無能力転生者はリリカルなのは世界で生き延びたい(令和版)   作:百男合

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 あらすじこと前回の3つ
 蔵木エイジ、やべーやつに見つかる。
 主人公、蔵木エイジのテロ活動を防ぐために奔走。
 夜海トワ、シイナとのデートにウキウキ。


第48話 第四管区地下鉄道・テロ撲滅戦

 割のいい仕事。

 そう聞いて集まった男たちを待っていたのは武装した刑事たちだった。

「はーい、EXCEEDSです。みんな手を頭の後ろで組んでその場でひざまずいてください」

 代表の男……いや少年がメガホンを持って自分たち闇バイトに告げる。

 どうしようかと顔を見合わせる中、警察隊の1人が自分たちの持っているケースに手をかけた。

「! それに触らないでください!」

 少年の声が鋭く響く。驚いた警察が素早く離れようとしたがケースから出てきた触手が足に巻き付いた。

「ひっ!」

『ディランザ(フェルシー)!』

 機械音声が倉庫に響き、次の瞬間トリモチガンがケースから出た触手を捕らえる。

「総員、ケースから離れて! 中身は寄生型侵略種だから扱いは慎重に」

 いつの間にか見たことない格好になった少年が警官たちに指示を出し、触手に巻き付かれた警察官を救出している。

 なんなんだこれはいったい。

「ほら、君たちも行った行った。闇バイトなんかしないでこれからはまじめに働きなよ」

 ケースを一か所に集めると銃を取り出してまっすぐ飛ぶ光を放つ。

 次の瞬間爆発するケースの山。そこから出てきた紫色の侵略種が断末魔を上げて消滅していく。

「こちらアルファ、闇バイト10名の保護と寄生型侵略種の駆除を終了。どーぞ」

『了解。次のポイントに向かってください。データは共有してるので確認してな』

 上司の声を聴きながら真木司郎は警察隊に告げる。

「次はポイント11-2です。闇バイトの人を運ぶのに2名残って、あとはついてきてください」

 その声に「了解!」と返す警察隊たち。闇バイトたちはまだ茫然としていた。

 あれ、ひょっとして俺たちやばかった?

 それに気づいたのは警察に運ばれてたどり着いたEXCEEDS本部で事情聴取を受けた時だったという。

 

 

 

 急に顔を明後日の方向に向けたトワにシイナは口元にクレープを運ぶ作業を中断した。

「どうかした?」

「今、爆発が聞こえたような」

 耳を澄ますがそれらしき音は聞こえない。セツナと顔を見合わせるが彼女も聞こえなかったようだ。

「ごめん、多分気のせいだったみたい」

 少し神経質になりすぎてたと謝るトワ。それにいいよと返す久瀬姉妹。

「ついこの間までここらへんにも侵略種がいっぱいいたからね。今はもうそんな心配はないけど」

 とシイナは少し誇らしく思いながら言う。自分の働きが町を平和にしているという実感を感じて。

「そう。だね。もうそんな心配をしなくてもいいんだよね」

 自分に言い聞かすように言うトワに、「そうだよ」と肯定し口元にクレープを運ぶ。

「EXCEEDSの人には感謝だね。侵略種を倒してもらって」

「シイナはEXCEEDS賛成派なの?」

 トワの疑問に? マークを浮かべる久瀬姉妹。

「え、だってEXCEEDSは侵略種を倒してくれてるし。そのおかげで世界は平和になってるし」

「平和には、なってると思う。でも、それは見せかけだけ。裏では……ううん、なんでもない」

 トワは何かを言いかけ、セツナを見て言葉を閉ざした。

 子供の前で話すべきことではない。そう思ったからだった。

「ひょっとしてトワさんはEXCEEDSが信用できないんですか?」

 セツナの言葉にトワが驚きの表情を浮かべ、しかし確かに頷いた。

「国連の組織っていうから、きっと他の組織と同じように黒い部分もあるんじゃないかって」

「そんなことないよ!」

 シイナは自分でも驚くほど憤慨していることを自覚する。

 友人にまるで今まで自分と戦ってきた仲間を否定された気がしたからだ。

「EXCEEDSは世界中で巨大な侵略種と戦ってくれてるし、成果を上げてる。ひょっとしたら原種0号だって倒してくれるかもしれない」

「しーちゃん」

「たしかにアタシも行政は信用できないと思ってたけどEXCEEDSは違う! ちゃんとした組織だよ!」

「しーちゃん! ケンカしちゃダメ!」

 セツナの言葉にハッとした様子でトワを見るシイナ。

「ご、ごめん。トワ」

「ううん。私こそ、何も知らないのに勝手に悪く言ってごめんなさい」

 双方頭を下げ、反省する。

 シイナは言い過ぎたと。トワは彼女たちは何も知らないのにと。

「シイナはEXCEEDSの人に助けられたことがあるの?」

 トワの言葉にシイナは頷く。

「うん、島にいた時にね。魔人に襲われてその時に助けてもらったんだ。アタシとセツナが今ここにいるのはその人のおかげなんだよ」

 シイナのまぶしい笑顔を見て言葉を詰まらせるトワ。

「シイナ、その助けてくれた人ってもしかして」

 問いかけようとした言葉はトワの持つ端末から鳴る着信音に遮られた。

 トワは2人にごめんと断ると電話に出る。

「トワさん、大変です。蔵木が動き出しました」

 端末から聞こえてきた言葉にトワは全身の毛が逆立つような感覚を抱いた。

 

 

 

 どうも、真木司郎です。

 EXCEEDS隊員たちの手によって広場で暴れるはずだった寄生型侵略種は全て確保&撃滅。

 現在は集められた闇バイト君たちをEXCEEDS本部へ送っている最中です。

 さて、残るは地下鉄の爆弾か。なのはさんとフェイトさんに任せておけば大丈夫だと思うけど。

『司郎君、寄生型侵略種の処理が終わったならなのはちゃんたちの応援に行ってもらえへん? 念には念を入れておきたいんよ』

 とはやてさん。うん、俺もそう思ってました。

「全員、地下鉄へ。高町さんとテスタロッサさんの援護に向かいます。鉄道警察には八神総督が事前に連絡をしているので被害はないと思いますが万が一の場合は避難誘導をお願いします」

 俺の言葉に頷くEXCEEDS隊員たち。

 普段会うことのない若造の言うことをちゃんと聞いてくれる訓練された大人たちだ。頼もしい限り。

 俺が近くの地下鉄に向かうとそこで見知った顔を見つけた。

「おや、魔人狩りの皆さんじゃないですか? 今日はどうされたんです」

 俺の言葉に茶髪のロングヘアの女性、相沢シオリが俺をにらみつける。

「あなた、私たちに蔵木のこと隠していたでしょう」

 おっとぉ……。

 これは答えによってはこの3人が敵になるかもしれない選択肢だぞ。

「隠してたんじゃなくて言わなかっただけです。今回のお仕事に魔人狩りの力は必要ないですから」

「なんだとてめぇ!」

 金髪の黒ギャル、喜多森ユーナが俺につかみかかってくる。

 背後のEXCEEDS隊員がいきり立つが俺はそれを手を上げて抑える。

「魔人狩りのお仕事は魔人化薬の破壊と魔人退治でしょう。今回の仕事は侵略種を使ったテロ事件です。つまり管轄が違うんですよ」

 キャップを被ったツインテールの少女、新名アオイが「そりゃそうかもしれないけど」とどこか納得いってない様子だ。

「お手伝いしてもらえるならこちらはかなり助かります。けどうちの課の人材は優秀ですからあなたたちの助けがなくても」

 言いかけた途中、端末から声が聞こえてくる。

『こちら高町。暴走状態の地下鉄電車の停止に成功。中にいた侵略種は全部殲滅したよ』

『こちらテスタロッサ。同じく地下鉄電車の停止に成功。侵略種は全部殲滅しました』

 よし、うまくいった。

 あと残り1車両。それを停止させれば蔵木の目論見はご破算だ。

「お話したいのはやまやまなんですが、そろそろ仕事の時間なので失礼」

「あっ、待ちなさい!」

 シオリの声を後ろに聞きながら、俺はGメモリをムラサメに挿しこれから通過する電車に備える。

『タイタス!』

「とう!」

 暴走状態の電車の扉に組み付くと力づくでドアを開け中に入る。

 うわぁ、見渡す限りのジェル状の身体に赤黒い触手が生えてる爆発しそうな侵略種だぁ。

 どうしたものかと考えていると俺の脇から2人の女性が電車の中に転がり込んできた。

「え、なんでついてきたんですか⁉」

「うっさい! 何となくよ何となく!」

 新名アオイがキャップをかぶり直しながら銃を構える。

「蔵木の考えたテロなら、あたしたちが止めるのは当然っしょ!」

 喜多森ユーナが腕を魔人化能力で強化しながら獰猛(どうもう)な笑みを浮かべた。

「なるほど。手を貸してくれるというわけですか。それは頼もしい」

 俺は2人に語り掛けながら別のGメモリを新たにムラサメに挿す。

『フリーダム!』

 さぁ、侵略種退治のお時間と行きますか。

 

 

 

「嘘だろ? なんで何も起こらねぇ⁉」

 蔵木エイジは画面の中で流れる平和な光景に思わずモニターにつかみかかる。

 計画では今頃この広場は阿鼻叫となっているはずだ。

 それなのに、なんでどいつもこいつも平和ボケした顔をしてやがるんだと。

「くっ、それなら」

 キーボードを走らせ地下鉄のカメラをジャックする。

「なん、だと……」

 暴走した地下鉄の電車が止められていた。

 2台は完全に沈黙し、3台目も蔵木が見ている中減速し、停止する。

 なんだ? 何が起こっている?

 まるで自分の計画を先読みして計画を阻止されたかのような鮮やかな手並み。

 どこかから情報が漏れたのかと考え、先日の出来事がよみがえる。

『found it』

 見つけたと画面いっぱいに赤文字でモニターを埋め尽くしたあの文字。

 あれか、あれが俺の計画を失敗に追い込んだやつの正体か。

「クソが!」

 思わず台を激しく叩き怒りを発散させる。

 それに驚く魔人メイドは1人もいないが、それがかえって蔵木の癪(しゃく)に障る。

(かわいげもねぇ人形どもが)

 八つ当たりだとはわかっている。

 だが計画をご破算にされたのは事実だ。ここまでコケにされてそのままでいられるか。

「おい、アレ(・・)を出せ」

 蔵木の言葉に魔人メイドは瞬き一つせず問いかける。

「アレ、とは何のことでしょう」

「感染型だ!念のために用意してただろう! あいつを地下鉄に解き放て!」

 ここまでやるつもりはなかった。

 だが俺を怒らせたお前らが悪いんだぜ?

 心の中で悪態をつきながら、血走った目で蔵木エイジはモニタ―に映るEXCEEDSの魔導士たちをにらみつけた。

 

 

 

 シイナとセツナの姉妹と別れてユズと合流したトワは地下鉄を下りていく。

「トワさん、シオリさんから報告です。ユーナさんとアオイさんがお菓子の人と一緒に侵略種でいっぱいの地下鉄の電車を止めたそうです。これで蔵木の計画は失敗しました」

 その言葉にこわばっていた身体が柔らかくなっていく気がした。

「止めたの? EXCEEDSが?」

「はい! お菓子の人とみんながやってくれました」

 キラキラ目を輝かせるユズに毒気を抜かれ、「どうしましたか?」と問いかけるユズの頭をとりあえずなでる。

 どうしよう。シイナとセツナを置いてはやる気持ちを抑えきれず来たせいでこの感情をどこにぶつければいいのかわからない。

 そんなことを考えながら地下鉄の停留所にたどり着いたとき、魔人としての感覚が鋭敏にその存在を自分に告げてきた。

 いる。

 あの日、研究所で見たアイツ。

 うめき声に似た低い鳴き声を上げながら、こちらに向かってくる。

「ユズ、私の後ろに」

 無人の停留所。ズル、ズル、と重い何かを引きずるような音。

「オ゛オ゛オ゛ォ゛ォ゛ォ゛」

 黒い塊だった。

 まるで生命とは程遠い巨大な黒い塊。

 それがズルズルと地を這うように停留所をさまよっていた。

 トワは氷を走らせ感染型侵略種の動きを止める。

「ふっ!」

 刀を振りコアごと斬った。崩れ落ちていく黒い塊に向け左手を出し、【暴食】の能力を発動する。

「トワさん、すごい」

 鮮やかな手並みに感心するユズ。その時分裂した黒い塊からトワへ向かって先端がとがった触手が放たれる。

「トワさん!」

 ユズが声を上げトワが振り返るが間に合わない。

 心臓の位置へと届くかと思われた瞬間、炎の弾丸によってその触手は消滅した。

「トワ……?」

 その声にびくりとトワが反応する。

 ここにいるはずのない人間の声。聞きたくない人間の声。

「シイ、ナ?」

 そこにいたのは炎のような髪色の、さっき別れたばかりの見知った顔の友人だった。

 




アオイ「お菓子の人! そこ邪魔!」
司郎「おっとすみません」
ユーナ「お菓子の人、強行突破するから周りのウザイ侵略種蹴散らして」
司郎「あいあい」ロックオンして一掃射撃。
ユーナ「おっしゃいくぞー!」
司郎「あの、気になったんですけど俺の事お菓子の人って呼んでません?」
アオイ「え? だってあんたお菓子の人でしょ?」
司郎「最初に会ったときはともかく依頼するようになってからは名前、言ったと思うんですけど」
アオイ「……」
司郎「ひょっとして、憶えてない?」
アオイ「そ、そんなことあるわけないじゃん。えーっと、えーと」
ユーナ「お菓子の人! 運転席確保したよ。もう止めていい?」
司郎「あ、急停止した振動で爆発するかもしれないのでゆっくり減速させてください」
ユーナ「りょうかーい」
司郎「で、俺の名前ですけど」
アオイ「そんなことよりお菓子の人! 残りの侵略種やっちゃおうよ!」
司郎「……俺はお菓子の人なんですね。わかりましたよ」
司郎(なんか鉄血のチョコレートの人みたいで死亡フラグが立ちそうなんだよなぁ。この仕事が終わったら改めて名乗ろ)
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