無能力転生者はリリカルなのは世界で生き延びたい(令和版) 作:百男合
はやてさんがこうと決めたらこうなります。
使い古された表現方法だがあえて言おう。
目が覚めたら見知らぬ天井だった。
というか、いつもと違う天井だったと言ったほうが正しい。
どこだここ。シェロじいちゃんの家じゃないな。
そう思って起き上がろうとして自分が何も身に着けていないことに気づく。
え、なんでスッポンポン? 俺、寝るときいつもパジャマ着てる派なんだが?
そう思って人の気配を感じて隣を見るとそこには上半身裸で下半身はシーツに隠したはやてさんがいて。
「おはようさん。ねぼすけさんなんやね」
?????
???
?
はっ、あまりの出来事にフリーズしてしまった。
とりあえず誰か状況を説明できる人。急募です! いらっしゃいませんかー!
あっ、いたわ。
「ムラサメ、俺前後の記憶がないんだけど。八神さんとやっちゃった?」
『主、ご安心を。主と八神はやて様は性交渉をしていません。主は清い身体のままです』
ムラサメの言葉にチッと舌打ちするはやてさん。あなた今、すっごい邪悪な顔してましたよ?
「えーっと、昨日は確か機動六課設立の打ち上げしてたんだよな」
そこまでは記憶がある。みんな大いに飲んで楽しみ、俺が会計してなのはさんとフェイトさんとアリシアをタクシー呼んで送ったはずだ。
『はい、打ち上げが終わった後、主はシグナム様、ザフィーラ様、シャマル様、ヴィータ様に拉致同然に八神家に連行されました。その後前後不覚なのを幸いに服を脱がされ、このベッドに放り込まれ現在に至ります』
なんてこった! 守護騎士までグルかよ!
というかはやてさん、なに全裸の俺の事舐めるように見てるんですか⁉ 服はどこです服は!
「シャマルが洗濯中や。あいにくうちには男性用の下着がないから乾くまでこのままやでー」
くっ、なんて邪悪なんだこの人。
これ半分犯罪だろ。男女逆なら何らかの法律に抵触するだろう絶対!
『主、半分ではなく全部犯罪です。不同意異性交遊未遂として十分訴えられます』
お、頼もしいぞムラサメ先生。
さあ、はやてさん! 犯罪者になりたくなかったら俺を解放してください!
「それってお互い同意なら犯罪にならんってことやろ?」
え? なんですかその顔は?
悪いことを思いついたタヌキみたいな。
というかこの人全裸だー! 全裸で俺にしなだれかかってきてる!
「なぁ、スケベしようやぁ」
「現実で聞くことあったんだそのセリフ」
ねっとりと言うはやてさんに俺はどこか現実逃避しながら言う。
いや、そうしないとやばいのよ。
はやてさんの色気がやばい。
「八神さん、俺たち上司と部下だし恋人同士でもないし、こういうことは間違っていると思うんですよ」
と正論を言う俺。
「ふっふーん。でも、こっちはそう言ってないようやけど?」
と、俺の太ももを指でつーっとなぞるはやてさん。あ、ダメ! その先は触っちゃダメ!
「な、何するんですか⁉」
「ええやないの。上司や部下の前に男と女や。互いにすっきりしようや」
あっ、ヤバイ。この人本気だ。
だって目が捕食者のそれだもん。
『ちなみに主が寝ている間に八神はやて様は主の手を使い自慰行為を行っていました。そう言った意味では1人でスッキリされていると思いますが?』
「ちょ、ムラサメちゃん! それ内緒にしとってや!」
顔を真っ赤にするはやてさん。気が逸れた! 今だ!
俺はベッドから抜け出すと全裸のまま疾走。
とりあえず目指すのは脱衣所。タオルを錬金して腰布にしてこの場を脱出する。
そう思い部屋のドアに手をかけるが開かない。
「鍵が⁉」
この部屋、外から鍵かける式かよ⁉
「ふっふーん。逃がさへんよー」
「ひゃっ⁉」
背中に、なんか背中にあったかくて柔らかいものが!
行くな、血液行くな! 海綿体に向かうんじゃない!
「なあ、服が渇くまでベッドの中で気持ちいいこと、しよ?」
「お断りです」
俺、錬金で隣に扉を錬金。ドアを開けると脱衣所を目指す。
「みんな、司郎君が逃げた! 捕まえて!」
後ろから響くはやてさんの声。それにこたえるようにシグナムが現れた。
「シグナムさん、そこをどいてください。こんなこと、間違っているってあなたならわかるでしょう!」
「それは、確かにそうなんだが。しかし主はやてのご意思でもあるから」
なんだか歯切れが悪い。視線が俺の股間と顔を行ったり来たりしてる。
ひょっとしてシグナムってむっつりなのでは?
俺が一歩進むとシグナムも一歩下がる。二歩進むと二歩下がる。
うん、この娘初心ですわ。あんなドスケベな身体してるのに男を知らないとか。
ならば、押し通る!
「く、来るな! 来るんじゃない司郎!」
俺が近づくと目を閉じて萎縮するシグナム。ふ、初心な自分を恥じるがいい。
というか小学生のころから知ってる男の生殖器なんてそういう対象として見ないだろう普通。
シグナムが普通じゃない性癖でよかったーと思いながら脱衣所に続く曲がり角にいたヴィータと遭遇。
「司郎。さっさと部屋に戻んな。怪我したくないならな」
「通してくれないんですね」
完全にはやてさん側なのか、ヴィータは。なんかデバイスを取り出してるし。
「タマの1つがつぶれても子供は作れるだろ? 言っとくが脅しじゃねえぞ」
ええ、そりゃ脅しでないことは目を見ればわかりますよ。
くそ、どうしたら。誰か、誰か俺の味方はいないのか?
見回してもザフィーラの姿はない。彼だけが俺の希望なのに。
「残念ながらザフィーラは玄関の扉で待機中だ。助けには来ねーよ」
俺の考えなどお見通しだと言わんばかりのヴィータ。
仕方ない。この手は使いたくなかったが。
「ヴィータさん。俺、あなたに懺悔しなきゃならないことがあるんです」
突然の俺の告白に「あん? なんだよ」と武器を掲げるヴィータ。
「俺が精通したの、ヴィータさんがきっかけなんです。入院中ヴィータさんの乳首チラとかパンチラをエロい目で見てました」
「なっ!」
次の瞬間ポン! と音を立て頭から煙を発しながら顔を耳まで真っ赤にするヴィータ。
よし、隙ができたな。
俺はその隙を見逃さずに脱衣所を兼ねた洗面所へ移動。バスタオル2枚を拝借するとシャツとパンツに錬成しこの家からの脱出を目指す。
最後の関門はザフィーラだ。あいつには貸しがある。毎年バレンタインデーとホワイトデーに差し入れしているサラダチキンという贈り物の貸しが。
ザフィーラは義理堅い性格だからこの件を持ち出せば俺を外に導いてくれるはず。
これは勝ち申した! と勇んで駆けだした俺の下半身に違和感。
おや? これは?
「はい、そこまでー」
「いだだだだだだ!」
声に振り向くとシャマルが笑顔で手を異空間に入れていた。
その異空間がつながっているのは当然俺の下半身なわけで。
「旅の鏡は、反則じゃないですか」
そう言いながら俺は意識を失った。
目が覚めたらバインドで縛られていたでござる。
周りを見ると黒いランジェリーみたいな服を着たはやてさん、顔を真っ赤にしたシグナムとヴィータ、にこにこ笑顔のシャマルさんがいた。
ザフィーラまたハブられてんな。
この鎖型のバインドはアインスだな。見ると顔を真っ赤にして俺をできるだけ見ないようにしながら三角形の魔法陣から鎖型のバインドで俺を縛っている。
「で、司郎君。観念したかな?」
はやてさんの言葉に俺はそもそも論を口にする。
「観念したも何も、俺、八神さんのこと別に好きじゃないですよ。エロい目で見ないってシグナムやシャマルさんの前で誓いましたし」
その言葉にはやてさんの鋭い目がシグナムとシャマルに向かう。
「どういうことや2人とも? まさか2人が無理やり誓わせたんか」
「そ、そのようなことは決して」
「ああ、アレじゃない? 会って少しした頃の、海ではやてちゃんをいやらしい目で見てたから」
シャマルの言葉にああ、あれかと納得顔の守護騎士たち。
「なんやそれ? 私知らんねんけど」
「あの頃、10歳にも満たない主はやてにこの男は欲情していたのです。それで警告の意味合いを込めて。まさかそれを未だに守っているとは」
見上げた根性だとシグナムの評価が1上がった。やったね!
「私はいやらしい目で見てくれんと困るんやけど」
「おい、あの時の誓いは無効だ。はやてをもっとエロい目で見ろ」
とヴィータ。
いや、そりゃ無理だろう。いまさらエロい目で見れませんよそんな。
「ほーん。これでもか?」
と、ここではやてさん渾身のセクシーポーズ。だが俺は反応しないよ。決して。
「なんで反応せんねん!
ガッデム! と床を両手で叩くはやてさん。
「騎士との誓いなので」
「司郎。そこまで我々との約束を」
何やら感動している様子のシグナム。評価がまた1上がった。やったね!
「うち、そんな魅力ない?」
「いえ、魅力はありますよ。ただ俺が好きじゃないだけで」
うーんと腕を組み長考する八神家女性陣。というかさっき俺はやてさんのこと好きじゃないって言ったよね。2回。
これ以上長引くならもう1回言うよ。はやてさんの事なんか全然好きじゃないんだからねっ! て。あのやずやですら2回なのに。
そんなことを考えてたら「せや!」と膝を打ちどこかへ行くはやてさん。
それから「あったあった」と何かを持ってきて俺に目隠しをする。
目隠しだからよくわからんけど困惑の空気を感じる。それから羞恥も。
やがて衣擦れの音がして「もうええよー」と声が聞こえたのでリインⅡが目隠しをとってくれる。
「おおっ!」
そこにいたのはバニー服の八神家女性陣。
全員バニー服を着ている! アインスとⅡですら!
これはちょっとした感動ですよ。
だから……ね?
エレクチオンしたとしても誰も俺を責められないだろう。うん。
「よっしゃー! ほな寝室行こうか」
さっそくアインスに命令し俺を寝室に運ぼうとするはやてさん。
「こ、これが男のアレか」
「アタシで精通した司郎のアレ……」
赤面するシグナムとヴィータ。
「あらあら~♪」
そして笑顔のシャマルさん。
その後の俺がどうなったか書くと18禁送りになるので割愛させていただく。
ただ、次の日のはやてさん、シグナム、ヴィータ、シャマル、アインスの肌がつやつやだったことをここに記す。
うう、汚されちゃった。汚されちゃったよ俺。
男女逆なら即逮捕案件だよ。双方気持ち良ければ合意なんて嘘だ。
『はい、嘘です』
と、ムラサメ先生。
『女性による集団レ〇プでも強〇罪は適用されます。主は訴えれば勝てる確率はあります」
ちょっと待て。勝てますじゃなくて確率はあるなの?
『途中から主はノリノリでしたから。合意と認識されてしまう恐れが。それにはやて様は弁論で右に出る者がいないですから凄腕の弁護士でも雇わないと言いくるめられるのがオチです』
やっぱそうなるよなぁ。それにただでさえ強〇事件って立証が難しいうえ女に男が襲われた事件なんて起訴も難しいだろう。
「おはようダーリン。昨日は激しかったなぁ」
そんな俺の気持ちを無視してはやてさんがエロ親父のようにセクハラをかましながら話しかけてくる。
「なんですか? 今仕事中なんですが」
「つれへんなぁ。昨日はあんなに愛し合ったのに」
「一方的な愛の押し付けを愛し合うなんて言いませんよ」
そう言うと俺は日々の巡回に向かう。
「先輩先輩、巡回ですか? お供します」
おお、ギンガ。頼むわ。
今は少しでも仕事に集中して昨日のことを忘れないと。
そう思いギンガを連れ立ってパトロールに向かった俺を、はやてさんはつまらなそうに見ていた。
「司郎君、この後残れるか?」
「ええ、残業ですね。残ります」
仕事の話だと思ったので俺は了承した。
誰も機動六課からいなくなると、はやてさんは無理やり俺の唇を奪った。
「っ~~~何するんですか!」
思わず突き飛ばす俺。それに不思議そうな顔をするはやてさん。
「だって、彼氏が浮気したらお仕置きするやろ? 今のはうちに黙ってギンガと一緒に外でデートしたお仕置きや」
外でデートって、巡回なんですが。お仕事なんですが?
「それに」とはやてさんは続ける。
「なのはちゃんとフェイトちゃんとえらい嬉しそうに話しとったなぁ。それとシャーリーにもデレデレしとった。アルトにもや。ほんま、浮気性やでうちの彼氏は」
待った。そもそも俺は彼氏になった気はないんですが。
しかしそんな正論もはやてさんには意味を持たないらしい。
「とりあえず、おしおきや。ストッキング、脱がして。口だけで」
ヒールの高い靴を脱ぎ、椅子に腰かけたはやてさんは「はやくー」と足をプラプラさせる。
ふん、そんな手に俺が乗るとでも? そういうプレイは未来の彼氏とやっててください。
「やらへんと休日にケダモノになった司郎君にバニー服着せられて私だけやなくシグナムやヴィータとシャマルにアインスまで襲われたってなのはちゃんとフェイトちゃんに言うで」
脱がさせていただきますお嬢様。
口を使ってはやてさんの足を食み、脱がせていくとパシャリという音。
見るとムラサメデバイスでストッキングを脱がす俺の写真を撮っていた。
しまった。また彼女に有利な状況証拠が。
「誰がやめてええって言ったんや? ほーら、はやくー」
その目は完全にサディストのそれだ。
こうして俺はどんどんはやてさんの仕掛ける罠にかかり、泥沼へと引きずり込まれていくのだった。
はやてさんは嫉妬深い。
そのことに気づいた時にはすでに遅かった。
「なあ、司郎君。君は私の彼氏なんよなぁ。なのになんで他の女と話しとんの?」
「女って、他の課の人に情報共有しただけですよ」
「言い訳は聞きたくあらへん。ほら、ん」
唇を尖らすはやてさんに、俺は他の局員に診られないようにディープキスをする。
そういう風に教育されてしまった。長い時間をかけて、まるで真綿で首を絞めつけるように。
「うちと話すよりフェイトちゃんと話す方が嬉しいんやない? 笑うとったもんね」
「そんなことは」
「んっ」
ハグを促すはやてさんに俺は仕方なくハグをする。
これも教育の結果である。
最初は隠れての行為だったが段々日常業務にも影響が出てきた。
「いい加減にしてください、八神さん! このままじゃまともに仕事ができません」
なのではやてさんを呼び出し、今までの行為を止めるように説得する。
「ええん? そんなこと言って。これ、ばら撒いてもええんやけど」
そう言ってはやてさんは俺の数々の恥部が収録されたデバイスを見せつける。
これを言われると弱い。なぜなら状況証拠なら裁判に勝てるくらい俺ははやてさんに弱みを握られているからである。
「社会的に抹殺できるんやけどなーうちは。君の事」
くっ、事実だから反論できない。
だがこのままだと本当に働けなくなってしまう。現に仕事に影響が。
「そのことやけどな、司郎君」
名案が思い付いたと言わんばかりの笑顔ではやてさんは言う。
「管理局、辞めよっか♡」
?????
???
?
「はぁ?」
頭が一瞬フリーズしてしまった。
何言ってんだこの人。
「アインス」
「はい、主はやて」
「司郎君をうちに連れて帰って」
はやてさんの言葉に俺をバインドで縛って本当に拉致するアインス。
「ちょっとアインスさん、こんな今の状況本当に正しいと思っているんですか?」
「すまない司郎。私は主には逆らえないんだ」
あ、アインスはまだちょっと後ろめたさありそう。
他の守護騎士たちは主の言うことに基本的にイエスマンの集まりだからな。はやてさんが暴走しても誰も止めやしねぇ。
だから今のアインスにはつけこめる隙があった。
「なあ、アインスさん。このままじゃ俺、いけないと思う。君にとっても主にとっても」
「司郎、それはそうですが」
というわけで俺を逃がしてくれ!
「俺と一緒に逃げよう! アインス!」
あれ? 言い間違えたかな?
あれから俺とアインスは襲い来るはやてさんと守護騎士から逃げ延び、別世界へとやってきた。
俺たち2人はボロアパート(新築、wifi・冷暖房隙間風完備)で目を覚ます。
「行ってくるよ、アインス」
「ええ、行ってらっしゃい司郎」
この都市では俺たちのようによその世界から逃げてきた男女を積極的に呼び込んでいる。
今日も俺はその都市でエキストラとして活躍していた。
「おうおうねーちゃん。かわいいじゃねーか。俺とお茶しようや」
チンピラのような言葉をしゃべり、ガラの悪い格好でウマ耳の生えている女子中学生をナンパする。
そこへさっそうと現れる大人の男性。それを見て俺はチッと舌打ちして。
「なんだよ彼氏がいるならそう言えよな! お似合いじゃねーか」
と捨て台詞を吐きながらその場を去った。
ふう、今日の仕事はメジロ鉄道でエキストラ。午後はガラの悪い男の恰好でお出かけ前のウマ娘ちゃんに難癖をつけてナンパする男のエキストラを6件。
完全歩合制なのだが給料はいい。事実午前のメジロ鉄道でつり革で捕まっているだけで日給30万貰える。
家賃も夫婦割で2万円と激安だ。ならば食材が高いのかというと玉ねぎ3つ入った1袋で100円である。にんじんはそれより安い。
なので金がたまっていく一方なのだ。
「ただいま、アインス」
「おかえりなさい、司郎」
今日も仕事を終えて家へ帰ると何かそわそわした顔のアインスが。
「どうした、アインス」
「あ、あのですね。今日調子が悪くて病院に行ったら、その」
と言って小さい手帳のようなものを俺に渡す。
そこには「母子手帳」と書かれていた。
「できちゃった、みたいです」
「おおっ!」
その言葉に俺は驚き、喜びが全身を駆け巡る。
「でかした! でかしたぞアインス!」
「司郎、私、こんなに幸せでいいのでしょうか。主はやてに会わせる顔が」
それ以上言う前に俺はアインスの唇をふさぐ。
「んっちゅ、ちゅる」
「んっ、ふぅん……♡」
熱い目で見つめ合う2人。
「いつか、わかったくれるさ。子供が生まれたら、手紙を出そう」
「そうですね。あなたと私の子供。きっと主も喜んでくれるはず」
アインスの腹に手をやり、優しく俺たちは笑いあうのだった。
(エンディング3 逃亡の先で~アインスルート~完)
one「おかしい、こんなことは許されない」
アン・ムラサメ「あの女狐はいつかやらかすと思ってました」
はやて「はやてルートって書いてあるやろ! やり直しや!」
ーーーーーーーーーー✂キリトリ線✂ーーーーーーーーー
結局アインスに八神家の地下室へ運ばれてしまった。
アインスによればこの地下室は俺と付き合い始めてから改築したらしい。
だから俺とはやてさんは付き合ってないんだが。
ついでにデバイスのムラサメも奪われた。
この家で生活するならもう必要ないですと。
で、地下室に閉じ込められて3カ月。俺は助けを待って生活している。
部屋には監視カメラ。唯一の入り口は普段重い家具が置かれていて、決まった時間にしか開かない。
食事は毎日決まった時間、はやてさんの手作り料理が差し入れられれる。
料理がおいしいのがせめてもの救いだ。
ゴーレム錬成を使い脱出を図ったが全て徒労に終わった。錬成と錬金も入口の扉を分解することができても上にある家具を動かすことができず、外に出れない。
唯一の希望は俺がいなくなったことに疑問を持った誰かがはやてさんの家を探る日を待つことだが、どれほどの確率だろう?
あのなのフェイですらはやてさんを疑わないだろうし、アリシアもはやてさんがそんなことをするとは夢にも思わないはずだ。
「司郎君、今日も来たでー」
ああ、もうそんな時間なのか。この部屋には時計がないから時間の感覚も狂ってしまった。
毎日食事の差し入れの他に地下室のドアが開く時間がある。
それは夜。はやてさんの
「ふっふー。今日はどうなことして遊ぼうか?」
卑猥な大人向け玩具をも持ってはやてさんが邪悪な目で笑う。
こうして俺はどんどんはやてさん無しではいられない人間に調教されていった。
そんな生活がどのくらい続いただろう。
俺はすでにはやてさんがいない生活が考えられないほど調教されていた。
足を舐めろと言えば舐めるし、食えと言われればなんでも食う。
ひざまずけと言われれば犬のようにひざまずくし、抱けと言われれば彼女を抱く。
すでにそこに俺の意思はなかった。あくまで反射で行動していた。
俺は八神はやてに屈服したのだ。
そんなある日。
何やら上の階が騒がしい。守護騎士たちの焦る声。戦闘音。
それから爆発音がした後しばらく静かになった。それから家具を動かす重い音。
「ご無事ですか、マスター⁉」
誰だ? この娘は?
顔はフェイトさんとアリシアに似てる。銀色の髪の、青い瞳の少女。
「ああ、ああ! なんてひどい! こんなになるまでマスターを痛めつけて監禁するなんて! あの腹黒い雌猫! 生かしておけない!」
そう言いながらひどく怒った様子でその美女は俺の手を取る。
「行きましょう、マスター。あなたが自由になれる場所へ」
「じ、ゆう?」
俺の喉からかすれた声が出る。
「ええ、あなたがあなたでいられる場所へ。お姉さまもすでにそこにいます」
そう言うとその女性、oneは俺を連れ
八神家は大破していた。家は徹底的に壊され、地下室から出た俺の目に外の景色が見える。
知らず、涙が出ていた。どんな感情の涙なのか、自分にはわからない。
「さあ、行きましょう。マスター」
彼女にお姫様抱っこされ、俺は八神家からどんどん離れていく。
俺はようやく手に入れることのできた自由に、それを阻んでいた八神家の連中に心から「ざまあみろ」と思うのだった。
はやて「なんでやねーん!」
シグナム「どうしたのですか我が主」
はやて「なんでうちのルートなのにアインスのほうが幸せそうやねん! 最終的に我が家、壊されてるし」
アン・ムラサメ『悪の栄えたためしがないということです』
はやて「なんやて?」
アン・ムラサメ『あなたの言う愛は相手を監禁し拘束することなのですか?』
はやて「しゃーないやん。司郎君魅力的やから外におると妙な女が寄ってきよるもん。それに純愛やで」
アン・ムラサメ『どんなに言葉を飾ってもあなたのやったことは犯罪です。もちろん、それに加担した守護騎士たちも同罪です』
ヴィータ「はやては悪くねえ!」悪いです
シャマル「確かにちょっとやりすぎたかもしれないわねー」ちょっと?
ザフィーラ「主と司郎が結ばれたのなら、我々はその手段について言及はしない」
リィンⅡ「はやてちゃんは頑張りました! お家だって改造したんですよー」
アン・ムラサメ『呆れてものも言えませんね。特にアインス、あなたにはがっかりです。守護騎士は駄目でもあなたなら主をいさめ正しい方向に導けたはずです。なのにあなたは主の凶行を助長した。それが正しいデバイスの姿ですか?』
アインス「そ、それは」
アン・ムラサメ『恥を知りなさい、恥を』
はやて「それにしてもoneさえ来なければずっと司郎君と一緒におれたのに。おのれスカリエッティ!」
アン・ムラサメ『その場合はフェイト様があなたの家を襲撃に来ました』
はやて「え?」
アン・ムラサメ『私の演算によれば突如いなくなった主とあなたの行動を怪しんだフェイト・テスタロッサ執務官が家に強襲し、主を保護。あなたは逮捕され機動六課は空中分解するという未来が存在します』
はやて「そんな、だったらどうやったら私は司郎君と結ばれたんや」
アン・ムラサメ『さあ? 「及ばぬ鯉の滝登り」という言葉もありますし。最初から確率は限りなくゼロだったのでは」
はやて「むきぃいいいいい!」