無能力転生者はリリカルなのは世界で生き延びたい(令和版) 作:百男合
アリシアとフェイトさんの撮影会。
推しのコスプレに脳内フォルダの容量が足りません!
一方でミッドチルダでGメモリを使った事件が。どうなる主人公。
事件はミッドチルダ首都で起こった。
宝石店や銀行、高級品を扱う店舗でGメモリを使った連続強盗事件が発生。
被害金額は合計4億。
傷害事件は高級品を扱う店舗で護衛の魔導士に対しGメモリ、『ベルガ・ギロス』『ベルガ・ダラス』を使った犯人グループによるもの。魔導士であったのが幸いし、怪我は軽傷で済み犯人グループが拘束されたことで事件解決の手掛かりとなった。
拘束された犯人の証言によりアジトを管理局の魔導士隊が強襲。約50人規模の犯行グループを検挙するに至る。
犯人グループを取り調べたところある男からデバイスとGメモリを渡され犯行を起こすようそそのかされたと発覚。
証言により作られたモンタージュ写真によると特徴がGメモリの開発者、「真木司郎」と酷似。今回の事件の容疑者として召喚するに至る。
「というのがやつらが描いた筋書きらしい。どうだ?」
いや、どうだと言われても。
全く身に覚えのない出来事を重苦しい低い声で言われ、俺は混乱するしかなかった。
「なんというか、もっとこうあっただろうというか。Gメモリ使ってやることが強盗とか」
「そうだな。それに関しては同感だ。政治犯や危険分子に横流しでもしてくれたのなら一斉検挙もやりやすかったのだがな」
いや、管理局の首都防衛隊の人がそういうこと言うのはどうなんですかと俺は思う。
今話しているのはレジアス・ゲイズさん。管理局の偉い人だ。
そして多分、俺の味方になってくれている人。だと思う。
「まあ、それだけ相手は今回のことを大事にはしたくなかったということだろう。俺ならゲリラ部隊にでも横流しして2年ほどかけてお前が今以上の地位に就いたときに突発的に管理局を襲わせ責任追及するが」
「あなたが言うとシャレにならないからやめてください」
俺の言葉に「冗談だ」と笑顔の1つもなく言うレジアスさん。
「で、相手が何をしたいかは大体見当がついてる。お前さんの失脚。というか、Cランク魔導士程度が偉そうな顔をするなというのがやつらの本音だろうな。魔力ランク絶対主義者の考えることはわからん」
それ、あなたが言っていいんですか? 確認しますけどあなたミッドチルダの首都防衛隊の人ですよね?
「俺は非魔導士だからな。魔力ランクがSオーバーだというだけで得意顔をしている奴らはこちらから見れば絶好のカモだぞ。なにせ魔力以外の能力がない。罠にはめるのはもちろんコントロールして味方陣営で争わせたり孤立させたところに救いの手を出せば簡単に忠実な駒になる」
「そういうの、子供に教えないほうがいいと思うんですけど」
俺の訴えに「お前を子供としてみたことはない」と嬉しいんだか嬉しくないんだかわからない誉め言葉を送ってくれるレジアスさん。
「そういうわけでオーバーSランクの奴らは魔力の代わりに何か欠けてたりするやつが多い。お前の周りにもいるならそれを忘れないことだ。その欠けた分を埋めてやるのが俺やお前の仕事だろう」
それは、まあ確かにそうかもしれん。
原作のなのはさん、フェイトさん、はやてさんの3人は管理局が超ブラックということを差し引いてもワーカーホリックだったし、そのストッパーとして休ませるのが俺の仕事だろうな。
今はムラサメがいるから管理局のお仕事もぐっと減っているけれども。
「とりあえず管理局に渡したGメモリの目録をこちらに渡せ。押収品のGメモリと照合して調べておいてやる。どこの課の魔力バカが何人やらかしたのかをな」
あ、悪い顔。レジアスさんとしては罠にかかったイノシシを解体するくらい楽しい作業なんだろうなこれ。
俺はムラサメ経由でレジアスさんに作っておいたGメモリの目録を転送する。
さて、話は終わったんだがレジアスさんは通話を続けている。なにかな? 何の用かな?
「お前、この事件が終わったらうちに来る気はないか?」
えぇ、スカウトですか?
ミッド首都の防衛隊のトップからのお誘いに俺は困惑する。
「ミッドチルダには魔力絶対主義者がお前が思うより多い。その中で生きていくのは大変だぞ。うちならそんなことはない。なにせトップが非魔導士だからな」
誰にも文句は言わせんと言うレジアスさん。この人はこの人なりに俺のことを考えてくれてるんだな。
「残念ながらそれは無理ですレジアス・ゲイズさん。なぜなら彼の身は聖王教会が守護しますから」
と、俺たちの会話に割って入ったのは騎士カリム。
あ、説明忘れてたけど今俺がいるここは聖王教会。そこの1室で召喚の日まで缶詰状態です。ハイ。
なぜこんな状態になってるかというと最初はアースラで召喚の日まで待とうとしたんだけど中央からきた管理局員たちが無理やり俺を連れて行こうとしたのになのはさん、フェイトさん、はやてさん&守護騎士たち、アリシアが反発。
ぼっこぼこにして中央へ送り返しちゃったんですよ。
で、このままじゃ中央とアースラの全面戦争になりかねない。みんなと父さんは望むところだ! って顔してたんだけどリンディさんに迷惑をかけるわけにはいかないからね。
妥協案として聖王教会で召喚の日まで時間をつぶしているわけですよ。
というか、父さんに話したら「子供が親に迷惑をかけるのは当然の権利だ!」ってこっちの話を聞きやがりませんでしたので俺は必死に説得した。物理で。
だが他のみんなはそうはいかない。なので説得した。ちゃんと言葉で。
聖王教会とパイプがあること。召喚の日まで匿ってもらうこと。管理局にも知り合いがいるのでその人に俺の無実を証明してもらうと。
それなのについてこようとする4人の女の子をクロノくんと一緒に説得するのは骨が折れた。
特になのはさんは怒るわフェイトさんは泣くわはやてさんから表情は消えるわアリシアがプレシアさんに連絡するわと大変だった。
本当に、本当に大変だったんだよ。
それもこれもリンディさんが「でもこのまま召喚に応じたら間違いなく君、有罪になるわよ」と言ったのが悪かったんですがね。
はい、今回の大戦犯はリンディさんです。
オーバーSランクの魔導士が4人集まれば管理局崩壊も夢物語じゃなくなるんですよ。言葉には気を付けてください。
で、渡界した俺を迎えに来てくれたのがカリムだった。
連絡してないのにいた理由を聞くと彼女のレアスキルだそうだ。そういう人だったね。
で、そのまま聖王教会に直行。現在に至るわけです。
「騎士カリム⁉ そうか。君は聖王教会にもパイプがあったわけか」
レジアスさんの声で現実に戻ってくる。
「はい。そういうわけで管理局の方はお引き取りを。悪感情のある環境で働くより我が聖王教会でのびのび暮らしたほうが彼の成長にはいいので」
「勝手に決めないでもらえますか」
さりげなく肩に手を置くカリムを引きはがし、ビデオ通話中のレジアスに頭を下げる。
「将来のことはわかりませんが、今回の裁判お世話になります」
「ああ。俺以外にもお前の祖父や他の魔導士たちもお前の無罪のために動いている様子だからな。決して管理局はお前……君にとって働きにくい場所ではないよ。ではまたな、司郎君」
なんで最後だけ取り繕ったんですかねレジアスさん。あ、カリムがいたからか。
通信が切れるとカリムが手を払われたことにもめげず俺の肩から抱きしめるように手を前に回してくる。
「えー、うちで働きましょうよ司郎君。それで私の2人目の義理の弟になりませんか? 管理局よりもやりたいことやらせてあげますから」
「カリムさん。断られるってわかってて言ってるでしょう。それ」
俺の言葉にいたずらっ子のように笑うカリムさん。うん、本当に見た目だけは20代なんだよなぁ。
「ふふ、割と本気ですよ。管理局が嫌になったらいつでもうちの門を叩いてください。好待遇はお約束しますよ」
「ワーカリムサンミタイナ美人ニソンナコト言ワレルナンテ夢ノヨウダー」
思わず片言になるくらい心のこもってない返事が出てしまう。
「もう、本気にしてませんね。本当に本当の本気なんですよ!」
「失礼します。騎士カリムそろそろお時間です」
プンプン怒るカリムに聖王教会のシスターが来て言う。
「もうそんな時間ですか」とカリムが言い、部屋を出て行く前にシスターに声をかける。
「ではシスターシャッハ。彼の護衛はお任せしますよ」
「はっ」
バタンと音を立てて扉が閉まるとシスターシャッハと2人きり。
「あの、シスターシャッハ。ご趣味は」
「鍛錬です」
「お好きなものなどありますでしょうか?」
「鍛錬ですね」
き、気まずい。一体何を話せばいいんだ。
「こんにちは。司郎、なんか大変なことになってるって聞いてきたよ」
「おお、ユーノくん! 心の友よ!」
気まずい雰囲気をぶち破ってくれる存在の来訪に俺は両手を広げて迎え入れた。
「心の友は約束をすっぽかしたりしないと思うんだけど」
「うぐぅっ!」
やっぱり気にしてたんじゃないですか。ジト目だし!
「うそうそ。それより平気? 皆から様子を見てきてくれって連絡を受けてここに来たんだけど」
「ちょっと待ちなさい。みんなとは誰のことです?」
俺を守るように前に立ちユーノくんを尋問するシスターシャッハ。
「え、えっと」
「やめてください。彼はユーノ・スクライア。無限書庫の司書で俺の友人です」
「つまり管理局の人間ですね。敵です」
ちょっと、俺の友人って言ってるでしょうが!
「違います。ここに来たのは俺がここに来る前に友人たちに聖王教会に保護してもらう旨を連絡したからで……ああ、敵じゃないからそのデバイスを下して!」
本気で攻撃しようとするシスターシャッハに俺は懐からGメモリを取り出すとムラサメに挿す。
『タイタス!』
「やめろって言ってるでしょ!」
「⁉ この力は」
無理やり羽交い絞めにするがこの人ものともしない。こっちはパワータイプのゴーレムで力を上乗せしてるんですけど⁉
「なるほど、面白いおもちゃですね。こんな状態でなければ一戦お手合わせ願いたいところです」
デバイスを下して俺の恰好をしげしげと見てそんな感想を言うシャッハさん。
本当に脳筋だなぁ。
で、その後ユーノくんと情報交換し、俺がいなくなった後のアースラがえらいことになっていると知らされた。
なんでも父さんと母さんが管理局に喧嘩を売ろうとしていたりそれにプレシアさんも乗っかったり。
Sランクオーバーの4人が「司郎救出計画」と銘打ってあれこれ不穏な会話をしていたりと。
聞いただけでも頭が痛くなる話がどんどん出てきた。
やめてくれよ……(絶望)
で、召喚日が来て俺が被告人として呼ばれることに。
裁判の様子をダイジェストでお送りしよう。
裁判官「被告人、前へ」
俺「はい」
検察「裁判長、こいつ悪いやつです。こんなに証拠があります」
弁護士「意義あり。その間彼は地球にいて犯行はできなかったと主張します!」
検察「こいつは魔法がCランクのくせに調子に乗ってます。有罪有罪!」
弁護士「意義あり。彼の人格について不当にゆがめられた事実を検察は言っています。それに彼の無罪判決を願う嘆願書が管理局だけでもこれだけの数送られてきました。彼の人格は善良であると弁護側は主張します!」(証拠ドン!)
検察「きぃー! 有罪ったら有罪なんです!」
証人レジアス「あー、うちの課で調べたんだがこの犯行に使われたGメモリ。空の〇〇課と陸の××課、海の□□課に配られた品目番号と一致するんだが」
検察「は?」
ゲンヤ・ナカジマ「犯人たちに改めて尋問し写真を見せたところ〇〇課の〇〇・〇〇〇〇。××課の×××・××、□□課の□□□□・□□□の3人が犯行グループにGメモリを渡した人間と顔が一致したことを証言します」
検察「は? は?」
裁判長「どういうことですか? 検察は真木司郎がGメモリを犯行グループに渡したと言っていましたが?」
弁護士「検察のいつものやり方でしょう。どうせ犯人ありきのでっち上げに決まってます」
検察「証拠は? 証拠はあるんですか?」
クイント・ナカジマ「ここに(再生される音声資料)」
〇〇『たかがCランク風情の魔導士がSランクに勝つとかありえんだろう』
□□□□『しかもそいつ、あの新型デバイスを発明したやつって話じゃないか。特許で結構な金稼いでるんだろうな』
×××『許せん! 優秀な俺たちが評価されないのになんでCランク風情が評価されてるんだ!』
〇〇『こうなったら、やるか』
×××『ああ。やろう』
□□□□『やるべし!』
〇〇『なあに、俺たちも鬼じゃない。あいつにちょっと痛い目にあってもらうだけよ』
×××『ただデバイスとGメモリの特許と権利を管理局に永遠に委譲してもらうだけ』
□□□□『それで俺たちも管理局の覚えがよくなるってことだな。いいぜやろう! 証拠づくりは任せた』
検察『任せろ』
検察「」
裁判長「検察官、何かありますか?」
レジアス「裁判長、ついでに〇〇と×××、□□□□の他にも事件後羽振りがよくなった人間の一覧を証拠として提出します」
裁判長「なるほど……では判決を言い渡します。被告人真木司郎は無罪」
こうして俺は無罪放免となり、3人の新たな容疑者と多数の容疑者候補が裁判を待つ身となったのだった。
裁判所から出た俺を迎えたのは傍聴席にいたシェロじいちゃんとリンばあちゃんだった。
「司郎! よかった。本当に良かった!」
「私は最初から信じてましたよ。司郎みたいないい子がそんなことするはずないって!」
俺を抱きしめるリンばあちゃん。シェロじいちゃんは涙を流している。
大げさだなぁと思ったがそこで聞いた話に震える。
ミッドチルダでは管理局で裁判にかけられたら99%は有罪になるらしい。
つまり、レジアスさんやゲンヤさん、クイントさんがいなかったら俺は今頃……。
想像してぞっとする。今度お礼に翠屋のお菓子詰め合わせを贈っておこう。
「司郎!」
その声はわが友ユーノくんではないか!
リンばあちゃんに離してもらってユーノくんの元へ行くとブイサインを出す。
「勝ったんだね」
「うん、無罪」
「良かった。じゃあ、画面の向こうにいるみんなに早く言ってくれないかな? クロノが押さえるのももう限界みたいで」
その言葉に宙に浮かんだ画面を見ると尋常じゃないプレッシャーをまき散らしているSランクオーバーの4人娘とうちの両親、守護騎士とアインスさん、プレシアさんが転移装置を死守するクロノくんに迫っていた。
『その声、司郎か? 頼む、みんなを落ち着かせてくれ! もうこれ以上はもたない!」
その声に慌てて俺は無罪放免になったことを皆に知らせるのだった。
シャッハ「騎士カリム、彼の事どれくらい本気なんですか?」
カリム「どれくらい、とは?」
シャッハ「聖王教会専属のデバイス技師にするとか私兵にするとか義理の2人目の弟にするとかです」
カリム「あら、私は本気ですよ。あなたの言ったこと以外も全部」
シャッハ「(絶句)」
カリム「そんなにおかしいかしら? 彼の功績を考えれば早いうちにうちに抱き込みたいと思う組織は数多くありますよ」
シャッハ「しかし義理の弟はさすがにやりすぎでは?」
カリム「そうですねぇ。では、私の夫として婚姻関係を結ぶというのは」
シャッハ「(軽蔑した目)」
カリム「さ、さすがに冗談ですよ。あははは」
後日、騎士カリムは重度のショタコンといううわさが聖王教会内で広まったという。