無能力転生者はリリカルなのは世界で生き延びたい(令和版) 作:百男合
蔵木エイジに篠宮マナ生存をちらつかせ自殺を阻止。
瑞穂の治安、よくなる。そろそろ引き上げ時か。
始まる大お疲れ様会。セツナちゃんに司郎くんのファーストキスが奪われました。
第57話 戻ってきた日常
夏休みなんかねえよ。
うるせえよ。黙れよ休みなんかねぇよ。
というわけで中学1年生2学期です。
瑞穂から地球に帰ってきたら夏休みが終わっていたでござる。
まあ、1年がかりの再興計画が5カ月で終わったのは喜ばしいことなんだけどね。
1学期ほぼ通っていなかった人間の通学ハードルは思ったよりも高い。
それはどうやら俺だけではなかったようで。
「今日から学校なの。ちょっと憂鬱かな」
「すずかとアリサにノート取ってもらったけど、追いつける気がしない」
「2人とも、マイナスに考えすぎや。普通なら私ら学校行っとる歳なんやで」
「3人はいいじゃん同じクラスなんだからさぁ。わたしだけ別クラスだから知り合い誰もいないよー」
とオーバーランクS娘たちも憂鬱に思っているようで。
まあ、今までが今までだったからね。この学校生活で健全な精神状態に戻っていただきたい。
「おはよー、なのは、フェイト、はやて、アリシア。それと真木」
「みんな久しぶり」
おお、その声はアリサ嬢とすずかちゃんじゃないか。
久しぶりのあいさつに4人はハイタッチ。今までのことを話し合っている。
これで精神状態が上向きになってくれればいいが。
「真木君もおはよう。瑞穂土産ありがとうね」
「真木、あんたの分のノートも取っておいてあげたわ! ありがたく思いなさい」
等身が増えて男性を引き付けるフェロモンみたいなものが可視化されたすずかちゃんと尊大な態度に品が芽生え始めたアリサ嬢。
うーん、しばらく会ってないだけでここまで成長するものなんだなぁ。
「ありがたく受け取らせていただきます」
俺はアリサ嬢にお礼を言いコピーされたノートに目を通す。
といっても前世知識と瑞穂にも教科書持ち込んでたから学力的には問題ないんだよなぁ俺は。他の4人は知らんけど。
で、放課後。そこには机に突っ伏してる3人の姿があった。
うん、ダメだったんだな。
とりあえずアリサ嬢とすずかちゃんの家での勉強会は避けられないだろう。
できればクラスの違うアリシアも混ぜてやってくれ。
俺は4人をアリサ嬢とすずかちゃんに預けると、アースラに向かいリンディさんに直談判する。
「というわけで学生生活に支障が出てるのでしばらくは休暇でお願いします」
俺の言葉にそうしたいのはやまやまなんだけど……と前置きしながら話すリンディさん。
「実はEXCEEDSに出動依頼が来てるのよ。また長期出張になるけど」
「無理です」
きっぱりと言う。言うべきことは言う。
「そもそもその長期出張のせいであの4人の学生生活に多大な影響が現在進行形で起こってるんですよ。それについて何かないんですか?」
「それはその。申し訳ないとしか」
目が泳いでますよリンディさん。まだ話してないことがありますね。
「で、通いじゃ駄目なんですか? 長期出張じゃなきゃいけない理由とか」
「あ、今回は別にあなたたちをサポートする魔導士たちがたくさんいるから通いでもいいそうよ」
ほう、それは素晴らしい。
何か隠しているという事実がなければな。
「高町さんたちが健全な学園生活を送れるのは喜ばしいことです。で、あの4人が動かなければならない状況って何ですか?」
俺の質問に観念したのか、リンディさんは話し始めた。
「ドラゴンよ」
ドラゴン?
リリカルなのはシリーズでドラゴンといえばキャロが思い浮かぶがあのドラゴンですか?
「その世界は龍種が支配していて、魔導士の魔法が効きにくいというか、Aランク魔導士でも歯が立たないというか」
「だからSランク魔導士4人を投入すると。なるほど、それは理解できます」
俺の言葉にホッとするリンディさん。でも責めないわけじゃないんですよ。
「とりあえず、対話はしたんですよね? まさか一方的に攻撃したりとかは」
俺の言葉に明後日の方向を見るリンディさん。おい、まさか。
「やっちゃったんですか? 管理局が」
「うん、その……ごめんなさい」
深く頭を下げるリンディさん。
まじかー。まじでかー。
「侵略戦争じゃないですかそれじゃ!」
「だって、現地の魔導士が対話不可能と判断し、上層部も未開の惑星だから知的生命体がいないって判断して。まさか龍種が支配して文化圏を形成してるとは思わなくて」
つまり現場の不手際と上層部の尻ぬぐいじゃん!
そんな問題の解決にEXCEEDSを使おうとしていたのか!
「とりあえずこの件は持ち帰って八神さんとみんなと相談します。そのうえで俺たちは動きますがよろしいですね」
「そうしてくれると助かるわ。もうあなたたちだけが頼りだから」
その言葉でいつまでも動くと思わないでくださいよ。
俺はこの情報を持って月村邸を訪れることにした。
勉強会を開いているオーバーランクS娘たちの元へ。
「うーん、話を聞いた限りじゃ管理局が10:0で悪いんやない?」
はやてさんの言葉に俺もそう思いますと同意する。
「ふつうにごめんなさいしてもう1回話し合いってできないの?」
とアリシア。そうだね。それができたらどんなにいいことか。
「少なくとも管理局の魔導士が何人かやられてるらしいから、それはもう無理かな姉さん」
フェイトさんが難しそうな顔をして言う。
「じゃあ、1番えらい龍さんとお話しできるようにすればいいんだね」
簡単に言えばそうです。それにしても生き生きしてますねなのはさん。
「さっきまでさんざん勉強してたから。身体を動かす話題に飛びついたんでしょ」
とアリサ嬢。その言葉にテヘペロ☆と顔を変え誤魔化すなのはさん。
「まあそんなわけで明日から放課後、その世界での調査と説得が主な任務になります。学校に通いながらの任務は大変でしょうが頑張ってください」
そう言って帰ろうとしたら月村邸のメイドさんたちに腕をつかんで止められた。
なんでしょう。俺は帰りたいんですが?
「まあまあお客様。食事と寝所をご用意したのでこちらでおくつろぎください」
「お家へはもう連絡済みなので」
その言葉に俺はすずかちゃんを見る。テヘ☆とウィンクして右手をおでこに当てていた。
はかったな! はかったな月村ぁ!
とまあそんなわけで今日は月村邸でお泊り会となった。
むろん俺は別部屋。女の子たちの秘密のお話会に混ざるわけにはいかないからね。
で、翌日の放課後。
Sランク4人娘と守護騎士たちとアインスさん。それとデバイス技師の俺で龍が支配する世界に行くことになった。
そこでは龍と共に生きる人間族が少数確認されているんだとか。
とりあえず情報をと先遣隊の話を聞くとどうも反省していない様子。
いわく、あんな頭の悪そうなトカゲがこの世界を支配してるとは思わなかっただの、俺たちは間違ってないだの他責発言ばっかり。
管理局もなんでこんな人材をよこしたんだか。
とりあえずなのはさん、フェイトさん。ここにいる5人トラウマになる程度に痛めつけたいんでよろしくお願いします。
『マスター』
俺はGメモリをムラサメに挿し、リーダーと思われる人間の顎を砕き、それに反応して魔法を発動しようとした2人のデバイスをビームクロスで奪い目の前で分解。残りの2人も話ができる程度にわからせておいた。
で、そのまま説教。特に自分は悪くないと最後まで訴えていたリーダー格の魔導士には念入りにしておいた。
下手すればお前のせいで次元戦争が起こりかねない状況なんだと。
それに顔を青くしてようやく事態を飲み込んだ魔導士たちをなのフェイに渡し、徹底的にわからせてもらうことにする。
俺ははやてさんに話しかけた。
「で、どうしましょう。大した情報は得られませんでしたが」
「せやね。とりあえずその龍を信仰してるって言う少数民族を訪ねてみるのはどうやろか? えらい龍に取り次いでもらえるかもしれんし」
いやぁ、それ希望的観測じゃないですかねぇ。
キャロみたいなレアスキル持ちでもいない限りドラゴンとの意思疎通は無理寄りの無理ですよ。
しかし上司の言葉だ。従わざるを得ない。
さっそく少数民族の村を訪れたが追い返された。
いわく、龍神様に危害を加えたお前たちを村に入れるわけにはいかないと。
うん、そりゃそうだ。
だがそこをまげてお願いしますと頼み込んでいると見覚えのある髪色が。
おや? おやおやおや?
そこにいる幼子はキャロ・ル・ルシエちゃんでは?
えっとStrikerSで10歳。今のフェイトさんが13歳だから9引いて……4歳か!
これは希望が見えてきましたよ。
はやてさんは俺たちに敵意がないこと。龍族と交戦した部隊は帰したこと。非礼を詫びるためにここに来たことを話したが受け入れてはくれなかった。
むしろ余計に少数民族たちを怒らせたようで槍を構え一触即発の空気になっている。
主を守るために守護騎士が前に出た。その間に割って入った俺は族長に提案する。
「待った待った。とりあえず龍神様に今でも怒ってるか聞きに行ってもいいですか?」
その言葉にポカンとするはやてさんと族長。こいつ何言ってんの的な目、久しぶりだな。
でも俺にはあるんですよ。逆転のカードが。
「とりあえずそこにいる子供を交渉役に頼みたいんですが」
俺が指差すと差されたキャロは首を傾げていた。
「ほんま大丈夫なん司郎君。君が無茶苦茶なのは知っとるけど、今回は輪をかけて無茶やで」
とはやてさん。
失礼な。誰が無茶苦茶ですか。
俺は守護騎士たちを見渡すが全員主の言葉に頷いてる。
ちょっと、俺の味方がいないんですけど。
とりあえず俺はキャロの前に小さな兎の人形を錬金し、操りながら話をする。
ドラゴンの族長に会いに行きたいこと。自分たちの言葉をドラゴンに翻訳してほしいこと。
それを聞くとキャロは兎の人形に「なんでわたしが?」と問いかける。
それに俺は「だって君は龍の言葉がわかるじゃないか」と兎の声をまねてしゃべる。
あっ、びっくりしてる。それからおろおろした様子で誰かを呼びに行った。
しばらくして母親らしき人が来て土下座してきた。ええ、何事?!
「お願いです。どうかこの娘の能力のことは黙っていてください。でなければ私たちはここで生きていけません」と。
ああ、そうか。キャロはフェイトさんに拾われるまで各地を転々としてたんだっけ。
それもこのレアスキルのせいで長老に追放されたからか。
つまり俺たちは招かれざる客だったってわけかー。
ちなみにこの人はキャロとは血のつながりはなく、両親を亡くしたキャロを引き取った女性らしい。
俺たちは作戦タイムを開くことになった。
上級龍と話す手段はある。だがそれを使えば確実に1人の子供が村から追放されること。
そして遠くない未来その子供は自分が持つレアスキルのせいでこの村から追放されることをみんなに話した。
「そんな、そんなのって」
皆が憤りを感じる中、フェイトさんは特に怒っていた。
生まれが生まれだからなフェイトさん。周囲から望まれない力というのも自分に重なるんだろう。
望まれず生まれたアリシアクローンとしての自分と。
「それで、どうしましょう?」
俺は皆に尋ねる。
「1つ。少女に頼らず上位龍とガチンコ対決をする。これはお勧めできません。文字通り次元戦争を引き起こしかねませんから」
俺の言葉に頷く一同。
「で2つ目。俺がスカウトした少女を通じて上位龍に敵意がないことを話して交渉に持ち込む。これが1番平和的な手段ですが、その場合その少女は村から追放されることが確定します。なので」
「管理局が身柄を保護する、か」
はやてさんの言葉に俺は頷く。
「龍種と話せるなんてレアスキル。管理局が放っておくわけがありません。喉から手が出るほど欲しいはずです。だから悪いようにはならないかと」
「そんな、その娘の意思はどうでもいいの? 司郎!」
フェイトさんの言葉に俺は比較的マシな選択を提示する。
「または、ここにいる誰かが彼女を引き取るという手もあります」
その言葉にフェイトさんの顔がぱっと輝いた。
「幸い4歳程度ですし最初は苦労するかもしれませんが自活できる年齢になるまではあっという間です。発案者である俺が引き取るのが筋ですが皆様の中に我こそはと言う方がいれば」
「ちょっと待ってて」
フェイトさんが量産型ムラサメを使いどこかに連絡し始めた。それからアリシアと一緒に2,3話したと思ったら手を上げた。
「私が引き取るよ」
「フェイトちゃん⁉」
突然の宣言に驚くなのはさん。はやてさんも目を丸くしている。
「母さんに話したらいいって。うちなら部屋余ってるし、その子が立派に育つまでうちで面倒を見るよ」
「フェイトが言わなかったらわたしが言ってたから大賛成だよ。その娘と仲良くなれたらいいな」
フェイトとアリシアの様子にポカンとするなのはさんとはやてさん。それに守護騎士たちが笑っている。
「ですか。では、作戦を詰めていきましょう」
そう言うと、俺はキャロを使った龍種との講和会議についてどのように協議するか話し合うのだった。
なのは「第1回聖祥大附属中学校女子会議ー!」
みんな「わー! やんややんや」
アリサ「で、異世界であんたら何かあったの? 真木と」
すずか「半年もあったんだから、何かしらあったんだよね?」
無言の4人。
すずか「え? え?」
なのは「なにも、なかったです」
フェイト「むしろ現地の協力者に司郎の唇が奪われました」
アリサ「なんですって⁉」
アリシア「好きのキスじゃなくて友情のキスって言ってたけど、友情だけじゃキスはしないよねー」
はやて「せやな。完全に後れを取ってもうた」
ずーんと落ち込む4人。
アリサ「何やってんのよあんたら」
すずか「アリサちゃん。4人は4人で一生懸命にやってたと思うよ。多分」
アリサ「それでもあいつのファーストキスが奪われたことには変わりないでしょ。で、その娘は年上?」
なのは「年下です」
アリサ「余計に何やってんのよあんたらは!」
すずか「で、でも友情のキスなんでしょ。そういう感情はないんじゃ」
フェイト「いや、一概にそうとも言い切れないところがあって」
アリサ、すずか「?」
アリシア「その娘ねー、しろうがトレーニングで使ってた使用済みシャツを新品と入れ替えてお姉ちゃんにも内緒でジップロックみたいな密閉容器に保存してて」
アリサ「は?」
アリシア「で、自分の部屋で1人になるとその匂いを嗅いでトリップしてたよ。毎日」
すずか「完全にやばいんじゃないそれ?」
はやて「せやな。まあ、司郎君が言葉を額面通りに受け取る性格で今回は助かった点もあるわ」
なのは「あ、ちなみにその娘近々地球にお姉さんと現地協力者の仲間たちと一緒にやってくるの」
フェイト「向こうでは豚肉が牛肉並みに高いらしいからトンカツがおいしい料理屋さん予約してるって司郎言ってたよ」
アリサ「どうでもいいわよそれは!」
すずか「何か対策は立ててあるの?」
はやて「とりあえず直接接触は阻害して間接接触で会話をしようかと」
フェイト「私やなのはが間に入って司郎と直接話さないようにするやり方だね」
アリシア「陰険すぎない? やり方」
なのは「アリシアちゃん。恋は戦争なの」
はやて「せやでー。恋愛ではどんな超法規的処置も許されるんや」
はやて(私みたいにみんなに内緒で祖父母やご両親の家に挨拶に行ったり、弱った自分を見せて甘えたりとかな)
なのは「そんなわけでセツナちゃんと司郎君と直接合わさないように立ち回るの。みんな、協力してくれる?」
みんな「もちろん」
こうして月村邸の夜は更けていく。
今季アニメのキャンプ地はガルパンに決まりだな