻撃対応のメモリ。
遠距離攻撃のドーバーガン。殺人的なスピードで移動し近距離攻撃のビームサーベルとシールドを装備。