無能力転生者はリリカルなのは世界で生き延びたい(令和版) 作:百男合
アルトの口から語られる機動六課の噂
治安はよくなり市民から支持を得られている模様。
それはそれとして真木副官って何者なの? 謎は深まるばかり。
どうも、真木司郎です。
陸で機動六課が設立されてから1年経ちました。
副官として俺も仕事が板についてきたところでムラサメを使って他の課がやりそうにない面倒な案件をやったりしています。
おかげで「この案件は機動六課に投げとけば大丈夫」という信頼を得ることができました。
さて、原作のこの頃のイベントといえば?
そうだね。スバルとティアの機動六課入りだね。
ついでにエリオとキャロも機動六課に入れたいんだけどそれには大きな障害が。
はい、うちの両親です。
キャロをミッドチルダに移り住ませるのにもそれは難儀した。
フェイトさんが一緒に暮らすって言ってるのに「地球で育てればいいじゃないか」とよそ様の家のことに口出ししてきたのだ。
俺がミッドチルダの祖父母の家に住むことには何も言わなかったのに。
で、フェイトさん。キャロが得難いレアスキル「竜召喚」を持ってること、機動六課でなのはさんやはやてさん、アリシアが責任をもって面倒を見ることを俺の両親に誓う。
無視しとけばいいのに、フェイトさんは優しいなぁ。
それに何を思ったか「人手が欲しいなら私が行こう」と宣う我が父。
あんた海の魔導士じゃん。機動六課はアースラと違って陸のミッドチルダに根差した組織なの。
それに機動六課に入ったら定時で地球の家に帰れないぞ。ミッドに住むことになるんだぞ?
つまり娘の桜に会えなくなるってことだよ? ほんとにいいの?
俺がそのことを告げるとしぶしぶと言った様子で諦めてくれた。娘効果すげぇな。
そんなこんながありながら我が課にやってきたキャロ・ル・ルシエさんですが。
即戦力です。
竜召喚とブースト魔法に加え原作にないプレシアさん仕込みの属性魔法を使いこなす。
足りないのは実戦経験だけというとんでもない性能となっています。
また、原作壊しちゃったなぁ。本当にごめんやで。
ぶっちゃけ訓練校を出たエリオよりも戦闘慣れしてます。プレシアさんやフェイトさん、アリシアにアルフと遊びと称して模擬戦してたおかげでね。
なので新人4人の中で頭1つ分くらいとびぬけた存在です。
エリオは原作通りの短パン槍使い。シイナさんに「君、筋肉に興味はない?」と怪しい宗教勧誘みたいなことをされてるがおおむね原作通りだ。
アタッカーとしての成長を期待しよう。
で、スバル。ちゃんとなのはさんにこんがり脳を焼かれてた。
ギンガがあんな狂犬だったのでどうなるか心配だったがこちらはおおむね原作通りのようだ。ホッとする。
もしもう1人狂犬が増えたらと思うと、身震いする。
ティアナは執務官になりたいのは原作と同じ。でもエリートに対するコンプレックスは原作より緩やかかな。
ただコンプレックスがないわけではないらしい。自分より年下のエリオが魔力ランクSなことやキャロがレアスキルを持ってることに引け目を感じているし、スバルの戦闘機人特有の身体性能力にはかなわないと思っているようだ。
でも、君新入局員では上澄みのほうなのよ。原作でフェイトさんがスカウトするくらいだし。
フレンドリーファイアと「頭冷やそうか?」のシーンの印象が強くて無能のレッテル貼られてるけど。最終回付近ではちゃんと活躍したし。
上位互換のシイナさんがいるから自分がこの課にいる意味を見出せない? うるせぇ! うじうじしてないで訓練だ訓練!
とりあえず新人たち連れて龍神様のところ行こうか。1回目は気絶するかもしれないが何度か尋ねるうちに慣れるだろう。そうすれば何事にも動じない精神を持った兵士の誕生だ。
キャロー、久しぶりに里帰りができるぞー。おうおう、嬉しそうにしているわ。
え? なんですかフェイトさん。あれを新人に体験させるのには反対? 早すぎる?
いいんですよ世の中には自分にはどうしようもない存在がいると分かるのは早い方がいいんです。精神強度は飛躍的に上がりますよ。
「司郎がいうならそうなんだろうけど」? ええ、俺を信じてください。ちょうど今月の焼き肉のたれ奉納の日が近いですしちょっと4人を連れて行ってきますよ。
「私もついていこうか?」ですか? いえいえ。フェイトさんは大事なアタッカーなんですからシグナムと一緒にお仕事しておいてください。
それじゃいってきますねー。
はい、新人4人。きびきび歩く! お待ちかねのお仕事だぞ。
キャロの故郷、その禁則地にいる龍神様と出会った機動六課の新人3人はあまりの存在に何度も気を失った。
気を失うたびに一緒にいた真木副官に叩き起こされ、また気絶するという作業を繰り返すこと5回。気が付けば獲物をとりに空に舞い上がっていた龍神様が骨だけになった地龍の骨を砕いて地面を掘り返して土壌を混ぜ混ぜしていた。
グラグラ揺れる大地に不安になる。足元からどんどん凍っていくような恐怖を感じる。
これ、無理。絶対勝てない。
3人がそう思ってるとけろっとしているキャロが「みんな起きたんだー」と笑顔でいる。
なんでこの娘は平気なんだ?
3人の頭の中に疑問が浮かぶ。
「どうだ皆? 慣れたか?」
真木副官の言葉にブンブンと首を横に振る3人。
こんなの慣れるわけがない。
「そうかー。じゃあ、来月も連れてこないとな―」
続いて飛び出した言葉に今度はブンブンと縦に首を振る。
こんな体験1回で充分だ。慣れた。慣れました! だからこれっきりにしてください!
3人が必死にアピールすると「おお、そうか」と嬉しそうにする真木副官。
「じゃあ、龍神様。この3人に弱めの殺意向けてくれますか?」
何言ってんのこの人ぉ⁉
3人は叫びそうだったが龍神様の存在がそれを止める。
「グルルルゥ」と喉を鳴らしじっとこっちを見ている姿は頂点捕食者のそれだ。
あかん、死んだ。
と思った瞬間、全身の血が凍るような感覚。
正しく身体を巡る血が凍り付いた。それほどの殺気だ。
息が苦しい。体の力が入らない。腰から下の力が抜け、膀胱から尿が排出される。
その時ふとここに来る前に真木副官が「下の着替えを多めに持っていくかオムツはいていけよ」と言っていたのを思い出した。
このためだったのか! と3人は恨みますよ副官! と心を1つにする。
「これくらいでいいか? って龍神様が」
「オッケーです。じゃあ、これ。今月分の焼き肉のたれです」
乗ってきたトレーラーからゴーレムをまとった真木副官がコンテナを龍神様に持っていく。
あんなに近くにいて大丈夫なんだろうか? 食べられたりしない?
そんな3人の心配をよそに真木副官は3個のコンテナを運び終わると、「じゃあ帰るか」とキャロと3人をトレーラーの車と荷台に乗せ、出発するのだった。
「あれ、なんなんですか?」
禁則地を出た頃、ようやく安全だと分かったスバルの口から言葉が出る。
そこにはいつものはきはきした言葉遣いや明るさはみじんもなかった。
かすれて息も絶え絶えな瀕死という状態がぴったりな声だ。
「龍神様だよ。ここに来る前にさんざん言っただろ?」
何でもないように言う真木副官。すすり泣く声が聞こえるので見るとティアナとエリオが膝を抱えて泣いていた。
おしっこを漏らしたのが恥ずかしくて泣いてるのかと思ったがよくよく耳を澄ませてみると「よかった。生きて帰れてよかった」と何度も繰り返している。
うん、私も同じ気持ちだよとスバルは思う。この時3人の心は1つになった。
「なんだ? 下着汚したのか? 恥ずかしがらなくていいぞ。最初は誰でもそうなるみたいだ。村に着く前に岩場で着替えるといい」
お気遣いは嬉しいんですが副官。そのお気遣いがあるならあんな化け物に会わさないでほしいです。
そんな言葉を飲み込んで、3人を代表してスバルが言う。
「司郎兄……じゃなくて真木副官。腰が抜けて、その……1人で脱げないし履けません」
「じゃあキャロに手伝ってもらいな。俺はエリオを手伝うから」
違う、そうじゃない。
いや、この場合の気づかいは合ってるのか?
何が何だかわからないまま3人は司郎とキャロによって下着とズボンを脱がされ、新しい下着を履くという露出プレイを強制されたのだった。
「で、新人たちの調子はどうや? なのはちゃん、フェイトちゃん」
室長の八神はやてがスターズとライトニングに新しく配属された4人の訓練習熟度合いを尋ねると、2人は笑顔で答える。
「スバルとティアナ、いい感じだよ。魔力弾や攻撃を全然恐れずこっちに食らいつくような積極性のある戦いをしてくれてる」
「エリオもそうだよ。シグナムの剣さばきに全然怖気づかないの。シグナムも感心してたよ」
「キャロちゃんはどうや? プレシアさんの秘蔵っ子は」
はやての疑問にフェイトが答える。
「えっと、私と姉さんのコンビでもちょっとてこずるくらいかな。竜召喚、アレやばいよ。フリード前より強くなってるし」
「そっか。それなら思ったより早く使えるようになりそうやな」
はやては顔の前で手を組むと、ふーッと大きな息を吐く。
「やっぱ、アレのせいやろなぁ。あそこまで3人が急激に積極的になって強くなったのは」
「わ、私は止めたよ! でも司郎が大丈夫だからって」
「話を聞いたら成績悪かったら来月また連れていかれるって涙目だったの。よっぽど怖い目にあったんだね」
司郎がやった精神訓練。いわゆる龍神様との対面式。
最初の犠牲者はギンガだった。月1回の貢ぎ物を届ける司郎についていって意図せず出会ってしまったらしい。
しかしその後の成長具合はすさまじく、ザフィーラやシグナムに肉薄するほどの実力とクソ度胸を身に着けて帰ってきたのだ。
それに味を占めたのか司郎はある程度訓練に慣れてきたオフェンス陣に龍神様を会せるという蛮行を行うようになった。
結果強くなったものは残り、耐えきれず失神した者は自信を喪失し別部署への異動届を出し機動六課を去ってしまった。
おかげで1年前からオフェンスの数が変わらないのである。
「異動した子も他部署で活躍してるから効果は絶大なんやろうけどなぁ」
「あれは新人3人にはつらい試練だったの」
龍神様と初めて出会ったときのことを思い出し、そうなるのは仕方ないと思うのなのはとはやて。
「で、でも今回の3人は帰ってきたんだし。結果オーライなんじゃ」
「うちは新人を連れ出したことを問題視しとるんや! どうすんねん辞められたら!」
「司郎は辞めないと思ったから会わせたんだと思うよ。なんだかんだで人をちゃんと見てるから」
フェイトの言葉に「そらそうやけど」と納得がいっていない様子のはやて。
「まあ、あと2,3回会わせれば平気になると思うの。長い目で見てあげよ?」
「ちょい待ち、なのはちゃんは司郎君のアレ、賛成派なんか?」
信じられないような目でなのはを見るはやてに、不思議そうに首をかしげるなのは。
「え、だって訓練の成果に出てるし。むしろ積極的にやるべきじゃない?」
あかん。アカン奴がここにもおった。
はやては頭を抱える。倫理観とか、人に対する思いやりとかこの2人はどうなってるのか。
「もう、だめだよなのは」
そうや、フェイトちゃん。言ったれ言ったれと心の中でエールを送るはやて。
「龍神様も暇じゃないんだから。だから月1回って司郎も決めてるんだろうし」
「ちゃうやろ! ちゃうがな!」
思わず突っ込んだ自分は悪くない。正常だと思う。
だから2人とも、「はやてちゃんは何を怒ってるんだろう?」という不思議そうな顔はやめて。うちは自分がおかしいんかと思ってしまう。
「失礼します。主はやて、今よろしいでしょうか」
新たな人物――アインスの訪問に意識を向ける3人。
「事後報告になりますが、真木副官が新人4人のデバイスをいじってパワーアップさせました。本人たちにも使いやすいと好評です。それと教官であるお2人はこう倒せとのアドバイスを現在している最中で」
アインスの言葉を聞き部屋を出て行く隊長2人。続いて怒られる司郎の悲鳴が聞こえてきた。
「懲りへんな、司郎君。いや、真木副官は」
「それだけ4人に早く六課になじんでほしいと言ったところでしょう。4人のメンタルケアも個人的に行っていますし、問題ないのでは?」
いや、問題しかない。
少なくとも自分で問題を起こしておいて自分でメンタルケアをする。マッチポンプではないか。
「新人4人はついてこれるやろうか。心配や」
「問題ないかと。真木副官が問題なくやってくれるでしょうから」
アインスの信頼をうらやましく思いながら、次はどんな問題を起こすのだろうと八神はやては気が気ではなかった。
龍神様へのリアクション集
一般局員「あばばばばばばばばばば」(しめやかに失神&失禁)
ギンガ(先輩とデート♡ 先輩とデート♡)「え、何あの山? 龍⁉ きゅ~」(失神&失禁)
シイナ「うわー、想像してたよりでかいねー」(1度映像を見たので耐性あり)
セツナ「ねー」(同じく耐性あり)
トワ「うわ大きい。強そう」(HEIZEN)
シオリ「ト、トワさんは私たちが守る」(震えてる)
ユーナ「うーん」(失神)
アオイ「あわわわわわ」(失神&失禁)
ユズ(なんでキャロちゃんは平気なんだろ?)(むしろキャロに興味が行く)
シスターシャッハ(これは……勝てませんね。絶対)(達観)
シュテル(戦闘は無意味、ということでしょうね)(達観)
レヴィ「こ、怖くなんかないぞー。これは武者震いだー!」(強がり)
ディアーチェ「アレの前では余のほうが塵芥にすぎぬということか」(達観)
なお対面した後はものすごいパワーアップする。具体的に言えば自力×1,5~3倍くらい。