無能力転生者はリリカルなのは世界で生き延びたい(令和版) 作:百男合
硬質化の魔人との戦闘。魔人だから人殺しに対する抵抗感は特にない。
死にかけのシイナさんを助けるために犠牲になるセツナ……だがどっこい生きている。
本編と違うが?
本編ちゃん「また壊したんですか?」
久瀬家はボロボロなので公民館へと場所を移し、俺は自分の身分を明かした。
その上でセツナちゃんとシイナさんをスカウトしたいと。
「それってテレビで言ってた国連の新しい部署でしょ? 大丈夫なの?」
「それって転校しなきゃいけないってことかな?」
不信感をあらわにするシイナさんと今いる場所から離れることを心配するセツナちゃん。
「というか、アタシはわかるとしてなんでセツナまで? この子は普通の小学5年生なんだけど?」
シイナさんの言葉に俺はセツナちゃんを見る。必死に口の前で指を立てるジェスチャーをしていた。
要するに黙っていてくれってことか。お姉ちゃんには黙っておきたいんだろうなぁ。
だが断る。
「実は妹さんは炎の魔人であなたの命を救った人物でもあるんです」
「なんで言っちゃうの⁉」
セツナちゃん、こういうのはいつかバレるんだよ。そういうのは早ければ早いほどいい。
なぜなら黙っていることで重大なすれ違いが起こるから。
「そっか。アタシを助けてくれたのはセツナだったんだ。ありがとう」
「う、うん」
目をそらしながら冷や汗をかいているセツナちゃん。今高速でどう言い訳しようか考えてるんだろうなぁ。
「心配しなくてもセツナはアタシの家族よ。魔人だろうと、血がつながってなかろうとそれは変わらない」
「しーちゃん」
唐突な百合姉妹いただきました。キマシタワー。
なんてやってる場合じゃないな。
「えー、俺としては侵略種を吸収するセツナさんの能力は得難い物であり、さらに話が通じる魔人というのも同時に得難い物なので。ぶっちゃけるとEXCEEDSで一緒に侵略種を倒しながら成長していって最終的に親玉の原種倒そうぜって話ですね」
「ぶっちゃけすぎだよ!」
とセツナちゃん。それに難しい顔をするのはシイナさんだ。
「話は分かったけど、セツナをそんな危ないところに連れて行くわけにはいかないよ。たとえ現地のスタッフが侵略種を倒してセツナにその侵略種を吸収させるだけだとしても、お姉ちゃんは許しません」
シイナさんの言葉に「だからあなたが一緒に来るんですよ」と俺は告げる。
「セツナさんの能力は未知数ですが、ユニゾン化した2人……あ、ユニゾンとは融合ということです。さっきシイナさんの傷を治すためにセツナちゃんと融合したでしょ? アレです。その状態なら充分侵略種と戦えます」
俺の言葉に顔を見合わせる久瀬姉妹。
「詳しい話は俺の上司が説明してくれるはずです。あ、今連絡しますね」
俺はムラサメからはやてさんに連絡し、これこれこういう経緯で炎の魔人と保護者を保護しましたと連絡する。
で、EXCEEDSが求める絶好の現地人材だと。
それを聞いて頭でそろばんをはじくはやてさん。にこりと笑い話を引き継ぐ。
『初めまして。EXCEEDS総合本部の総督、八神はやてです』
そこからははやてさんの独壇場だった。
渋る久瀬姉妹にぜひ1度本部に来てくれと説得すると通信を切ってしまう。
「なんだか言いくるめられた感がすごいんだけど、アタシとセツナ学校あるし」
「大丈夫です。EXCEEDSがサポートします」
主にはやてさんが頑張りますので。
それに、と俺は彼女たちがEXCEEDSを訪ねなければならないもう1つのカードを切る。
「しばらくこの島には侵略種が寄り付きませんから、どの道この島では稼げませんよ」
「え?」
どういうことだというシイナさんの目に俺は事実を告げた。
「あの硬質化の魔人。侵略種を操る能力でこの島にいる侵略種を根こそぎ集めて久瀬さんを襲ってたから。そいつを全部倒したからもうこの島には空からしか侵略種が来ないんじゃないかな? EXCEEDS本部で働けば討伐金の他にも毎月お給料がもらえますよ」
その言葉にむむむと眉根を寄せるシイナちゃん。「しーちゃん」とセツナちゃんがぎゅっと袖をつかむ。
「今日買った食料も侵略種たちにダメにされちゃったし、友達の家に泊めてもらえるのにも限度が……。やっぱり本土で稼ぐしかない?」
「決まりましたか。では行きましょうか、荷物は後で局員が運びますので手ぶらでいいですよ」
俺は2人の気が変わらないうちにEXCEEDS本部へ招待しようと手を差し出す。
それに対し「せめてお世話になった人には連絡させて」という2人の言葉に頷き、1時間ほど近所の人に本土へ行くことを告げて回った。
で、挨拶が終わったころにはとっぷりと日が暮れ、本土へのフェリーの搭乗時間はとっくに過ぎている。
「ごめん、船の時間を考えてなかった」
「どうしよう」
顔を見合わせる2人に俺はGメモリをムラサメに挿し込む。
『ギャプラン!』
「乗ってください。一気にEXCEEDS本部へと運びます」
モビルアーマー形態に変形して久瀬姉妹を両脇に乗せる。
そのまま俺は宙を浮き、EXCEEDS本部へと向かうのだった。
EXCEEDS本部で久瀬姉妹ははやてさんを含むオーバーSランク4人娘に熱烈な歓迎を受けた。
早速EXCEEDSの活動を説明され、働く内容、やってほしいこと、休暇、通う学校に転校手続きなどを立て板に水のごとくすらすらと言われる久瀬姉妹。
あっ、これ脳のキャパ越えてるな。とりあえず詳しい話はまた明日ということでその日はなのはさんの部屋に姉妹2人泊まることに。
「いやー、よくあんなピッタリな人材をスカウトしてくれたもんや。ありがとうな司郎君」
はやてさんがバシバシ無遠慮に俺の肩を叩いてくる。
ちょ、痛いですよはやてさん。
「ほんま司郎君は女の子に手を出すのが早いなぁ。今度は年上と年下の姉妹か? 節操ないなぁ」
おや、なんかはやてさんからプレッシャーが。なんか怒ってらっしゃる?
「とりあえず明日から2人にはなのはちゃんとフェイトちゃんについていってもらうわ。引き続き魔人災害を食い止めるのと人材スカウトのお仕事、よろしくなー」
「今度の助っ人は男の子でもええで」と言って去っていくはやてさん。
なんだったんだあれはいったい。
「しろうー! おかえりー」
そんなことを考えていたらアリシアと遭遇。一緒に夕飯をいただくことに。
「こっちの世界の料理、日本のものと似てるよねー。やっぱり同じ極東だからかなー」
アリシアの言葉に「そうですかねー」と返す俺。正直味がうまければどうでもいい。
「しろうはまた唐揚げ? おいしいけど毎日は飽きない?」
アリシアの言葉に俺は首をかしげる。
え? 唐揚げってハズレのない安定料理でしょ? まずく作る方が難しい料理だよ。
ってことは世界が変わっても唐揚げは誰もが安心して食べられる安定の料理でしょ。
俺がそう言うとアリシアは難しそうな顔をする。
「うーん、わたしは司郎ほど唐揚げ好きじゃないから途中で飽きちゃうかなー。これなんか面白い味がするよ、食べてみて」
と、俺に一口大の大きさのカレーっぽい料理を勧めてくるアリシア。
こんなとき間接キスを気にするほど俺は子供じゃない。ありがたくいただく。
「甘辛い……というかフルーツの香りがすごいな。後味も悪くないし今度同じもの頼んでみるよ」
お返しに唐揚げを1個箸でつまんでアリシアの皿に移す。ギブアンドテイクだね。
「うん、しろうがおいしい物食べられてわたしも幸せだよー」
ニコニコ笑うアリシア。そこに変な駆け引きや裏表とかは一切ない。
ああ、はやてさんと話した後だと安らぐわー。
そんなことを考えていると大量の唐揚げが乗った皿を持った黒髪ロングの少女とすれ違った。
この店は頼んだものを自分が受け取る方式なのであの皿は彼女が食べるということになる。
「しろうほどじゃないけどあの人も唐揚げ好きなんだね」
こっそりと俺に耳打ちするアリシア。
一方俺は別のことを考えていた。
魔人の中には食欲で暴走の衝動を抑えるタイプがあり、さらに能力を使うことで大量のエネルギーが必要なので食物を大量に摂取する者がいるとか。
あの少女は……一応ムラサメに顔認証させておくか。ヒットしなければ無視していい。
痩せの大食いと言うか、女性のフードファイターは珍しくないしね。
それが俺と夜海トワとの初邂逅だったと後になって思い至るのだがこの時は知る由もなかった。
さて、次の日から久瀬姉妹のお仕事が始まった。
妹と融合して侵略種を倒しては吸収。なのはさんとフェイトさんが倒した侵略種を吸収してはまた吸収。
「ちょ、ちょっと待って。足が」
移動に次ぐ移動でシイナの履いている靴が炎で熔けていた。
シイナは空中移動するとき足から炎を出すのだが、靴がそれに耐えられなかったらしい。
「これは問題だね。司郎君に空を飛べるGメモリを作ってもらう?」
「いえ、これは自分の能力がうまく使えないのが問題なので。慣れます!」
なのはの言葉にむんっ! と腕を前に出しぐっと握りこぶしを作るシイナ。
(足にイメージを集中。真木君が最初に会ったとき飛んでたのを思い出して)
靴を脱ぎ集中すると炎の出力が安定してくる。
(そういえば真木君、いい身体してたなぁ。12歳とは思えないほど筋肉質で腹筋バキバキに割れてるし)
昨夜のことを思い出す。
島から本土へ送ってくれたこととか妹と自分の進学先の手続きをしてくれたこと、就職先を紹介してくれたことに対する礼を言うためにシイナは夕食後、司郎を探していた。
トレーニングルームに足を運んだ時、見てしまったのだ。
腹筋バキバキで肩に小さい重機乗せてるのかいとコールをしてしまいそうなくらい整った筋肉を。
(えー、何あれ何あれ⁉ 男の人の筋肉ってあんなきれいになるの⁉)
久瀬姉妹の姉、シイナ。17歳。
豊満な肉体を持つ彼女であったが男性経験、交際経験はない。
要するに初心なネンネであった。
そんな彼女にとって成長期とはいえ戦うことを目指して鍛え上げた男性の肉体というのは文字通り劇物だったのだ。
「おや、久瀬姉妹のお姉さん。これはお見苦しいところを」
視線に気づいたのか筋トレ中の司郎が上着を着てしまう。その前にちらっと見えた腹筋のシックスパックをシイナの脳は瞬時に記憶していた。
「ああ、うん。今日の事いろいろお礼言いたくて探してた」
とっさの言葉にしては我ながらうまくいったと思いながらシイナは彼の隣に自然に座る。
鼻から香る濃厚な雄の匂い。汗臭いと世間一般で言われる匂いだがこの時のシイナはそれを嫌とは思わなかった。
いや、むしろ興奮する。
口にこそしなかったが顔は紅潮し、息は荒くなりかけていた。
真木司郎、本人の意図しないところで貞操の危機に陥っている。
そんな彼を救ったのは他ならぬシイナの妹、セツナであった。
「しーちゃん司郎くんいたー? あっ、お話してたんだね」
妹の前ということで煩悩に偏っていた本能が理性のブレーキをかける。
あっぶね。下手すると自分より5つも年下の男の子を襲うところだった。
シイナは戦慄しつつも(いやだってこんないい身体してる真木君が悪いよ)と自分を正当化する。
久瀬シイナ。筋肉フェチに目覚めた瞬間であった。
それから妹を交えて今日のお礼を言って感謝の言葉を述べた。
それに対し司郎は「俺もここを2人に紹介できてよかったです」と人好きのする笑顔で言う。
なんかシイナの中の悪魔が「年下もいいんじゃね? お前好みに育てちまえよ」とささやいてくる。
それに対し理性という名の天使が「いいですね。あの腹筋に指を這わせながら首元の匂いを嗅ぎたいです」と言ってくる。
あれー? あなた理性さんですよねー? どうして悪魔の言葉に乗っかって欲望丸出しの言葉をささやいてくるんですかー?
「しーちゃん、しーちゃん鼻血!」
「え?」
妹の言葉に気が付けば鼻血を出していたらしい。慌てて袖で拭う。
「ユニゾンした影響もあるかもしれませんね。一応ここに来た時に健康診断はしましたがもう1度検査してもらいましょう」
とシイナをお姫様抱っこして医務室に運ぼうとする司郎。
筋肉にこの気配りとやさしさと男らしさ。2アウトってところか。
結局その夜、眠るまでシイナの頭の中から司郎のシックスパックの腹筋の映像が消えることはなかった。
「……さん、シイナさん!」
なのはの言葉に現実に引き戻される。
「火力出しすぎです! もっと抑えて!」
「え?」と足元を見るとシイナの足から出た炎で湖の表面にボコボコと沸騰するお湯のように空気の泡が出ていた。
同時に浮かび上がる魚型侵略種。すでに死体となったそれをエネルギーとして吸収する。
「意図しない方法でしたが、これでこの辺りに潜んでいた侵略種の駆除は成功です。お疲れさまでした。シイナさん」
なのはの声に「あ、はい」と生返事で返すシイナ。
言えない。
年下の同僚の筋肉のこと考えて興奮して限界突破した火力を出して湖の温度を上げて侵略種を倒しただなんて。
1度出し切ると空を飛ぶ出力は何となくこれくらいだと安定しだした。
まさに怪我の功名である。
「フェイトちゃん、雷魔法は使わなくてよくなったの。これから1度帰還します」
『了解。気を付けてねなのは』
通信をするなのはに若干後ろめたさを感じながらシイナは隣を飛びEXCEEDS本部を目指す。
(もう、おねえちゃん司郎くんのこと考えすぎだよ)
一方で姉の中で苦悩する妹のセツナ。
ユニゾンしていた彼女には姉の思考が駄々洩れだった。
彼女が最大火力を出していた時何を考えていたのかも。
そんな彼女の脳内にもユニゾンでリンクした影響か司郎の美しく整った筋肉とバキバキのシックスパックが浮かんでいた。
久瀬姉妹が姉妹そろって筋肉フェチになるのは時間の問題だったようだ。
シイナ「ショタの筋肉って素晴らしい」
セツナ「しーちゃん……」
シイナ「ち、ちがうのセツナ。これはそう、私も筋肉つけたほうがいいと思って研究を」
セツナ「大丈夫。わかってるから」
シイナ「え?」
セツナ「一緒に司郎くんのシックスパック、指でなぞろ」(ハイライトオフ)
シイナ「え? ……うん、やろうか!」満面の笑み
司郎「何するんですか、やめてくださいよ」
セツナ「司郎くんが悪いんだよ」
シイナ「そうだよ(便乗)。私たちは普通だったのに……君のせいで、君のせいで大変なんだから……」
司郎「ライダー助けて!」
はやて「EXCEEDSや! 全員その場を動くな」
司郎「助かった」
なのは、フェイト、アリシア、アインス「」ぞろぞろ
司郎「あ、あれ? みんな俺を囲んで何を?」
なのは「フェイトちゃん、司郎君のこと好きなの?(青春)」
フェイト「う、うん」
アリシア「誰もしろうを助けに来たとは言ってないよー」
アインス「7人に勝てると思ってるんですか?」
リィンⅡ「リィンも入れて8人ですぅ!」
こんな未来もあり得たかもしれない。