無能力転生者はリリカルなのは世界で生き延びたい(令和版) 作:百男合
【悲報】主人公、使える魔術がない。
ゴーレム錬成やってみた。
魔法を使ってるところをなのはさんに見られたがごまかせたのでオッケーオッケー。
※この作品ではリリカルなのは世界のゴーレム魔法について独自解釈が含まれます
俺のゴーレム生成はイメージさえあればどんなものでも錬成できる。
ただ半径25メートル離れれば錬成した物は元の物質に戻ってしまう。
つまり逆に考えれば0距離……俺と一体化したゴーレムならばずっと存在し続けられるということだ。
思い描いたのはまどかタイタス。かつてネットでバズったまどかマギカの主人公まどかのfigmaとガンダムAGE-1 タイタスのプラモが合体した姿。
つまり俺自身がゴーレムになって操るという方法だった。
これならEランクでもゴーレムの力を十全に使えるし俺自身も強化されるという理想的な使用方法。
さっそくプラモ制作よろしく手、腕部、肩、肩アーマー、脚部、足パーツを錬成してみる。
バニングス邸でブロンズ像作りをしたとき報酬としていただいたブロンズインゴットを使ってみたんだがなかなか様になっていた。
いざ、結合! しようとして気づく。
俺、両腕と両足もぐの? 何それグロい。
figmaと生きている人間の身体は違う。気軽に付け替えたりできないのだ。
なんだよまた使えない魔法かよ……と1人落ち込んでいるとムラサメが一言。
『なぜわざわざ別々に腕や足を作ったのですか? 私は主の言葉から主の身体自身にゴーレムを重ねて一体化する錬成を想定していたのですが?』
………………………。
………………。
………。
「し、知ってたし!」
俺は明後日の方向を見ながら叫び両腕両足のパーツを分解してインゴットに戻し、再度錬成。
今度は俺の両腕両足にさっき作ったブロンズパーツが装着されているのをイメージする。
すると今度こそまどかタイタスに似たブロンズの両腕と両足を装備した俺がいた。
「で、できた」
早速動かそうとして、がっちりと固まったブロンズの重さに体が1ミリも動かせない。
しまった、小学生の身体では
「お゛お゛お゛お゛お゛」と苦悶の表情を浮かべながら唸っているとムラサメが一言。
『筋力ではなく魔力で動かせばいいのでは?』
………うん、知ってたよ。知ってたからね!
さっそく以前魔力で砂像を動かしたようにイメージすると普通に動かせた。
右足、左足が交互に動く。
脚パーツが長い分身長が高くなった感じがするな。
このまま散歩してもいいが破壊力も試したい。
とりあえず一度ゴーレム錬成を解いて移動してきました人気のない山の中。
探してみたら意外とあった。漫画やアニメでしか見ない修行場所が。
『ご都合主義ですね』
とはムラサメ談。うるさいやい。ここアニメの世界だぞ。
早速ブロンズゴーレムと一体化してそこら辺にある巨大な岩に全力パンチ。
ドカン! という音と共に破壊することに成功した。が……、
『潰れています』
「うん」
殴った右手の指がひん曲がってパーにできない状態になってしまった。
しまった。ブロンズって青銅じゃん。
ド〇クエに出てくる剣のなかで1番弱い武器じゃないか。
どうせなら鋼をもらえばよかったと後悔しながら右手を一度分解し、再錬成して元に戻す。
どうしたものかと考えていると急に足元がグラグラと揺れ、バランスが崩れ始めた。
『警告。魔力限界により錬成されたゴーレムの維持が困難と判断。10秒後分解されます』
ムラサメの言葉が聞こえてすぐにブロンズの足と腕はバラバラになり、その場にしりもちをついた。
「そういうの、もっと早くいってくれませんかねぇ」
『主は完全に理解していると思っていた私のミスです。お叱りはいかようにも』
こっちは魔法使い初心者なんですけど? という言外の俺の言葉にもあくまで丁寧に受け答えするムラサメ。
ぷじゃけるなよ戦闘機能がないポンコツデバイスめ。プチむかつく!
それはそれとして稼働時間か。これは結構難題だぞ。
今後の課題として魔力ランクを上げるのはもちろんだが戦っている最中に時間切れでアーマーブレイクして戦闘不能なんて目も当てられない。
ん? 待てよ。
「ちょっと待て。この前作った砂像はともかく銅像は今も普通に存在してるじゃん。なんで今回は魔力切れなんてことになったんだ?」
疑問に思い声に出してみると、ムラサメの女性ベースの機械音が答える。
『それは銅像が完成状態でこれ以上
再構築? なんて?
突然出てきた意味不明ワードに頭に疑問符を浮かべる俺。「詳しく」と説明を促す。
『ゴーレム錬成は理解、分解、再構築、完成、操縦の5段階に分かれているのは我が主も知っているとは思いますが』
「いや知らん。なにそれ」
考えてみればゴーレム錬成について魔法知識はゼロだった。
アニメ見たときはうさぎのぬいぐるみを動かしてたから
『それでは説明を。まずゴーレムを錬成する際は材料となる物質の特性を【理解】し、1度粒子状まで【分解】します。マスターの思い描く姿へと【再構築】して決まった形に生成して初めて【完成】するわけです。それを【操縦】することで初めて動かせます』
ふむふむ。なるほど。
つまり鋼の錬金術師の錬成手順みたいなものか。
あれ? だったら【理解】【分解】【再構築】の3つだけでよくね?
『魔力を消費するのはゴーレムは常に【分解】と【再構築】を繰り返しているからです。例えば先ほど右手が破損しましたが魔力量が充分なら壊れた個所を【分解】し、即座に【再構築】することで常に万全の状態を維持することができます』
えっと、つまり……?
『わかりやすくいえば銅像は一連の動作を完了した無機物。ゴーレムは魔力という血液が身体を常に巡らせるために酸素が必要な有機物といったところでしょうか』
……うん。なるほど。
「つまり銅像を作るみたいに完成品として残すなら魔力は使わないけど、ぬいぐるみを動かすみたいな動作には魔力が必要ってこと?」
『どちらも魔力を使います。前者が1度で決まった量を。後者は一定値を継続して使用するという理解ならその通りかと』
「だからどう違うんだよぉ⁉」
助けて! うちのデバイスが専門用語と理論で殴ってくるの!
結局俺が理解するまでムラサメ先生の授業はこんこんと1時間続いたのだった。
えー、勉強した結果。
ゴーレムは動かさなくても常に魔力を消費し、錬金で作った銅像とかは銅像を作る魔力だけでその後は魔力を必要としないということがわかりました。
こうなったのは俺が途中でゴーレム使い=ぬいぐるみを動かすという原作知識や砂像=銅像と考えていたせいです。
砂像の場合は材料が砂なので形を維持するだけで魔力を使うのに対し、銅像は1度形を整えたらそれ以上魔力を使わなくても形を維持できるので魔力は必要ないそうで。
『サンドゴーレムとアイアンゴーレムを同一視するのは同じ哺乳類だからと言ってゴリラとクジラを同一視するのと同じくらいおかしいことですよ』とはムラサメ先生談である。
ViVidでコロナのうさぎのぬいぐるみを動かしてた場面はすでに【完成品】のぬいぐるみを【分解】と【再構築】の過程をすっ飛ばして【操縦】で動かしてただけと判明しました。
これだから天才は。
やはりViVidの3人娘は皆天才であったか。
いらん恥をかいたが得るものもあった。
『たしかにマスターの言う通りすでに完成したものを動かすだけなら少ない魔力量で済みますし、マスターの魔力量を考えると理想的ではあると思われます』
とムラサメ先生。
武器が使えないポンコツデバイスとか考えてマジすんませんでした!
『ですがその場合瞬時の再生はできません。さらに言えば滑らかな動作も不可能となります。人間で言えばわざと筋力を落としスポーツをするようなものです』
「でも、スポーツができないわけじゃない」
難色を示すムラサメに、俺は言う。
「そもそも俺は魔力量が少ないんだから、普通のゴーレム使いみたいな戦い方なんかできない。できるやり方でうまい方法を考えていこう」
『理解しました。では、マスターの魔力量でも十全にゴーレムを扱える新しいプランを検討、提案させていただきます』
俺の言葉を肯定してくれるデバイスに思い浮かんだアイディアを話しながら帰り道を歩いていく。
「例えばベルカ式のカートリッジってあるじゃん。あれみたいに事前に魔力を注入してみるってのはあり?」
『ありかなしで言えば当然ありです。いい着眼点だと思われます』
「そっか、でもカートリッジって扱い難しいよな。それに一時的にパワーアップする方法は魔力弾を使う魔導士や格闘特化の戦士とは相性良くても俺みたいなゴーレム使いとは相性悪くない?」
『瞬間的火力を必要とする魔導士とゴーレム使いの戦闘スタイルは違うので別のアプローチで強化を図るのは正解であると愚考します。なので、完成したゴーレムをあらかじめ用意しておくというスタイルはいかがでしょう』
結局あれやこれやとムラサメと話しながら帰っていたせいで夕飯の時間に遅れてしまい、父親にこっぴどく叱られてしまった。
母の日父の日って、決まった日付がないんだよね。
5月の第2日曜日とか6月の第3日曜日とか毎年決まった日じゃないから日本人には文化的にも根付かなかったんじゃないかと思う。
俺? 一応小学生だぞ。
幼稚園はもちろん私立聖祥大附属小学校でも先生から「今月の〇日は母(父)の日ですよー」とそれとなく言われているのでうちでは俺が憶えてる限り毎年祝っている。
母の日にはカーネーションを贈って父親が作った母の日ケーキ(ドイツとかで作られるハートの形のケーキ)を食べたし、今月の父の日も贈り物のバラを用意していた。
というか、うちの両親はミッドチルダ出身なんだから地球の文化なんか関係ないと思うんだけど意外とこういう季節ごとの行事を楽しんでる。
クリスマスもイルミネーション全力でやるし初詣も行く。ハロウィンなんか家の前に「お菓子配ってます」といった張り紙をして来ることのない子供を大量のお菓子を用意して待ちぼうけしたりしてた。
あ、言ってなかったけどうちは庭付きの一軒家で2階建て。完全バリアフリーの地下室ありで防音完備です。
閑話休題。
で、今日がその父の日で俺は花屋で買ったバラの花を父親に贈ることにした。
もう1つのプレゼントと共に。
「おめでとうあなた。はい、今年のバラ」
母親の真木ルヴィアが大輪のバラの花束を車いすの父親に渡す。
その際熱いベーゼを交わすのは毎年のことだ。ちなみに母の日もやった。
「おめでとう父さん。これは俺から」
息子がいないときにやってくれよと思いながら1輪のバラと一緒に俺は目的のものを渡す。
「シロウ、これは?」
戸惑いながら手元のデバイスと棒状のガジェットと俺を交互に見る父。
「使ってみてよ父さん。これを押して」
と、棒状のガジェット――Gメモリのスイッチを押して銀色に光る接続部分を見せる。
父は逡巡していたが俺を見て頷くとデバイスを起動させた。
「デバイス、起動」
『Hello World』
室内に中性的なハスキーボイスが響く。
デバイスは俺の使っているムラサメと同じものだ。
俺が持つのをアン・ムラサメ、父親のものはドゥー・ムラサメと呼ぶことにしよう。
「そのデバイスの穴に、それを挿しこんで」
言葉の通りにGメモリをデバイスに空いた接続穴に挿入すると、『ジム!』という音声が鳴る。
次の瞬間Gメモリに収納されていた魔力があふれ出し、中の金属が父の身体と重なるように錬成されていく。
ものの数秒で父親の身体と一体化したゴーレム「ジム(試作型)」に父と母は驚いたように目を瞬かせた。
「これはいったい……それにこの魔法は」
「シロウ、あなた何をしたの?」
困惑する両親。だが次の瞬間、はっと気づいた様子の父親が車椅子から立ち上がり一歩足を踏み出した。
「あなた⁉」
「動ける……馬鹿な、歩けるだと⁉」
驚いた様子で一歩、また一歩と母と俺の補助なしに部屋を歩き回る様子にあんぐりと開いた口がふさがらない母。
「姿勢制御が機能している。意図的に転ぼうとでもしない限り完全に自立して歩行できるのか」
「すごいわシロウ! やっぱりうちの子は天才よ!」
深刻そうな顔をする父とは違い母は笑顔で俺を抱き上げると両腕をつかんでぐるぐる回す。
ちょ、やめて! この年で全力メリーゴーランドはちょっと怖い。
一通り回転して満足したのか、母は顔をつやつやさせながら俺が作った外付けのガジェット――Gメモリに興味津々といった様子だ。
Gメモリ……もちろん元ネタは仮面ラ〇ダーWのガイアメモリーだ。
ただこのGはゴーレムの頭文字のG。そしてガンプラの頭文字のGである。
中にゴーレムの設計図と金属が組み込まれていて、注入した魔力に反応し完成型のゴーレムと一体化できるよう開発した俺の新発明。
前世のガンプラ作りの知識がこんなところで役に立つとは思わなかった。
ところで父さん。やっぱり魔術師だったんだな。
実はこのGメモリ、試作品だけあってまだチュートリアルというか、魔法を知らない人間でもどういう操作をすれば使えるのかという説明が一切組み込まれていない。
なのに、父親は当然のように起動したゴーレムアーマーを着て歩いてみせた。
いくら最低限の金属しか使用してなくて見た目は歩行補助の金属にしか見えなかったとしてもだ。
ゴーレム錬成の知識を持つ人間しか扱えない。
おそらく俺と同じゴーレム使いか、ミッドチルダで魔導士になるため魔術を勉強した結果ゴーレム錬成の知識を得ていたかのどちらかだ。
まあ、だからと言ってそれを深く追求しようとは思わない。
藪をつついて蛇どころかヨルムンガンドが出てきたらたまらんからね。原作までは平和を享受したい。
「ありがとうシロウ。最高のプレゼントだよ」
なので黙っておく。お礼を言う父親が何か言いたそうな複雑な顔をしているが黙っておく。
俺は魔法少女が結構ひどい目に遭うかもしれない世界で、なるべく平和に生き残りたいのだから。
ぶっちゃけドゥー・ムラサメとGメモリのネタがやりたかった。
反省はしている。後悔はしていない。
ルヴィア「いいなー。母さんも欲しいなー」
司郎「来年の母の日には作るから」
ルヴィア「ええー。そんなに待てないー」
司郎「……1週間で作らせていただきますお母さま」
トロワ・ムラサメも完成予定。
なのフェイまであと8話