無能力転生者はリリカルなのは世界で生き延びたい(令和版)   作:百男合

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 あらすじこと前回の3つ
 主人公、母親の設計図を元にデバイスを完成させる。
 だがそのデバイスは武装が一切ないデバイスだった!
 両親にも何か思惑があるようだが……? それはそれとしてカリオストロに出てくるミートボールスパゲッティはみんな大好きだよね!


第3話 デバイスを使ってみよう(提案)

 5月のゴールデンウィーク。

 全国のお父さんお母さんが子供を実家に連れて行ったり行楽地へと連れて行けと駄々をこねられたりする季節である。

 もちろん転生者である俺はそんなわがままを言うことなく地元が一番と両親に告げ、海鳴市にある人気のない神社にいた。

 父親が足が悪いのに遠出したいと宣うのは馬鹿である。同時にいつ出勤するかわからない医師の母がゆっくりと休めるようにという心遣いで家を空けたのだ。

 ……うん、嘘である。

 実際はデバイスを使いたくてうずうずしているだけだ。

 早速リストバンド状態で待機モードになっているデバイスに声をかける。

「ムラサメ、デバイスモード起動」

『準備できています。我が主』

 右手のリストバンドが光の粒子となって飛び散り、空中に浮かんだ機械の鳥のような起動モードのデバイスを俺はつかんだ。

「防御魔法、発動」

『プロテクション』

 言葉と共に青白い壁が目の前に展開される。

 おお、と魔法が使えたことに感動していると10秒ほどで消滅した。

『主の魔力ですとプロテクションの維持は最大10秒が限界と進言いたします』

「ちなみにどのくらいの魔法を防げるんだ?」

『プロテクションの強度は魔法ランクに依存します。つまりEランク相当の魔法と相殺される強度です』

 ほーん、なるほど。

「……例えばオーバーSランクの撃ち合いに巻き込まれたらどうなる?」

「質問の意図がわかりません。Eランクの魔法攻撃をSランクのシールドがはじくことはあってもその逆はあり得ない。普通の理解力があれば確認は不要だと思われますが』

 ええ、それなのフェイの高町式交渉術での対話を近くで見ようとしたら死ぬじゃん。

 というか今の煽り、このデバイス薄汚いクルタ族がインストールされてない?

「そうか。次は魔力弾……はできないからブーストと幻影か。どうやるんだ?」

『ブーストは対象にかけることにより大幅な能力アップが期待される魔法です。が、主の魔力では威力は小数点以下、持続時間も10秒以内と焼け石に水だと思われます』

 こ、このデバイス正直すぎるだろ!

 ま、まあ俺は体は子供でも心は大人だから。こんなちくちく言葉には負けないぞ。

『次に幻影魔法ですが』

 俺の隣に無音で幻影が現れる。が、5秒と経たず消滅してしまった。

『主の魔力では複数体幻影を発現させるのは不可能です。これなら私がプロジェクションマッピングで投影したほうがマシですね』

 これくらいでは泣かないぞ。

 あまりに俺のことをボロクソに言うデバイス。まあ魔力Eランクなら仕方ないかもしれないけどそれでもだ。

「あの、もっとこう……手心とかいただけないんですか?」

『手心という機能は搭載しておりません。我が主にそう作られましたから」

 ぐ、ぐうの音も出ないことを。

「じゃ、じゃあ召喚は」

 と口にして気づいた。

 しまった。ここ地球の日本じゃん。

 龍とか幻獣種いない世界だし動物と心通わせるレアスキルとか持ってないじゃん。俺。

 それに魔力Eランクということは契約できたとしてもネズミや蟲とかが関の山……。

 思わず頭を抱えうずくまる俺。それに対しムラサメは、

『提案。カップ焼きそばの容器に生きたミミズやワームを詰め合わせたものを相手に渡すなり顔面にぶちまけたほうが精神的苦痛の効果が期待できますが』

「なんて恐ろしいことを言うんだお前は⁉」

 そんなことされたらトラウマで一生カップ焼きそばが食べられなくなるじゃないか。

 想像しただけでウェッて胃の中のものがこみあげてきたぞ。悪魔め。

 となると――

「ゴーレム錬成か」

 残った魔法手段に、うーむとうなる。

 ゴーレムか。

 ゴーレムに戦わせて自分は安全な場所にいる。理想的と言えば理想的な戦闘方法なんだが。

『計算の結果マスターの魔力量では半径25メートル以上の場所に錬成したゴーレムが移動した場合元の土くれに戻りますね』

 とのこと。やっぱり魔力量がネックになってるなぁ。

 ん? ちょっと待て。

「錬成自体はできるのか?」

『もちろんです。早速実践してみましょう』

 神社の砂が多い地面に触れ、完成図をイメージする。

「れーんきーん!」

 言葉と共に地面が盛り上がり形を求めて砂粒が集まっていく。

 急に周囲に舞い上がった砂煙に思わず目をつむる。数秒後恐る恐る目を開けてみると、

「おおっ!」

 そこにはバリアジャケット状態のなのフェイがキメポーズをしている砂像ができていた。

 うわっ、これ本当にイメージ通りじゃん。

 本体だけじゃなくてレイジングハートやバルディッシュも! 髪を結ぶリボンまで細かいところの再現までばっちり。

 全国のフィギュア原型師が欲しい能力だぞこれ。

 しかも思った通り動かせることができる!

『砂で作られたサンドゴーレムですね。通常のゴーレムよりももろく体積を構成する粒子が小さいため通常より演算の負荷が多いです』

 キャッキャと喜びながら砂像のなのはさんとフェイトさんを動かしてみるとバルディッシュが触れた瞬間なのはさんの首から上が崩れた。

 思わずヒェッと顔を引きつらせるが次の瞬間には砂が集まり元の姿に戻っている。オート回復するのか。すごいな。

「うわぁ、すごいねこの砂でできた像。私そっくりなの」

 ふふんそうだろうそうだろう。

 アニメはもちろん数々の同人誌でなのフェイを堪能したうえこの世界で生のなのはさんを毎日見た結果、イメージの精度はばっちりだからな。

 本人のお墨付きを得られるくらいに!

 ……あれ?

「高町さん?」

「こんにちは、司郎君」

 声にそちらを見れば茶色い髪を2つ結びにした私服姿のクラスメイトがいて。

 アイエエエエ! なのはさん⁉ なのはさんナンデ⁉

 思わずパニックになった結果砂像ははじけて巨大な砂煙が周囲を襲う。

 見られた? いつから? どこまで?

 やばいやばいやばいやばいやばい!

 とりあえずデバイスのムラサメに念話でステルスモードになるように命令する。

『了解。指示に従います』

 あとしばらくしゃべるなと。

「けほ、けほ。すごい砂が」

「た、たたた高町さん⁉ いったいいつからそこにいらっしゃったんですか?」

 思わず敬語で尋ねるとなのはさんはんーと人差し指を顎に当ててちょっと考えるようにして、

「司郎君がプロテクションって言ってたところから。かな?」

 はい、最初からですね。

 思わず頭を抱える俺。

 やべーよ。原作始まる前にデバイスと魔法のこと知られちゃった。

 これ、やっちゃったじゃすまない原作介入じゃね?

 どう挽回すればいいか悩み悶えているとその様子を見たなのはさんは慌てた様子で言った。

「だ、大丈夫。私、誰にも言わないから」

 ……え、なんて?

 俺がなんと答えていいか迷っているとなのはさんは言葉を続ける。

「司郎君が人気のないこの場所で魔法使いごっこしてたことなんて、見てないから」

 ?

 ???

 ?????

 えっと、つまり……。

 なのはさんはデバイスに気づいてない?

 というかムラサメの声を俺が裏声で言ってたと思ってらっしゃる?

 さらにいえば俺をおもちゃ(デバイス)を持ってメラとかメテオとか大声で叫んで空想と妄想を100%シンクロしながら魔法使いになりきって遊んでいる痛いやつだと思われてない?

「子供なんだからそういうときもあるよね。私も小さいころアニメの魔法少女になったらって思ったことあるし」

 とさらにフォローしてくれるなのはさん。

「……はぁあああああ」

 その様子に口から安堵と疲労の混じったため息が出る。

 そうか。考えてみれば周囲から見たらプロテクションと幻影の魔法が発動した時間なんて一瞬だし、普通に考えればあり得ない光景だもんな。

 こればかりは魔力が低かったことに感謝だ。オーバーSだったらとっくにバレてる。

「バレちゃったかー。内緒にしてね高町さん」

「うん! だいじょうぶ。私口はかたいから」

 あははははは、バレちゃったかー。内緒にしてね。という猿芝居にまんまと乗ってくれるなのはさん。

 いい子だなぁ。本当に。

「でも、最後のほうに出てきた砂のわたしと女の子はすごかったよ! あれはどうやったの?」

 はい、ごまかせてませんでした。助けてムラサメ! と念話を送る。

『主が出したと説明すればいいではありませんか』

 それができないから苦労してるんだよこっちは!

 いや待てよ。

「そう、あれは俺が高町さんをモデルに作った砂の銅像なんだ」

「そうなの⁉ すごーい!」

 目を輝かせるなのはさん。でもすぐに「あれ?」という表情になる。

「でも一瞬で地面から生えてきたような……」

「あれは砂煙を起こしてその瞬間砂の銅像を出すというマジックなんだ」

 説明する俺にそうなんだと納得するなのはさん。

 ふっふっふ、嘘をつくときは本当のことを混ぜるとバレにくい。

 つまり俺は魔導士じゃなくマジシャンだったとなのはさんに思わせることがこの場合の正解なんだ。

「時々こういう人気のないところでマジックの練習をしてるんだ。みんなには内緒だよ」

「うん、わかった」

 ところでなぜなのはさんはこんな人気のない神社にいるのだろう。世間は大型連休なのに。

 そう思って聞いてみるとすずかとアリサの家で遊ぶことになったから遊ぶ時間になるまで散歩で時間をつぶしていたらしい。そこで俺を発見したそうだ。

 うーん。こんな風に原作キャラと思いがけず出会うことを想定してなかった。これは今後の練習場所にも気を付けないとな。

 そんなことを考えてると小粋なメロディーが流れてきてなのはさんがポケットから携帯電話を出してボタンを押している。

 そっか。無印放送が2004年だからその2年前の今はまだガラケー全盛期なんだ。

 2007年のiph〇ne登場まで日本国内での普及率2割いかないからなぁ。

「あ、アリサちゃん。今神社にいるんだけど司郎君がいてね。マジックを見せてもらってたの。すごいんだよ」

 おい、ちょっと待て。口は固いんじゃなかったんですかなのはさん。

 その後あれよあれよという間になぜか俺もバニングス邸に招かれ、アリサ・バニングスの銅像(土製)生成マジックをやる羽目になった。

 アリサパパはその出来に非常に感心しどうにかして残せないかと苦心していたのでムラサメのアドバイスで金属をいただければその像を作れますよと言ったのがまずかった。

 結構な量の純金のインゴットを渡され「ぜひこれで作ってくれ」とお願いされたが丁重に断り素直にブロンズでアリサ像を作らせていただきましたよ。

 あの量の金は人の理性を壊しにかかる。それを平然と渡して来るなんて……お金持ちって怖い!

 アリサパパは銅像に大変満足してくださったらしく、「ぜひまた遊びに来てくれたまえ」と喜びながら握手をしてくれた。

 モデルとなったアリサ嬢も悪い気はしなかったのか「ま、まあよくできてるんじゃないの」と顔を赤くして長い髪をなびかせながらお褒めの言葉をいただく。

 すずかもうらやましそうに見ていたので今度近いうちに月村邸に呼ばれるんだろうなぁ。

 それを我がことのようにニコニコして眺めているなのはさん。

 女の子との間で交わした秘密って守られないものなんだなと学んだ1日だった。

 

 




アリサパパ「素晴らしい出来だ。褒美は何がいいかね?」
司郎「じゃあ将来娘さんがショートカットにしようとしたら全力で止めてください」
アリサパパ「ん? そんなことでいいいのかね?」
司郎「ええ。全力で。駄々こねてでも止めてください。絶対ですよ」
アリサパパ「あ、ああ。わかったよ」
 アリサにはロングヘアのまま大人になってほしかった。

 なのフェイまであと9話
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