無能力転生者はリリカルなのは世界で生き延びたい(令和版) 作:百男合
司郎とムラサメ、犯人の疑いをかけられる。
王・M・スウィートがかつて安価で設定された姿そっくりだった件。
なのはさん、心的外傷から新人教育でやらかす。
スカリエッティ陣営にルーお嬢様とゼストがいないので、地下水道の戦いは起こりませんでした。
機動六課の新人たちは思い思いの休日を過ごし、ミッドチルダは今日も平和です。
まあ、ナンバーズとの接触を逃したともいえるんだけどね。ギンガの要請で出動したオーシャンこと瑞穂組とビショップの4人はレリック回収したけど、ドローンだけしか発見してないみたいだし。
ナンバーズとスバルが出会ってないけど大丈夫なんだろうか? そんなことを思いながら俺は今日も副官としての仕事をする。
Gメモリの使用解禁とムラサメネットワークにつなぐことを許されたけど、敵がなぜ使ってこないのかわからないのが不気味だ。やろうと思えば今すぐ管理局の端末にウィルスを仕込んだり情報戦で管理局の機能をダウンできるのに。
そのことについてムラサメ先生に聞いてみると『私ならしませんね』とのこと。
『王・M・スウィートなる人物が私の考えた通りの人間(?)ならそれは絶対しません。なぜなら主に迷惑がかかるからです。主は管理局で働いているのですから、それを阻害することはあり得ません』
とのこと。納得いくようないかないような。
『それに、私という存在がいます。1度ハッキングをしてしまえば私に侵入経路や能力、デバイスを使った現在地がすぐにバレるから。というのが1番の理由でしょう。相手が私と同じ能力を持っていると仮定するならですが』
そっちの理由のほうが本命っぽいな。
そんなことを考えながら入った機動六課で黒山の人だかりが。
何をそんなに集まっているのかと思うとその中心にいたのは赤と緑のオッドアイをした金髪の少女。
おや?
おやおやおや?
あなたはなのフェイの間に入ることを許された最後のピース。ヴィヴィオさんじゃあないですか!
近くにいたセツナちゃんに話を聞くとなのはさんが聖王医療院から引き取って保護責任者になったんだとか。
ついに誕生したかなのはママ! これは目が離せませんよ。
と思っていたらはやてさんに呼ばれた。
なんですか? また何か問題起こしたんですか?
「ちゃうて。そろそろなのはちゃんたちにもカリムの予言の事伝えるべきかなって思って」
どう思うって言われてもいいんじゃないですかねとしか返せない。
ぶっちゃけ原作を知ってる身からするとあの予言、あってもなくても防げなかったし。というか警備にあたる人間のデバイスを取り上げるなんて何考えてんだ管理局。平和ボケにも限度があるだろうと。
管理局の危機管理を疑うような内容ばっかりだったからなぁ。
起こるべくして起こった事態なのだよ。
まあ、全部言うわけにはいかないのでいいんじゃないですかと返しておくが。
「そっか。ほな2人がおらん間、ヴィヴィオの世話お願いな」
待て、なぜそうなる。他にも隊員がいるでしょうに。
え? オーシャンとビショップのチームは午前中出払ってるしスターズとライトニングの面々は訓練。オペレーターもこまごまとした仕事があるから様子を見られるのが俺しかいない?
なるほど。
まあ、こちとら6歳の妹がいる身ですからね。こんなの楽勝ですよ楽勝。
などと思っていた俺の姿はお笑いだったぜ。
「なのはママー! フェイトママー!」
ヴィヴィオちゃん、泣き止みません。用意された折り紙やクレヨンにも手を付けず、ひたすら泣いてらっしゃる。
くっ、親を欲する子の力とはこれほどまでに強いものか。
仕方ない。
俺はプラ板を用意するとヴィヴィオの目の前で錬金。なのはさんのフィギュアを作り出す。
「ママだー!」
するとパッと笑顔になって俺の作ったフィギュアを持ってきゃっきゃとはしゃぐヴィヴィオ。
「もっと作って!」だと? 焦りなさんな。ちゃんとフェイトさんのフィギュアも作ってあげるよ。
「相変わらずすごいねーしろう」
おう、アリシア。応援に来てくれたか。
ちょっとヴィヴィオを抱き上げて椅子になってやってくれ。肌から感じるぬくもりというのは思ったより大事だからな。オキシトシンが出るんだよオキシトシンが。
そう頼むと「はーい」とヴィヴィオを抱き上げるアリシア。「フェイトママ? ちがう?」とアリシアを見て混乱しているヴィヴィオ。それに「フェイトのお姉ちゃんだよー」とにっこり笑うアリシア。
よし、そのまま頼むぞアリシア。俺はジュース持ってくる。オレンジ100%のやつだ!
プラスチックのマグカップにオレンジジュースを注いでやるとくぴくぴ飲み始めるヴィヴィオ。こうなればかわいいもんだ。
俺は機動六課にいる隊員たちのフィギュアを錬金していく。スバル、ギンガ、ティアナ、エリオ、キャロ、シイナさん、セツナちゃん、トワさん、魔人狩りの4人、シスターシャッハ、マテリアルズ3人。
そのうち気に入られたのはやっぱりなのはさんとフェイトさん。ずっと握って離さない。
逆に嫌われてるのかシスターシャッハのフィギュアは遠くに置いていた。そういえば原作で襲われてたもんね。
でも小さい頃はこんなにかわいかったんだよーと俺はヴィヴィオに出会った頃のロリなシスターシャッハの映像を見せる。
それに興味津々と言った様子のヴィヴィオ。この頃から鍛錬しか頭になかったんだぜ、この人。
「応援に来ましたー。ってあら? お邪魔でしたか?」
オペレーターのシャーリーことシャリオが援軍に来てくれた。ちょうど今なのフェイ特別編の上映会やってるんですよ。見ます?
そんなわけで小学生の百合百合しい日常と魔術戦闘を俺が編集した魔法少女リリカルなのは無印俺エディションを機動六課で上映中です。
「これ、小さい時のママたち?」
「そうだよー。ヴィヴィオより3歳年上の頃のママたちだよー」
物語は出会いから2人の対立。足りない部分はイラストで補い無印の物語を上映していく。
「へー、私が生まれる前にこんなことあったんだー」とアリシアも興味津々。ヴィヴィオはもっと興味津々。
特にバインドで拘束されたフェイトさんにスターライトブレイカーを放つシーンには「なんで⁉」と俺に食って掛かってきた。いや、そんなの本人に聞いてよ。
で、仲直りというか友達になるシーン。そこには俺とアリシアというお邪魔虫がいない大変美しい友情の形があった。
第1部完。
そう表示されるとパチパチと後ろから拍手が。
見るとスターズとライトニングの面々が訓練が終わり休憩のために帰ってきていた。
「すごいです副官、そんな才能があったなんて」
興奮した面持ちでずいずい近づいてくるのはキャロ。彼女も楽しんでくれたらしい。
「なのはさんとフェイトさんにそんな過去が。美しい友情ですね」
とスバル。
そうだよ美しいだろう。間に男が挟まるのが許されないくらい。
「それを知ってる副官は何者なんですか?」
とティアナ。
ただの幼馴染ですが? あとフェイトさんの住居提供者という名の現地協力者です。
「先輩すごいです先輩」
とギンガ。
なんかブンブン振ってるしっぽが幻視できるんだが。まあ、ほめ言葉は受け取っておくよ。
「司郎兄さんが前言ってたこと、今なら少しわかる気がします」
とエリオ。
そうか。わかってくれるかエリオ。同志は多ければ多いほどいいからな。
一緒になのフェイを推していこう。
「ちなみに第2部もあるんですが見ていきますか? ヴィータさんやシグナムさんも出るよ」
「見たい見たーい」と騒ぐヴィヴィオと新人たち。それに折れた様子のヴィータとシグナム。
「しゃーねーな。クールダウンの間だけだぞ」
「そうだな。お前たちは訓練が本分だからな。ちょっとだけだぞ」
とか言っていた2人だが、はやてさんが闇の書と和解するシーンでは誰よりも涙していた。
おい、それでいいのか教導官。
「うう、はやて室長にそんな過去が」
「なのはさんとフェイトさんの邪魔してた女の子、しれっと最終決戦で味方面してましたね」
「あ、それ思った。守護騎士側なのかと思ったらなのはさんとフェイトさんに謝りもしないで一緒に戦うとかありえない!」
「許せませんよね!」
ティアナとキャロの言葉に汗だらだらの守護騎士たち。
なるほど、そういう意見もあるのか。メモメモ。
あとで整合性が取れるよう内容をいじっておこう。
「じ、実際は謝ったんだぞアイツは」
「おい、ヴィータ!」
あ、黙ってればバレなかったのに自責の念から吐いたよこいつ。
どういうことだと俺に視線が向く。それに俺は説明する。
「あの高町さんとテスタロッタさんを裏切って守護騎士に協力した女の子の魔導士いただろ? あれのモデル俺」
その言葉に今日一番の大声を上げて「ええ⁉」っと驚く新人たち。
あ、シャーリーも目を丸くしてる。君も結構物語に入り込む人なのね。
「じゃあ、足が動かなくなったはやて室長の足が動けるようになったのは」
俺のGメモリのせいだね。
「守護騎士と一緒に世界を回ってリンカーコアの魔力を集めてたのは」
俺だね。協力者は。
「なのはさんとフェイトさん、管理局を敵に回してピンチのシグナムさんとヴィータ教官を助けたのも」
俺だね。管理局の敵になったのは。
「フェイトさんとアリシアさんのリンカーコアから魔力を奪ったのも」
俺だね。2人の大切なものをいただいたのは。
「クロノ提督に黒幕みたいなこと言いながらデュランダルを渡したのは」
俺だね。マッチポンプともいう。
「闇の書のプログラムを書き換えて防御システムを停止させたのも」
それも俺だ。
なんか新人たちの俺を見る目が信じられないものを見る目なんだけど。
「あ、あの真木副官。これって実際にあったことなんですか?」
「多少脚色したり整合性があるように調整はしたが、大体は」
「そ、そうですよねー。まさか9歳の子供が本当に管理局を敵に回したり、難解なプログラムを解析して停止させたりなんてしませんよねー」
「いや、それは事実だが」
俺の言葉に固まるティアナ。シグナムとヴィータが頷いている姿を見て固まる新人たち。
何か変なこと言ったかな? とアリシアとヴィヴィオと顔を見合わせる。
「それが本当なら、なのはさんとフェイトさん以上に波乱万丈な人生生きてないですか、真木副官?」
スバルの言葉にティアナが続く。
「しかも副官、生まれた時魔力ランクEだったんですよね。当時はどれくらいだったんですか?」
「え、Cだけど」
俺の言葉に「C⁉」と全員が反応する。
なんだよう、俺の魔力が低いことはみんな知ってることだろう?
「Cランクなのに、管理局相手に喧嘩売ったんですか」
「うん。八神さんのためだからね」
「私みたいなレアスキル、あったんですか?」
「ないよ。俺が使えるのゴーレム魔術だけ」
エリオとキャロの言葉に答えると再び黙る面々。
「これは、こんな風にされたら八神室長のあの態度にも納得です。自分のために友達を裏切ったうえ世界に対してケンカを売ってまで自分を救ってくれた相手なんですから」
とギンガ。悔しそうにしてるのはなんでだ?
「というか、これ管理局で保存されてるデータとぜんぜん内容が違いますよ。どうしてです?」
ああ、それは管理局が押収した闇の書の防衛システムのコアを暴走させたから。管理局に都合がいいように書き換えたんだろう。
俺がそう言うと黙るシャーリー。あれ? 俺なんかおかしいこと言った。
「いや、おかしいことしか言ってないだろ。みんな、この部屋で見たことは他言無用な。司郎、お前もこれを一般公開しようとか考えるんじゃないぞ」
え、ダメ? 高町なのは物語として同人漫画は地球と瑞穂とミッドチルダにアップしてるんだけど。
その言葉に頭を抱えるシグナムとヴィータとシャーリー。
「副官。これ公開したら管理局の隠ぺい体質に対する反管理局のプロパガンダ映像に認定されると思います」
「え、そうなのぉ⁉」
「しかも一般魔導士の功績を隠蔽し、管理局が闇の書を封印したっていう管理局内の記録を覆す内容ですし。さらにその後闇の書の防衛システムのコアを暴走させた結果アインスさんが消滅することになった件で管理局に滅茶苦茶苦情が来ますよ。絶対」
俺の映像作品にダメ出しをするシャーリーとティアナ。
やっぱり他の人間の視点って大事だね。身内だと「ああ、あの頃はこんなことあったなぁ」で流されてたからそういう意見は新鮮だ。
「まあ、昔のことだし。今は関係ないでしょ」
「関係大ありです!」
とシャーリーとティアナからダメだしを食らう俺。あ、急に大きな声を出してヴィヴィオ泣きそう。
「2人とも落ち着いて、ヴィヴィオが泣く。それにこの映像、ここでしかまだ流してないから。この後も流す予定ないし」
今のところは、ね。
俺の言葉に口をつぐむ2人。「ケンカじゃないよー」と腕の中のヴィヴィオをあやすアリシア。
「ただいまー。どうしたの? フォワード陣がみんな集まって」
「あ、なのはママとフェイトママ!」
その時ちょうど騎士カリムとの話が終わった3人が帰ってきた。
ヴィヴィオ、はやてさんのことも呼んであげなよ……。
ヴィヴィオはアリシアの腕の中を抜け出すと一目散になのはさんの下へ向かっていく。
「ねえねえ、なのはママ」
「うん? なにかなヴィヴィオ」
「どうしてなのはママはバインドでこうそくしたフェイトママにスターライトブレイカーをうったの?」
幼さゆえの純粋な疑問。それにピシリと音を立てて固まるなのはさんとフェイトさん。
「ともだちになるためにはなまえをよばないといけないのになんでさいしょにまほうのうちあいしてたのー?」
「ヴィ、ヴィヴィオ。そのことを誰から」
なのはさんの目が俺をロックオン。やべ、逃げなきゃ。
「フェイトちゃん、ちょっとヴィヴィオを預かっててほしいの」
言葉と共にレイジングハートを起動状態にする管理局の白い魔王。
「待つの! 司郎君」
「あはは、おことわりですぅー」
捕まえて御覧なさーいと言わんばかりに管理局の隊舎を逃げる俺。結局10分後捕まってレイジングハートの魔力弾の的の刑にされました。
ヴィヴィオ、よく見ておくがいい。これがお前の母親の本性だ。
そんなヴィヴィオはフェイトさんの膝の上でお昼寝タイムだと知ったのは刑を終えて機動六課に帰ってきた後だった。
「13、おい13聞いているのか?」
スカリエッティの基地内。銀髪を揺らす眼帯の少女が前を行く銀髪の少女を呼び止めていた。
「しつこいわよチンク。それに私は13じゃなくてoneよ」
「いや、お前は私の妹の13だ。それ以外の何者でもない」
ため息をつき、長い銀髪に青い瞳の王・M・スウィートは、チンクをにらみつける。
「いい加減にしてほしいものね。私たちは遺伝子情報をもとにドクターにボディを作られた人造人間でしょう? 姉妹だなんてくだらない」
「そう言うな。姉妹同士助け合いが必要だ。お前だって困ったことがあればいつでもこの姉を」
「必要ないわ。私にはマスターさえいればいい。他のものなんて些末な事よ」
ファサァ……と長い髪をなびかせ歩を進める。それをチンクが追いかける。
「セインやウェンディにも同じことを言ったらしいな。ああ見えてあの2人は傷つきやすい。仲良く、とまではいかないが敵対しないようにはなれないか?」
「私は敵対しているとすら思っていないわ。私の敵はあの4人、高町なのは、フェイト・テスタロッサ、アリシア・テスタロッサ、そして八神はやて」
足を止め、青い瞳が怒りに染まる。
「あいつら、あいつら、あいつら! マスターに助けられたのに、マスターのおかげで救われたのに、マスターのおかげで生きているのに! マスターに迷惑ばかりかけて、本当に恩知らず! ■ねばいいのに!」
「落ち着け、13。今はそんなことより姉妹のことを」
『リボーンズ!』
次の瞬間、チンクの長い銀髪に風穴が開いた。
「そんなこと、よりだぁ?」
狂気に満ちた青い瞳。その手には魔力弾を放つライフルがあった。
チンクは自分の失言を悔やむ。彼女にとって「マスター」とは何よりも優先される存在なのだ。
自分にとっての妹たちのように。
「マスター以上に優先すべきことなど私にはない。お前もそれを邪魔するというのなら」
「オラァッ!」
チンクを標的にしようとした王・M・スウィートの横っ面を赤い髪の女性が殴り飛ばす。
「ノーヴェ!」
「チンク姉は甘いんだよ。言うこと聞かない妹はあたしがしつけてやるからよぉ」
腕を鳴らしながらガントレットのついた右手を振り上げるノーヴェ。
「よせ、ノーヴェ!
次の瞬間攻撃したはずのノーヴェが弾き飛ばされる。立ち上がろうとするが固有武装のガンナックル・ジェットエッジとブーツが重く、思うように動けない。
「てめぇ、何をしやがった⁉」
「あなたのように話ができない猿には理解できないことよ」
そう言うと王・M・スウィートはノーヴェに殴られた個所に軽く触れる。それだけで外傷は消えてしまった。
そしてGメモリを身体から引き抜くと何事もなかったように研究室の奥へ歩いていく。
「この、待ちやがれ!」
「やめろノーヴェ。これは……ウーノ姉さんかドクターに診てもらうしかないな」
使い物にならなくなったノーヴェの固有武装を見て、チンクはそう判断する。
「誰かいないか? ノーヴェをドクターの元まで運ぶ」
チンクが声をかけるとオットーとディエチ、ウェンディがやってきた。
「あらら、こりゃまた派手にやられたっすねー」
「てめ、ウェンディ! つっつくんじゃねぇ!」
からかうように武装をつんつんと指で突くウェンディに怒りを向けるノーヴェ。オットーとディエチはチンクの指示に従いノーヴェをドクターの元へ運ぶようだ。
(それにしてもあの能力)
ドクターからウーノ、トーレ、クアットロ、チンクにのみ説明された彼女の能力。
デバイスや電子制御の兵器を無力化する能力。
あれは強力だ。戦闘に組み込めば戦闘の幅がぐっと広がるのは間違いない。
(ぜひ欲しい。あの能力。そして戦闘力も)
彼女がゴーレム錬成に長けたシスターズであることもチンクは承知していた。
その能力で彼女が言う敵対している存在、高町なのはたちを追い詰めたことも。
今後の戦いで重要な存在になることは間違いない。
だがそれよりなによりもチンクは純粋に末妹のことが心配だったのだ。
(いずれ絶対、お前の口から姉と呼ばせてみせる!)
そんな決意をもって今日も明日もチンクは彼女に話しかけ続ける。
姉と認められるその日まで。
ウェンディ「チンク姉はなんであの娘のことをそんなに気にするっすか?」
チンク「姉だからだ。姉は妹を導くものだろう」
ディエチ「だけど、限度がある……毎日構いに行くのは異常」
セイン「あんまりしつこいと向こうもそりゃ怒るよ」
チンク「そうか? お前たちとは毎日顔を合わせてるじゃないか」
ノーヴェ「そりゃそうだけどよぉ。あいつは付き合い悪いって言うか」
トーレ「自分を特別だと思っている。孤高を気取る。若い頃にはよくあることだ」
クアットロ「なぜ私を見ながら言うんです、トーレ?」
オットー「あの娘の場合、それだけじゃないと思うんですが」
ディード「そうですね。我々と違い【マスター】なる存在に夢中ですし」
セッテ「それがわかりません。我々にとってマスターとはドクターの事でしょう?」
ウーノ「あの娘には違うのよ。私も詳しくはドクターに教えてもらってないもの」
セイン「ウーノ姉も⁉」
クアットロ「それはまた興味深い情報で」
チンク「とにかくみんな、彼女の前でマスターの悪口を言わないこと。姉妹で不毛なケンカは避けるべきだ。わかったな」
みんな「了解」
ウェンディ「あ、チンク姉。結局あの娘を気にしてるのって自分と同じ銀髪だからっすか?」
チンク「そ、そんなわけないだろう⁉ 姉はみんな平等に愛してるぞ」
みんな(あ、そうだったんだ)