無能力転生者はリリカルなのは世界で生き延びたい(令和版) 作:百男合
闇の書の防衛プログラムの暴走。管理局、やらかす。
闇の書の意思としてのアインスさん消滅。新しい肉体を得て復活。
バレンタインのお世話になった人めぐり。今年は多いよ!
バレンタインデーから1カ月が過ぎホワイトデーが来た。
例年のようにキャンディーをクラスメイトやお世話になった方たちにばらまく季節だ。
ただ今年はなぜかお返しにマカロンをたくさんもらった。
すずかちゃん、アリサ嬢、アリシア、はやてさんの4人から友キャンディーのお礼と言って渡されたのだ。
流行ってるのかしら? 女子の間でマカロンが。
お嬢様なすずかちゃんとアリサ嬢はともかくアリシアとはやてさんとマカロンは結び付かないんだけど、ありがたく受け取っておいた。
ちなみに大人とユーノくん、クロノくんたちにはキャンディーの詰め合わせを送っておいたよ。
で、その翌日はなのはさんの誕生日だ。
誕生日会は毎年翠屋を貸し切って盛大に行われる。
高町家の人々はもちろんすずかちゃんとアリサ嬢。恭也さんの恋人の忍さん、それに今年はフェイトさんにアリシア、八神家の面々とユーノくん、クロノくん、エイミィ、リンディさんと喫茶店がいっぱいになるほどメンバーが増えていた。
ケーキを囲んで誕生日おめでとうの歌が歌われ、なのはさんがろうそくの火を吹き消すと盛大な拍手が起こる。
「誕生日おめでとう、なのは」
「ありがとうみんな! 嬉しいの」
祝福の言葉に満面の笑みで返すなのはさん。
そこからは怒涛のプレゼントタイムだ。各々がそれぞれのプレゼントを渡していく。
すずかちゃんとアリサ嬢は高級品っぽいけどなのはさんの負担になりそうにない普段使いできそうなもの。
アリシアはぬいぐるみ。恐竜なのはどういうセンスなんだ。
で、八神家からははやてさんがフォトアルバム。これから幸せが増えていくというはやてさんなりのメッセージだろう。
シグナムは意外なことに花。もっと実用的なものを渡して来るかと思ったから意外だった。
シャマルのプレゼントはよく効く傷薬。古代ベルカ式の特別品らしい。
ヴィータはのろいうさぎグッズ。自分の好きなものは皆が好きだと思ってないかな?
で、ユーノくんはなんか貴重らしい本。熱弁するユーノくんになのはさんは苦笑いしてた。
ユーノくん……君、ヴィータと同じレベルのプレゼントセンスだよ。
で、管理局組のクロノくんとエイミィとリンディさん。
3人は無難な消え物というかミッド世界で流行ってる娯楽道具や美容品を渡していた。
ずるいぞ3人だけ! 自分たちが別世界にいるという強みを生かしやがって!
で、俺の番が回ってきた。
期待するなのはさんの目が痛い。やめてー! そんな目で見ないでー!
「俺からのプレゼントはこれです。フェイトさんに贈ったものと色違いの服です」
なのはさんの前にひざまずき用意しておいたロリータ服を渡す。
色違いと言ったがデザインは甘ロリ寄りでフェイトさんがクールビューティーを目指していたとすればなのはさんの服はぽっぷんキュートを体現したようなデザインだった。
「ありがとう司郎君。早速着替えてくるの」
と言って1度引っ込むなのはさん。
再び出てくると会場からおおっ! と歓声が上がる。
なのはさんがかわいかったからだ。普段もかわいいんだけどそのかわいさをよりキュートにしたようなかわいさにみんなの胸がキュンとなった。
さて、プレゼントの大トリはもちろんフェイトさん。なのフェイは大正義だからね。
ちなみに今日のフェイトさん、俺が前にプレゼントに贈ったあのゴシックロリータの服を着ていた。なのはさんと2人並ぶだけで絵になるのでさっそくはやてさんが写真を撮りまくっている。
「なのは、これは私からのプレゼントだよ。受け取ってもらえると嬉しいな」
「ありがとうフェイトちゃん。開けていい?」
なのはさんの問いにこくんと頷くフェイトさん。
それを見ていそいそとプレゼントの包装をといたなのはさんだが……様子がおかしい。
目を点にしているというか、フリーズしているというか。
俺は気になりなのはさんの手元を覗くとそこにはなんか文字の彫ってある金属の破片っぽいものがあって。
「えっと、フェイトちゃん。これはいったい」
なのはさんがかろうじて言葉を出す。それにフェイトさんはにっこりと笑う。
「うん、なのはの分の認識票。管理局に所属するなら絶対必要ってクロノが言ってたから母さんに頼んで作ってもらったんだ。私とおそろいなんだよ」
俺たちの視線が一斉にクロノくんに向かう。それに対し、「え、僕が悪いのか?」とふざけたことを言うクロノくん。
当たり前でしょうが! フェイトさんにいらん知識授けおって!
よりにもよって10代最初の誕生日になんで受け取りようによっては物騒で血なまぐさいものをプレゼントされにゃならんのだ!
しん、と静まった会場の空気にフェイトさんも気づいたようで「え? え? 私、何か間違った?」と困惑している様子。
いかん! このままでは推しがプレゼントがトラウマになってしまう。
俺は「もー、テスタロッサさんったらお茶目さんですね。これで完成じゃないでしょう」と助け船を出す。
「え? え?」と混乱するフェイトさんに「いいから話を合わせてください」と小声で言い、金属の認識票に手をかざす。
「錬金!」
俺は認識票を分解し、別の形に再構築する。
「わぁ……」
目の前の光景になのはさんの顔が輝く。
なんと金属の認識票は名前が彫られた翼がデザインされた指輪へと姿を変えたのだ。
それに周囲もなぁんだ。演出だったのかと胸をなでおろし歓談を再開した。
「テスタロッサさんの分も渡してください。高町さんとおそろいのほうがいいでしょう?」
俺の言葉にこくりとうなずくフェイトさん。あ、これ目の前の出来事に頭が追い付いてないな。
まあ、その状況も利用させていただくが。
だって推しカプがペアリングですよペアリング。このチャンスを逃すわけにはいかない!
早速フェイトさんのドッグタグも指輪へと錬成し直し小指にはめる。
これでペアリングの百合カップルの誕生ですわよ奥様。
キャー! キマシタワー!
写真を撮りまくるはやてさんに交じって俺はデバイスのムラサメでその様子を撮影する。
それはそれとしてクロノくんはお説教だな! と思ってそちらを見るとエイミィとリンディさんにお説教されていた。
俺が出る幕はなさそうだ。
だとしたら娘に頼まれたとはいえ訂正もせずにドッグタグを作ったプレシアさんを説教すべきか。
え? アリシア? 自分が説教するから大丈夫?
じゃあ任せた。
俺は誕生会が終わるまで幸せそうななのフェイの姿を録画することに専念するのだった。
高町なのはとフェイト・テスタロッサは誕生会が終わり皆が解散した後、2人で密かに集まり内緒話をしていた。
「うまくいったの。フェイトちゃん」
「うん。なのはの言う通りにしたら本当に司郎が動いたよ」
2人は自分の小指にはまった指輪を見てうっとりする。
「司郎君が作ってくれた名前入りの指輪。最高のプレゼントだよ。ありがとう、フェイトちゃん」
「それはこっちのセリフだよなのは。でもよかったの? 私までプレゼント貰っちゃって?」
そう、今回のフェイトのプレゼントらしからぬプレゼントを提案し、共謀したのはなのはとフェイトの2人だった。
彼ならフェイトに恥をかかさないだろう。彼ならこうするだろうと予測して今回の計画を立てたのだ。
そうして受け取ったものは当初の予測していたものより素敵なプレゼントだった。
「クロノには後で謝ったほうがいいかな? なにかダシにしたようで気が引けるし」
「ダメだよフェイトちゃん。そんなことしたらバレちゃう」
今回の作戦は無垢なフェイトが恥をかきそうになったという点が重要なのだ。それを自分から崩すのはいただけない。
「それにしても指輪かぁ。うふっ、いいもの貰ったの」
「そうだね。いずれは薬指に、なんて」
キャーキャー言う女の子2人。それを大人たちはほほえましそうに見ている。
会話の内容を知らないから2人は仲がいいなぁ程度にしか思っていないというのもあるが。
「フェイトちゃんとおそろいの服ももらったし、今度この服着てお出かけしよっ。フェイトちゃん」
「もちろん! その時は司郎も誘おうね」
彼はなにくれとなく理由をつけて断りそうだがその彼が断わりそうな理由を2人でつぶしてついて来ざるを得ない状況にしてしまおう。
2人は年の割には邪悪な笑みを浮かべ、1人の少年に狙いを定める。
「絶対逃がさないの。司郎君」
「今度こそ私の物にするよ、司郎。待っててね。ふふふふふ」
2人の笑い声は誰にも聞かれることなく夕闇に溶けていった。
さて、1度は手を組んだ2人だったがデートに誘い肝心なところでもう1人を出し抜こうとそれぞれ考えていたことからお出かけは計画倒れとなってしまう。
2人は小指にはまった指輪を見てため息をつき、「まあ、今はこれで我慢するか」と満足するのだった。
マカロンのお菓子言葉?
司郎君は知りませんし一生知ることはないでしょう。
企業が作った販売戦略のマナーなんて知らなくていいんです。
うだうだ言ってるとマシュマロを穴という穴に突っ込むぞ。