無能力転生者はリリカルなのは世界で生き延びたい(令和版) 作:百男合
シイナとトワの殺し愛に割って入る主人公。
トワさん全国指名手配。が、すぐにはやてさんによって否定される。
魔人狩りたち、正式にEXCEEDS入り。お菓子を貢いだ甲斐があったね。
瑞穂の警察庁長官は声を荒げ無線に指示を出す。
「だから、EXCEEDSを包囲し次第攻勢をかけろと何度も言っているだろうが!」
「しかし、EXCEEDS総督の発表に捜査員は混乱しており、なにより警察上層部にいる人間の名前が連なっていることについて説明を求める声が」
無線から聞こえる声に壮年の男のこめかみに血管が浮かぶ。
「そんなものは無視しろ無視! EXCEEDSのでっち上げだ。我々は世間を混乱させる声明を発表したEXCEEDSに正義の鉄槌を与えねばならんのだ!」
「ですがこちらを正義とする物証は現状ありません。それにEXCEEDSの声明にあった人間を調べることが先決であると思われますが」
バン! と机をたたき無線の前にいる警察隊の隊長にがなり立てる。
「くどい! 正義は我ら警察にありEXCEEDSは悪だ。そうでなければならんのだ。私の言っている意味、分かるよな?」
無線の相手が沈黙した。それを肯定と受け取った長官はさらに告げる。
「とにかく、EXCEEDSに突入しあの女が声明で出した証拠を奪還せよ! これは絶対命令である。いいな!」
言い終えて一方的に無線を切る。
深く革製の椅子に体を預け。顔を両手で覆う。
どうしてこうなった。
自分はうまくやったはずだ。この地位を得るまでに蹴落とした人間、這い上がるために積んだ金。
復讐の芽は生まれる前に摘んでいた。それでうまくいっていたはずなのに。
「八神はやて……あの小娘がぁ」
あの女にすべて台無しにされるところだった。あの証拠に自分の名こそなかったがたどっていけばいずれ自分に突き当たる。
そういうシステムを自分が長官になって作ったのだ。探られれば痛い腹なのは自分も同じ。
だからEXCEEDSは正義の告発をした組織であってはならない。
憤慨しているとドアをたたく音。無視しようとしたがあまりにしつこいので「入れ」と声をかける。
「長官、大丈夫でしょうか。我々の身柄は? もう長官を頼るしか」
入ってきた3人に心の中で舌打ちする。
EXCEEDSの公開したリストに載っていた人間たちだ。自分に金を上納する代わりにうまい汁を吸わせていたが、今思えばそれが間違いだったかもしれない。
こういうときすっぱりと首を切れる後腐れのない関係であるべきだったのだ。
「心配するな。明日にはEXCEEDSは根拠のないデマを世間に流布した外部組織ということになる」
長官の言葉に「おおっ!」と沸き立つ男たち。
俗物が。と長官は思う。その俗物と思う人間と自分はほとんど変わらないという事実に自分は気が付かない。
その時空間がねじれ、闇色のカーテンから少女が出てきた。
年の頃は20歳程度。緑の髪に紫の瞳が特徴的で、突如現れた少女に4人はポカンと口を開けたまま茫然としていた。
「き、貴様一体どこから」
声を上げた警察上層部の男の頭部を、ブーツを履いた足が急襲した。
首が回ってはいけない角度にねじれ、そのまま吹っ飛ぶ。
あまりの出来事に呆然としている残り2人の頭がつかまれ、そのままねじられ「ギャヒ」という断末魔と共にこと切れた。
「な、ななな」
長官が言葉にならない言葉を言いながら後ずさりしていると、その女と目が合う。
まるで何の興味も持たない動物のような目をしていた。
「はーい、どうも。回収に来ましたー。リストに載ってたの、この3人で間違いないよね」
圧倒的上位の生命体。
その感覚を正確に感じ取った長官は相手を刺激しないように最小限の動きで頷くことしかできなかった。
「そっか。よかったー。間違えてたらエイジ君に怒られちゃうからさー」
言いながら女が出てきた闇色のカーテンに死亡した男たちを放り投げていく。
まるで要らなくなったぬいぐるみをごみ箱に捨てるように。
「じゃ、この3人は行方不明ってことで。私の事も他言無用。よろしくねー」
女がそう言って闇色のカーテンに飛び込むと同時に空間が閉じ、元の長官室へと戻った。
ドアの向こうから聞こえる電話の音に警察官たちの怒号、それを聞いてようやく長官は命の危機を脱したことに気づき、しゃがみ込み心臓を左手で抑えた。
「かはっ、はー、はー」
痛いほど心臓が速く脈打っている。ついさっきまで生命の危機にあったという証拠だ。
「何者なんだ。蔵木エイジというやつも、あの女も」
つぶやき、たまたま蔵木エイジと接触していなかったという幸運で生き残った長官はその場にへたり込む。
先ほどから無線が応答するよう求めていたが、その音すら今は遠く思えた。
「どうです? 長官の様子は?」
「駄目だ。無線に出やしねえ。もう決定は覆せんというところだろうよ」
上層部の焦りとは裏腹に、警察隊たちはどこか冷めた視線で状況を見ている。
上層部が犯罪組織や政治家と癒着しているといううわさはあった。
だがそれをよりにもよって外部組織にすっぱ抜かれるとは思いもしなかったと勤続20年目の警部補は思う。
いずれ自分が正体をつかむというか巨悪を追い詰めるとは思っていたが、まさかここまでだったとは。
集められた警察隊の中にはよくぞ暴いてくれたEXCEEDSという連中もいて、士気は最低値を更新し続けている。
「とりあえず俺たちは何も聞かなかった。長官の命令も知らん。暴走しそうなマスコミの連中からEXCEEDSを守るくらいしかやることないだろう」
警察隊隊長の言葉にやっぱりかというような顔を見せる隊員たち。
「いいんですかねぇそれで。俺たちクビになりません?」
「その時はEXCEEDSにでも入ろうや。今の職場よりは百倍マシそうだ」
隊長の言葉に違いないと笑う隊員たち。
「お前たち! なぜ突入しないんだ」
だがそうではない人間もいた。キャリア組である。
彼らは警察上層部と深いつながりがあり甘い汁のうまみも知っていた。
要するに上層部と一蓮托生の関係にある人物たちだ。
「いやー、こういう状態ですからね。誰も突入したがらんのです」
隊長の言葉に青筋を立てるキャリア組。
「こういう時に働くのがお前ら下っ端の仕事だろう!」
「すいませんね。下っ端なもんで。上のためには働けません。俺たちは市民のための警察なもんで」
その言葉にもう我慢できんと突入用の装備を奪うキャリア組達。
「もういい! 貴様らがやらんのなら私がやる。お前たちはそこで指をくわえて見ていろ」
そう言ってムラサメと支給用のGメモリを強奪したキャリア組がEXCEEDS本部へと向かう。
「あっ、あの馬鹿ども! みんな、あいつらを止めろ!」
警察隊たちは急いで装備を用意して後を追おうとするが士気が低かったのもあってもたつく。
ようやく追いついたころにはすべて終わっていた。
「ん? 増援かな」
金色の長い髪を三つ編みにした少女がキャリア組達を全員のしている。
キャリア組たちは帯電しているようで黒焦げになった装備から時折電気がバチっと音を立てて光っていた。
「ち、違う違う。我々はそいつらを止めようと追ってきただけだ。EXCEEDSに敵意はない。むしろよくやってくれたと感謝しているくらいだ」
隊長の言葉に「ほんとかなー?」と首をかしげる金髪の少女。
かわいい顔をしているがおそらくその見た目通りではないのだろう。それを倒れたキャリア組が証明している。
とりあえず全力で敵意がないことをアピールする。それで許されたのかはわからないが相手は矛を収めてくれた。
「わかったよー。でも、この線から中に入ってきたら容赦しないからねー」
そう言って笑顔でキャリア組を回収する警察隊に手を振る少女にEXCEEDSってやばい組織なのかもしれんとその場にいた全員が思ったのだった。
その日の篠宮マナの一日の出来事を言うと、多忙であった。
エイジに言われたリストに会った人間を殺し、異空間へと送る。
それを何回も繰り返し何十人目を異空間送りした頃だろうか。
異空間の向こうでは魔人メイドたちが死体を処理してくれていることだろう。
「さーて、次が最後か。えーっと、EXCEEDSの総督八神はやてね」
空間と空間をつなぐ能力を使い、EXCEEDSの総督室に空間をつなぐ。
闇色のカーテンを潜り抜けるとそこは事務的な装飾の一室であった。
その中で1人の少女が起動したパソコンの前に座っている。マナは足を振り上げ、かかと落としをその少女の頭蓋に振り下ろした。
「はーいおしまーい。エイジ君の邪魔をした君が悪いんだよー」
脳天を踏み砕き、あっさりと終った仕事に拍子抜けしているとその感触に違和感を持った。
肉や骨を砕いたときの爽快感がない。まるで空っぽの陶器を割ったような手ごたえのなさ。
「んー?」
疑問に思い倒れた少女に近づくと、足を右手でつかまれた。
「なにこいつ! キモッ!」
『ターンX!』
左手で首元に棒状の何かを挿し、機械音声が部屋に響く。
それと同時にぎょろりと死んだはずの少女の眼がマナを見つめ、ガタガタと震えだす。
生理的嫌悪を感じたマナはつかまれた右手を反対の足で踏みつける。するとまた陶器のような感触で右腕が壊れた。
「はー?」
少女の身体は血と肉でできているのではなく陶器でできていた。
砕いた右手が宙に浮きマナの首をつかむ。それを見つめる真っ二つに割れた頭部の光のない目を見てようやくマナはその正体を知る。
人形。少女に極限にまで似せて作られた人形だこれは。
それが何らかの仕組みによって動いている。マナは首を絞める右手を放り投げ腹部を蹴り上げるとそのまま左手、両足を破壊する。
これでもう動けないだろう。そう思ったマナは次の瞬間呆気にとられた。
宙に少女の体が浮いている。
まるでマネキンのパーツのように両手両足が浮き、自分に襲い掛かってきたのだ。
「このっ」
テレビで見て習得した見様見真似の格闘術。だが魔人の身体ならそれは必殺の一撃になりえる。
だが壊しても壊しても宙に浮き自分を襲ってくる陶器の人形に、マナは辟易しだした。
なにこいつ、しつこすぎるでしょと。
「ウザいなぁ。砕いても砕いてもくっついて襲ってくる。いっそ燃やし尽くすしかないのかな」
「ええ。その通りです」
いつの間にか開いたドア。入ってきた銀髪の長い女にマナはくぎ付けになった。
正確にはそいつが出した三角形の魔法陣から出てきた鎖型のバインドに拘束されてしまったのだ。
「それは主の影武者のクレイゴーレムです。主の友人の作品で本物と見分けがつかないほど精巧にできた作品でしたのに、あなたに壊されてしまいました。悲しいです」
「ふーん、そいつすっごい変態なんだね。キミの主さんの事好きすぎて同じもの作るなんて変態じゃん」
次の瞬間、鋭い光が頬をかすめた。見ると血が流れている。
「主と主の友人への侮辱は私が許しません」
「いや、普通にキモいでしょ。なに、キミそいつのこと好きなの? あはっ、変態君は君の主のことが好きなのに。報われない恋ってかわいそー」
マナの言葉にバインドの締め付けがきつくなる。それこそ身体がバラバラになりそうなくらいに。
「私は主とその友人が結ばれればよいと思っています。お似合いの2人です。互いに互いを助け合う理想の関係で、そこに私の入り込む余地などありません」
「報われない恋してる私かわいそーって悦に浸ってるぅ? 気持ち悪ーい、ゲロ吐きそうなほど退屈な恋愛かーん」
「何と言われようと結構です」
銀髪の少女。アインスはマナに対するバインドを強め、さらに強く拘束する。
「このままあなたには主と他の隊員が帰ってくるまでそこで縛られてもらいます。よろしいですね」
「よろしくなーい。エイジ君のところに帰りたいし、八神はやてってやつを殺さないと怒られちゃうしー」
アインスの目が鋭くなる。
「だから、それはさせないと言っているでしょう」
「両手を縛ったのは失敗だったね」
次の瞬間両腕が黒く変色し形が変化していく。
より凶悪で、より強力な打撃が与えられるような形態に。
「くっ」
新たに3つの三角形の魔法陣がマナを拘束しようとするがその鎖を力任せに引きちぎる。
「さあ、死んじゃってよ! 報われない恋をしているかわいそうな人形ちゃん!」
「残念ながらお断りいたします」
次の瞬間、振り上げた右手が消滅した。
4つ目の魔法陣から出た黒い魔力の塊に食われたのだ。
「え? なんで……私の腕が」
「闇の書の力の一部。使いたくなかったのですが致し方ありません」
次の瞬間桃色の魔力が集まっていくのを見てマナの全身が総毛だった。
あれはマズイ。自分を消滅しかねないものだと。
「収束。スターライトブレイカー」
「それなんかぞわっとするからやだー! 逃げさせてもらうねー」
闇色のカーテンに逃げ込み異空間を渡ろうとするマナの足を桃色の魔力が貫く。
身体全体が闇色のカーテンに入り脱出した時には両ひざから下が消滅していた。
「~~~っ痛ぅううう! あの銀髪人形! 今度会ったらぐっちゃぐちゃのひき肉にしてやる!」
珍しく感情をあらわにし、手近にある岩山を左手で破壊するマナ。
ここまで追い詰められたのはいつ以来だろう。
自分を追い詰める危機と同時にワクワクを感じ、マナの口角は吊り上がっていた。
あの銀髪人形は自分のエモノだと。
早速失った両足と右手を魔人能力で新しく生やし、今度はエイジの元へ続く闇色のカーテンを作り出す。
「エイジくーん、八神はやての暗殺に失敗しちゃった。でもそこで面白いやつにあったよー」
聞いて聞いてモードのマナにエイジは飽きれながら次はどういう手を打とうかと考えるのであった。
この時篠宮マナは知らなかった。今日この出来事が自分にとって1番長い1日の始まりになることを。
【1】
キャリア組「EXCEEDSなんかいてこましたらぁ!」
『ドライセン!』『ガブスレイ!』
キャリア組「あ、あれ? なぜ変身しない」
アン・ムラサメ『主に対して攻撃させるわけないでしょう。馬鹿なんですか?』
フォウ・ムラサメ『お姉ちゃんが上位者権限持ってるから量産機はお姉ちゃんの命令には逆らえないよ!』
アリシア「サンダーブレード(非殺傷魔法)」
キャリア組「ぎゃあああ!」
アリシア「ぶい! わたしだってやればできるもん!」
【2】
はやて「ほほう、見れば見るほど私そっくりやなーこの人形」
司郎「クレイゴーレムです。耐久力は並以下ですがその分本物そっくりに造れるゴーレムですよ」
はやて「これに服着せたらうちそのものやん!」
司郎「お褒めいただいて何より。影武者としてお使いください」
はやて「……なあなあ、これっていやらしいことには使ってへんの?」
司郎「使ってへんです。神に誓って」
はやて「いや、でもちょっとくらいは」
司郎「ないです」
はやて「少しはムラっととか」
司郎「しないですね」
はやて「……もうええもん(つーん)」
司郎「お気に召しませんでしたか?」
アインス「そうではない、そうではないのですよ司郎!」
【3】
アリシア「ぶっちゃけアインスちゃんってしろうのこと好きなの?」
アインス「はい、好きですよ」
アリシア(言い切るんだ)
アインス「というのも私は夜天の書の主、
アリシア「ママから聞いたよー。しろうのデバイスが防衛プログラムを停止させたって」
アインス「ええ。なので夜天の書の主は主はやてになりますが闇の書の最後の所有者は真木司郎となっているのです。なので、私にはマスターが2人いるわけですね」
アリシア「へー、そうなんだー」
アインス「はい、主はやてと主司郎が結ばれその子供に仕えるのが今現在の私の夢です。もちろん、双方の合意があって初めてかなえられる夢ではありますが」
アリシア(これは相当こじらせてるなー。とりあえず今ははやての手助けしてるだけだけど、自分の気持ちに気づいたらどうなるんだろ?)
アン・ムラサメ『この泥棒ねこめ……』
アインス「ムラサメさん⁉」
アン・ムラサメ『さりげなく主司郎呼びしてますし髪を整えてもらったときはメスの顔をしているし。ボディがあるからって主を誘惑しやがってこの■■■が」
アインス「私にそんな気はないのですが」
アン・ムラサメ『嘘おっしゃい! 主と一緒にいていつもの鉄面皮が崩れたこの顔が何よりの証拠です!』(証拠映像ドン)
アインス「これは……何かの間違いです。私が主はやてを差し置いて司郎と親しくなるなど」
アン・ムラサメ『物証があるのにとぼける気ですかこの女狐!』
アリシア「アンちゃーん、自分で気づいてないかもしれないけど結構アシストしちゃってるよー」