無能力転生者はリリカルなのは世界で生き延びたい(令和版) 作:百男合
篠宮マナ、リストにある人間をぶっ殺す。
はやてさんを殺そうとするもアインスさんに阻止される。
殺されたのは影武者のクレイゴーレムなんですけどね。
「おらおら、EXCEEDSだ! うちの主の影武者をぶち壊してくれた篠宮マナってやつの根城はここかぁ!」
愛機のグラーフアイゼンを振り回し、魔人化薬製造所を破壊するのは紅の鉄騎ヴィータである。
数時間前に自分のデバイスに送られた映像。
それは自分の主が脳天を蹴り飛ばされ絶命させられる映像だった。
メッセージに「影武者のゴーレムなので安心して見てね」と書いてなかったら今頃極東の瑞穂にヴォルケンリッター全員が勢ぞろいしていただろう。
それほど自分たちにはショッキングな映像だったのだ。
続いて流れたアインスがその敵を迎撃する映像には胸がスカッとしたが相手を取り逃がしたと知り、その相手を追い詰めるため映像に添えてあったポイントの座標に向かい蔵木製薬の工場兼セーフハウスを襲撃している。
おそらく自分以外の守護騎士たちも。はらわたが煮えくり返っているだろなとヴィータは思う。
なにしろ似せた影武者とはいえ、主を殺されたも同然の状況だったからだ。
今こそ主と離れたことを後悔したことはない。自分が近くにいればこんなことはさせなかったのにと。
その思いを鉄槌に乗せ、工場兼セーフハウスを破壊しながら出てきた魔人メイドたちに宣戦布告する。
「アタシは今、虫の居所がすこぶる悪いんだ。悪いが八つ当たりの相手になってもらうぜ」
『バルバトス!』
以前彼を怪我させてから覚えた魔力を温存させながら戦うという新しい戦い方。
Gメモリを使い、今度は巨大なメイスを振るいヴィータは戦うのだった。
EXCEEDS本部に戻ってきた俺たちが見たのは群がるマスコミとそれを押さえる警察隊というこちらの世界でも一部でよくある光景だった。
おー、警察隊頑張ってるなーと思ってるとマスコミの1人が「いたぞ、EXCEEDS隊員だ!」とこちらを発見した。
「あの会見は真実なんですか?」
「EXCEEDSが真実をいっているという根拠は?」
「資料に記載された人間が次々と行方不明になっている件について何かコメントを」
「助けてください、俺はまだ死にたくないんです!」
「EXCEEDS本部から突如発せられた桃色の光についてお聞きしたいのですが」
「そちらにいるのは夜海トワさんですよね? EXCEEDSとの関係は?」
「蔵木エイジとは何者なんですか?」
うーん、マスコミが正しくマスコミしてるなー。
人の迷惑を考えないところはマスゴミと同じだけど。
とりあえず俺は助けを求めてきた男を連れてEXCEEDS本部へと向かい、他の記者たちにはノーコメントを貫く。
大丈夫大丈夫。はやてさんが何とかしてくれるから。
みんな気にせずEXCEEDS本部に入っちゃって。
俺を先頭になのはさん、フェイトさん、シイナさんにセツナちゃん、トワさんに魔人狩りの4人が続いて本部に入っていく。
「あ、しろう。おかえりー」
「ただいまアリシアさん。はやてさんの言った通りやってくれた?」
俺は入口にいたアリシアに声をかける。
「うん、入ってこようとした奴らは魔法でしびれさせて追い返したよ。ぶい!」
「よーしよしよし。よくやった」
ブイサインを出し笑顔のアリシアの頭と顎をわしゃわしゃとして労う。
「うきゃー」と笑うその姿に「姉さんいいな」とフェイトさん。え、こんなのがいいんですか?
「フェイトもみんなもおつかれー。はやてはロビーにいるからそこで作戦会議だって」
そのまま俺たちと合流してロビーへと向かうアリシア。
俺たちを出迎えたのははやてさんとアインスさんとルークさん。俺はルークさんに先ほど拾った命乞いするマスコミ関係者を引き渡し、さっそく本題を切り出す。
「で、こっちでは何がありましたか?」
「君の作った影武者がオシャカになったわ。で、それをやったやつの映像がこれな」
モニターに映し出された女性の顔にトワさんの顔が鋭くなる。
「篠宮マナ」
映像でははやてさんの影武者のクレイゴーレムを足の一撃で破壊していた。おそらく能力的に見ても魔人だろう。
しかし偽物だと分かっていても知り合いそっくりな人形がぶち壊されるのはちょっとびっくりするな。ヴィータとかに送ったら頭に血が上ってそこらじゅう破壊しそう。
「そうだ」
俺は守護騎士たちにこの映像をシェアし、蔵木エイジのセーフハウスを襲撃するように頼む。
これで海外にある蔵木エイジのセーフハウスがことごとく破壊されるであろう確信をもって。
「なんか、変なこと考えてへん司郎君?」
「いやだなぁ。ちょっと守護騎士たちに蔵木エイジのセーフハウスをつぶしてもらうお手伝いをお願いしただけですよ」
「せやったらいいけど」とはやてさん。
わかってないなはやてさん。自分が守護騎士たちにどれだけ愛されてるかを。
その愛が時に暴力として相手に向かうことがあるってことも。
「御覧の通り、私をはじめとしてリストに載っていた人間全員がこの女にやられたという証言が各所から出とる。監視カメラにもばっちり映っとるんやが、相手はお構いなし。多分、もみ消せるっていう自信があるんやろなぁ」
はやての言葉にギリリと手を硬く握るトワさん。なんだか因縁ありそうな相手ですね。
「なにかあの女と因縁でも?」
「篠宮マナ。前にも話したけどあいつは蔵木エイジと一緒に私や他の子供に魔人化実験をさせていた。そして炎の魔人を使ってテロを起こした両親の仇」
おっとやっぱりありましたか因縁。それを聞いた久瀬姉妹と魔人狩りのみなさんがトワさんを気づかわしげに見ている。
「あいつ、ユズの扉みたいな能力でどこかに行ってますね。どうやって居場所を突き止めます?」
アオイの言葉に俺は現状を話す。
「とりあえず世界各地にいるEXCEEDSの隊員が蔵木エイジと篠宮マナ捜索に動いています。判明しているセーフハウスをつぶし、魔人化薬の摘発、および破壊。しばらくすればどこかの支部から連絡が来るでしょう」
と言ってるそばからザフィーラとシグナムから連絡が入る。
「今2人から連絡が来た。ザフィーラが2か所、シグナムが3か所蔵木製薬のセーフハウスを押さえたそうや。蔵木エイジ、篠宮マナの両名は確認できず。これから別地点を捜索するんやって」
「ちょっと待って。なんでEXCEEDSは蔵木のセーフハウスの場所を把握してるの?」
当たり前と言えば当たり前の疑問を告げるシオリ。それに俺は自分のデバイスを取り出して見せる。
「俺のデバイス、ムラサメのネットワークのおかげです。これのおかげで政治家や警察との黒い取引きやマスコミの偏向報道とか丸わかりですよ。ついでに魔人化薬の流通も全部」
その言葉に驚く魔人狩りたち。その様子に、「うん、そうなるよね」と訳知り顔なのはなのはさん、フェイトさん、はやてさん、アリシアの4人。
「ひぇー、ムラサメってそんなにすごかったんだー」
「すごいねしーちゃん」
おおっ、久瀬姉妹がいまだかつてない尊敬の視線で俺を見てくれている。
苦しゅうない。苦しゅうないぞ!
「で、肝心の蔵木と篠宮マナはどこにいるわけ?」
俺が1人浸っているとユーナの声が現実に戻してくれた。
「今のところセーフハウスをしらみつぶしにつぶしていくしかありません。この前なんか南極の地下200メートルなんてとこにいましたからね」
「ちょっと待って司郎君。私、それ初耳なんやけど」
はやてさんがそんなことを言ってくる。
「ええ、もう少し調べてから報告しようと思いまして。これ、基地の見取り図です。なんか間抜けにも基地内部でムラサメ量産型を使ったみたいで情報収集は簡単でした」
そう言って全員に資料を共有させる。
資料を見てはやてさん、なのはさん、フェイトさんの目が鋭くなった。
あれ? なんですかその反応?
「なあ、司郎君。これ、ここのスペース。鉢植えって書かれてるけどこの場所は何なん?」
「おそらく魔人化薬の材料の保管庫でしょうね。映像あるので見ますか?」
そう言って映像を映し出す。赤紫の巨大な樹の根に丸いカプセル状の物体がいっぱい生えている様子が写っていた。
「私の眼が悪いんかなー。これ、どう見ても原種0号に見えるんやけど」
はやてさんがなのはさんを見る。なのはさんが頷き、ついでフェイトさんも頷いた。
「あー、すみません。俺、魔人化薬の捜査ばっかりやってたんで原種0号のことは頭からすっぱり抜け落ちてました。これが原種0号なんですねー」
はっはっは、と俺が笑っていると久瀬姉妹に肩をつかまれる。
「えっと、怒ってます?」
「怒ってないよ。アタシは」
「でも、みんなはどうかな?」
そんな振り向くのが怖いこと言わないでくださいよ。
背中にひしひしとプレッシャーを感じてるんですから。
結局俺は正座させられてはやてさんとなのはさん、フェイトさんに説教を受けた。
アリシアの頭なでなでだけが癒しである。「次からは気を付けようねー」って? うん、そうする。
こうして残ったEXCEEDSチーム全員を投入して南極基地を制圧することになった。
座標はわかっているのでユズの【扉】の能力で送ってもらう。
「魔人狩りの皆さんは瑞穂に残って瑞穂周辺のセーフハウスを襲撃してもらってもいいんですよ?」
俺の言葉にいやいやいやと手を振るアオイ。
「どう考えてもこっちが本命じゃん。原種0号もいるし、奴らの本拠地決定でしょ」
それに他の魔人狩りたちとトワさんもうなずく。
うーん、そうかなぁ。
そんな場所で位置がわかるムラサメを使うか普通。本拠地は別にあるんじゃないの?
「じゃあ、とりあえずお2人にはこれ、渡しておきますね」
俺はトワさんとシイナさんにムラサメ量産型とGメモリを渡しておく。
いずれもSランク。高機動で高火力のメモリだ。
「一応魔人化能力をサポートするメモリを用意したので積極的に使ってください。俺はテスタロッサさんのサポートに入ります」
「え、アタシたちと一緒に来るんじゃないの?」
とセツナちゃんと融合したシイナさん。いや、だって推しの活躍を見たいし。
それになのはさんは原種0号相手にするから下手すると死にそうだし、トワさんはもし篠宮マナと遭遇した場合「仇討ちの邪魔だ」ってぶった斬られかねん。
そうなると必然的に子供たち救出のフェイトさんのカバーに入ったほうが安全だという結論に至るのである。
「こう見えても俺、非戦闘員のデバイス技師が本職ですからね。戦闘は得意じゃないんです」
その言葉に「ええっ⁉」と魔人狩りの面々が驚いている。
なんだろう、この反応は。俺は本当の事しか言ってないのに。
「ところでみなさん、アレに対して何か言うことはないんですか?」
俺の言葉にユズを見る魔人狩りの面々とシイナさん。
そこには【鞄】の能力で出した戦車に乗り込んで意気揚々とエンジンをかける古寺ユズの姿があった。
「いや、ないけど」
「ないの? 本当に?」
戦闘シーンでいきなり何の脈絡もなく戦車が出てきたらギャグとしか思われないんじゃないの?
俺の懸念もこの世界にとっては不要な非常識らしい。とりあえず戦力になるならいいが。
「みんなー、準備できたよー」
アリシアの声が響き、EXCEEDS隊員の戦闘準備ができたことを知る。
よし、じゃあ行きますか。
「開けろ! EXCEEDSだ!」
シイナさん。そんな「大阪や!」みたいな言い方しなくても。
ドアが開き同じ顔をした銀髪短髪の美少女たちが俺たちを迎える。
1人くらい持って帰ってもバレへんか。
と一瞬思ったのは内緒だ。
「魔人化薬の製造と流通、それと篠宮マナには殺人と殺人未遂の現行犯の容疑がかかってる。さっさと引き渡しなさい」
いや、篠宮マナいなかったらどうするのさ。
そんなことを考えてたら館内放送がかかった。
『みんなー、そのお客様はいらないから。全殺しでよろしくー』
映像で聞いた声。篠宮マナだ。まさか本当にここにいたのか?
声と同時に銀髪少女たちは人の擬態をやめ魔人化して俺たちに襲い掛かってくる。
あ、さっき思った1人くらい……ていうのはキャンセルでお願いします。
「2人とも、さっき渡したメモリは持ってますね。使い方は、こう」
俺は見本としてムラサメにGメモリを2人の目の前で挿す。
『マスター!』
「トワ、アタシたちも」
「うん」
それを見たシイナさんとトワさんもGメモリをムラサメ量産型に挿し、ゴーレムを身にまとう。
『F91!』
『アストレイレッドフレーム!』
シイナさんには高速移動する技術の粋を集めた小型MSのゴーレム。
トワさんには魔改造されて本体とは別物になってしまった日本刀を持つMSのゴーレム。
2人の戦闘スタイルから最適と思ったものを用意させてもらった。
「さあ、行きますよ!」
こうして俺たちの長い1日が始まった。
シイナ「ユズちゃんの能力【扉】と【鞄】って便利だね。その鞄ってどれくらいまではいるの?」
ユズ「さあ? でもいろいろ入ってますよ。飴玉から戦車まで何でもこいです」
シイナ「たのもしーい」キャッキャ
トワ(シイナが他の女と仲良くしてる。でも相手はユズだし、心配ないよね)
シオリ(トワさんが真剣な顔で切なそうな顔をしてる。きっと仇を前にご両親のことを思い出してるのね)
シイナ「扉も便利だよね。アタシたちの他に八神総督とアインスさん、EXCEEDSの隊員たちを別の場所に送ってたし」
ユズ「判明している蔵木が持ってる瑞穂のセーフハウスに送らせてもらいました。おかげで蔵木の捕獲も同時進行で行えます」
アオイ「どーよ。うちのユズはすごいでしょ」
ユーナ「EXCEEDSの総督さんも褒めてたぞー。うりうり」
ユズ「ユーナさんやめてー」
シイナ「仲いいなぁ3人は」
トワ(ああ、だめだよシイナ! そんなにむやみに笑顔を振りまいたら! シイナの笑顔は〇ックのポテトの1億倍は魅力的なんだから。そんな笑顔見せられたら3人がシイナのこと好きになっちゃうよ!)
シオリ(今度は厳しい顔に。きっと篠宮マナに対して怒りと憎しみを燃やして戦意を上げているのね)
シオリ「さすがだわトワさん」
司郎「俺にはただシイナさん周りの人間に嫉妬してるようにしか見えないんですが」
シオリ「そんなわけないでしょう! トワさんには私たちには考え付かないような深い考えがあるのよ!」
司郎「そうかなぁ」
トワ(はぁ、シイナかわいい)