無能力転生者はリリカルなのは世界で生き延びたい(令和版) 作:百男合
主人公、声変わりする。
アリサとすずかから告白される。
クロノくん、結婚するってよ。
結婚式って特色が出るよね。
宗教とか、国ごとの文化とか。
だが目の前で行われているのは地球とそんなに変わらないように見えた。
神父の前で誓いの言葉を告げる2人。指輪の交換。花嫁の顔にかかったベールを上げて口づけする新郎。
「以上を持ちましてクロノ・ハラオウンとエイミィ・リミエッタの婚姻は結ばれました。皆様、盛大な拍手を」
シスターの声に俺たちは拍手を送る。
新しい夫婦の門出を祝って。
さて、クロノくんとエイミィさんの結婚式の披露宴である。
あの後ちゃんとシスターしてるマテリアルズに感心しながら聖王教会で挙式を上げた俺たち。結婚した2人は参列者を引き連れて予約していた近くのホテルに俺たちを連れてきた。
披露宴のために。
ミッド式の結婚式にはブーケトスはなかった。地球生まれのなのはさんとはやてさんはがっかりしてたけど。
で、その披露宴の食事の豪華なこと。
ちょっと大丈夫? 結婚祝いのご祝儀だけで元とれる?
ついそんなことを考えてしまうのは俺が小市民なせいだろうか。
まあ、そういう俺もムラサメデバイスとGメモリの特許で結構なお金持ちなんだけどね。
「父さん、落ち着きなよ」
俺は隣の席で緊張している父さんに対して言葉をかける。
「そうは言うがな司郎。こういう場でのスピーチなんて父さん初めてで」
なぜだかわからんがクロノくんに是非にと俺の父親に結婚式のスピーチを任されたのだ。ふさわしい人はグレアム元提督とかもっといただろうに。
本人も俺と2人で錬金してクロノくんとエイミィさんの銅像を作って飯食って帰るつもり満々だったらしくこの采配には驚いていたが。
「桜の結婚式の予行演習だと思いなよ。そうすりゃ気が楽でしょ」
「なに! 桜は嫁にやらんぞ!」
俺の言葉にさっと顔色を変え父親特有の娘への独占欲を発揮する父親。
まだ生まれたばっかりなんですが。あと何年かかると思ってるんだよ。
なんにせよ緊張は吹っ飛んだらしいな。良きかな良きかな。
「次はスピーチです。真木真司様、お願いいたします」
「おっ、呼ばれてる。じゃあ行ってくるぞ」
「行ってらー」
さて、父さんのスピーチの間食事しとくか。
この白いパン、おいしいな。もぐもぐ。
「よくおなかに入るね司郎」
とフェイトさん。あ、ちなみにはやてさんを除く地球組のなのはさん、フェイトさん、アリシアはこの席にいるぞ。
はやてさんは八神家で別のテーブルに座ってる。
「テスタロッサさんも緊張ですか? 胃に何か入れていた方がいいですよ」
「そうだよフェイトちゃん」
となのはさん。魚を揚げてトロトロのあんかけのソースがかかった料理を食べていた。
「フェイトは緊張しいだなぁ。リラックスリラックス」
と同じ顔でフェイトさんを
「3人が図太いんだよ。この後出し物なのに。緊張するー」
ちなみにフェイトさんの言う出し物はオーバーランクS娘4人組の歌。紅白歌手とゆかりん王国の女王、清澄の白い魔王の歌声が聞けるなんてなんて贅沢なんだ。
ムラサメ、録音しといて。
『了解です。主』
そんなことを言ってたら父さんのスピーチも佳境に入っている。あ、リンディさん泣いてる。クロノくんの父親の下りのところで涙腺に来たのかな?
それにエイミィさんももらい泣き。感受性の高い娘だよ。これは将来の嫁姑問題は問題なさそうですね。
まあ、苦労するのはクロノ君なので俺は高みの見物をさせてもらうが。
「真木真司様、ありがとうございました。では続いての余興は新郎新婦の同僚である高町なのは様、フェイト・テスタロッサ様、アリシア・テスタロッサ様、八神はやて様合同による歌のプレゼントです」
3人が立ち上がり新郎新婦の前に行き、入れ替わりに父さんが席に帰ってくる。
「オツカーレ」
「ああ、慣れないことはするものじゃないな。途中何回か噛んだ」
ずーんと落ち込んでる父さんに皆誰も気にしてないと思うよ。とは言えないな。
「リンディさん感動してたしいいんじゃない?」
「そうか? そうだといいな」
飲み物を一気に飲んでふぅ、と一息吐く父さん。実際いいスピーチだったと思う。
こんな機会をくれたクロノ君には感謝だな。
あっ、曲が始まった。聞き覚えのない音楽にミッドチルダ出身者は興味深そうにしてる。
この歌って……あれか! 地球ではおなじみの結婚式おなじみソング。
にしてはセンス古すぎないか? あなたたちまだ13歳ですよね?
ふつうこういう歌は30代のおばちゃんたちが歌うと思うんだけど。
まあ、いいか。咎める人間もいないし。
結局悪乗りした4人のおかげで新郎新婦が5回も口づけをみんなの前で披露する羽目になったのは言うまでもない。
さて、現在俺はプレイルームにいる。
来場者たちの10歳以下の子供たち用に作られたスペースに小さいボールが敷き詰められている場所だ。
エイミィのお色直し。2回目からは食事を食べ終えた俺は時間を持て余し子供たちの相手をするためにここへやってきたからだ。
「兄ちゃん、スペックマン作って!」
「私のお姫様のほうが先ー!」
はいはい、順番根順番。錬金で錬成してあげるよ。
ちなみになぜこんな場所にいるのかと言うと女避けだ。
なんかエイミィさんの友達の目、ギラギラしてて怖いんだよな。
絶対管理局のいい男捕まえてやるぞって気概が満ち溢れててオーラ化してるっていうか。
現にクロノくんの友人のヴェロッサくんが女性陣に囲まれてるし。
なのでその視線から逃げるためにやつらが来ないであろう子供用のプレイルームで子供たちの相手をしているのだ。
傍から見ていたら子供好きのお兄さんに見えるので外聞もいい。
そして子供の情報、馬鹿にできない。普通に調べてたら得られない親の情報が簡単に入手できる。
気を許した相手だとこうもガードが緩いとは。クロノくんも将来気を付けるんだよ。
「しろうー、なにしてるのー?」
おっと、子供たちの相手をしてるとアリシアがやってきた。
クロノくんの同僚の管理局員たちにナンパされてたのを守護騎士たちに守ってもらっていたと思っていたんだが。
「フェイトとなのはとはやてはそうだねー。わたしはしろうを探してここまで来ただけ―」
と言うと子供たちと視線を合わせ、「お兄ちゃんに作ってもらったの? よかったねー」と子供たちの頭をなでている。
「おねえちゃん髪キレイ。絵本の中のお姫様みたい」
1人の女の子が言った言葉にまんざらでもないアリシア。その後ろから近づいてくる男の子が。
「はい、そういうのはダメー」
おそらく髪を引っ張るかスカートをめくるか、あるいはカンチョーしようとしていた子供を俺は取り押さえる。
そのままだと泣きそうなので持ち上げてぐるぐる。キャハハと笑う男の子に「次私も―」と子供たちが俺を囲んできた。
「はいはい、順番な順番。アリシアさん。来てくれて悪いが子供と遊ぶの手伝ってもらえる?」
「おっけー、いいよー」
こうして俺はエイミィさんの女友達からのハンティングから逃れたのである。
捕まった管理局員の男たちには合掌。お悔やみ申し上げる。
披露宴も終わりに近づき、各テーブルにコーヒーと紅茶が運ばれてきた。
これが出てくると冠婚葬祭ももう終わりなんだなとしんみりする。と同時に堅苦しい装いをする時間がもうすぐ終わるんだなと。
まあ、今の俺は学生服だからスーツと革靴ほど肩が凝ったり足が痛くなるわけではないが。
それもあと2年なんだよなー。ミッドチルダでは15で成人だから。
あと2年で法律上は結婚できる歳になってしまうんだなぁ俺も。地球だとあと5年は猶予あるけど。
結婚かー。転生者はするべきなのか? という疑問にぶち当たる。
よく転生者が主役級キャラと結婚する話あるけど俺、そういうの好かん。というか恐れ多すぎる。
とりあえずなのはさんとフェイトさんと結婚することはあり得ないだろう。
だとするとサブキャラ? シャーリーことシャリオとか名前のないモブキャラと愛をはぐくむとか?
それもなんだかなぁと思う。というか、なのはさん、フェイトさん、はやてさん、シグナム、アインスさんと美人が周りにいたせいか目が肥えちゃってるし、本気で愛せる女性を見つけられる自信がない。
あかん、詰んだ。申し訳ない親父殿。真木家の血を残す役目は桜に任せるわ。
俺は多分、一生独身だろうなと思いながらコーヒーを飲む。
「にがーい」
「だからアリシア姉さん、紅茶にしておけばよかったのに」
俺と同じコーヒーを飲んだアリシアがフェイトさんに世話を焼かれている。
「うー、わたしもフェイトとしろうとおなじコーヒー飲みたかったの!」
「飲み慣れてないとブラックはきついよ。砂糖とミルク入れな」
俺が言うと「そうするー」とシュガースティックを3本入れ、コンデンスミルクもドパドパ入れるアリシア。
なんだ? リンディさんの生霊でも乗り移ったか?
「甘くておいし―」というアリシアに俺とフェイトさんはほっこりする。
ほんと癒しだよなーこの娘。
「司郎君、司郎君は2次会行くの?」
となのはさん。え? 何の話ですか?
「さっきテーブルに来た男の人たちが2次会の話してたの。司郎君は行くのかなって」
あー、プレイルームにいた時の話ですか。
といってもクロノくんの友人と俺は初対面なわけだしなー。
「行きませんかね。今日はもう疲れたので」
「だったら私も行かないの」
となのはさん。フェイトさんに目配せし、2人頷く。
「ちなみにはやては行くみたいだよ。将来のための人脈づくりだって」
「あの人まだこの世界では未成年でしょ。まあ、守護騎士とアインスさんがいるから心配は無用ですが」
未成年に酒をすすめてホテルへお持ち帰りなんてことになったら管理局の恥だからね。そんなことは起こらないだろう。
起こらないよね?
一応ザフィーラにムラサメ越しに連絡しておく。危ない時は身体空けておくから連絡してくれと。
さて、ではそろそろ帰りますか。
引き出物をもらう俺。父さんが来るまで外でボーっとしているとアリシアがやってきた。
「今日のエイミィ、キレイだったねー」
「そうですね」
アリシアの言葉に俺は同意する。
女性が人生で1番主役になれる日だからね。この後はハネムーンだ。
存分に楽しんできてもらいたい。
「司郎はさ、15歳になったら誰と結婚するか決めてる?」
唐突にぶっこまれた爆弾に俺は思わず吹き出す。
「ごほっ、なんですか急に」
「フェイトか、なのはか、はやてか。アリサとすずかもいたね。誰と結婚するか、もう決めてる?」
興味津々という目で俺を見つめるアリシア。それにため息をついて俺は説明した。
「地球では18歳以上じゃないと結婚できません。なのでアリサ嬢とすずかちゃんとは結婚できません」
クリスマスに振っちゃったしね。あの2人とはそういうことはない。
「じゃあ他の3人はー?」
「あり得ません。そもそも俺の手の届く人ではないので」
俺の言葉に「そうかなー?」と首をかしげるアリシア。
「じゃあ、わたしはー?」
「え?」
「15歳になったらわたしと結婚しないー?」
こちらを覗き込むようにして首をかしげるアリシア。
確かに顔は推しそっくりだし、本気で恋できるかもしれない。
それに原作とは違い彼女をこの世に生み出してしまった責任もあるし。
でもなー、彼女には幸せになってほしいからなー。
俺なんかと結婚するよりも、他の男と結婚したほうが彼女も幸せだろう。
「しません。近場で済ませないで俺よりいい人を見つけてください」
なのでそう返すしかない。それにアリシアは「そっか」とどこか寂しそうに言った。
「姉さんお待たせ。司郎と何話してたの?」
そこへやってくるフェイトさん。後ろにはなのはさんと父さんの姿もある。
「ふふ、15歳になったらこの中にいる誰か結婚するのかなーってしろうと話してた」
アリシアの言葉に顔を赤くするフェイトさん。
「ね、姉さん。そういうのは私たちにはまだ早いと思う」
「わからないよー。世の中何があるか。ねー、なのはちゃん」
「そうなの。ところで真司さん、奥さんと結婚した年齢は」
「さー、返ろうか司郎。うん、帰ろう。すぐ帰ろう」
なのはさんの質問に目を合わさず帰ろうと連呼する父親。
おいちょっと待て。まさか15歳の母さんと結婚したのか父さん。
10歳の頃からの付き合いとは聞いていたが、まさか15歳の子供に手を出したのか父さん。
ってことは母さんまだ30代いってないの?
「その話、詳しく聞かせてもらおうか。父さん」
我が家を揺るがす情報に俺もなのはさんと一緒に父さんを尋問する。
こうしてクロノくんの結婚式は大成功したのだった。
エイミィ「さあ、結婚初夜だよクロノくん!」
クロノ「あ、ああ。エイミィ。そのことなんだが」
エイミィ「大丈夫! 経験はないけど知識はあるから! ちゃんと年上としてリードするから」
クロノ「いや、そうじゃなくてだな」
エイミィ「???」
リーゼロッテ「どうもー」
リーゼアリア「来ちゃった♡」
エイミィ「は?」
クロノ「本当に、すまん」
エイミィ「クロノくん、説明して」
リーゼロッテ「いやー、最初が失敗したらクロ坊とエイミィもトラウマじゃん」
リーゼアリア「だから私たちが手取り足取り教えてあげようと思って」
エイミィ「余計なお世話です。帰れ」
リーゼロッテ「えー、いいの帰って?」
リーゼアリア「私たち、クロすけに頼まれてきたんだけどなー」
エイミィ「クロノくん、嘘だよね?」
クロノ「いや、こういうことを相談できる人間が彼女たちしかいなくて。司郎とユーノは年下だし、同僚に聞くのもセクハラになるし」
エイミィ「だからって自分の使い魔に相談する人がありますか!」
クロノ「本当に申し訳ない(土下座)」
リーゼロッテ「大丈夫大丈夫。私たちちゃんとそういう知識あるから」
リーゼアリア「なんなら同性同士なら経験あるから。君たちより一歩進んでるよ」
エイミィ「え、それってどういう」
リーゼロッテ「言わせる気ぃ?」
リーゼアリア「エイミィのすけべー」
クロノ「変なところがないか途中まで教えてもらうだけだから。ちゃんとその、結合したら帰ってもらうから」
エイミィ「で、でもぉ……」もじもじ
リーゼロッテ「なんなら私たちのどっちかと筆おろししてからエイミィとする?」
リーゼアリア「それ名案! どうかなエイミィ」
エイミィ「帰れ!」
リーゼロッテ「で、その結果」
リーゼアリア「君たちが生まれたってわけ」
カレル・リエラ「「はえー」」
エイミィ「子供に何教えてるの!」