無能力転生者はリリカルなのは世界で生き延びたい(令和版) 作:百男合
異世界から戻ってきたら2学期が始まってました。
管理局、異世界でまたやらかす。全部管理局のせいですあーあ。
EXSEEDSが管理局の尻拭いをすることに。 そこでキャロを発見する。
「竜召喚」
キャロ・ル・ルシエの持つレアスキルである。
文字通り竜を召喚できるほか、竜と意思疎通ができるスキルでもある。
つまり今から交渉する龍族との会見に是が非でも必要な能力者でもあるのだ。
そういうわけで俺はキャロに対しお願いした。
土下座もした。
是非俺たちについてきてほしいと。
で、帰ってきた答えはというと……。
「見事に振られたわけか」
「はい」
はやてさんの言葉に、俺はしわしわピカ〇ュウのような顔で3日間の成果を報告する。
1日目。槍で追いかけてくる部族の男たちから隠れながらキャロに接触。人形劇で気を引きつつ誘うがその話が出るとどこかへ行ってしまった。
2日目。前日より多い部族の男たちから逃げながら遭遇したキャロに土下座でお願い。キャロは俺の姿を見ると一目散に逃げていき、1度も振り返らなかった。
3日目。逆に部族の男たちと仲良くなってしまった。俺の逃げっぷりが気に入ったのだとか。
キャロは俺が渡すお菓子を強奪した後逃亡。その日は村中のどこを探しても見つからなかった。
「俺、嫌われてるんですかね」
「いやー、嫌われてるというか、怖がられとるんちゃう? 君の場合」
え? なんでですか? こんな人畜無害な顔してるのに。
「だって今まで隠してた能力を一発で看破された上に協力してくれって言う相手、私でも警戒するで。今回はサポートに回り勧誘はあきらめ」
がーん、だな。その発想はなかった。
仕方なく仲良くなった部族の男たちから情報を収集する俺。
で、そこで分かったこと。
なんでもこの世界には「龍神」という存在がいるらしい。
その龍はとても頭がよく、その昔その龍が住む禁則地で釣りをしていた子供を他の龍種から助けたり、山で足をくじいた狩人を村の近くまでくわえて運んできたり、村が大飢饉で飢えそうになった時にその龍が住む禁則地を訪ねた時戒めるように鳴いた後、村人が事情を話すと飛び去り、果樹がたわわになる森へ導いたとか。
うん、とてもただの龍とは思えんね。誰だ頭の悪いトカゲとか言ったやつは。
これなら信仰されるのもわかるわ。そしてそれに対して弓引いた管理局を憎むのも。
しかしだったらなおの事話し合いで解決できないかねー。余計な戦いなんて煩わしいと思うんだが。
そうだ、貢物! 貢物を用意しよう。
俺はさっそく龍種が何を欲しがっているのか村の男たちに聞いて回る。
1番は酒。龍神は飲まないが、他の龍は喜んで飲むらしい。
2番目は味のついた肉串。酒のアテにもなるし、これは龍神も食べるんだとか。
となると用意する物は決まってますね。
俺は管理局に連絡すると早速あるものを用意してもらう。
俺の予想が当たるなら、これが龍神に喜んでもらえる最高の貢ぎ物になるはずだ。
「隣、いいかな?」
キャロ・ル・ルシエに声をかけたのはいつもの少年ではなく、お人形のようにかわいらしい少女だった。
金髪の長い髪に赤い瞳。いい香りがする。
思わず顔を真っ赤にしてこくこくと頷くキャロの隣にフェイトがかがんで遊んでいた砂場を見た。
「何をしているの?」
「おやまをつくってる」
フェイトの質問に、キャロは答える。
「みんなと遊ばないの? ほら、あそこに君と同じくらいの子供がいるよ」
ちらりと見ると部族の男の子数人が広場で遊んでいた。
「あの子たちはいじめるからきらい。わたしのことお父さんとお母さんがいないもらわれっこだからって」
キャロの言葉に「そう」とフェイトが傷ついたような顔をする。
自分の事じゃないのにどうしてそんなに悲しそうな顔をするんだろう? キャロの中で疑問が首をもたげた。
「どうしてかなしそうなかおするの?」
「え? 私、そんな顔してたかな?」
「うん。いつもわたしをおいかけてるおにいちゃんといっしょのときはにこにこわらってるのに」
その言葉に顔を真っ赤にするフェイト。
「わ、私ってそんなにわかりやすいかな?」
「よくわかんない。でも、おにいちゃんといっしょにいるときのおねえちゃんはおいしいものたべたときのみんなとおなじようなかおしてるの」
その言葉に頭から湯気が出るんじゃないかと思うほど顔を真っ赤にするフェイト。その姿にキャロは興味津々だ。
「きょうはおにいちゃんこないの?」
「え? えーっと、君に嫌われたってショックを受けて今はお留守番、かな」
フェイトの言葉に不思議そうな顔をするキャロ。
「わたし、おにいさんのこときらいじゃないよ」
「え? そうなの?」
「うん、あうたびにおかしくれるし、にんぎょうげきもみせてくれる。きのうはかくれんぼのとちゅうでかえっちゃったから、あやまろうとおもってたんだ」
その言葉にフェイトはホッとした。彼が嫌われたわけではないらしい。
「そっかーよかったー。あとで司郎に教えてあげなきゃ」
「おねえちゃんはおにいちゃんとけっこんしてるの?」
唐突な純粋無垢な瞳から放たれた質問に、思わず噴き出すフェイト。
「け、けけけ結婚⁉ な、なんでそう思うのかな?」
「だって、たがいにおもいあうのがふーふなんでしょ。おにいさんのことかんがえてるおねえさんしあわせそうだし、そうなのかなって」
キャロの言葉に「そ、そうかなーそうだったらいいんだけどなー」とフェイトはもじもじしている。
やがて満足できるお山ができたのか、キャロがトンネルを掘り始める。
「おねえちゃん、はんたいがわからほって」
「あ、うん。よいしょ、よいしょ」
4歳児が作った砂の山だけあってトンネルはすぐに開通した。
反対側から伸ばされた小さな手を握るフェイト。
「あのね、キャロちゃん」
「なーに?」
純粋無垢な瞳に、フェイトは話しかける。
「ここから出て、お姉ちゃんと一緒に住む気はない? もちろんキャロちゃんさえよければだけど」
真剣な顔をして自分を見つめてくるフェイトにただ事ではないと悟ったのだろう。握った手が固くなる。
「いいよ」
だが、帰ってきた返事はフェイトが求めるものだった。
「ここにいても、わたしいらないこだし。おねえさんといっしょにいくよ」
「キャロちゃん!」
その言葉に思わずキャロを抱きしめるフェイト。
「おねえちゃん、どうしてないてるの?」
不思議そうにするキャロに、フェイトはこの娘を幸せにしなくちゃと固く決意するのだった。
どうも、真木司郎です。
喜ばしいことにフェイトさんがキャロちゃんの懐柔に成功しました。
村の関係者と揉めるかと思ったのですが村長はキャロに広い世界を見て来いと快諾。
そっか。レアスキルのことを知らないから純粋な好奇心で俺たちについていくと思ってるんだ。
俺はそのお礼に錬金で龍神像を村に建立。聞いた情報をもとに作ったんだがなかなか似ているらしく村の人たちにお礼を言われた。
こうして龍神と会うためベースキャンプにアリシアを残し、貢物を乗せたトレーラーで禁則地へと訪ねてきたわけですが……。
「いますねぇ」
「あーおるな。100体以上」
俺の言葉にはやてさんが頷く。
空を覆う黒い影。あれ全部龍種ですわ。禁則地はどうやら龍神だけでなく他の龍も暮らしているらしい。
で、ここでキャロちゃんの出番と翻訳をお願いしたのだが無理らしい。
「みんな、おこってる。きんそくちにはいったこと。だから、さっさとかえれって」
なるほど。出番です、なのはさんフェイトさん。
殺さない程度に懲らしめてやりなさい!
俺の言葉に「待ってましたの!」と非殺傷設定の魔法弾を撃ちまくるなのはさん。
相当フラストレーションがたまっていたようで撃ち落とすたびに歓声を上げている。
フェイトさんですら最低出力の電撃魔術でしびれさせているというのに遠慮がない。よっぽど3日3晩のアリサ先生の勉強教室が応えたらしいな。
おっと、及ばずながら俺も力になりますよっと。
『ハンブラビ』
クレイゴーレムを2体錬成して同じくハンブラビのメモリを首元に挿す。
それから龍の群れを囲みウミヘビを互いに放ち「蜘蛛の巣」を作り出す。そこにいた龍種たちはビリビリしびれて地上へ次々と落ちていく。
それを回収する守護騎士たち。下手に怪我させると龍神様の怒りを買いそうだからね。一応拘束だけしてすぐ逃がせるように準備してもらう。
さあ、これで天を覆ってた龍種がいなくなったな!
俺はキャロを連れるフェイトさんを促し禁則地の奥へ向かった。
龍神様っていっても限度はあると思うじゃん?
あの怪獣王ゴ〇ラですら100メートル程度なんだぜ。
なのに、なのにさぁ。
「でかすぎんだろ……」
俺の発した言葉に全員が頷く。
最初見た時は山だと思った。
やがてそれが生命体だと気付いたときは、命の危機を感じる。
で、それが探していた龍神様だと気付いた時には神に文句を言いたくなった。
神様、こんな存在聞いてませんと。
それぐらい規格外の存在だった。
大きさは少なく見積もっても500メートル以上。
多分地球にあるどの建物より高い。
で、翼を広げた体長はおよそその倍。
ムラサメのデータバンクですらバグる生物学的にあり得ない大きさ。
こんなでかい生命体、いるはずがないと。
でも現実にいるんだよなぁここに。
俺たちは警戒態勢を解かずじりじりと後ずさりする。
いつでも逃げ出せるように。
「りゅーじんさま、おきたって」
キャロの言葉に俺たちはその存在を見る。
龍神という規格外の存在は大きくあくびすると禁則地中の鳥が飛び立った。
それほど強い風だったのだ。
たかがあくびで、である。
もしこれがブレスだったらと思うと。想像するだけで寒気がした。
「手を出したらあかん存在って、おったんやな」
とはやてさん。それに俺と守護騎士たちが同意する。
「りゅーじんさま、おなかすいたからちょっとまってろだって」
キャロの言葉と同時に龍神が翼を広げ飛び立った。
その際突風を俺たちが襲う。樹は倒れ、飛ばされないように地面に張り付くように身をかがめる。
フェイトさんなんかキャロをかばって地面にバルディッシュ突き刺してるよ。
やがて点のように小さくなった龍神だったが数分後には何かを咥えて帰ってきた。
「きょうのあさごはんだって」
その姿に思わず目が点になる。
軍艦のような大きさの地龍を咥えてやってきた龍神様は足の爪で器用に傷をつけると鼻歌を歌いながらブレスの炎で軍艦ほどの大きさの地龍を焼いていった。
「スケールが違うの」
となのはさん。うん、俺もそんな気持ちだ。
戦って勝とうとか思わない。絶対的な実力差。
それをこの龍神様からは感じられた。
で、全身がこんがり焼けた地龍を頭からバリバリムシャムシャ食べる龍神様。
心臓が弱い人間がいたら気絶しそうな光景だな。
ムラサメ、一応撮っておいて。これと戦争しようとした馬鹿な管理局員をやりこめるのに使えそうな映像だから。
で、30分も経たずに骨だけになる地龍。相当な大物だったはずだが龍神の前ではエサにしかならないらしい。
「ちなみにシグナムさん。あの大きさの地龍、どれくらいで倒せますか?」
「主にやれと言われればやるが正直相手にしたくないな。それを小魚同然に扱うあの龍とはもっとだ」
シグナムにそこまで言わしめるかこの龍神様は。
「りゅうじんさまが、それでおまえたちはなんのようかって」
「キャロ、俺たちの言葉は龍神様は理解できるのか?」
「うん、だいたいわかるみたいだよ」
その言葉に俺たちは本題を龍神様に話しかける。
この度は行き違いからあなたの眷属を傷つけてしまったこと。
この森を禁則地と知りながらあなたに会うために同族を傷つけてここまで来てしまったことをまず謝罪する。
それに対し龍神様はじっとこちらを見て鼻息を一つついた。
「りゅうじんさまがそいつらはけんぞくじゃないし、おまえたちがきずつけたりゅうについてもしらんって。そのりゅうはここにかってにすみついたりゅうだからじぶんとはかんけいないって」
キャロの口から出た言葉に力が抜ける。
よかった。相手は怒ってないみたいだ。
「けど、もしおまえたちがこのせかいをしんりゃくしにきたやつらだったらようしゃしないって」
龍神様の放つ殺気に俺たちの血が凍る。比喩じゃなくて凍る。
極寒の南極に裸で放り込まれてもここまでの寒気は感じない。そんな殺気だった。
「うそうそ。じょーだんぴょん。だって」
シャロの言葉と共に全身を突き抜ける寒気が霧散した。
お、お茶目ですね龍神様。
もしこの場に一般魔導士が居たら心不全で何人かこの世からおさらばしてると思うんですが。
俺は用意していた貢物を準備して龍神様に話しかける。
「龍神様、俺たちの要件は先ほどの謝罪の他にもお願いがあるんです」
ここではやてさんに発言を譲る。
「われわれ管理局と交流を持ってほしい、というのが管理局側の要望です。もし可能ならこの世界を平和にするために力をお貸し願いたいと」
「りゅうじんさまがぶをわきまえろこむすめ。ひきさかれたいかってあきれてるよ」
怒ってるよじゃなくてよかったな。でも龍神様、言葉を選んで。
守護騎士たちが差し違えてでもはやてさんを守ろうとしてるから!
「では、この世界のことに龍神様は不干渉を貫かれると?」
「おまえたちがしんりゃくをおこなわないかぎり、われはここをうごかぬだそうだよ」
猫のように体を丸める龍神様。だが目は俺たちのほうに向いている。
「侵略とは、具体的にどのような? たとえば我々が部族の方々と文化交流するのは構いませんか?」
「かまわん。ただ、ぶぞくのにんげんをどれいにしたりふとうにあつかったばあいはおまえたちのすみかをつきとめてもやすっていってる」
怖い、怖いよ龍神様。
あのなのフェイですら黙っちゃってるよ。
「なるほど。よくわかりました。部族との交流は許す。ただし不当に扱ってはいけない。これでいいですね」
「よい。だって。それとひつよういじょうにしぜんをはかいしたりどうぶつをいじめるのもダメだって」
それはきつい条文だな。
多分管理局はこの世界の開発も念頭に置いているはずだ。
じゃなきゃこんな何もない世界に手を出しはしないだろうからな。
地中にある燃料も自然破壊につながるからNG。
つまり今回管理局の目論見は全部ご破算というわけだ。
「なるほどわかりました。では今回お近づきのしるしにうちらのほうから龍神様にお土産があります」
はやてさんが俺に目配せする。
わかりました任せてください。
『タイタス!』
俺は力特化のGメモリを装着し、乗ってきたトレーラーから3つある荷台を下してその1箱を龍神様の元に運ぶ。
「なんだこれは? ってりゅうじんさまがいってるよ」
キャロの言葉に俺は笑顔で言う。
「香辛料や果物が入ったソースです。どうぞ、ご賞味ください」
俺の言葉に足の爪を器用に使いコンテナを開き中の液体に鼻を近づける龍神様。
次の瞬間目を輝かせて舌を伸ばしソースを舐めだした。
「これは、うまい! うまい! ってりゅうじんさまよろこんでる!」
キャロが笑顔で言う。よっしゃ、ハートをがっちりつかんだ。
このソース、中身はスーパーでよく見る焼き肉のタレである。
村で酒は飲まないけど食べ物は食べるって聞いた時から思ってたんだよ。龍神様には味覚があるって。
で、実際会ってみて鼻歌を歌う頭の良さ、獲物を生ではなく調理して食べる習性から絶対このソースは当たると思っていたが大当たりだ!
「今度からこのソースを使って獲物をお食べください。きっと以前よりおいしくいただけます」
俺の言葉に喜びの奇声を上げる龍神様。そんなに嬉しかったのか。
なんか喜んで踊ってるのか知らんけど地面が、地面がすごい揺れてる!
「りゅうじんさまがほめてつかわす。ほうびをやろうって」
キャロの言葉に俺たちはいいから踊るのやめてくださいと願うしかない。
すると白い龍の子供が龍神様からキャロの元へやってきた。
この龍、もしかして……。
「わがけんぞく、ふりーどりひをこのむすめにたくす。これからもはげむがよい……ひゃ、ぺろぺろしないで」
やっぱりフリードリヒだぁあああ! お前成長するとあんなのになるの?!
俺が1人原作要素の回収に感動しているとフリードリヒは龍神様に向かって一声鳴く。
「わがけんぞくよ、せかいのひろさをしってくるがいいだって」
キャロの言葉に「ゴウ!」と鳴くフリードリヒ。
こうして俺たちの龍種がいる世界への派兵は幕を閉じたのだった。
なのは「寿命が縮んだの」
フェイト「世の中には、本当にすごい存在がいるんだね」
アリシア「そんなにすごかったの? わたしも見に行きたかった―」
ヴィータ「いや、見に行かなくて正解だと思うぞ。あれはマジで寿命が縮む」
シグナム「ああ。できることなら関わり合いにならないほうがいいタイプの生命体だ」
シャマル「私たちが全力で抵抗してもはやてちゃんが逃げる時間を稼げるかどうか」
ザフィーラ「また鍛え直しだな」
はやて「はいはい、みんな暗い顔せんの。話し合いはうまくいったから結果オッケーや」
司郎「反対派を黙らせる映像も取れましたしね。文句あるならあなたたちでこの龍神様と戦ってくださいって」
キャロ「りゅうじんさま、こわくないよ?」
フェイト「そうだね。でも、龍神様の偉大さがわからない人たちがいるからそれがわかるようにお兄ちゃんが映像をとってたんだよ」
キャロ「じゃあ、おにいちゃんりゅうじんさまのすごさをみんなにつたえられるの? すごーい!」
フェイト「そうだね、司郎はすごいね」
司郎(うわーっ! 推しが幼女と楽し気に笑い合う姿―!)トウトイ!