無能力転生者はリリカルなのは世界で生き延びたい(令和版) 作:百男合
主人公、久瀬姉妹をスカウト。はやてさんにお礼を言われる。
アリシアと食事中にあやしい女性と遭遇。
久瀬シイナ。筋肉フェチに目覚める。煩悩から魚型魔物を一掃。
「八神さん、ムラサメが集めた情報で問題ありそうなものをピックアップしてまとめました」
俺はこの数カ月ムラサメで集めた情報の要点だけまとめた書類をはやてさんに渡す。
その大半は政治家の汚職や警察の収賄、自治体の公金の中抜きにピンハネ、報道の圧力関係などが羅列されていた。
「いやあ、ここまでアレやと清々しいなぁ逆に。三権分立とマスコミが機能せえへん世界ってどうなんやろ?」
そこで俺に振らないでくださいよ、と思いながら俺は情報を精査する。
この世界の政治は思った以上に腐っていた。
魔人になる薬の横流し、侵略種を兵器として利用。本来犯罪者を捕まえるはずの警察は罪状のでっち上げや賄賂が横行し、それを報道する立場のマスコミは報道しない自由と偏向報道を繰り返す。
どれも1つ明るみに出れば大事件になるようなことが裏では平気で行われているのである。
ぶっちゃけると「これ、どこに訴えればいいんですかね?」状態だ。
「こうもぐちゃぐちゃやとどれから切ってええか迷うわー。健全化させるにはもっと強い圧力が必要やね」
はやてさんがそういうが国連もヤバそうなんですよねー。
というか、この世界の政治が終わってるというかなんというか。
権力者にとことん甘い世界というか、各地で革命家が立たない理由がわからんくらい無茶苦茶やってる。
まあ、1番の理由は侵略種なんだろうけどね。もしある日侵略種がいなくなったら政治が混乱する姿が見える見える。
「いっそのことEXCEEDSが世界を支配して独裁政治でもしますか?」
「ハッハッハ、無理無理。管理局が手ぇ貸すわけないし。なにより規約違反やろ」
はやてさんは笑っているが頭に血管が浮き出てる。これ、静かにキレてるな。
「あぁーもう! どないせえっちゅうねん! こちとらまだ13歳の乙女やぞ。こんなどこか切ったら連鎖して崩れるようなジェンガみたいな世界、やっとられんわ!」
そう言って不貞腐れるはやてさん。これは1人になる時間が必要ですね。
「じゃあ、俺は30分ほど外に出てますので存分にキチゲ解放してください。大丈夫です。30分は誰も部屋に入れませんから」
「ちょい待ち!」
部屋から出て行こうとする俺を呼び止めるはやてさん。
「今、司郎君は私の騎士やんな?」
「はい。まあ、ヴィータさんにそう言われましたから」
何が言いたいのかわからず返事すると、ソファーを指差し座るように促される。
「えっと?」
「褒めて」
「え?」
「私の事褒めて」
ソファーの隣に座り、ギュッと俺に抱き着いたはやてさんがそんなことを言い出した。
「八神さんは頑張ってますよ。自慢の主です。4人の守護騎士たちが各国で働けるのは八神さんを信用してるからですね」
「名前。2人きりの時は八神さんやなくてはやてって呼んで」
これは相当疲れてますね。俺は上司を慰労するため命令を実行することにする。
「はやてさんはすごいです。その歳でEXCEEDS総合本部の総督を務めるなんてなかなかできることじゃないですよ」
あ、はやてさんが胸板に顔をうずめてぐりぐりしだした。これは気持ちいい褒めポイントじゃないみたい。
「はやてさん料理上手ですよね。俺、結婚するならはやてさんみたいにおいしい料理作れる人がいいなー」
あ、ぐりぐりが止まった。小さな声で「フヒッ」って言ってる。これは嬉しかったみたい。
「それに髪型。大人っぽくなって素敵ですよ。多分俺たちの中で1番大人っぽいのがはやてさんじゃないかなー」
ぐりぐりを再開。あ、これは嬉しくないんですね。
その後も俺は「仕事ができる女性って素敵だなー」とか「今日のはやてさんいい匂いだなー」とか言って過ごした。
で、きっかり30分後。
そこには肌をつやつやさせたはやてさんがいた。
「よっしゃ、気合入った。これからお仕事頑張るでー!」
言うが早いか書類を高速で処理していくはやてさん。
よかった。元気になったようで。
俺は「失礼しました」と言って部屋を出るとフェイトさんと遭遇。
「あ、司郎。今日も魔人関係の調査?」
「ええ。テスタロッサさんは高町さんと久瀬姉妹の侵略種退治のお手伝いですか」
「うん、途中まで一緒に行こう」
歩きながら俺たちは近況を話す。
魔人犯罪の事、侵略種の事、久瀬姉妹の事。
「そういえば俺が作ったデバイスどうです? 久瀬シイナさんに合わせて銃型にしてみたんですが」
「好評だよ。司郎がシイナの使ってた銃の癖を再現したおかげでまるで長年連れ添ってきた相棒みたいだって」
その時のことを思い出したのか、フェイトさんがほほえましそうに笑う。
あぁ~推しの笑顔が尊いんじゃー。
「妹の方、セツナちゃんとはどうです? 話してる?」
「うん。現場に行くまでになのはとね。お姉さん想いのしっかりした子だよ。私たちと少ししか歳違わないのに」
いやいや、あなただって年齢の割にしっかりした子でしたよ。
ただ世間知らずだっただけで。
「ところで司郎、シイナとよくトレーニングルームで話するんだって? 一体何話してるの?」
「えーっと今みたいに近況報告とかですね。あと守護騎士たちの事とか。特に俺を鍛えるのに熱心なヴィータさんを尊敬してるみたいですよ」
なんかヴィータのことを筋肉を生み出してくれた神と崇めていることは話さないでおこう。彼女の名誉のために。
「ふふ、実物見た時の反応が楽しみだね」
「ええ。そのために俺、ヴィータさんの写真はシイナさんに見せてません」
この時2人の心は1つになる。
絶対面白いことになりそうだから黙っていようと。
「なのはとはやてにも黙っておくよう連絡しておくね」
「助かります。それとシイナさんがEXCEEDSで働くことで快く思わない魔人たちが出てくるかもしれないので心構えを。結構有名になってますからね。魔人を吸収する炎の魔人の話は」
主に警察や政治家関連の情報だけど。彼らとしては自分たちの商売を邪魔するシイナにいらんちょっかいをかける機会を待ってるかもしれない。
その前に俺が鎮圧できればベストなんだけどね。
「わかった、なのはにも気を付けるように言っておく。それで、司郎は今後どう動くの?」
「ええ、ちょっと魔人狩りっていう組織のスカウトに」
俺の言葉にフェイトさんは足を止めた。
「ちなみに構成員は? 男女別で」
「リーダーの女性が1人とそれに従うのが3人か4人。バックアップが何人かですね。いずれも目撃証言では女性です」
俺の言葉にフェイトさんはじとーっとした目をした後ため息をつく。
「はやてがまた怒るよ。女の子ばっかり連れてきてって」
「それなんですよねー。どうしてこの世界って戦力になりそうな子が女の子ばっかりなんでしょう?」
やっぱりリリカルなのはだからかなぁ。主人公なのはさんだし。
「司郎の場合、それだけじゃないと思う」
「え? それはどういう意味です」
問いかけるとフェイトさんはべーっと舌を出してかけていく。
「おしえてあーげない」
あ、推し様の珍しい顔。保存しなきゃ。
そう思っている間にフェイトさんはなのはさんと久瀬シイナさんと一緒に行ってしまった。
あとに残された俺はムラサメに「今のフェイトさんの映像撮れた?」と尋ねるのだった。
さて、件の魔人狩りという組織。
リーダーは氷の能力を使う刀使い。
それをサポートする3人ないし4人。うち1人は戦闘要員。
ヤベー握力で現場を無茶苦茶にしてるらしい。
その4人のアジト。ムラサメネットワークでも探しきれないんだよねぇ。
おそらくどこかインフラのない孤島か別次元に基地でも作ってそこから能力で移動してる?
そんな仮説を立てたが魔人の能力における研究がそこまで進んでないのでわからんというのが本音。
30年もあったのに何やってんだよこの世界の科学者。
さて、今日も今日とて魔人関連のお仕事である。
現在俺は侵略種を不法に輸出している組織の前にいます。
というのも情報源はムラサメネットワーク。つまり確定ということで荒事専門のGメモリで行く必要がある。
『マスター!』
とりあえず近接格闘特化のマスターを選択。
敷地内に入ると血の臭いがした。
これは、一歩遅かったか。
急いで中を調べると惨殺された死体。断末魔の表情のまま凍らせられた成人男性。
いずれもカタギに見えない方々だ。
奥へと行くと巨大な檻に侵略種の死体の数々。小さい檻はエサ用の子供が入っていたのだろう。胸糞悪い。
とりあえず俺は何か魔人狩りの痕跡がないものかと周囲を捜索しようとしたら……コンクリートのでっかいカケラが襲ってきた。
「ちぃっ!」
あ、ちなみに声を出したのは俺じゃないぞ。ちゃんとコンクリートのカケラは受け止めて床に置いておいた。
攻撃があったほうを見ると黒いマスクをしたギャルっぽい女性がこちらをにらみつけている。
「あー、こちらに敵意はないです。できれば話し合いたいんですが」
「ふざけんな、この人でなしが!」
俺の言うことを聞かず魔人化した腕で自分の身体より大きい檻をぶん投げてくる女性。
年の頃はシイナさんと同じくらいか。
それにしても人でなしとはご挨拶な。こっちは立派な公務員ですことよ。
あ、この世界の公務員って基本腐ってるからなぁ。そういった意味では人でなしかも。
「魔人化する薬だけじゃなくて、侵略種を飼って子供を食わそうとした奴が人でなしじゃなくて何だって言うのよ!」
???
ああ、なるほど。
俺のこと、ここにいたヤのつく自由業の仲間だと思ってる?
だとしたらあの態度にも納得だ。
とりあえず俺は両手を振って必死に否定する。
「違う違う。俺、ここの組織の人間じゃない。無関係」
「信じられるかぁ!」
うーん、人の話を聞かない子だなぁ。仕方ない。
俺は彼女までの距離を詰めると軽くみぞおちに拳を打ち込む。
「がっ!?」
それからビームクロスで腕を縛り、バインドで身体全体を拘束した。
こういう相手にはわからせが1番。なのフェイで俺、学んだ。
「少しは俺の話を聞いてくださいよ。俺、ここを調べに来た人。侵略種の違法輸出について調べにここに来たの」
そう言って倒れた彼女の前にかがんだ時である。
寒気がした。
思わずその場を飛びのくと床を走る氷。
目をやると暗闇でも赤く見える腕と歯がむき出しになった仮面をした女性がいた。
「ユーナ、無事?」
「トワちゃん!」
なるほど、魔人狩りの2人の名前はトワとユーナというのか。メモメモ。
俺は努めて冷静に2人に話しかける。
「あなたたちが有名な魔人狩りですね? できればゆっくりお茶でも飲みながら話をしたいんですが」
俺の言葉にトワと呼ばれた女性は赤く光る髪をなびかせ刀を構えた。
「刀も赤いんですね。特注品ですか? かっこいいー」
交渉の場ではとりあえず相手を褒めること。これ鉄則。
なのに相手から向けられる殺気が強くなったような。おちょくられたと思われてる?
「消えろ」
うわ、冷気が部屋全体を覆ってる。これは本気ですね。
俺は構えをとる。ここから先は命のやり取りになるかもしれない。
武器が刀なのは幸いだ。ビームクロスで取り上げて無手になったところに拳を叩き込む。
そう思い俺が駆けだそうとした瞬間だった。
「これは」
クモの糸がいつの間にか俺を拘束していた。
そういえば魔人狩りは4人のチームだった。ということは他にも能力者がいたのか。
「トワさん、こっち!」という女性の声。見ればキャップを被った明るい髪の女性が脱出口で銃を構えていた。
トワと呼ばれた女性は拘束されたユーナを担ぐと脱出口へ向かう。
そして俺に向かって撃たれる銃弾。こいつら容赦ねえ!
「嘘ぉ⁉」
銃を撃った女性の素っ頓狂な声が響く。
ふっふっふ、マスターの運動性を見誤ったな。このくらいの速度の銃弾なら手でつまんで止めるなんて芸当もできるのだよ。
このためにクモの巣につかまった右手をわざと破壊して再錬成した。この蜘蛛の巣、拘束力が強い。
「あなたたち魔人狩りと共闘したい。俺と所属する組織は君たちの目指すところと同じだと思うんですが」
去っていくトワと呼ばれた少女に向かって声を放つ。
返ってきたのは睨み返す瞳だけだった。
撤退していく魔人狩りたち。俺は蜘蛛の巣を錬金で分解し、拘束を解く。
「振られちゃったなぁ」
まあいい。魔人犯罪を追っていればまたどこかで会うだろう。
俺はその時のために今度は手土産を用意しなくてはと思いながら警察へ通報したのだった。
腐った権力だけど給料分は仕事してくれよと思いながら。
なのは「はやてちゃん、なにかいいことあったの? すごくうれしそうなの」
はやて「そ、そう? 気のせいちゃうん?」
フェイト「肌もつやつやだよ。しっかり睡眠とったんだね」
はやて「う、うん。まあな」
なのは(あやしいの)
フェイト(うん、あやしいね)
アリシア「はやてもしろうにぎゅーってしてもらったの?」
はやて「ぶはっ⁉」
なのは「!?」
フェイト「!?」
アリシア「あれ、気持ちいいよねー。なんか胸の奥がドキドキしてきてあったかくてぎゅーっとなって」
はやて「ちょ、ちょい待ち! あれうちだけにしてくれたんやないの⁉ アリシアちゃんも司郎君に頭なでてもらいながら抱きしめてもろたん?」
アリシア「ううん、そんなことしてもらったこと1度もないよ」
なのは「え?」
フェイト「え?」
はやて「え?」
アリシア「こういうこと言ったら白状してくれるかなーって。そっかー頭なでてもらったんだー」
はやて「あうあう」(顔真っ赤)
なのは「すごいのアリシアちゃん」
フェイト「アリシア姉さん……恐ろしい子!」