無能力転生者はリリカルなのは世界で生き延びたい(令和版) 作:百男合
シイナとセツナ、魔人狩り、太る。ヴィータのダイエット訓練を受けることに。
真木司郎。初心を思い出す。
シグナム対トワ。司郎君トワさんを泣かせてしまう。
喉に異物感を感じた。
声の低さに父さんに風邪を疑われたが原因はわかっている。
声変わりだ。
瑞穂でも違和感を感じてたからな。こうなると確定だろう。
だから父さん、桜に感染しないようにと俺を隔離しなくてもいいんだぞ。あんたも声変わりの経験くらいあるだろう。
そのことを話すと父さんも母さんも驚いていた。
「なんだ声変わりか。司郎も大人になったものだ」
「風邪かと思ったけど。よかったわー」
その日はお祝いにチキン南蛮を作ってくれることになった。やったぜ!
で、学校でなのはさんたちにそのことを話すと「へえ、大人になったんだ」とお祝いされた。
「そのうちおひげ生えてくるのかなー」
「あー、それは望み薄ですかね。うちの父親ひげが生えにくい体質らしくて2週間に1回くらいしか髭剃り使わないんですよ」
しかもT字カミソリじゃなくそり残しタイプの首がよく回るやつ。
カイゼルヒゲみたいな立派なものを生やすためにはそれこそ年単位必要かもしれん。
「へー、真木。お前声変わりしたのか」
そんなことを話しているとクラスメイトの男子が俺に話しかけてきた。
学園祭以来こういう風に突発的に話しかけられることが増えてきたのははやてさんの仕込みだろうな。じゃないと説明がつかない。
今までは遠巻きに見られていたからな。
「じゃあお前、下」
俺はその男の口を急いでふさぐ。それから耳元で「黙れ、レディ―の前だぞ」と言っておく。
すると相手はこくこくと頷き去っていった。
ふー、下世話な奴だ。で、何の話でしたっけ?
俺がなのはさんたちを見ると顔を真っ赤にして明後日の方向を見ていた。
手遅れだったかー。
まあ、こういうのも青春の
そういえばクロノくんとユーノくんの声変わりはまだなんだろうか?
ユーノくんは俺たちと同い年だし、クロノくんに至っては17歳。声変わりをしていてもおかしくない。
そう思った我々はアースラに向かった。
「声変わり? とっくに終わってるぞ」
とのこと。
あれ? でも声高いままですよね?
俺が疑問に思っていることを尋ねると、首にあるチョーカーをいじりだした。
「これでいいか(CV杉田〇和)」
う、うわー! 一瞬で野太い声にー⁉
これにはなのはさんたちSランク娘たちも驚きである。
話を聞くとアースラで働いた年数が変声期前のほうが長く、各システムの認証には今まで通り変声期前の声を使ったほうが楽なんだとか。
それでいいのか管理局の防衛システム。
もちろん休みの日はチョーカーを外し、変声期後の声で話しているらしい。
「つまり変声期後の声を知っていたのはエイミィさんだけだったと」
「まあ、そうなるな」
俺の言葉に頷くクロノくん。
よっしゃ、言質取った。みんなー、クロノくんとエイミィさん休日デートする仲だってさ!
その話題にキャーキャー言う女性陣。失言だと気付いたクロノ君だがもう遅い。
しばらくは俺の代わりにみんなのおもちゃになってくれ。
さて、八神家で魔人狩りたちに交じってヴィータにしごかれる俺。
みんなヴィータの猛特訓のおかげで引き締まった体になってきた。
訓練の終了に1人1人抱きしめるヴィータ。特にシオリは感極まった様子で「ヴィータ教かぁあああん!」とみんなの前で泣いていた。
同じく運動苦手組のユズを見ているとショートパンツにカモシカのような足がむき出しだった。
もう少し太い方が健康的だと思うんだけどなぁ。
まあ、痩せて健康的になったなら何よりである。
ところで女性でも変声期と言うのはやってくる。なので同い年のユズに変声期が来たのどうか尋ねてみた。
「変声期? うーん、気にしたことないけど。トワさんやみんなと会ってから声が変わった感じはないかな」
とのこと。それに「何つまんねぇこと聞いてんだ。お前は人差し指で逆立ちしながら庭を10周だ」とヴィータの激が飛ぶ。
それを見てドン引きする魔人狩りたち。よく見ておけ。赤い悪魔に指導を受けるとはこういうことだ。
で、ヴィータの特訓メニューを終えて一休みしてるとムラサメがユーノくんからビデオ通話が来ていることを告げる。
早速通話ボタンを押すとユーノくんが画面に映る。
『やあ、司郎。またヴィータにしごかれてたのかい?』
その言葉に俺は頷き、何か用があるのでは? とユーノくんに尋ねてみる。
『ああ。君が以前言っていた龍神伝説について興味深い記述のある本が見つかったからその連絡を。実は龍神はとても頭がよく、過去にその世界にあった王国と和睦する際香辛料を求めたという記述があったんだ。それにその龍神の背に乗って空を飛んだ騎士という記述があってだね』
浪々と龍神様の記述を口にするユーノくんの声は3年前から全然変わってない。
『……ってことがあってね。どうかしたの? そんな優しそうな顔をして』
「いや、ユーノくんは変わらないなと思って安心してた」
俺の言葉にわけわからんと言う顔をするユーノくん。
その首にチョーカーらしきものがないことを確認し、俺は1人安心する。
あんなドッキリはクロノ君だけで充分だ。
「よーし、クールタイム終了。司郎、次の訓練に行くぞ」
ヴィータの言葉に「ウス!」と返しユーノくんに貴重な情報ありがとうと返事をしておく。
それに大したことないよと笑顔で通信を斬る彼は本当に得難い友人だと思う。今年のバレンタインデーとホワイトデーは奮発しようと思う俺だった。
で、それから昼は学校行って放課後はEXSEEDSのお仕事。夜はバニングス邸でお勉強会というルーチンを繰り返して臨んだ期末テスト。
結果は俺、アリサ嬢、すずかちゃん、フェイトさん、はやてさん満点。
なのはさん、アリシアの2人。90点台。
一気に点数がよくなった。これも毎日の勉強会の
で、クリスマス兼2学期お疲れ様パーティー。いつものようにバニングス邸で行われた。
「この像も7体目ね」
しんみりと自分のサンタコス衣装の銅像を見るアリサ嬢。
小学1年生の頃からお世話になってるからね。これくらいのお礼は安いもんだよ。
俺がそう言うと、「で、この像は9体で打ち止めってわけね」とアリサ嬢。
察しがいいな。俺がここに来られるのは中学卒業まで。
つまり10体目の象はない。
だがそんなことを言っても盛り下がるだけだ。俺は努めて盛り上げるように言う。
「今年は異世界からの友人も呼びましたし、例年よりも盛り上がると思いますよ」
と宴席のテーブルを見る。
シイナさんとセツナちゃん、トワさんと魔人狩り4人達が出てくる料理に興味津々と言った様子だった。
キャロは一緒にやってきた省エネモードのアルフと一緒。アルフがなにくれとなく世話を焼いている。
「ほんと、にぎやかね今年は」
アリサ嬢はそう言うと長い金髪をなびかせ、俺の隣に立つ。
「本当に、あんたは向こうに行っちゃうのね」
「はい、そう決めましたから」
俺の言葉に、アリサ嬢は宴席の騒がしさを聞きながら言う。
「私、あんたのこと。好きだったのよ」
「そうですか。光栄です」
「ちなみに、今でも好きだって言ったら?」
そう言葉にしたアリサ嬢の瞳は濡れていた。まるでこの後聞く言葉を分かっているかのように。
「ごめんなさい。俺には君より大切な人がいるから。これだけしか言えません」
「そう。ありがとう、ちゃんと振ってくれて。これで明日からちゃんと歩き出せるわ」
そう言ってアリサ嬢は宴席に向かっていった。
こういう時、ちゃんと振るのも男の務め……らしい。
まあ、アリサ嬢が俺の事を気に入っていたというのは驚きだったけど。
しばらく中庭でボーっとしているとすずかちゃんがやってきてアリサ嬢と同じように告白された。
俺は同じように断った。
すずかちゃんは少し泣いて、笑顔で宴席に帰っていった。
マジかー。すずかちゃんもかー。
これ、俺のモテ絶頂期だったんじゃない? あとは誰からも相手にされない枯渇期が続くんじゃない?
安易に返答したのは下手こいたかもしれん。こんなチャンス、一生なかったかも。
『安心してください、主。私が常にそばにいますので』
とムラサメ先生。
でもお前デバイスじゃん。生身の人間じゃないじゃん。
『なんですか。私じゃ不満だというのですか?』
とデバイスと漫才している間にパーティーは終わってしまう。
俺は一生に一度のモテ期を逃したことにちょっぴりショックを受けたのだった。
3学期の中間テストと期末テストの結果は2学期と変わらなかったから割愛。
バレンタインとホワイトデーでは例年貰えるアリサ嬢とすずかちゃんからのお返しがもらえなかったことがいつもと違う点だろう。
しょうがないね。それも俺の選択のせいだから。
甘んじて受けよう。
いつもの人とは別に新たにシイナさんとセツナちゃん、トワさんに魔人狩りの4人にもちゃんと贈っておいたよ。
ただ、キャロは魔人狩りの4人に影響を受けたのか俺のことを「お菓子の人」と呼ぶようになってしまった。
そりゃ、会うたびにお菓子を渡していた俺にも落ち度があるけどさぁ。
フェイトさんからは「司郎はキャロを甘やかしすぎ」と怒られるし、アリシアからも「お菓子は1週間で食べきれる量にして!」と言われてしまうし。
でもなぁ、両親がいないロリを甘やかしたくなるのは人間の
この間もフェイトさんに内緒でフル稼働フェイト・テスタロッサの人形(プラスチック製)を錬金したら「キャロに変なもの与えないで」と怒られてしまった。
変なものじゃない。フルスクラッチのフェイトさんのフィギュアだと説明しても聞く耳持たずで「恥ずかしいからやめて」と没収されてしまう。
いい出来だったのに。
そうそう、なのはさんの誕生日にはちょっといいお店のシルクのナイトキャップ、ネックピロー、アイマスクの安眠セットを贈っておいた。
これでどこでもぐっすり休めるはずだ。
ただ反応は微妙だった。やっぱり消え物のバスボムあたりが最適解だったか。
ユーナがプレゼントしたネイルオイルに興味津々だったからああいったものもよかったのかもしれん。
思春期の女の子へのプレゼントって難しいなぁ。
で、2年生になりました。
誰も留年することなく進学。めでたい!
1学期丸々休んでたのに出席日数足りた! 休学届に感謝!
そんなわけでこれからEXSEEDSと中学生の2足の草鞋を履いて頑張るわけだが、1つの吉報が俺たちにやってきた。
なんとクロノくんの結婚式へのお誘いだった。
すずか「振られちゃったね、私たち
アリサ「そうね」
すずか「結構、本気で好きだったんだけどなー」
アリサ「私もよ」
すずか「でも、不思議とぜんぜん悔しくないんだ」
アリサ「もっと心がドロドロするかと思ってたのにね」
すずか「で、誰が勝つと思う? アリサちゃんは」
アリサ「なのは、と言いたいけどフェイトかしらねー。アリシアも油断できないわ」
すずか「じゃあ私ははやてちゃんを応援しようかな」
アリサ「あら、だったら私はなのはを応援するわ」
すずか「ふふ、司郎君。私たちに対して何も変わらなかったね」
アリサ「そうね。いつもどおりチョコとキャンディー渡してきて。変わらなかったわ」
すずか「ちょっとムカついたね」
アリサ「ムカついたわ」
すずか「私たち、いっしょだね」
アリサ「ええ。まさか振られる日も一緒だとは思わなかったけど」
すずか「私は振られるってわかってたからなー。アリサちゃんもでしょ?」
アリサ「あいつが管理局で働くって言ったときからね。私たちの事、眼中にないって思ったわ」
すずか「その通りだったね」
アリサ「ええ、その通りだったわ」
すずか「アリサちゃんは、これからどうする?」
アリサ「めいいっぱい、幸せになってやるわ。私を選ばなかったあいつが後悔するくらい」
すずか「じゃあ、私もそうする。競争だよ、アリサちゃん」
アリサ「望むところよ」