無能力転生者はリリカルなのは世界で生き延びたい(令和版) 作:百男合
はやてさんと休暇を過ごしたことをなのは、フェイト、アリシアに詰められる。
トワさん魔人狩りたちに仕事を依頼。信頼度はまだまだ足りないようで。
司郎くんを追跡するシオリ、アオイ、ユーナの3人。本人にはバレバレでした。
時は少し巻き戻る。
真木司郎と八神はやてが3日間の休暇を得ている間。久瀬姉妹は海外にいた。
というのも国内の主だった侵略種を全部倒してしまったからである。
主に高町なのは、フェイト・テスタロッサ、アリシア・テスタロッサの手によって。
シイナももちろん侵略種と戦っている。が、大型級の戦闘ともなると戦闘値の違いというのをまざまざと見せつけられるのだ。
たった13歳の子供たち。いったいいくつ修羅場をくぐればここまで強くなるのかと思わずにはいられない。
これほど正しく「世界が違う」という例を見せつけられれば自分以外のハンターたちが戦意を失うのもしょうがないと思う。
脚をつぶされ、腕をつぶされ、両目をえぐられ顎を砕かれた巨大侵略種を前にして「シイナさん、とどめをお願いします」と言われた時は笑うしかなかった。
うわ、アタシの同僚強すぎと。
それはセツナも同様らしく、「あの3人とは絶対ケンカしないようにしようねしーちゃん」と移動中抱き着いて言われた。
大丈夫よ妹よ。あなたのことはこの姉が守ってみせる。
とりあえずは信頼しあえる関係を築かなければ。
シイナは猛獣使いになったような気持ちでなのはとフェイトに話しかける。
「ところでなのちゃんフェイちゃん。今度行く海外の侵略種ってどんな敵なの?」
「今回は私たちの仲間と連携しての作戦になります。具体的に言うとはやてちゃんの家族とだね」
その言葉におや? とシイナは思う。
「総督さんの?」
「うん、すっごく強い4人なんだよ。1人はシイナもよく知ってるあの人だよ」
その言葉にシイナの目が輝く。
「じゃ、じゃあ会えるんですか⁉ あのヴィータさんに!」
憧れのスポーツ選手を前にした子供のような表情のシイナに、なのはとフェイトは頷いた。
八神ヴィータ。
その存在を知ったのは真木司郎との会話からだった。
彼いわく赤い悪魔。肉体トレーニングの助言は確かなのだがいかんせんメニューがきつすぎるとのこと。
シイナが大好き……いや、大好物の司郎の筋肉のシックスパックもその人のおかげでできたと聞いた。
つまり、自分にショタ×筋肉という性癖を気づかせてくれた恩人である。
そんな人と会える任務だと言われたら? 張りきるしかないでしょう!
「ヴィータさんかー。楽しみだなー。やっぱり自分も筋肉モリモリだったりするのかなー」
ワクワクするシイナを見てはしたないよと叱るセツナ。
それを見て含み笑いをするなのはとフェイトの2人に久瀬姉妹は気づかなかった。
「統合本部SPチーム、北部方面駆除部隊体調のザフィーラだ。今回の駆除活動の応援、大変助かる」
筋肉モリモリマッチョマンの獣人だー!
シイナは思わず駆け寄ろうとしたが名乗った名前に思わず固まった。
「え、ザフィーラ? ヴィータさんじゃないんですか?」
「俺とヴィータを間違えるやつがいるとは……司郎以来だが面白いやつもいたものだな」
シイナの言葉にくくっと笑いながら言うザフィーラ。
振り返りなのはとフェイトを見るシイナ。それに2人は頷いた。
「シイナさんのイメージ通りの人だったんだろうけどその人はヴィータさんじゃないよ」
「そうそう」
「ヴィータ「さん?」お前ら、何を考えているんだ?」
ザフィーラの不審そうな視線をものともしないなのフェイ2人。それにシイナは内心がっかりしながらも目の前の男の筋肉を見る。
シャツの上からだが均整の取れたいい筋肉だと思う。
だが胸の奥からこみ上げる熱がない。やっぱり司郎君が特別なのかな? とシイナは不思議に思った。
「とりあえず作戦を説明したい。駆除対象の数は多いがやれるか?」
「はい、もちろんです。アタシとセツナは最強のコンビですから」
ザフィーラの言葉にセツナを抱きしめ肯定するシイナ。
それにザフィーラは頼もしいと思える笑顔を浮かべ、なのはとフェイトを連れて作戦本部へと向かうのだった。
「昨日の巨大侵略種はすごかったねー。まるで歩くカジキマグロみたいでとっても奇妙だったの」
いや、奇妙なのは笑顔で特攻してくる巨大侵略種に魔力弾を撃つためにギリギリまで引き寄せて1撃で仕留めたあなたなんですが。
という言葉を飲み込んで、「そうだねー」とシイナは言うしかない。
この2人の異常性を司郎から聞いていたが、改めて再確認させられた。
この娘たち、絶対人間として必要な何かが欠けている。危機管理的な何かが。
「そういえばなのちゃんフェイちゃん、同じペンダントしてるんだね。おそろなの?」
ふと目に入ったなのはの首から下げられたペンダントを見て疑問を口にする。
見た目は翼の生えた指輪だ。
それがネックレスと一緒になって首元から垂れているのだ。
「うん、これ司郎君が作ってくれたんだー。ねー、フェイトちゃん」
なのはの声ににっこりと笑顔で同じペンダントを見せてくるフェイトの姿に「へぇ」とシイナは興味深そうに前のめりになる。
「それはどんなきっかけで? 詳しく」
「私の誕生日に司郎君が錬金で作ってくれたんだ。小指用の指輪だったんだけどさすがにもう指に入らなくなっちゃったから今はペンダントにしてるの」
大切そうに胸元にしまうなのはに、大事なものなんだなぁと思いながらシイナは気になった言葉を告げる。
「錬金?」
「そういえばシイナは見たことがなかったんだっけ。司郎の錬金」
シイナの疑問にフェイトが会話を引き継ぎ、説明してくれる。
「司郎が使ってるGメモリ。あれも広い意味では錬金の成果なんだけど、うーん。今度見せてって言ったらすぐ見せてくれると思うよ。その時はシイナさんとセツナちゃんの銅像ができるかな」
「え、銅像ですか?」
想像してあまりにも場違いなものが自分の部屋に置かれている現場を想像し、久瀬姉妹は「うーん」とうなる。
「心配しなくてもあまり大きくない手のひらサイズの大きさのものを作ってくれるはずなの。そろそろつくから準備してね」
「あっ、はい」
なのはの言葉にシイナは妹の手を握り着陸の準備をする。
今日こそは憧れの人に会えるかもしれないという期待を込めて。
到着した瞬間ピリッとした空気がシイナを包んだ。
まるで練習中の剣道場に入ったような圧迫感と緊張感。
そのオーラを放つ中心にいたのはポニーテールの剣士だった。
「あ、あの! あなたがヴィータさんですか!」
期待を込めて言葉を告げたシイナだったが、その言葉は否定されることになる。
「いや、私はシグナムだ。統合本部前線指令を任されている。主はやてとザフィーラから君の活躍は聞いてるぞ。よくやっていると」
夢女子が出そうなキリッとした女性の言葉に「そうですかー」とシイナは口から魂が出て行くのを感じた。
違った。イメージピッタリだったのに。
彼女がコーチなら喜んで訓練しそうな女の子の友達、島にいたなぁと考えてたのに、と。
「しーちゃんしーちゃん、ちゃんとあいさつしなくちゃ」
おっとそうだった。
「久瀬シイナです。この度は侵略種駆除に呼んでいただいてありがとうございます」
「いや、こちらから言い出したことだ。昨日の今日で悪いな。ゆっくりとした休息も必要だろうに我々の都合につき合わせてすまない」
ぺこりと頭を下げるシグナムにうわー、きれいな人! とシイナは改めて思う。
島にいた友人がここにいたらこれだけで失神しちゃうんじゃないかと。
「今回の大型種退治だが……まあ、テスタロッサたち2人がいれば安心だろう。君は侵略種の吸収に集中して退治は我々に任せてくれ」
そう語るシグナムの背中には頼もしさがある。
なんだろう、この人についていけば安心、みたいな。
そんなことをシイナが感じているとセツナが袖を引っ張ってきた。
「なんだか、かっこいい人だね」
「そうだねー。じゃあ、セツナ。一緒に行こうか」
今日こそは戦力になるぞ! と覚悟しながらシイナはセツナと融合し、炎の魔人の力を得て作戦に参加するのだった。
「3日連続の海外出張ですが疲れていませんか、シイナ。必要なら休暇を申請してください」
「いえ、大丈夫です」
アインスの言葉にシイナは首を振りそれを否定した。
確かに昨日、自分とセツナは飛行機に乗り海外へ行ってとんぼ返りしてきた。
だが任務内容はほぼ倒した侵略種の吸収のみだったし、大型侵略種もなのはとフェイト、そしてシグナムの独壇場で自分は何もできなかった。
いや、正確にはさせてもらえなかっただろうか。3人は必要以上にシイナとセツナが怪我をすることを恐れているような気がする。
まるで自分が替えのきかない重要人物であるかのように。
そりゃ、侵略種を吸収できるという能力は稀少なものなのだろうけど、自分は自分で守れるし、もうちょっと頼ってくれてもいいと思うシイナなのだが。
(正直、セツナと融合……ユニゾンだっけ。しないとアタシってただのハンターだし)
かつて司郎が説明してくれた言葉がよみがえる。
司郎のいた世界ではシイナとセツナが行った融合はユニゾンと呼ばれる状態に近いらしい。
もっともユニゾンは専用のデバイスというものが必要らしく、シイナとセツナのものとは別物らしいが。
能力を爆発的に上げ、攻撃手段が増えるというのはあっていると思う。
つまり自分は妹と一緒でようやく1人前。1人では半人前以下なのだと改めて突きつけられたようだ。
目の前にいる2人は間違いなく一流のハンターだと思う。
それにおんぶにだっこなのは正直どうなのか。
そんなことを考えていたらフェイトが隣にやってきた。
「どうかしたの? 顔色悪いよ」
「アハハ、さすがに3日連続だと酔っちゃいましたかね」
とおどけるシイナだったが、妹の目は誤魔化せないようで。
「しーちゃん、自分が足手まといじゃないかって心配してるんですよ。皆さんに侵略種を倒してもらって、自分は何もできてないからって」
「ちょ、セツナぁ⁉」
思わず情けない声が出る。それにクスクスと笑うフェイト。
「足手まといだなんてとんでもない! シイナさんの活躍は私たちも知ってますし。現場で2人がなんて呼ばれてるか知ってます? 炎の女神ですよ。炎の女神」
フェイトの告げた事実に思わず顔が赤くなる。
なんだ女神って。アタシそんな大したことしてないのに。
「侵略種の死体処理って結構大変なんですよ。特に大型ならなおさら。それを吸収してくれるお2人には感謝の言葉しかありません。本当にありがとうございます」
ぺこりと頭を下げるフェイトに慌てて頭を上げるように言うシイナ。
「ちょ、やめてよフェイちゃん! アタシは自分がその、戦闘面で役に立ってないのが心配でそれで」
「なーんだ。そんなことで悩んでたんですか」
シイナの言葉を聞いたなのはがコクピットからやってきた。笑顔で。
「だったら今日はちょうどいいかもしれませんね。いいアドバイスがもらえそうです」
「え、それってどういう……」
そんな話をしていると目的地に着くアナウンスが聞こえたのは同時だった。
「アタシが統合本部戦術教導官
「え?」
シイナはその言葉を信じられなかった。
この人がヴィータさん?
セツナと同じかそれより年下に見える赤髪の三つ編みの少女がヴィータさん?
自分が見ほれるほど美しいあの筋肉を作ったヴィータさん?
気が付いたらシイナはヴィータの目の前にひざまずいていた。
「ん? どうかしたか? 飛行機の中で気分でも悪くなったか?」
「……か」
ぼそりと言ったシイナの言葉を聞き返そうとするヴィータ。
「え? なんだって?」
「あなたが神か!」
ヴィータの手を握り熱っぽい瞳で見つめるシイナ。
「な、ちょっ、おい! なんだテメーは⁉」
「あの美しく整ったシックスパックと肩甲骨に僧帽筋! 今目を閉じても思い浮かべられます。もう1度言います。あなたが神なんですね!」
訳が分からずシイナからとりあえず離れようとするヴィータにそれを許さないシイナ。それをニコニコと笑いながら見ているなのフェイ。
「お前ら、これがどういう状況なのか説明しろ説明!」
「この娘はヴィータちゃんの作品のファンなの。しっかりファンサービスするといいの」
「そうだよヴィータ。シイナはヴィータが作った司郎の筋肉の大ファンなんだ」
2人の言葉に「意味わかんねえよ!」と返すヴィータ。
「ヴィータさん、ヴィータさんには感謝してるんです。おかげでアタシ、新しい性癖の扉が開いたから……ショタに筋肉って素敵ですよね」
「知らねえよ! おい、なのは、フェイト! こいつなんとかしろ!」
珍しくうろたえるヴィータを見ながら目的とは違ったけどこれはこれで面白いからいいかとムラサメのカメラ機能で動画を撮影するフェイトだった。
ヴィータ「で、アイツは元気してるのかよ」
セツナ「アイツ?」
ヴィータ「あー、司郎のことだよ」
シイナ「はい、真木君は毎日ヴィータさんの送る修行メニューをしてます!」
ヴィータ「お、おう。そうなのか。まあ、当然だよな。アイツがアタシのいない間のはやての騎士なんだから」
なのは「ヴィータちゃん。司郎君がはやてちゃんの騎士っていうのはやめた方がいいと思うの。だって本部にシャマル先生いるし、騎士は1人で充分でしょ?」
ヴィータ「いーや、必要だね。アイツがアタシのいない間はやてを守る騎士になるって言うからアタシははやてのそばを離れてここで教導官なんてやってるんだぞ」
フェイト「ヴィータの評判は聞いてるよー。子供先生っていわれてみんなに慕われてるそうじゃない」
シイナ「神を子供扱いだなんて失礼すぎる!」
ヴィータ「いいんだよ。こんな見た目だからな。それに、育ててみればそれなりに愛着もある。みんなアタシのかわいい生徒だよ」
生徒A「ヴィータ教導官……」
生徒B「そんなに私たちのことを」
生徒C「やばい、母乳出そう」
ヴィータ「おい、最後の言ったやつ。お前だお前、外周10周の後懸垂50回追加な」
生徒C「イエスマム! ご褒美ありがとうございます!」
ヴィータ「あんな変な奴もいるしな。司郎がいかにマトモだったかを思い知ったよ」
なのは「それは……なんといっていいか」
フェイト「心を強く持って、ヴィータ」(それはそれとして動画を司郎に送る人)