無能力転生者はリリカルなのは世界で生き延びたい(令和版)   作:百男合

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 あらすじこと前回の3つ
 主人公、正式にアースラで管理局員として働くことに。
 ミッドチルダにいた間ユーノくん放置していたことが発覚。
 フェイトさん初めての性教育。


第30話 マギーズブートキャンプ

 アースラ内の訓練場は緊張感が満ちていた。

 俺はGメモリを握りしめ、緊張しながら戦闘態勢に移行する。

「行きます!」

『エピオン!』

「受けて立つの!」

 なのはさんに向かって高速接近するエピオンのゴーレム装甲をまとった俺。

 なのはさんは俺に遠慮なく即死級の魔力弾を撃ってくる。それを俺は命がけでかわす。

 空中移動速度特化のエピオンだからこそできる芸当だ。他のメモリなら間違いなく狙い撃ちされる。

 なのはさんの懐まで3,2,1……ここっ! 

 翼を広げ魔力を込めたビームソードをなのはさんのバリアジャケットに当てた。

「そこまで!」

 父さんの声と共に甲高い音が訓練場に響く。

 俺は肺の中から息を吐きその場に崩れ落ちるようにひざまずいた。

「なんで勝ったほうが負けてるようなポーズをとっているんだシロウ?」

「いやいやいや。無理無理無理! 普通に死にかけたし! なのはさんの魔力弾なんて1撃でも当たったら俺死んじゃうもん!」

 こんな無茶な模擬戦を命令した父親に対し俺は必死に訴える。

 今の戦い、下手すれば俺は死んでいたぞと。

「だが当たらなかった。いや、当てられなかった。そして今が戦場なら君は死んでいた。わかるね、なのはちゃん」

 父さんの言葉に「はい」と悔しそうにするなのはさん。

 なぜこんなことをしているかというと、父さんによる戦術指導だ。

 魔力が低い俺でもオーバーSランクの相手に勝てるということを証明するのと同時に、全員の弱点を補強し強くするための方法らしい。

 だからといって息子への無茶ぶりが過ぎませんかねぇ!

 俺の抗議の視線を無視して父親は続ける。

「君はフェイトちゃんのようにスピード特化の相手と相性が悪い。それは君の近距離戦での手数の少なさ。そして砲撃をよけられた際の隙の多さに起因する」

 父さんは言いながら数体のゴーレムを錬成した。

「そして、何よりも克服しないといけないのは物量戦だ」

「物量戦ですか?」

 なのはさんの言葉に父さんは頷く。

「1撃の威力は素晴らしいが魔力量が多く、ガス欠になりやすい点もいただけない。クロノくんとの模擬戦を拝見したが、最初の1戦以降の3,4戦目は明らかに魔力弾が弱くなっていた。出力を絞るというかコントロールがまだ未熟な証拠だ」

 父さんの言葉にふんふんと頷くなのはさん。

「だから、50体くらいの敵に囲まれたら間違いなく君はやられる。俺が君を攻略するならまず弱いゴーレムを100体ほどで包囲して魔力弾の精度が落ちてきたら本命のゴーレムを錬成し襲わせるね」

 なるほど、高町なのははそう倒すのか。

 大けがを負ったあの事件も機械による物量戦だったからな。父さんの言うことは的を射ている。

「魔力の精密なコントロールを練習しなさい。やり方は司郎に教わるといい。ああ見えて魔力コントロールは1人前だからな」

 って、こっちにぶん投げるんかい⁉

 さっそくなのはさんが「よろしくお願いしますなの司郎君」てこっちに来てるし。

 無理無理、人に教えるなんて。という俺の抗議の視線を受け流し、父さんは次にフェイトさんを訓練場へ呼ぶ。

「次、フェイト・テスタロッサと真木司郎」

 連戦ですかそうですか。

 俺は別のGメモリを用意しフェイトさんと相対する。このメモリも先ほどのなのはさん用メタと同じフェイトさんメタとして考えられたGメモリだ。

「よろしくお願いします」の声と共に試合開始を告げる甲高い音が響く。

『ノイエ・ジール』

 一瞬で堅牢な装甲に包まれたゴーレムの装甲をまとった俺は、じりじりとフェイトさんを追い詰める。

「行くよ司郎。はぁ!」

『サイズフォーム!』

 バルディッシュの声が響き斧から鎌へと姿を変え魔力のこもった一撃が俺の肩を穿つ。

 が、無傷。その程度の攻撃には耐えられるように作ったからな。

 フェイトさんへ向かって魔力弾と錬成したミサイル型のペイント弾をけん制で放つ。だがフェイトさんはスピードで軽々よけ、こちらに肉薄してくる。

 俺はそれを4つのサブアームに握った魔力弾を動力にしたビームソードでいなし、攻撃する。

「くっ」

 懐に入れないと距離をとったフェイトさん。残念、そこは絶好の位置だ。

 俺は有線のクローアームを射出し、魔力弾を放ちつつ捕まえようと追いかける。

「このっ!」

 フェイトさんが切り払い、どうにか事態を好転させようとソニックフォームへと変身する隙を狙い俺はミサイルとクローアームのオールレンジ攻撃を開始する。

 オールレンジ攻撃の制御はもちろんムラサメにやってもらう。そこまで俺は頭が回らないからな。

「こんな、ところでぇ!」

 破れかぶれなのかザンバーフォームのバルディッシュで俺を真っ二つにしようとするフェイトさん。

 ちょ、これ模擬戦! 模擬戦だから⁉

 俺はIフィールド(魔力無効防御壁)を展開し、ザンバーフォームの1撃を無効化する。さらにメガカノン砲をフェイトさんに向けて最弱出力で撃つ。

「熱ッ⁉」

「そこまで!」

 父さんの声と共に甲高い音が訓練場に響く。

「最後の魔力弾。本来の威力なら君はやられていただろう」

「はい」

 悔しそうに言うフェイトさん。俺はGメモリを抜き元の姿に戻る。

 いやでも初見でよく戦ったと思うよフェイトさんメタのGメモリに、という俺がかけようとした言葉を無視して父さんの話は続いていく。

「クローアームの切り払い、あそこは逃げるべきだった。スピードを生かす君の戦い方ならそれが普通だ。それにザンバーフォームを使おうとしたのはなぜだ?」

「それは、相手の装甲が厚かったから」

 フェイトさんの言葉に父さんは呆れるような声で言う。

「違うな。君は勝負を急ぎたかったんだ。そして完膚なき形で勝利しようとした。それが仇となった」

 父さんの言葉にフェイトさんは指が白くなるくらい強く握る。

 え、どういうこと?

「自分はなのはちゃんと違うと証明したかったんだろう。自分は司郎くらい簡単に倒せると油断していたんだろう。だから動きが大味になり隙を作った」

「違っ、私そんなこと考えては」

 フェイトさんは否定するが、父さんは首を振り言った。

「無意識だろうと君の中になのはちゃんに対する対抗心がなかったと言い切れるかい? 今回の戦いで華麗に勝って、司郎に褒めてもらおうという気持ちがなかったとでも?」

 父さんの言葉にどんどんフェイトさんの顔が白くなっていく。

 やめたげてよぉ! たとえ事実でも精神にダイレクトアタックはルールで禁止じゃんか!

「君の弱点はその器用さと無意識のおごりだ。自分ならできるはず。自分ならできて当然。そう言った思い込みに足元をすくわれつまらないミスで命を落としてきた仲間を俺は数多く見てきた」

 そう言って父さんはフェイトさんの頭に手を置く。

「まずは、自分の至らなさに気づくところからだ。なまじ、今までがうまく行き過ぎた。闇の書の防衛システムの時も、君は立派に戦ったからね。その時の自信が不必要なおごりになってしまったのも仕方ない」

 そう言ってなでられるフェイトさんの目からはとめどなく涙があふれていた。

 くやしい。もっと強くなりたいというように。

「と、まあ俺の訓練はこんな感じだが。ほかに受けたい人はいるかい?」

 父さんの言葉にアースラにいた魔導士たちは顔を見合わせた。

「よろしくお願いします」

 おっと、クロノくんがエントリーだ! だが父さんは首を振る。

「俺に君に教える技能や心構えはない。なぜなら君はもうすでに完成しているからだ。これから順調にキャリアを積みたまえ」

「そんな、じゃあ。僕が倒せない相手に会ったときはどうすればいいんです⁉」

 クロノくんの問いに父さんは笑って言う。

「その時は恥を忍んで逃げたまえ。生きていればやり直せる。逆に死んでしまえばそれまでだ。戦いなんて生き残ったほうが勝ちなんだから」

 身もふたもない言葉にクロノくんは「ありがとうございました」と頭を下げて訓練場を後にした。

 え? そんなんでいいの?

 それからも父さんは俺にGメモリを使わせてアースラの魔導士と戦わせ、アドバイスしていった。

 皆自分の心の中にあった油断というか固定観念をぶっ壊されて時には涙したり、悔しがったりしている。

 ただ全員に共通しているのは「ありがとうございました」と言って去ることだった。痛いところを突かれて怒りを向けたいはずなのにぐっと飲みこんでその言葉を出す。

 その姿が俺にはとても頼もしく見えた。

「さて、最後は俺たちで締めようか。シロウ」

 え? なんて?

 感動していた俺の言葉を無視するように父さんは無数のゴーレムを錬成し、俺と相対する。

「なのはちゃんに言った物量戦だ。お前ならどう崩す?」

 挑戦的な目に俺は怒りが込み上げてきた。

 この父親め。息子を散々こき使いやがって!

 俺はまだ使ってないとっておきのメモリを使おうかと思ったがやめ、Gメモリを取り出す。

 ここからはなのはさんに正解を教える時間だ。

 甲高い音が鳴り試合開始を告げる。

 俺はGメモリをムラサメに挿し、装甲を身にまとった。

『ザンネック』

「ほう、空中からの砲撃か」

 ザンネックベースに乗りザンネックキャノンを量産型ゴーレムに向かって放つ。

 イメージは固定砲台。一定距離まで近づけば狙い撃ち、数を減らしていく。

「それ、お代わりだ! これはどうしのぐ?」

 父さんがさらに多くの量産型ゴーレムを錬成してきた。それに俺は別のGメモリをムラサメに挿す。

『ヘビーアームズ!』

 全身武器庫のゴーレムに変身し、ガトリング弾を錬成し、魔力弾を放つ。

 あっという間に量産型ゴーレムは駆逐され、残ったのは父さんだけになった。

「なるほど、やるようだな。では、これはどうだ!」

 父さんが量産型ではないゴーレムを錬成する。騎士のような鎧姿の巨大な人型。闇の書の防衛プログラム戦で見せた巨大ゴーレムだ。

「さあ、弾切れの状態でどうする?」

 巨大な人型ゴーレムはこっちに向かってロケットパンチを繰り出してきた。

 それに俺は最後のGメモリをムラサメに挿し、空を飛ぶ。

『トールギスⅢ!』

 突如姿を消した俺の姿を探している父さんの意識の外から攻撃させてもらう。

 俺は右腕のメガキャノンを巨大な人型ゴーレムに向かって放つ。

 轟音と共にゴーレムの鎧が半壊する。が、倒れない。

 それでいい。俺は高速で巨大な人型ゴーレムの両肩にビームサーベルを刺し、メガキャノンの砲口を父さんに向ける。

 これで勝ちだ。

「シロウ、いいことを教えてやる。勝ちを確信した時こそ最大の危機だ」

 その言葉を聞いた瞬間、足元が溶けた。

 まるでプールに落とされたように足が人型のゴーレムに吸い込まれていく。

 慌てて飛ぼうとするが人型のゴーレムから生えたツルが身体に巻き付いて離れない。

 何とかヒートロッドで切り裂こうとするが、相手のほうが上手だった。

「生まれ出でよ。麦を食らいつくす暴食の王の軍勢」

 父さんが指揮棒を振ると人型のゴーレムは一瞬で無数のイナゴとなりゴーレムの装甲に食らいついてきた。

「暴食の王(アバドン)」

 く、食われてる⁉ ゴーレムの装甲が食われてる!

 30秒と待たず跡形もなく食い尽くされ、丸裸になった俺は仕方なく両手をあげて降参のポーズをとった。

「途中まではよかった。距離をとり砲台に徹して相手の誘いに乗らないところ。新たに重火器を投入し殲滅したところ。ただその後はお粗末だったな。おそらく最後のとっておきだったんだろうが、その性能にあぐらをかいているのが見え見えだったぞ」

 と父さんはフェイトさんにやったように頭に手を置いて笑う。

 くそう。最後の、そんなのありかよう。

 俺は父さんに「ありがとうございました」と言い、訓練場を後にする。

「あ、司郎くん。惜しかったね」

「司郎、頑張ってたね。真司さん相手に一歩も引いてなかったよ」

 俺のことを気づかい慰めてくれるなのフェイ。

 畜生。今度戦う時は絶対吠え面かかせてやるからな!

 俺は今日の訓練で教材として使いつぶした挙句最後に見世物にした父親に再戦を誓い、新しいメモリの構想するのだった。

 

 

 

「アースラの魔導士たちはどうでしたか?」

 リンディの言葉に真木真司は自分の意見を述べた。

「まだまだです。が、伸びるでしょうね。特になのはちゃんとフェイトちゃんは」

 その言葉に興味深そうにうなずくリンディ。懐かしそうに言う。

「そういえば夫があなたのことをいつも言ってたわ。いつも勝ち逃げされてむかつくって」

「はは、あの頃の自分は若かったですから。上官とはいえ現場にロクに出てこない小僧に負けるかと息巻いてましたよ」

 若い頃の話をする歳に自分もなったかという思いが胸に去来する。

 そして、次世代が巣立っていく姿にまぶしさを感じることも。

「今の魔術師たちは、どんどんと強くなっていきますよ。それこそ、私の手から離れて自由に飛び立っていく」

「あなたの息子さんも、ですか?」

 リンディの言葉に真司は笑う。

「いえいえ。まだまだ手のかかるひよっこです。当分手元に置いておきたいですね」

 半分本音の言葉をしゃべりながら、リンディの出してくれたお茶を飲む、

 盛大に噴き出した。

「がっ、ゴホッゴホッ。なんですかこれは?」

「あら? お気に召しませんでしたか?」

 召すわけがない。こんな甘い抹茶は生まれて初めてだ。

「今度、妻に診てもらいますか? 糖尿病とか心配です」

「だ、大丈夫です! 毎年健康診断は受けているので!」

 疑わしそうな顔をする真司にリンディは言うと話を戻す。

「しかし、そうですか。未来の管理局は明るいですか」

「私としては今も子供を戦場に送るような体制は反対なんですがね」

 真司の言葉に相変わらずだなとリンディは頷き、ムラサメのおかげで以前より格段に楽になった書類仕事を再開する。

「あなたの息子さんで思い出しましたがこのデバイスのおかげで管理局の仕事が大分減ったと管理局内で喜ばれていますよ。鼻が高いですね」

「母親の血ですから。まあ、嬉しくないと言えば嘘になりますが」

 かつて100台あれば管理局の仕事が半分になると言っていた妻の言葉を思い出す。

 ムラサメが普及したおかげで実際管理局の仕事は大幅に減ったのは事実だ。それでも子供を戦場に送ろうとする上の考えは受け入れがたいが。

「君が考える世界になるには、まだ時間がかかりそうだよ」

 妻のことを思いつぶやくと、真木真司は次はどんな訓練メニューを組もうかと思案したのだった。




 ぅゎ親父殿強い。
 これでまたなのフェイたちが強化されてしまう。これ以上原作を壊さないで!
なのは「真司さん強いの」
フェイト「普段は料理がうまいいいパパさんなんだけどね」
はやて「うちの子らもやられたって言うとったわー。特にヴィータはコテンパンに」
アリシア「わたしもやられたよー。ゴーレム使いって強いんだね」
クロノ「いや、あの人が特別なだけだ。普通のゴーレム使いはあそこまで強くない」
なのは「そうなの?」
リーゼロッテ「そうそう。ゴーレム使いなんてよっぽどの偏屈かもの好きじゃないと選考しないスキルだからねー」
リーゼアリア「私たちもクロノには教えなかったよ。そんなの教えるくらいなら戦略と魔力コントロールを教え込む方が大事だからね」
クロノ「だから間違ってもまねしようとは思わないことだ。ああいうのはセンスというか才能との兼ね合いがある」
アリシア「そうなんだ。わたしゴーレム魔術をしろうに教えてもらおうかと思ってたんだけどなー」
フェイト(姉さんさすが!)
はやて(その手があったか!)
 その後アースラでゴーレム魔術を習う人間が増えたが長続きせず結局自分の戦闘スタイルを貫くことにしたという。
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