無能力転生者はリリカルなのは世界で生き延びたい(令和版) 作:百男合
闇の書の意思さん、みんなに囲まれる。
プレシアさん、闇の書の意思をボッコボッコに。
闇の書に閉じ込められていたはやてさん、フェイトさん帰還。これで心置きなく後始末できるな。
【破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊
増殖増殖増殖増殖増殖増殖増殖増殖増殖増殖
侵略侵略侵略侵略侵略侵略侵略侵略侵略侵略
浸食浸食浸食浸食浸食浸食浸食浸食浸食浸食】
闇の書の防衛システムの脳内ではその4つが繰り返し思考を埋め尽くしていた。
すべてはプログラム通りに、主を壊すために。
いや、主を守るために? わからない? 自分は壊れている? そんなはずはない。
矛盾する思考を肯定し、ただ目の前の物体を破壊し、己の肉体を増殖させ、この地を侵略し、世界を浸食するために。
自分は戦わねばならない。
手始めに目の前にいる14体を。
魔力量から魔導士タイプと認定。触腕を伸ばし相手を捕まえることにする。
切り裂かれた。
金色の光の塊が飛び回り、己の触腕を切り裂いていっているのだ。
怒り。
怒り怒り怒り。
怒髪天。
「アイスコフィン!」
その時黒い魔導士による凍結魔法で自分がいる海ごと凍らされる。
これでは動けない。何とか動こうともがいていると、天空から2つの長い銃を持った羽の生えた白い魔導士がこちらに切っ先を向けていた。
「ツインバスターライフル、シュート!」
閃光と共に一撃でコアまで魔力で身体が削り取られる。
なんなのだあの威力は⁉ 闇の書の防衛システムは初めて自己の消滅という恐怖を感じた。
逃げなければ。そう思うが体が動かない。まるで石となったように。
「ミストルティン!」
違う、実際に石となっているのだ。魔導書を持つ魔導士によって。
あれは、我が主?
夜天の書を持つ魔導士に自分とのつながりを感じる。
あれは我が主だ。それなのになぜ自分を攻撃するのか?
いや、そもそもなぜ自分は主を敵と認識するのか。
またも起こる自己矛盾。しかしそれをまた肯定し直して主を敵と認識し、攻撃を――
攻撃を放とうとした頭蓋は守護騎士たちにの攻撃によりバラバラになった。
後に残ったのは核である。闇の書の防衛システムは核がむき出しにならないように再生しようとするがガレキのような塊が高速回転してそれを防ぐ。
「ほほぉ、こういうこともできるのか。シロウが作るものは面白いな」
ゴーレム使いの魔導士。巨大なゴーレムを核の近くに錬成すると、核を強引に持ち去ろうとする。
やめろ! やめろぉ⁉
必死に叫ぶがそれは意味のある言葉にならない。
身体を動かしゴーレムを止めようとするが、他の魔導士たちの魔力砲により邪魔される。
おのれ、おのれぇえええ!
怨嗟の金切り声をあげながら連れ去られるコアを見ているしかない。
そこにまた身体を焼き尽くす魔力砲。閃光が身体を包む。
ぎぃやぁあああああ!!
断末魔は凍てつく咆哮となって魔導士たちを襲う。だが、それで臆する者たちは誰1人としていなかった。
子供の魔導士でさえも。
「よし、ムラサメ。ハッキング開始」
言葉と共に闇の書の防衛システムの脳内にノイズが走る。
なんだこれは? なんだなんだなんだなんだなんだ?
「どう? いける?」
『余裕です。何しろ今の私には2万体のリンクしている姉妹がいるので旧世紀のプログラムの書き換えなど赤子の手をひねるようなものです』
闇の書の防衛システムの身体に次々と命令が書き換えられていく。
自動防衛機能、停止。自動回復システム、停止。自己増殖プログラム、停止。魔術砲発動、停止。
停止。停止。停止。停止。停止。停止。停止。停止。停止。停止。
身体を構成するプログラムが次々と停止されていく。
嫌だ。嫌だこんな終わり方! イヤだ、イやだ……い、や、だ
『闇の書の防衛システムのプログラム100%停止を確認。無力化しました』
「了解。聞こえましたかみなさーん。あとは残ったデカブツしとめるだけなんで高町さんとプレシアさんにお願いしまーす。下がって下がって」
こうして闇の書と恐れられ数多くの魔導士たちの命と魔力を吸ってきた闇の書防衛システムはその機能を完全に停止させ、現代の魔導士たちに葬られたのだった。
えー、闇の書防衛システム討伐お疲れさまでした。
みなさんグラスは持ちましたか? 準備はいいですね?
では。
「乾杯!」
俺の声に合わせみんなが「乾杯!」と言いグラスを交わしあう。
現在俺たちは月村邸にいる。
あの後、結界の外に逃げたすずかちゃんとアリサ嬢と合流。無事を確かめ帰ろうとしたら2つの手が伸びてきた。
持ち主はもちろんすずかちゃんとアリサ嬢である。
今回の件について説明しろというので「もう全部話しちゃったら?」という俺の提案を受け急遽高町家の人々とリンディさんが呼ばれ会場を月村邸に移して打ち上げも兼ねた説明会を行うこととなった。
そこで高町家の人々とすずかちゃんとアリサ嬢は魔法という日常から外れた存在があること。それを管理する時空管理局でなのはさんが活躍していることを初めて知ったのだった。
で、問題が起こったのは母さんとアリシアが月村邸に来た時だった。
闇の書防衛システムを倒した打ち上げとしか知らされてなかった母さんはリンディさんがいるのに動揺した。そしてなのはさんをスカウトしようとするのに激しく反抗したのだ。
で、ここで初めて知った母さんの過去。デバイスを作ってあげた子供が殺されて以来武器のない新しいデバイスを完成させようとしたことなどを知りいろいろと腑に落ちた。
母さんはなのはさんの肩をぎゅっと抱き、「こんな小さな子から友達や家族を奪って管理局は子供を戦場へ行かせるのか?」と猛抗議したのだ。
それに思うところがあるのか複雑そうな顔をするリンディさん、クロノくん、エイミィ。一気に沈んだ場をどうにかしようとしたがなんも考えが浮かばなかった。
と、そんな3人に手を差し伸べたのは意外にも父さん。本人が望むなら止められない。それは高町さんの家族が決めることだと。
ただ、高町家の人々になのはさんが得難い才能を持っていること。そのため限りなく高い確率で戦場に送られること。管理局に入れば普通に生きていれば得られたはずの友達の日々と親子の時間を失うことをただ静かに説いた。
そのうえで高町家の人々やなのはさん本人が選ぶならば、自分たちは何も言えないと。
「祝いの席なのに話過ぎましたな。私の悪い癖です」
と笑って言ってるけどどうしてくれるんだよこの絶対零度の雰囲気。
もう冷めたチキン食うしかねーよと思っているとはやてさんが「それでも」と父さんに言う。
「それでもうちは、家族のために管理局で働こうと思います」
「はやてちゃん⁉」
この言葉は意外だったのか母さんが驚いていた。
「うちの子たち……シグナムやシャマル、ヴィータにザフィーラと普通に暮らすために。ある程度の力がないとアカン。そのためには管理局に入るのが一番やってリンディさんが」
母さんの視線に気まずそうにするリンディさん。
ちょっと待って。昨日の今日というかついさっき覚醒した少女を勧誘したんですか。見境なさすぎですよ。
「そのために、本来君が平和に暮らして得るはずだったものをすべて捨ててでも? 後悔はしない?」
父さんの言葉にはっきりとはやてさんは頷く。
「しません。うちには家族が……この4人と新しく加わった1人が大事やから」
そう言って闇の書の意思さんことアインスさんを抱きしめるはやてさん。
あっ、アインスさんは闇の書の防衛システムと分離した時に一緒に戦ってたよ。
はやてさんの言葉に父さんは一人頷くと、力強くはやてさんの頭をなでる。
「立派な決意だ。俺は君のその考えを肯定するよ」
知らず誰かが拍手していた。クロノくんかエイミィか。ユーノくんかもしれない。
拍手は連鎖していき、いつの間にか俺も拍手に加わっていた。
うん、空気変わったな。よきかなよきかな。
というわけで改めて宴会となった。
ある者は丸焼きのチキンを食べ、ある者は最高級のオードブルをいただき、ある者はケーキをいただく。
ところでこの無傷の闇の書の防衛システムのコア、どうしようかねぇ。
クロノくんは時空管理局で預かるって言ってたけど破壊したほうがいいと思うんだけど。
まあ、あの場にははやてさんやアインスさん居たし、破壊は思いとどまった。
でも破壊したほうがいいよねぇ絶対。
「こーら。変なこと考えてへん?」
そんなことを考えてたらシャンパングラスを持ったはやてさんと遭遇。
「今日は……ううん。今まで、本当にありがとう。うちとうちの家族を守るために頑張ってくれて」
「頑張ったのは守護騎士のみんなですよ。俺はお手伝いしただけです」
その言葉にほんまに~? とどこか疑わしそうな目で見るはやてさん。
「うちとしてはなんでここまで頑張ってくれたのか気になるんやけど」
俺が生き残るためです。これは本当。
その過程でたまたまはやてさんを助けることにつながっただけで。
「なのはちゃんとフェイトちゃんの敵になってもうちを助けてくれたんやってな。シグナムたちに聞いたで」
黙っていてくれればいいものを。まあ、その律義さも守護騎士ならではなんだろうが。
「いつかこのお礼はちゃんとするからな。期待して待っててな」
と笑顔で去っていった。次に来たのはすずかちゃんとアリサ嬢だ。
「ねえ、あんた。なのは達と一緒に行っちゃうの?」
開口一番アリサ嬢が核心をついてきた。
「さあ、どうでしょうね」
生き残るだけならもうなのフェイに関わらないほうがいいのはわかってるんだけど、推しだしなー。
成長していくところを見てみたいというのが本音。
「あんたまで私たちを置いて行っちゃうの?」
「アリサちゃん」
涙目のアリサ嬢を気づかわしげな顔で見るすずかちゃん。
そうか。なのはさん、すずかちゃん、アリサ嬢はいつも一緒の仲良しだったからなぁ。
ここで心配しなくても俺はいなくならないよと言えたらどんなにいいことか。
仕方ないので俺はアリサ嬢の髪を少し乱暴に撫でる。それに対し、「さ、触らないでよ!」とは言うが止める気配はない。
「俺もみんなの力になりたいですからね。どう転ぶかはわかりませんが、最善を目指します」
今はこの言葉で納得してもらおう。
すずかちゃんを見ると頷いてアリサ嬢を連れて行ってくれた。
「しろうー、聞いたよー。大活躍だったんだって?」
で、入れ替わりに来たのがアリシア。いったいどこの誰だそんな大法螺を噴いたやつは。
「活躍したのは高町さんとテスタロッタさん、それに八神さんとその守護騎士たち。それとプレシアさんとクロノくんに父さんですよ。俺は何も」
「でもしろうのデバイスがとどめを刺したってママが」
そこだけ切り取って俺が大活躍したみたいないい方はやめてほしい。本当に。
「俺がすごいんじゃなくて、俺のデバイスがすごいんですよ。まあ、それを作った俺もすごいわけですが」
ふっふーんと鼻を鳴らすとアリシアはへーそうなんだとあまり興味なさそうに頷く。
「わたしさー。どうしようかなって思って」
ん? 何が?
「しろうのお母さんとお父さんの話を聞いて。フェイトと一緒に管理局で働くつもりだったけど、その場合ママがどう思うのかなーって思っちゃった」
食べ終わったチキンの銀色の持ち手をくるくるしながら、アリシアは言う。
「もしフェイトかわたしが戦場で死んじゃったら、ママはまた新しいわたしをつくるのかなとかいろいろ考えちゃった。変だよね」
いつもの笑顔のはずなのに、どこか陰を感じる。
「だからフェイトといっぱい相談することにしたよ。一緒に働くにしろ、ママと一緒にいるにしろ。どっちが残ってもママが幸せなように」
あ、カーテンの裏にプレシアさんがいる。
この会話、モロに聞かれてるな。
「しろうにもその手伝いをしてくれると嬉しいな。フェイトを守ってくれるとわたしが喜ぶよ」
「アリシアさんは守らなくていいの?」
俺の言葉にアリシアはどこかいたずらっぽく言う。
「いいの! わたし、おねえちゃんだから」
そう言うとそのまま会場に戻っていった。
さて、そろそろいいか。
「プレシアさん。行きましたよ」
カーテンの陰から出てきたプレシアさんにぞっとした。
涙でマスカラが流れてえらいことになってたからだ。
「プレシアさん、顔すごいことになってます。1度化粧室へ行ったらどうです?」
「うぅ、あの娘があんなことを考えてくれたなんて……私は、私はどう答えればいいのかしら」
とりあえずハンカチを渡して化粧室まで案内する。
ふぅ、びっくりした。
プレシアさんには頼みたいことがあったのに、まあ後でいいかその話は。
「あっ、司郎君なの」
「司郎もケーキ食べる?」
会場に戻ってみるとケーキを前になのフェイが食べさせあいっこしていた。
あら^~いいですわぞ~。
じゃなくて。
「高町さん、この度は両親が飛んだ粗相を」
なのはさんに対して謝っておく。少なくとも両親がいなければあそこまで凍り付いた雰囲気にはならなかったはずだ。
「ルヴィアさんも真司さんも私のこと考えてくれたのはわかってるの。だから、気にしないで」
そう言ってくれるなら何より。
まあ、2人に何を言われても高町家の人なら娘が決めた道を応援するだろうことは知ってるけどね。
「司郎、私からのケーキは食べられないっていうの? 食べなよ、ケーキ」
ところでこのケーキ推しのフェイトさんはどうしたんだ? なんかほんのり顔赤くして目が座ってるし。
「にゃははは。フェイトちゃんさっきからこの調子で。近づく人みんなにケーキを食べさせようとしてるの」
誰だ未成年にアルコールを与えたのは? え? ケーキの1つに香り付けでウィスキーが塗ってある?
気化したウィスキーで酔っ払ったのかこの娘は。
「なのは、司郎がケーキを食べてくれない。私の手からケーキを食べたくないんだ。いじわるする」
「ああはいはい。いただきますよいただきます」
仕方ないのでフェイトさんが差し出したスプーンに刺さったケーキをパクリ。うん、ベリー系のソースと生クリームとスポンジ生地のマリアージュでおいしい。
「食べて、もっと食べて。ケーキ」
「もがっ、もがっ」
そのまま全自動ケーキ処理機になる俺。それを眺めて笑うなのはさん。
こうして激動の12月24日は終わったのだった。
闇の書の防衛システムの再生を妨害した高速回転するガレキの塊の正体はGQuuuuuuXサイコガンダムの回転するパージしたパーツたちです。あれはいったい何のための機能だったのか……。
司郎「とりあえず母さん、言うことあるよね」
ルヴィア「私、悪くないし!」
真司「ルヴィア、残念ながら今回はそれは通らないよ……」
なのは「司郎君、私は気にしてないの」
司郎「いや、こういうのはちゃんと言っておかないと。パーティーを台無しにしかけた責任は取ろうよ」
ルヴィア「リンディちゃんが悪い」
司郎「うん、まあ昨日の今日で八神さんと守護騎士スカウトしたあの人には俺も思うところあるけど、それはそれ。これはこれだから」
真司「ルヴィア、ごめんなさいしよ。ね?」
ルヴィア「私悪くないもん!」
リンディ(どうしよう、挨拶しにくい)
クロノ「母さん、腹をくくろう。遠因は僕らにもあるわけだから」
リンディ「そうね。逃げては駄目よね。司郎君もスカウトしたいし」
ルヴィア「うちの息子は管理局にあげないよ!」
この後無茶苦茶こじれたけど仲直りした。