無能力転生者はリリカルなのは世界で生き延びたい(令和版) 作:百男合
5月6月、誕生日ラッシュ。
EXSEEDS。管理局ににらまれ解散させられる。
クロノくん提督に出世したパーティー。エリオだけ何故か女湯に。
さて、中央のデバイス修理、開発課で働いていた俺だが1週間経った頃課長――つまり祖父のシェロじいちゃんに呼び出された。
「司郎、言いにくいことなんだがうちの課を出て行ってくれ」
え? 追放物ですか?
今どきはやらないですよ。時代は悪役令嬢転生物です。
と現実逃避してみたが祖父の目は変わらない。つまり俺をこの課から追い出したいというのは本気らしい。
「理由を聞いても?」
俺の言葉に、言わなきゃわからんか? とでもいうようにシェロじいちゃんは深いため息をついた。
「お前、働きすぎ」
なんてことだ。働いているのに文句を言われるとは。
「働いているならいいと思うんですけど」
「働き方の問題を言っているんだ。同僚や新人が自信を無くすような働き方をやめろと言っているんだよ私は!」
その言葉にはてー? と首をかしげる。俺、そんなことしました?
「自覚がないようだから言っておくぞ。普通のデバイス技師は受け取ったデバイスを即日修理して新品同様にして返却はしない。鼻歌を歌いながら3分で2つのデバイスを並行しながら修理したりしない。1日で1か月分の修理ノルマを消化したりしない。1年に1度やればいいと思われる倉庫に管理してる厄介な代物を嬉々として修理して整理し、試運転と称してパワーアップの改造なんてしない。他にもあるがまだ言うか?」
いえ結構です。
どうやら良かれと思って俺がしていたことが原因で他の職員たちのモチベーションを大幅に下げてしまったらしい。
「まあ、紹介状は書いてやる。この際いろんな部署のいろんな課を見て来い。一応私はお前の保護者でもあるからな。お前はデバイス技師としては天才だと思うが組織で働くとなると持て余すのだよ」
ということで翌日からミッドチルダ首都時空管理局のいろんな部署を回ることになった。
最初にラブコールをいただいたのはレジアス率いる首都防衛隊。
「よく来たな。お前に政治的駆け引きの真髄をみっちり叩き込んでやる」
そこで俺はレジアスの講義を受けながら首都防衛隊のみんなのデバイスを整備したり強化したりして1カ月を過ごした。
本当になんで管理局にいるんだろレジアスさん。管理局から離れて管理局を監査する組織を立ち上げたほうがいいと思うんだが。
魔力を持たない人間が安心して生活できるようにっていう大義名分があるんだから同じ思想の人間を集めて新しい組織を作ればいいのに。
それについて俺が聞くとレジアスは「今この世界に管理局以上の勢力を持つ組織はない」と前提を話した。
「だから、俺は管理局を内から変えていくつもりだった。地上の人間が安心して暮らせる世界を目指す管理局。だが実際は1部の突出した魔力を持つ人間がもてはやされるだけの悪い意味でのヒーロー症候群の組織だったよ」
お前が現れるまではな。とレジアスが言う。
「お前の作ったGメモリ。あれのおかげで誰もが高ランク魔導士に比肩し得る能力を持つことができた。そのため地上の治安は俺が思うより良くなったし、空や海にでかい顔をされることもなくなった」
そうですか。最後のはよく知らないですけど。
「だから、その。なんだ。貴様には感謝している。管理局の仕事量を減らして新人がつぶれる機会を減らしてくれたことにもな」
あ、すみません。おじさんのツンデレはノーセンキューです。
そんなレジアスの本音を聞いた俺に舞い込んだ2つ目のラブコールは陸士108部隊。
ゲンヤ・ナカジマさんとはやてさんがいる武闘派組織だった。
「ようこそ真木司郎君。我々は君を歓迎するぞ」
元気そうな顔で俺に握手をするのはゲンヤ・ナカジマさん。この部隊のリーダーだ。
「来てくれたんやね司郎君。待っとったで」
とはやてさん。今はゲンヤさんの下で修業中らしい。
「それよりなんでうちの課より先にあのおっさんの課におったんや? ん?」
「ウザ絡みはやめてください八神さん」
俺の肩に腕を回して「おおん?」とメンチを切ってくるはやてさん。
レジアスに先を越されたことが相当頭に来ているらしい。
で、そこからは2週間の新人研修。終わったら同じ課の他の局員とバディを組んで町の見回りや事件の捜査。
陸の魔導士がどうやって働いているのかをまざまざと見させてもらったよ。
もちろんこの部隊にいる間もデバイスを修理、強化させてもらったけど。
仕事終わりにははやてさんと一緒にナカジマ家を訪れ、クイントさんとギンガ、スバルの姉妹と一緒に食事をしたりした。
結構大きくなったな2人とも。ギンガが12歳でスバルが10歳か。
なんだかんだナカジマ家には訪れる機会がなかったからな。会うのは5年ぶりくらいか。
そう思って改めてあいさつするとゲンヤさんの背中に隠れられた。
「えーっと、お姫様と恐竜のお兄ちゃんだよー」
と俺はいつも持ってるプラ板を使ってお姫様のフィギュアを錬成して見せた。
するとみるみる目が輝いていき、「あの時のお兄ちゃんだ!」と喜ばれた。
そうだよー。毎年お菓子を贈っているあのお兄ちゃんだよー。
話を聞くと2人はクイントさんから格闘技「シューティングアーツ」を習っていて近々大会に出場するらしい。
なるほど。クイントさんが生きてるからスバルにも直でシューティングアーツを教えてるんだ。これは将来が楽しみだ。
それにしても大会か。vividでの戦闘競技ってもうこの世界にあるのか。ふーん。
『主、何か悪いことを考えてませんか?』
いや、考えてないが?
ただ記念に出場してみるのも悪くないと思っただけだ。
非戦闘員の俺がどれだけこの世界の強者と相手になるか確かめてみたくてな。
「ねえねえ」
ん? なんだいロリスバル?
お兄ちゃんが何でも答えてあげよう。
「お兄ちゃんは付き合ってる人いるの?」
スバルの質問にはやてさんが噴き出す。
なに反応してるんですか? 相手は子供ですよ。
「うーん、いないかなー」
「じゃあどんな人がタイプなの?」
なんだこの子、ぐいぐい来るな。ゲンヤさんの目が怪しくなってきたぞ。
「その時好きな人が1番タイプかな」
無難な返事に「えー」とつまらなそうに言うスバル。
「じゃあじゃあ、髪の長いのと短いの、どっちが好き?」
おっと2択か。これはどちらか選ばなかった方に角が立つぞ。
「その人に似合ってるなら短くても長くても俺はいいと思うよ」
はい、玉虫色の回答。だがスバルは納得いかないようで「どっちかって言えば?」とさらに追撃してくる。
「そうだなー。どっちかというと長い髪のほうが今は好みかな」
こう言えばショートカットのスバルはおとなしくなるだろう。
そう思って言った言葉だったが、それを聞くとスバルはギンガの元へ向かい「よかったね、ギン姉」となぜかギンガに嬉しそうに言っていて。
あれ? 俺なんか選択肢間違った?
「司郎君」
「なんでしょうゲンヤさん」
「娘はやらんぞ」
「はい、わかってます」
思わず正座する俺。ゲンヤさん、プレッシャーが初めて会ったときと同じくらいあふれてます。
その様子を見たクイントさんがお盆でゲンヤさんの頭を叩き、和やかに食事は終わったんだが。
「なあ、司郎君。君は女の子を見たらたぶらかさずにはおられん体質なんかな?」
帰り道。はやてさんがなぜかご立腹です。
あれかなぁ? スバルがずっと俺が胡坐かいてる上に座ってたから怒ってるのかなぁ。
「すみませんでした」
女が怒ってるときには下手に言い訳せず全面的に降伏する。
これ、俺が前世で得た教訓。
久しぶりの土下座に絶対零度の目で俺を見るはやてさん。うう、何が悪かったんだ。
「君、なんで私が怒ってるかわからんで謝ってるやろ」
「はい。いいえ」
おもわず正直にはいと言ってしまった。慌てて否定する。
「ほならなんでうちが怒ってるかわかるんやな? ん?」
「すみません、わかりません」
その言葉にため息をつくはやてさん。
「まあ、司郎君はそういうとこが司郎君なんやろうけどな」
なんかフェイトさんみたいなことを言いますね。
その後俺は三等陸士の資格を取り別部署へ異動となった。
今度は空の部隊だ。
「ようこそ司郎君。久しぶりなの」
職場ではお久しぶりですなのはさん。大体3カ月ぶりですかね。
なのはさんは管理局から引く手数多で空が飛べることから空戦部隊が彼女の引き抜きに成功した。
そこで彼女はエースオブエースの名に恥じない活躍をしており、ミッドチルダのニュースでも最年少記録を突破したと報道されるほどだ。
「司郎君と一緒に戦えるなんて楽しみなの。頑張ろうね」
となのはさんは言うが周囲の人間は俺を非歓迎モード。
目が「お前やれんの? 空戦できんの?」と問いかけてきている。
これはわからせが必要ですねぇ。
というわけで模擬戦である。
相手はなのはさんが来るまでエースだった人。俺はGメモリをムラサメに挿しゴーレムを身にまとい宙に浮く。
『エアマスターバースト!』
「ふん、不細工なおもちゃだな新人」
なんだと? このガンプラの美しさがわからんとは。審美眼をもっと磨け。
「空の上の戦いは地上とは違うんだよ!」と襲ってくる元エース。まだ試合開始のゴング鳴ってないのに。
撃ってきた魔力弾をかわし、両手のビームライフルから魔力弾を発射する俺。
試合時間、30秒。一本勝ちだった。
「まだだ!」
お、元エース頑張る。
じゃあ次はこれで行こうか。
『ハンブラビ!』
今度は突っこんできたところをウミヘビで拘束し電気ショックを流し地上へ落下させた。
「まだ、終わらんよ!」
しつこいなぁ。じゃあ、最後はこれで。
『エピオン!』
ゴングが鳴ると同時に相手に接敵。バリアジャケットを滅多切りにして首筋にビームソードをあてがう。
「参った。降参だ」
試合が終わり、地上へ降りてくる俺たち。次の瞬間空戦魔導士たちに囲まれた。
「そのガジェットを使えば俺も君みたいに戦えるのか⁉」
「隊長を破ったあのGメモリは何だ?」
「さすがなのはさんの知り合いだ。ただ者じゃないと思ってたよ」
うん、清々しいほどの手のひら返しだね。
というかなのはさん、すでにこの部隊でさん付けで呼ばれてるんですね。
年上ばっかりなのに。
そのことについて尋ねると「にゃははは」と気まずそうに眼をそらすなのはさん。
こっちでも魔王様やってんだなこの人。
で、ここでも2カ月働いて異動となった。
元エースの人に勧められて二等空士の資格を取ったんだけど、使えるのかねえこれ。
その後、海でも2カ月ほど働いた俺。
次に訪ねる部署にいるのはフェイトさん。アリシアと一緒に執務官として働いている。
「いらっしゃい司郎。ここが私たちの仕事場だよ」
「いらっしゃいしろうー。お菓子食べる?」
彼女たちの仕事は主に事務仕事。時々現場にも行ったりする。
俺が作ったムラサメが1番活躍している現場でもあった。
現に俺を見て「神だ」「神がいる」と職員たちがささやいている。
それだけムラサメデバイスがもたらした恩恵は大きいということだろう。
なにしろムラサメのデータによると書類仕事の9割削減に成功したらしいからな。この課ではまさに天からの贈り物だったんだろう。
それにしても俺を見るたび拝むのはやりすぎじゃないだろうか?
「みんなそれだけ司郎とムラサメデバイスに感謝してるんだよ」
「そうそう。しろうはすごいんだからもっと胸を張ってよ」
とテスタロッサ姉妹。うーん、俺、そういう俺偉いんだぞーって言うの苦手なんだよなぁ。
ムラサメの基本設計をしたの母さんだし、作っただけの俺はぜんぜんすごくないからな。
『主、管理局内で不正な金銭の動きを確認。問題として提起しますか?』
現に俺が何かしようと思わなくてもこうして問題を見つけてくるわけだし。
「テスタロッサさん。事件です。うちのデバイスが不正献金を発見しました」
俺がフェイトさんに声をかけるが反応がない。あれ? 聞こえてない?
「しろうしろう。ここにはテスタロッサが2人いるから。名前で言わないと」
とアリシア。なんかこの流れ、6年くらい前にもありましたね。
「フェイト・テスタロッサさん。不正献金の兆候を発見したのでこのデータ見てくれます?」
「うん、わかったよ司郎。どれどれ」
と笑顔で振り返り俺の提示したデータを見るフェイトさん。
なんだか距離がいつもより近い気がするんですが。
「うん、これは問題だね。早速関連する課に直接問い詰めに行こう。ついてきて」
と俺の首根っこをつかんで問題の部署に突撃する気マンマンのフェイトさん。アリシアに「行ってくるね姉さん」と手を振り俺の返事を聞かずに引きずっていく。
あれー? 俺の意思はー?
結局不正献金の件はその後管理局で取り上げられそこそこ大きい問題となった。
それを見つけたフェイトさんは組織の自浄に協力したとして表彰されたんだとか。
「へえ。それで今司郎はどこの課にいるんだい?」
「それが聞いてくれよユーノくん。どこの課も1カ月くらいすると俺のことを持て余し始めて大体2か月で別の部署に行ってくれってお願いしてくるんだ。おかげで俺、管理局出禁になっちゃったよ」
わが身の不幸を訴えるとユーノくんは何がおかしいのか笑い始めた。こっちは笑い事じゃないっていうのに。
ジト目で見ると「ごめんごめん」と謝り、紅茶を出してくれる。
「それで、今日ここに来た理由は?」
「春までここで雇ってくれない? 春になれば俺が不正を暴いてクビになった連中の穴も埋まって組織も大分落ち着いてくると思うんだ。俺、書類の管理とか得意だよ」
主にムラサメが、だけどね。
「そんなに管理局の不正を暴いて、表彰されたりしなかったの?」
「全部フェイトさんや同じ課の人間がやったことにしたから。俺、表に出るの嫌なのよ。で、どう? 雇ってくれる?」
俺の言葉にうーんとうなるユーノ司書長。
「とりあえず、1カ月様子見で働いてみる? で、合わなかったらアースラに戻るとか」
そうならないことを祈るよ。
だが無限書庫の隠しておきたい過去のやらかしを発見してしまった俺とムラサメは、ユーノくんがかばってくれたけど結局2か月で無限書庫をクビになったのだった。
司郎君の職歴すごいことになってそう。
フェイト「司郎のおかげで管理局はホワイト寄りになったけど、司郎が居なきゃ意味ないよー」
アリシア「フェイト、すごい表彰されてるもんね。出世コース爆走中だよ」
フェイト「私は司郎と働きたいのに―!」
はやて「まあまあフェイトちゃん。それはうちが組織立ち上げるまで待ち」
フェイト「ほんと、はやて⁉」
はやて「せやでー。近いうちに新しい組織を立ち上げる。司郎君にはうちの副官として働いてもらおうかと」
フェイト「あはは、おかしいこと言うなぁはやては。はやての副官はアインスでしょ?」
はやて「いやいや、EXSEEDSの時は2人に邪魔されたけどな。今回こそは司郎君に副官になってもらうで」
アインス「我々もそれを支持します」
シグナム「司郎もいろいろな課を巡って着実に経験を積んだし、問題ないだろう」
シャマル「その課の不正を暴いて追い出されたともいえるわねぇ」
ザフィーラ「おかげで管理局が健全化したので良かったのではないか?」
ヴィータ「まあ、今のアイツならはやてを任せてもいいとアタシは思うがな」
リィンⅡ「司郎にお世話をしてもらうですぅ」
フェイト「させないよはやて。司郎は私の部下として働いてもらうんだから」
はやて「望むところや。どっちが司郎君をもらうか模擬戦ではっきり白黒つけようやないか」
アリシア「そこに司郎の意思はないのー?」
ないらしい。