無能力転生者はリリカルなのは世界で生き延びたい(令和版) 作:百男合
中学校を卒業。本格的にミッドで働くことになる。
2年の歳月が経ちギンガが入局してきました。教育係になることに。
ギンガ、実践訓練の教官をボコボコに。司郎君、君が原作壊したせいやで。
原作壊した結果、ギンガになつかれました。
これもひとえに俺が原作を壊したせい。結果は甘んじて受けよう。
だからな、ギンガ。
「ギンガ、通りすがりに俺の悪口を言った魔導士を呼び止めて腹パンするのはやめなさい。頼むからやめてください」
まさかこんな狂犬になるとは思わないじゃん?
なぜかこのギンガ。管理局で俺が悪口を言われるとどこかから聞きつけその言った人間を襲撃するということをルーティンにしてる。
書き上げた始末書は1週間で22枚。一体どんだけ襲ってるんだよ。
まあ、陰口を言われる俺にも問題があるんだけど。
ちなみによく言われる悪口ベスト3は「アースラにいたSランク4人娘のおまけ」「闇の書のコアを封印したメンバーに混じってる一般人」「Bランクのくせに」だ。
今更俺はこの程度で傷つかないんだけどギンガが過剰反応するせいで教官の俺にも始末書が。
俺、何も悪いことしてないのに。
「だって先輩! あいつ先輩の悪口を!」
「俺はもう悪口だって思ってないから。ああいう輩は放っておきなさい」
と何度も言ってるんだけどなぁ。ギンガさん、止まりません。
この間なんか役職持ちの人間を殴りに行こうとしたのでさすがに止めさせた。
君ねえ、入局して1週間で暴力事件でクビとか両親が泣くぞ。ゲンヤさん責任ある立場なんだからもっと考えて!
俺が必死に説得しても治る気配は一切ない。
致し方なし。
「せ、先輩。これは?」
「この1週間で俺なりに考えた結果出したベストアンサーだ」
俺はギンガが管理局と隊舎を歩く間、ハーネスをつけることにした。
上官であり父親でもあるゲンヤさんには相談し了解済みである。
娘が起こす数々の始末書を見て、仕方ないと俺の提案を受け入れてくれた。
というか、この姿モロハラスメントに抵触しそうだが大丈夫なのかねぇ。ハラスメント条項に教育係は教育対象にハーネスをつけてはなりませんっていう条文はなかったから大丈夫だと思うけど。
「まーたBランク魔導士が何かやってるよ」
通り過ぎた時空管理局員が、去り際にそんなことを言う。
「あ゛あ゛ん?」
「ギンガ、ステイ」
今にもとびかからんばかりのギンガに俺は腰に付けたハーネスを引っ張る。
「ひうっ♡」
するとギンガは顔を赤くして行動を止めた。
まさかと思ったが効果抜群だなハーネス。狂犬っぷりから犬をイメージしてこれを用意したが大成功みたいだ。
(私、先輩に行動を支配されてる。先輩の思い通りにされてる。うわー、うわー!)
などとギンガが思ってるとは俺は一切思わず。
「じゃあギンガ、108の部隊に戻るぞ。いいな」
「は、はひぃ」
(命令された! 先輩に命令されちゃった! やったー!)
「あ、司郎。ちょうどよかった。今度エリオに会う日時について、なん……だけ、ど」
「oh……」
こういう時、合いたくない人間に会ってしまうのは俺のLUCKが低いからなんだろうか。
「テスタロッサさん、言いたいことはわかります。が、まずは落ち着いて俺の話を聞いてください」
絶対零度の目で俺とギンガを見るフェイト執務官に、俺はなるべく落ち着くように言う。
「私は落ち着いていますが? 真木二等空尉」
「これはうちの狂犬……じゃない。俺が教育係をしているギンガが俺の悪口を言う人間に無差別に襲い掛かるのを止めるためでして。上司であり父親でもあるゲンヤさんにも許可をいただいてます」
俺の言葉にポカンとするフェイトさん。うん、そういう反応になるよね。
「ギンガ、テスタロッサ執務官だ。あの空港火災の日、君を助けてくれた。憶えているだろう?」
俺がそう問いかけると「え?」と驚いた顔をしているギンガ。おい、まさか。
「ええっと、すみません。どこかでお会いしましたっけ?」
嘘だろ? アニメではフェイトさんに脳焼かれた憧れの人だったじゃないか。
なんでそんなどうでもいいみたいな目線を送ってるの⁉
「そ、そっか。あの時の娘か。司郎のいる部隊に配属されたんだね。ようこそ管理局へ」
手を差し出すフェイトさんに訝し気な視線を向けるギンガ。
おいおい、命の恩人に向ける視線ではないぞ。
「あなたが」
うん? どうしたギンガ。
「あなたのせいで先輩がSランク4人娘のおまけって言われていることについて、あなたはどう思ってるんですか?」
は? お前何言っちゃってるの⁉
俺が今まで必死になのはさん、フェイトさん、はやてさん、アリシアの4人に必死に隠してきたのに君がそれを言っちゃうのかよ⁉
「え? 何それ。どこの誰? 言ってる奴」
途端に人を殺せるようなプレッシャーを放つフェイトさん。
待て待て落ち着いて! さっきまでイキってたギンガがおびえちゃってますから落ち着いて。
俺は何とかフェイトさんを落ち着かせ、休憩スペースに誘導する。
あのまま立ち話してたら人目を引くと思ったからだ。
「で、司郎。いつから? いつからそんなこと言われてるの?」
完全に尋問モードになってるフェイトさん。これは、話さないと帰れなさそうですね。
「EXSEEDSの隊員として中央に通ってる時からかな。他にもまあいろいろ言われたけど、もう慣れたよ」
「慣れちゃだめだよそんなこと! なんで私たちに言ってくれなかったの!」
はい、そんな風に激昂するのが目に見えてたからです。
とは言えないよなぁ。
「だって事実だし。俺がBランク魔術師なのも、闇の書事件に関わった一般人だったことも。君たちのおまけで管理局に入った人間だということも」
「それは違うよ! 闇の書を封印できたのは司郎のおかげだし、管理局にはクロノからスカウトを受けたのに何度も断って、ご両親の反対を押し切って私たちのために入ってくれたじゃない!」
ギンガ、そんな驚いた顔をしない。フェイトさんが大げさに言ってるだけだから。
「いやー、だって闇の書事件の時俺、管理局に所属してないし。管理局に入局したのだって高町さんとテスタロッサさんの成長を見たいがためだったし。おまけって言われても仕方ないかなって」
「そんなの私が許さない! どこの誰⁉ 言い出したやつは」
狂犬が1人から2人に増えました。
しかも今回の相手は執務官。権力持ってる分ヤベーです。
「テスタロッサさん、落ち着いて。俺もう言われるの慣れてるし、気にしてないから」
「司郎が気にしなくても私たちが気にするよ! 待ってて、今なのはとはやてとアリシア姉さんに共有するから」
あかーん!
そんなことしたら管理局壊れちゃーう! 比喩じゃなく壊れちゃう!
「待って、待ってテスタロッサさん。この通り! この通りだからこのことは秘密にして!」
俺の言葉にピタっと端末を操る手を止めるフェイトさん。
おや? 効いたのか俺の懇願が。
「秘密?」
「はい」
「私と司郎だけの」
「そうしてもらえるとありがたいです」
俺がそう言うとフェイトさんはなぜかくねくねしだした。
「ふへ、秘密。そうかー、秘密なら仕方ないなー。2人だけのひ・み・つ」
フェイトさんって時々テンションおかしくなるよな。まあそれもかわいさの1面なんだけど。
「そういえばエリオのことを話してましたが学校見学の日、有休とれたんですか?」
俺の言葉に「そうそう」とフェイトさんは顔を切り替え俺に言う。
「ちょうど学校見学の日に休みが取れたんだ。司郎も行こうよ。エリオも喜ぶと思う」
と、俺に笑顔で言ったのだった。
エリオは精神が回復した後原作通り時空管理局本局特別保護施設に入った。
フェイトさんとアリシアはうちで暮らしたらどうかと誘ったが受け入れられなかったらしい。
そのことについて俺は特に何も言わなかった。エリオが男キャラだからじゃない。これ以上原作を壊したくなかったからだ。
さんざん原作を壊しておいて何をと思われるだろうが、地球にいたらエリオの境遇を知った父さんと母さん、絶対に管理局に渡さないからな。仕方ない判断だと思う。
8歳の現在は時空管理局本局 短期予科訓練校で陸戦魔導士の訓練をしている。
プロジェクトFATEの成功作で魔力ランクSだからね。管理局は手放したくないはずだ。
そんなエリオに面会する機会がやってきたので俺とフェイトさんは訓練校にやってきた。
「フェイトさん! 司郎兄さんも」
お久しぶりですと頭を下げるエリオ。
うんうん、好青年になってきたな。出会った頃のクソガキ具合が嘘のようだ。
エリオは今どんな魔術を習ってるのか話してくれた。
訓練はつらいが自分が強くなっていく実感があり楽しいこと。
自分のような人間を助けてくれたフェイトさんの力になりたいと思っていることを話してくれた。
ええ話や。フェイトさんもうるっとしてるよ。
「ところで、お2人はいつ結婚されるんですか?」
とか思ってた俺の純真を返しやがれ。何爆弾を投げつけてくれてんの⁉
「ええっ?! ちょ、エリオ⁉」
「僕に気を使ってるなら遠慮なんかしないでください。フェイトさんと司郎兄さんの結婚式、見てみたいです」
くっ、計算なんかまるでない純真な笑顔で言ってるからたちが悪い。
俺は「いいかエリオ」とエリオの前にひざまずき、目線を合わせて言う。
「フェイトさんは神に近い存在だ。そんな存在と並び立つのは同じく神に近い高町さんだけだ。俺じゃ釣り合わないんだよ」
「何言ってるの司郎⁉」
俺の言葉に驚いた様子を見せるフェイトさん。いいから、今俺はこの子に世界の真理について教えるのに忙しい。
「つまり、なのフェイこそが正義。それ以外は悪。いいな」
「えっと、司郎兄さんはフェイトさんの事嫌いなの?」
待て、なんでそうなる。
「好きに決まってるが? この世界の誰よりも美しいと思ってるが?」
「えっ、あ、ァぅ……」
俺の言葉に顔を真っ赤にするフェイトさん。
「だがそれとこれとは話が別なんだ。なのフェイの間に入り込む男は滅びるべきなんだ。ユーノくんは別だが」
「えっと、つまり司郎兄さんはなのはさんとフェイトさんに結婚してほしいんですか?」
「さっきからそう言ってるだろう」
何を当たり前のことを? と俺はエリオを見る。
「でも、2人は女同士ですよ」
「そういう世界もある。むしろだからこそ美しい」
「普通は男性と女性が結婚するものでは?」
「エリオ。固定観念にとらわれるなと昔教えたはずだぞ。女性同士の愛。大いに結構じゃないか。百合は今は効かないがいずれガンにも効くようになる」
「ちょっと待って。待ちなさい司郎!」
フェイトさんちょっと待って。今俺はエリオにこの世の真理を教えるのに忙しい。
「女性同士の恋愛はいいぞエリオ。打算がない。愛情のみで作られた世界。男と女の醜い駆け引きが存在しない。そこにあるのは純粋な相手を想う気持ちのみだ。これを純愛と言わずになんという」
「え、えっと」
「エリオに変なこと教えないで」
目がグルグルしてるエリオを俺から引き離すフェイトさん。ちっ、もう少しで洗脳……じゃない、真理を伝えることができたのに。
「司郎、私、なのはとは結婚しないよ!」
な、なんですとー⁉
俺の人生を狂わせかねない発言をするフェイトさん。
馬鹿な。俺はこの後の人生、何を楽しみにすればいいんだ。
「考え直していただけないでしょうか?」
「しない。なのはも絶対しないって言うよ」
くっ、何が彼女をそこまでかたくなに。
やはりあれか。ヴィヴィオというキーパーソンがまだいないからか。
さっさと一緒の家に住んで事実婚しちゃいなよユー!
「だって私は、司郎がそのす、す、す」
酢? 酢がどうしたんですか? もしくはスス?
「何やってんだお前ら?」
「うわぁヴィータ⁉」
突如現れた知り合いにフェイトさんびっくりして猫みたいに飛び上がる。
「あ、ヴィータ教官」
「教官? ヴィータさんここで教官やってるんですか?」
俺の言葉に「ああ」と頷くヴィータ。
「仕事でな。ここの他にも数か所週に何回か来て教えてる。お前らは訓練生の参観日か」
と俺とフェイトさんを見て「あー」と頭をかくヴィータ。
「すまん、お邪魔だったな」
「そんなことないよ! そんなことないからね!」
顔を真っ赤にして否定するフェイトさん。
そのまま4人で外へ食事に行くことになりエリオはモリモリ食べた。
フェイトさんが「あの食の細かった子が」と涙している。それは単純に病院食がおいしくなかっただけだと思いますよ。
「悪いな、おごらせて」
「いえいえ。日頃エリオを見てもらってるお礼ですよ」
と俺はエリオに運ばれてきた丸焼きにした鳥肉が盛ってある皿を渡してやる。見る見るうちに皿の中身が減っていった。
うーん、健啖家だなぁエリオ。多分将来給料の半分は食費に消えることだろう。
「だからって特別扱いはしないからな。ちゃんと平等にアタシは接するぞ」
とヴィータ。
それなら俺の訓練メニュー、減らしてくれないかと頼んだら「駄目だ」の一言でばっさり切り捨てられた。ショックだ。
なんだかんだヴィータとの付き合いももうすぐ8年になるんだな。そんなに長くよくこの鬼教官のメニューをこなしてるよ俺。
「なんだよ」
「いえ、俺たちの付き合いも長いなと思っただけです」
俺の言葉にニコニコ顔のフェイトさん。機嫌がいつの間にか直ったようだ。
「そうだな。だが、お前がはやての騎士にふさわしくなるまではアタシは特訓はやめるつもりはないからな」
「ヴィータ。そのはやての騎士っていうのやめなよ。司郎の人生は司郎が決めるんだから強制するのは間違ってるよ」
「お前がそれを言うか? 聞いてるぞ。執務官の補佐にこいつをつけようと裏でいろいろやってるみたいじゃねーか」
ヴィータの一言に途端に慌てだすフェイトさん。
「ヴィータ! しー! それしー! まだ決定してないんだから」
え? 本当だったんですか? 俺知らなかったんですけど。
というかその口ぶりからして決定したら逃げ道塞いで強制的に補佐官にするつもりだったんですか?
「そもそも、順番で言ったらはやてが司郎の事副官にしようとしたのが原因なんだからね!」
何それ、俺全然知らない。
俺の知らないところで俺の所有権がSランク娘の間で取引されてるらしい。
「大変ですね。司郎兄さん」
エリオ、お前他人事だと思ってるだろうけど将来絶対女の子の間で取り合いになり行ったり来たりする関係になる気がビンビンしてるぞ。
具体的にはキャロとルーお嬢様とか。
そんなことを考えながら俺は優しい顔でエリオに香草で包まれた魚の蒸し焼きを皿に取り分けてやるのだった。
ギンガ「テスタロッサ執務官こわいテスタロッサ執務官こわい」
フェイト「ねえ、ギンガ」
ギンガ「は、はひ!」
フェイト「司郎と随分仲がいいみたいだね」
ギンガ「は、はい。司郎先輩には非常によくしてもらっています!」
フェイト「司郎先輩か……ねえ、ギンガ。司郎の左手、薬指以外の指に指輪してるでしょ」
ギンガ「? はい。それが何か?」
フェイト「あれ、売約済みの証(自分の左手の指輪を見せる)」
ギンガ「なっ⁉」
フェイト「ふふ、会うのが2年遅かったねー」(得意げ)
ギンガ「」(プルプル震えている)
フェイト(ちょっと大人げなかったかな?)
ギンガ「……指は」
フェイト「え?」
ギンガ「薬指は、まだ空いてますから」
フェイト「へぇ……そういうこと言うんだ」
この後無茶苦茶教育した。(フェイトさん大人げない)