無能力転生者はリリカルなのは世界で生き延びたい(令和版) 作:百男合
主人公、デバイス開発課を追放される。
管理局のいろんな課を巡る主人公。
どの課も2か月で辞めさせられてユーノくんに泣きつくが無限書庫も2か月でクビに。
時間は少しさかのぼる。
ギンガから格闘大会のことを聞いた俺は大会に出てみようと地方の大会に出場してみた。
部門はアンダー15。つまり15歳以下の部で10歳以下、12歳以下、15歳以下の3つのうち最後の部になる。
つまりもっとも参加人数が多い部門での参戦となった。
大会では俺のゴーレム錬成がどういう扱いになるかでもめたがその場で錬成すればOKということになりGメモリの持ち込みは制限された。
残念。俺はGメモリの宣伝がしたかったのに。
といっても参加者に恭也さん以上の実力者がいなかったから高町流護身術で無双できたんだが。
俺はU15部門で優勝。U12部門ではギンガは優勝。スバルはU10部門でこれもまた優勝。
地方の代表を決めるトーナメント戦に順調に進んだ。
その日はナカジマ家でお祝いだった。娘が相当かわいいらしい。
次の地方代表トーナメント戦ではギンガが優勝。スバルも優勝。俺も優勝して世界大会にコマを進めた。
どうもまだ大格闘大会というかvividほどの盛り上がりはないんだよなぁ。強者がいないというか。
だがそんな感想も世界大会までだった。
ミッドチルダ中から猛者たちが集まる世界大会。確かに強いやつらがごろごろいる。
「なんか、緊張してきた」
「お兄さん、怖くないの?」
周囲の人間のプレッシャーに当てられたナカジマ姉妹に問われる俺。
はっはっは、こんなのあの龍神様に比べたらとてもとても。
まだ相手になるという安心感を感じるくらいだよ。
そんな俺の態度が気に障ったのか、1人の男が俺に絡んできた。
「んだテメェ。ここは小学生の引率が来るところじゃねえぞ」
ギンガとスバルを見て俺を引率の先生と例えたか。なるほど。
「いやぁ。ご指摘ありがとうございます。変わったファッションですね? 弱点見せびらかしてるのは自分が強者だからアピールですか? 恐れ入ります」
大して俺は相手のもぎ取ってくださいと言わんばかりのピアスやジャラジャラした鎖を巻いたファッションをほめちぎる。すると見る見るうちに相手の顔が真っ赤になっていった。
「テメェ、ぶっ殺す」
殴りかかってきたので華麗にかわし、足元に足を引っかける。
すると勝手に相手は転びぐるぐる回って生えていた木に激突し気絶していた。
「ギンガ、スバル。2人はあんな風にすぐケンカ売る人間になっちゃだめだぞ」
俺の言葉に「はーい」と声を上げる2人。うん、いい子たちだ。
大会はU10から始まり、スバルは3回戦で優勝候補の選手と当たり敗北。よく戦ったとほめておいた。
ギンガは準決勝まで行ったものの同じく優勝候補の人間と当たり、3位決定戦で勝利。胴メダルとトロフィーを受け取っていた。
で、俺。順調に勝ち進み準決勝である。
なんていうか、シグナムやザフィーラ、なのはさんと模擬戦やってるせいで感覚麻痺してるのかな? それほど強い相手と戦ったという感覚がない。
試合もゴーレム錬成使わない高町流護身術で完封してたし。
やはり強いな高町流。
だが準決勝はそうはいかない。俺は相手を確認して思わず2度見する。
レヴィ・ザ・スラッシャー。
はい、どう見ても身内です。本当にありがとうございました。
リングに上がると「あ、シロウだー!」」とフェイトさんと同じ顔の青い髪の少女が叫ぶ。
「僕が勝って王様とシュテルンにおいしいご飯あげるんだからねー。悪いけど勝たせてもらうよ!」
ゴングが鳴ると同時に俺はマスターのゴーレムを錬成。自分の身体に重ねる。
突撃してきたレヴィの攻撃をかわし、ゴーレムで強化された拳を叩き込む。
「甘い甘い!」
だがこれをレヴィ、華麗に避ける。なるほど、準決勝にまで駒を進めたのは偶然ではなかったというわけか。
「シスターシャッハに鍛えられてるからね。悪いけど、シロウじゃボクには勝てないよ」
そう言って不敵に笑うと襲い掛かる雷刃の襲撃者。
「遊んであげるよシロウ!」
レヴィが吼える。右、左と魔力をまとった斧が俺に襲い掛かるが俺はそれをさばき、ビームクロスでレヴィを捕らえた。
「お? おぉおおおおお?」
そのまま放り投げ場外を狙うが猫のような身のこなしで地上に張り付くように着地するとそのまま襲い掛かってくる。
うーん、このままじゃ千日手だな。
俺もレヴィも決定打になる攻撃がない。今まではそれで倒せてたんだが、なまじ双方丈夫だから最大火力の攻撃も絶対に決め手にならない。
これは困った。
相手もそのことに気づいたようで、「もー、さっさと降参しなよ!」と俺に降参を促してくる。
ふっふっふ、甘いなレヴィ。
そっちにはなくてもこっちにはあるのだよ。決定的な決め手になる攻撃が!
俺はビームクロスを自分に巻くと勢いよく回し回転を始める。
そのまま宙を舞い、回転しながら勢いを増し、レヴィに突っ込んでいく。
これぞ超級覇王電影弾だぁあああああ!
「うわ、何それ? 嘘でしょぉおおおおお⁉」
見たことのない俺の技に急いで避けようとするレヴィ。
甘い、この技は追尾ができるんだよ。
逃げていく超スピードのレヴィを追いかける弾丸と化した俺。ほれほれ、移動する分威力は強くなっていくぞー。
やがて闘技場の端っこに追い詰められたレヴィはデバイスをザンバーモードにして切りかかってきた。
「ちくしょー! なんとかなれー!」
ならない。現実は非常なのだ。
次の瞬間弾き飛ばされるレヴィ。俺はそのまま空中へと浮かび回転を緩やかに止める。
闘技場に着地すると歓声が上がった。レヴィの場外負けが確定したのだ。
「勝者、真木司郎」
審判の声がドームに響いた。
「ぐや゛じぃ゛いいいいい! シロウに負けたー!」
「よく頑張りましたよレヴィ。今日は相手が悪かったですね」
「うむ、よく健闘した。ほめて遣わす」
負けたレヴィを慰めるマテリアルズ。うんうん、仲良きことは美しきかな。
「勝ちましたね、司郎君」
「シスターシャッハ」
いたんですねと聞くと「ええ。かわいい教え子の試合ですから」と返される。
どうやらマテリアルズは聖王教会でシスターシャッハの訓練を受けている模様。そりゃ強くなるわけだ。
「決勝の相手は世間知らずの私でも知っているくらい有名な選手です。勝てますか?」
「さあ、戦ってみないと分からないですね」
「勝たないと許さないからな! このレヴィ様に勝ったんだから!」
俺の言葉にかみつくレヴィ。そうだな。勝たなきゃな。
俺は決意を新たに決勝の舞台に立つ。
相手は女性だった。いかにもな日本の侍ガールという出で立ちで瞳を閉じている。
あれ? この人どこかで見たことあるような。
そうか。vividに出てくるミカヤさんと似てるんだ。雰囲気が。
vividがなのはさんが23歳くらいだから今から8年後。つまり親戚か同じ流派の人なんだろう。
俺が1人合点していると相手は俺を見て首をかしげている。
「ゴーレムを身にまとわないのですか?」
どうやら俺がゴーレムを身にまとうのを待ってくれていたらしい。
なるほど。舐められてるね。
俺はお言葉に甘えてマスターのゴーレムを身にまとう。試合開始のゴングはとっくに鳴っていた。
さて、相手の出方を見ようと身構えていると動きがない。どうやら俺が攻撃範囲に入ってくるのを待っているらしい。
ならば遠慮なく進ませてもらう。
何の警戒もなく進んでくる俺に困惑する相手選手――カグヤというらしい――が、ある地点まで来るとキンッと鞘に入れた刀を高速で抜いた。
居合か。なるほど。
俺は刃が来るギリギリの距離を見極め後ろへ飛ぶが、ゴーレムの装甲に傷が走っていた。
伸びる斬撃か。確かに強敵らしい。
「不思議ですね。仕留めたと思ったのですが」
「仕留める? まさか。目を閉じすぎて目測を見誤ったんじゃないですか?」
俺の挑発にも相手は動じない。再び刀を鞘にしまい、俺との距離を測っている。
ところで居合のことは神速の剣技と言われているがそれよりも早いものがある。
銃弾ではない。ましてやミサイルでも。
そう、居合より早い攻撃手段とは――ジャブだ。
『カグヤ選手、顔面にいいのを食らったー! これは今大会初めてのダメージですよ』
解説役の声がドーム中に響く。それに続く歓声。
一方でカグヤは何が起こったかわからないような顔をしていた。
ふふ、不思議かね。なぜ間合いに入り込んだ俺に攻撃が届かずリーチが短いはずの俺の攻撃が通ったか。
それはね。俺の腕、伸びるの。ゴーレムだから。
戻ってきた左腕を元に戻し、さらにカグヤ選手との距離を詰める。
次の瞬間、5つの方向から殺意を感じた。
うーん、これ太刀筋だよなぁ。居合の。
そこへ足を踏み入れたら即死クラスのダメージを受けるタイプの技だ。
でも、普段シグナムを相手にしてる身からするとなんてお粗末な技なんだと思わずにはいられない。
シグナムは殺気なしで斬ってくるからな。こんな見え見えな技は未熟な証拠だ。
俺はあえて一直線にカグヤ選手に向かい走っていく。カグヤ選手の閉じていた目がカッと開き、剣戟が飛んできた。
俺はビームクロスで伸びてきた日本刀を巻き取り受け止める。それからカグヤに向けてこう言い放った。
「殺気が駄々洩れでどこから斬ってくるか丸わかりだよ。まだまだ未熟だね」
煽る。カチンと来てくれれば儲けものだ。
「このっ!」
ビームクロスを解いて刀を収めるカグヤ選手。
あーあ、意固地になっちゃったよ。この娘、居合一本で戦うつもりだ。
なんてやりやすいんだ。
再び居合を放とうとするカグヤ選手。俺は彼女の持つ刀を足で踏み、刀を鞘から抜けないようにする。
これだけで居合は封じられる。鞘という砲台から抜けなければ居合はただの曲芸にもならない技だ。それに勝つのはたやすい。
「さて、このまま勝つのは簡単だけど……チャンスを上げよう。次は全身全霊でかかってきたまえ」
そう言ってわざわざ背中を見せて距離をとる俺。
カグヤ選手。ブチギレです。勝てたチャンスを棒に振り、しかも情けをかけられたことでプライドもグシャグシャ。
今までの功績もあるんだろうけど、この娘天狗になってたんだろうな。だから自分の
いわば教科書通りを突き詰めた競技者なんだ。
こういう相手は心を乱せばもろい。現に刀を抜いて両腕を天に向かって掲げ上段の構えをとる彼女の顔は怒りに染まっていた。
未知の相手との戦闘は平常心が大事なのに。
『カグヤ選手、ここで決めにかかったー! 挑戦者どうするー?』
どうするってもちろん、受けるに決まってるじゃないですか。
俺はにこにこ笑いながら指先に魔力を集中する。
「ダークネスフィンガー」
「きぇえええええ!」
猿叫を伴いながら3体に分身したカグヤ選手が襲い掛かってくる。
「駄目だよ分身が全部同じ動きしてちゃ。やるならこれぐらいやらないと」
と俺は言いそれぞれ別の動きをする分身5体を作り出す。
「キェ?」
その姿に困惑するカグヤ選手。その1体に近づき俺は刀を握り根元から折った。
「あ」
「さて、次はどんな技を見せてくれるんですか?」
俺の言葉にポカンとするカグヤ選手。俺と足元に転がった折れた刀身を交互に見つめ、それからへなへなと腰を下ろした。
『おーっと、ここでカグヤ選手のセコンドから棄権申請です。王者が破れ新チャンピオンの誕生です』
解説者の言葉に試合を見て困惑していた観客たちが歓声を上げる。
うん、なんだかなぁという気持ちはわかるよ。シグナムと比べるのは悪かったけどここまで未熟だとは思わなかった。
俺は腰を抜かしたカグヤ選手と目を合わせ、アドバイスする。
「あのね、君の敗因はまず1つ。俺をなめてかかったこと。未知の相手には常に警戒することが大事。次に冷静さを失ったこと。挑発されても常に普段の自分でいること。最後に単純な力不足。殺気を放ちながら戦うやり方は太刀筋を見てくださいって言ってるようなものだからやめた方がいいよ」
あんまり言うとメンタルブレイクするからね。これくらいで終わらせておこう。
俺の言葉を聞いたカグヤ選手は「はい、はい」と真剣に聞いていた。
うん、この娘はこれで大丈夫だな。俺はそう判断すると踵を返し控室に向かうためリングを下りようとする。
「あ、あの!」
カグヤ選手が声を上げ俺を呼び止める。
「いつか、いつかもう一度わたくしと戦っていただけるでしょうか?」
その言葉に俺はサムズアップして答えた。
「管理局に来ればいつでも」
こうして武術大会の幕は閉じた。
俺は優勝インタビューでムラサメデバイスとGメモリのことを語り、「これを使えばキミも俺みたいに戦えるぞ!」と宣伝した。
その結果管理局以外でもムラサメデバイスを求める声を受け、量産型ムラサメを発売。格闘用のGメモリも生産した。
管理局上層部に怒られそうになったけど、俺が握った……というかムラサメが気付いた管理局のヤバイ案件の証拠を握っているから怒られることはなかった。
別部署に異動させられたけど。
ギンガとスバルからは賞賛の目で見られ、Sランクオーバー娘たちからは「なんで大会に出ること教えてくれなかったの⁉」と聞かれたが「シグナムより強い相手がいなかったから」と言ったら黙って帰っていった。
ちなみにその次の年からGメモリを使った選手たちが多数武術大会に出場することになり大会本部はルールをどうするか頭を悩ませたらしいのだが、それは俺の知らないことだ。
ギンガ「司郎さんすごいです!」
スバル「すごいよ司郎兄!」
司郎「はっはっは、そんなことはぜんぜんないぞー。俺より強い人は山ほどいるからなー」
ゲンヤ「おいおい、謙遜するこたぁねえだろ」
司郎「高町さんやテスタロッサさん、シグナムにザフィーラとかですが?」
ゲンヤ「お、おう。あいつらと比べられるのはかわいそうだろう」
レヴィ「シロウ、優勝賞金貰ったんでしょ。肉おごれー」
シュテル「はしたないですよレヴィ」
ディアーチェ「お前だって3位に入賞して賞金をもらっただろう」
レヴィ「これは全部僕のお菓子代! 肉はシロウにおごってもらうの!」
司郎「いいですよ。じゃあ優勝祝いに焼き肉行きましょうか」
みんな「イエーイ!」
司郎「シャッハさんもどうです?」
シャッハ「よいのですか」
司郎「ええ。3人がいつもお世話になっているので」
シャッハ「それではお言葉に甘えさせていただきましょう」
カグヤ「マギ・シロウ様」
カグヤ「わたくしを打ち負かしたうえあの謙遜。相当な実力者ですね」
カグヤ「我が家の家訓では自分を打ち負かしたものを師として仰ぎ、異性なら婚姻して子をもうけよとありますが」
カグヤ「お父様も賛成してくださったし、管理局に入り再び会ったその暁には」
カグヤ「ふふ、楽しみにしてくださいねシロウ様」
なお、この後司郎君は管理局出禁になる模様。