無能力転生者はリリカルなのは世界で生き延びたい(令和版) 作:百男合
久瀬姉妹となのフェイによる全世界侵略者退治の旅。
八神家の面々と知り合うシイナとセツナ。
その中には憧れのヴィータの姿もあった。
成長痛超痛ぇ。
脚とかはそんなことないけど胸と腕が超痛い。前世もここまでじゃなかったと思うんだが。
喉もなんか詰まったような感じがするし、、変声期かな? とりあえずのど飴をいただこう。
今俺は海外の巨大侵略種原種3号と4号が近くにいる魔人化薬の生産工場にいる。
今回の任務は魔人狩りたちと工場内のデータ収集。および破壊が目的だ。
空に瞬く星が浮かぶ夜。出発したのは昼だったのに海外と瑞穂の時差と移動時間でこうなった。
こういう時ほどどこでもドアが欲しいと思うことはない。
「時間通りね」
そんなことを考えていると夜海トワさんたち魔人狩りが集合。今日は5人か。
「工場の敷地が広いから手分けしましょう。あなたと私。シオリとユーナ。アオイとユズの3チームで」
「了解ですトワさん」
夜海トワさんの言った班になり散っていく魔人狩りたち。
ふむ、俺はトワさんと一緒か。
「どうかした?」
「いえ、この組み合わせは信用されてるのか警戒されてるのか。どちらかと思いまして」
俺の言葉に目を細めるトワさん。あれ? 何か気に障った?
「さあ。どっちにしろやることは変わらないから。行こう」
そう言って夜闇に溶けるような黒い外套を着たトワさんの後を俺は急いで追うのだった。
同じ頃、EXCEEDS所属の飛行機が巨大侵略種原種3号と4号を目指して向かっていた。
「へぇー、そうなんだ。フェイちゃんと真木君はそんな出会い方してたんだ」
「うん。私の探し物を手伝ってくれて家に泊めてくれた上にご飯までくれて。本当によくしてくれたんだ。で、その時うまくいってなかった私と母さんとの仲を取り持ってくれたり、姉さんの復活を手伝ってくれたり。本当に司郎には返しきれない恩があるんだよ」
久瀬シイナとフェイト・テスタロッサがおしゃべりしていた。
今はそれぞれが真木司郎と出会った頃の話をしている。シイナが話し終えたので今度はフェイトが彼と初めて出会った頃の話をし始めたのだ。
「あの頃の私、世間知らずだったから司郎が居なかったら悪い人に騙されてたかも。そういった意味でも司郎と真司さんとルヴイアさん……真木家の人には感謝しかないんだ」
「家族ぐるみの付き合いなんだ。すごいですね」
身近にいる彼の知らない面を知り、若干興奮するセツナ。それにシイナは優しい顔をする。
「いつかアタシたちもご挨拶できたらいいね。セツナ、司郎君がいる地球? っていう場所今度行ってみる?」
シイナの唐突な提案にええっ! と驚くセツナ。それにフェイトが笑いながら言う。
「侵略種を全部倒したら喜んで招待するよ。でも、今ルヴィアさん……司郎のお母さんは妊娠中だから、あんまり会えないかも」
「え? 妊娠⁉ 家族がそんな状態なのに司郎くん働いて大丈夫なの?」
驚くセツナの言葉にあ、この状態で働くのってこの世界じゃ異常なんだとフェイトは初めて気づいた。
「だって妊婦さんなのに息子さんが遠くで怪我とかしたら絶対心配なはずだよ! どうして司郎くんは働いてるの?」
「あー、ごめん。その発想はなかったとしか言えない」
フェイトの言葉にええっ⁉ とシイナが驚く。
「いや、一応言い訳させてもらうんだけどね。司郎のお父さんって私たちが教わるくらい強いゴーレム使いなんだ。お母さんもお医者さんだし、心配ないかなーって」
「わかってない! 全然わかってませんよフェイトさん!」
セツナが説教するように腰に手を当ててフェイトに言う。
「家族って、近くにいても心配せずにはいられない存在なんですよ! それが妊娠中ならなおさらです! 島にいた時も奥さんが妊娠してるのに本土に働きに行くっていう若い人を島にいたおじいちゃんおばあちゃんが説教して大変だったんだから」
「あー、そんなことあったなー」
セツナの言葉にシイナも思い出す。
妊娠した奥さんのために本土へ行って割のいい仕事をするはずだった青年を囲むじいさんばあさん。
そして始まる説教。説教。また説教。せめて生まれるまでこの島にいろ。生まれてから1年は俺たちで支えてやるからという老人たちの言葉に押され、結局青年は本土にわたることはなかった。
あれは島の一大事件だったなぁとシイナの記憶にも残っている。
「しーちゃんもそう思うよね!」
「え? いやアタシは……本人と家族が納得してるなら別にいいかなと」
姉の言葉に盛大にため息をつくセツナ。
「しーちゃん、ちょっと座って。フェイトさんも」
いや、この航空機の中では座るしかないんですが。
そんな言葉を飲み込み、セツナ先生による妊婦さんは大事にしないといけないというお説教が始まった。
そういえばセツナは島のおじいちゃんおばあちゃんにかわいがられてたっけ。
そんなことを思い出しながら、早く目的地に着かないかなーと思うのだった。
「データ収集完了。魔人化薬も回収済み。あとは地下ですが、行きますか?」
ムラサメを使い端末を操作していた俺はトワさんに声をかける。
「そうだね、一応見ておこう。データ上では誰もいなかったけどもしかしてということもある」
トワさんを先頭に工場を行く。地下室の入り口はすぐ見つかった。
まるで以前にもここに来たことがあるようにすぐトワさんが見つけたのだ。
「ここに来たことが?」
「いや、でも私が育った施設と同じ構造だったから、多分ここら辺かなと」
階段を下りていくトワさんに声をかける。
「育った施設について聞いても?」
「構わない。隠すことでもないから」
それから俺はトワさんの過去を聞いた。
集められた孤児。魔人化薬の投与。エサを与えられ能力を発現させた者だけが生かされるシステム。
ある程度育ったら魔人化させた少女同士を戦わせ、勝ち残った者が生き残ることが許されるという弱肉強食の世界。
そこから逃げ出せたのは偶然。死体の運搬途中の車を侵略種が襲ったから。そこで彼女は1組の男女に拾われて夜海トワになったと。
「その、ご両親は」
「死んだよ。航空事故に見せかけた炎の魔人による自爆テロに巻き込まれて」
俺はその言葉に息をのんだ。
炎の魔人……これセツナちゃんと会わせたらアカンやつや。
どうすんだよ。シイナさんという爆弾を抱えたうえ妹のセツナちゃんという新しい爆弾も抱えちまったよ。
「だから、私は魔人を許さない。人を傷つける魔人や魔人化薬を利用する人間も全部」
「つまり、その施設を運営していた人間の事ですか?」
俺の質問にトワさんは頷く。
「篠宮マナと蔵木エイジ。私はあいつらを許さない」
あ、殺意の波動が漏れてる。これは相当恨みが根深そうですね。
一応ムラサメに確認とっておくか。
「ムラサメ、今聞いた2人のデータ。なんかある?」
『魔人カルテルのデータに頻出する名前です。警察やマスコミ関係にもかなり食い込んでいますね。蔵木エイジは複数のセーフルームを所有し、各国の政府関係者や軍にも顔が効くようです』
「あいつの居場所がわかるの⁉」
ムラサメの言葉に先を行くトワさんが振り向いた。
『当然です。私は優秀なデバイスですから。彼のアクセス履歴をたどれば現在彼がいるのは瑞穂の』
「待て、ムラサメ!」
俺は慌ててムラサメに言葉を止めるように命令する。
「なぜ止めたの? その情報を私は喉から手が出るほど欲しいのだけれど」
「ええ、でしょうね。だから、取引です」
俺は落ち着くようにトワさんへと言い聞かせ、条件を告げる。
「この情報が欲しければ、魔人狩りはEXCEEDSに所属してください。そして指示に従ってもらいます」
俺は慎重に言葉を選びながら話を進める。一歩間違えればすべてが水泡に帰すからだ。
「あなたたちの身柄が最大限守られるように、作戦を立てます。それにもし失敗して亡命でもされたら俺たちはそいつらを2度と捕まえられないから」
「失敗なんてしない。いいから、教えなさい」
赤い刀を抜いて完全に戦闘モードのトワさん。
やばいなぁ。俺の言葉なんて耳に入ってないみたいだ。
「あなただけなら自爆覚悟で特攻するのもいいでしょう。でも、今のあなたには仲間がいる」
俺の言葉にトワさんの目に一瞬正気の瞳が戻った。
「仲間を自分の復讐につき合わせるつもりですか? 復讐するななんて俺は言いません。ただ、やるからには完璧ですっきりするやり方をしようと言ってるだけです」
「その方法って何?」
トワさんの殺気をその身に受けながら、俺は冷たい地下室で息を吐く。
「やつの悪事をすべてバラします。そのうえで被害者の1人としてあなたに同情を集めさせて世論を誘導し復讐を正当化させます。EXCEEDSに所属していれば服務規程上の突発的な殺人として優秀な弁護士を使って無罪を勝ち取ります」
「そんなの、できっこない!」
「いや、できそうなんですよねー。うちの上司、優秀だから」
俺の言葉に狼狽えるトワさん。
これはもう一押しかな?
「それにEXCEEDSいいところですよー。侵略種狩りで世間からのイメージはいいし、魔人化薬の摘発で一部の政治家や公権には嫌われてますけどまともな警察関係者からは感謝されますし」
トワさんに向かって歩いていく。
「専用の寮にトレーニングルームや大きなお風呂もある。あたたかい布団とごはん。頼れる仲間たち」
俺としては好条件を出したつもりなんだがどうだろう? 届いているだろうか。
「どうです? 俺を信じてこの手に乗ってみませんか?」
トワさんと腕を伸ばせば届く距離。手を差し出す。
その手をトワさんは――とらなかった。
「まだ、あなたを信用したわけじゃないから」
「ですか」
まあ、それは仕方ない。信用はこれから得ていくしかないからな。
こういうのは焦った方が負けなのだ。根気よく行こう。
「あ、ちなみにうちにも魔人の局員がいるんですよ。超優秀な」
だからシイナさんの情報を匂わせ程度に教えるのはいいだろう。あとで「おのれ謀ったな!」って言われないために情報は小出しにしていこう。
「へえ、あなたたちみたいな怪しい組織に自らすすんで所属するなんて変わったやつもいたものだね」
ここで「その人あなたの友達なんですよ」と言えたらなぁ。
言わないけど。
「さて、一通り見たけど逃げ遅れた子供はおろかネズミ1匹いませんでしたね」
「そうだね」
地下室を見回ったが人のいた気配はまるでなかった。とっくに撤退した後だったのだろう。
俺たち2人は来た道を戻り1階まで行くとトワさんに告げる。
「じゃあ、あとは破壊するだけですね。先に外に出ていてください。俺は壊しながら外に出るので」
俺はそう言うとGメモリをムラサメに挿す。
『ヘビーアームズ!』
全身火薬庫のゴーレムをまとった俺をしげしげ見てトワさんは言う。
「いつもと違う格好なんだね。一体いくつ種類があるの?」
「さあ、数えてないのでわかりませんね」
俺が苦笑して言うとトワさんは入口へ向かって走っていった。
よし、じゃあやるかぁ!
俺はヘビーアームズのビームガトリングとホーミングミサイルを発射する。
「ハッハァ! 壊れてしまえ! ダダダダダダダダダダッ!」
こうして魔人化薬生産工場の一大プラントは破壊されたのだった。
「うわぁ、司郎君派手にやってるの」
コクピットから見える爆発の光を見ながら、高町なのはは同僚が任務を完了したことを知る。
それから自分のデバイスに「任務完了」と司郎からのメッセージが来たことを確認し、格納庫へと向かう。
「フェイトちゃん、シイナさん、セツナちゃん! 司郎君からメッセージが来たよ。今度は私たちの番。さっそく原種3号と4号を」
格納庫を開けてなのはが見たのはセツナに説教されているフェイトとシイナの姿だった。
「だから妊婦さんは大切にしなきゃいけないの。2人ともわかった?」
「はい、わかりました」
「うう、うちの妹におじいとおばあが乗り移っちゃったよー」
その姿を見て目が点になるなのは。
え、何この状況?
「そもそも、しーちゃんやフェイトさんも他人事じゃないんだからね。あと数年もしたら赤ちゃんができるかもしれないんだから」
「え、いやいや。ないない! セツナがいるのに男と付き合うなんて、あり得ないから」
「赤ちゃん……司郎との赤ちゃん、か。その時は喜んでくれるかな、なんて」
必死に妹に言い募るシイナと顔を真っ赤にして妄想に浸るフェイト。
これは立て直すのに時間がかかりそうなの。となのははどう戦闘準備をさせるか苦悩するのだった。
司郎「成長痛マジつらいっす。皆さんはどうしてます?」
シイナ「アタシは別に気にならなかったなー。成長痛」
なのは「私もなの。身長とか自然に伸びてる感じだし」
フェイト「つらいなら今度シャマルに診てもらったら? 適切な助言をくれるはずだよ」
司郎「いや、そんな大事にするほどでは」
アリシア「痛みって身体のシグナルらしいよしろう。身体が何か伝えようとしてるんだから、向き合わないと」
はやて「せやでー。今度シャマルに診てもらい。うちが予約しとくから」
司郎「えぇー大丈夫ですよ。ちょっと上半身と腕が痛いだけですし」
セツナ「今ちょっと調べたんだけど、成長痛って足が痛くなるだけらしいよ。司郎君のそれは成長痛じゃなくて別の病気なんじゃ……」
司郎「え?」
みんな「え?」
この後無茶苦茶みんなに心配されたけど普通にただの成長痛だった。