​ ✨『美しき天才、エルフォーリオ 〜優雅なる貴公子〜』✨ ​    作:Riho

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第10話は、いよいよクラシック第一章【皐月クラシック】!
あいにくの重いグランドで「服と靴が汚れる」「お顔に泥が飛んでくる」と本気でテンションが下がっているエルぼっちゃま。
しかし、その不機嫌な表情を『泥に塗れることすら恐れぬ王者の覚悟』と大勘違いする周囲と、顔に泥を浴びたくない一心で編み出した『防泥爆走』スパート!
そして、早くもカウント「4」に進むタケシの胃薬の行方をどうぞお楽しみください!  ️ ✨


  ️第10話:『皐月クラシックの激闘!泥に塗れた王冠』 ✨

共同通信アニバーサリーカップを見事な「即退勤スパート」で制し、無傷の3連勝を飾ったエルフォーリオ様。

 

そして季節は巡り、春欄漫の4月。ついにクラシック第一章の頂上決戦——**【皐月クラシック】(中山アスリートスタジアム・2000m)**の当日を迎えました!! ✨ 

 

しかし、会場となる中山アスリートスタジアムを包んでいたのは、晴れやかな春の祝福とは程遠い、重苦しく湿った空気でございました……。☁️ 

 

前日から降り続いた冷たい雨によって、トラックのコンディションは最悪の**「あいにくの重いグラウンド」**。幾人もの選手たちが試走を重ねたことで、内側の走路は足首まで埋まるほどのドロドロな粘土質と化し、跳ね上がった泥水がフェンスを黒く染めております! 泥まみれッ……!

 

見学エリアに集まった学園のレディたちも、レインコートを羽織り、高級一眼レフに防水カバーを被せながら、悲痛な表情で祈るように身を乗り出しておりました!☔️   

 

☔️ 「ああ、なんて酷い環境ですの……! あの美しいエルフォーリオ様のお召し物が泥で汚れてしまうなんて……見ていられませんわ……!」

 

  「ええ……! 今日のようなタフで泥臭い悪天候のグラウンドは、圧倒的なフィジカルと体格を誇る1番人気のダノンキッズや、タフ自慢のクラウンホルダーに有利な展開……! 繊細な美を誇るエルフォーリオ様には、あまりにも苛酷な試練ですわ……!」

 

10万人近い観客が固唾を飲んで見守る中、決戦のパドックに選手たちが登場いたします!

 

案の定、荒れた走路を気にも留めず、力強い足取りで踏みしめるのは有力株のクラウンホルダーや、王者の風格を漂わせるダノンキッズ。彼らは全身に溢れんばかりの闘志をみなぎらせ、気合十分の表情を浮かべております!バチバチッ!!⚡️ 

 

そして——大きな歓声とともに姿を現したエルフォーリオ様! ✨

 

相変わらずの圧倒的な美貌と、全身から漂う洗練されたオーラ。しかし……その表情は、普段の「冷徹な静寂」を遥かに凌駕するほど、冷ややかで重苦しいものでございました……! グラウンド騒然…!

 

「……っ!? なんだ今日のエルフォーリオ様の雰囲気は……!?」  

 

「いつにも増して、周囲を寄せ付けない冷厳なプレッシャー……! 泥だらけのグラウンドなど歯中にかけない、真の王者の覚悟を感じるわ……!! ️✨」

 

コース状態を分析していた解説者も、マイクを握りしめて興奮気味に唸ります! ️ 

 

「見なさい、あの固く結ばれた口元! 荒れたコースに怯むどころか、すべてをねじ伏せようとする強固な意志がその佇まいから伝わってまいります!!」  

 

——ですが、皆様 ✨

 

世界中が彼の「王者の覚悟」に勝手に身震いしていたその瞬間……エルフォーリオ様の頭の中を支配していたのは、文字通り**「狂おしいほどの不快感と静かな怒り」**でございました……!   

 

☁️ (……ふぅ、なんだか今日は一段と寒くて、足元も冷たいなぁ……。どうしてこんな日にまで走らなきゃいけないんだろう……? 試走のときから靴底に泥がついて重たく感じるし、お気に入りの服まで汚れちゃったじゃないか……。あぁ、悲しくなってきちゃうな……。早くあったかいお部屋に帰りたいよ……☁️ )

 

そう、皆様が「絶対的な集中力」と見誤っていたその表情の正体は、単に「お気に入りの靴と服が泥で汚れて本気でテンションが下がっているだけ」の素顔だったのでございます!   

 

パドックを終え、発走直前の控え室へと戻られたエルフォーリオ様。

 

鏡の前で、自分のウェアについた小さな泥汚れをティッシュでそっと拭き取りながら、静かに溜息を吐いております……ぽつん…… ☁️

 

 (……はぁ。このまま走ったら、もっと泥だらけになっちゃうよね……? 前の人の後ろを走って、お顔に泥が飛んできたらどうしよう……。そんなの嫌だな、私のお肌が痛んじゃうよ……。どうしたら避けられるのかな……?…… )

 

出走数分前だというのに、レース展開ではなく「いかに顔に泥を浴びないか」だけを真剣に悩んでいたエルフォーリオ様!

 

その時でございます!⏰✨

 

隣で待機していた執事の服部さんが、ハッと息を呑んで大粒の涙をこぼしました! 人型ハンカチ!!

 

「おぉ……おぉ……っ! ぼっちゃま! 今、ウェアの汚れを拭いながら『……この程度の試練、我が覇道の前には擦り傷にもならぬ』と呟かれましたね……っ!? 泥に塗れることすら恐れず、王冠を掴み取るための覚悟……! ✨(※重度妄想)」

 

服部さんは感動のあまり胸の前で固く両手を組み、震える吐息を漏らしながら、傍らにいた専任トレーナー・タケシの肩をガシッと掴んで激しく揺さぶりました!ガシガシッ! 肩外れるッ!!

 

「お聞きになりましたかタケシ様ッ!? ぼっちゃまは今、泥の中の激闘を受け入れ、泥泥の栄光へと突き進む決意を固められたのです! なんと気高きお心……まさに真の王者ーーッ!! ✨ 」

 

「絶対にちがう!! ただお気に入りの服が汚れてイライラして、どうやって泥を避けるか考えてるだけだろ!! 勝手に美化して感動すんじゃねぇ!!   」

 

タケシが必死の形相でツッコミを入れますが、服部さんは「ああ……主の気高き精神に涙が止まりません……っ!」とハンカチを噛み締めて感涙にむせんでおります!

 

一方、VIP視察席ではノーザンクラブの勝己代表が、高級アッサムティーを優雅に口にしておりました……☕️✨

 

「フッ……見ろ。劣悪なグラウンド条件を嫌うどころか、その瞳には冷徹なまでの闘志が宿っている。荒れたコンディションすらも自らの美学の背景へと変えてしまう……あれこそが最高峰の血統を持つ者の矜持よ……!」

 

(※実際は「お顔に泥が飛んできたら、すぐにリタイアして帰ろうかな」と本気で考えております。☕️ )

 

場面は、緊張感が極限に達した発走準備エリアへと移ります!! ✨

 

泥跳ねを警戒するライバルたちが荒い息を吐き、緊迫感が漂う中、有力サラメンたちが鋭い眼光で牽制し合っております!バチバチッ!!⚡️⚡️ 

 

 「このドロドロのコースなら俺のパワーが活きる! エルフォーリオだろうが容赦なく叩き潰す!」(ダノンキッズ)

 

 「前を奪って逃げ切る! 泥を被るのは後ろの奴らだ!」(クラウンホルダー)

 

✨「外から一気に強襲してやる……!」(ステラノヴァ)

 

ライバルたちが勝手に熱く対抗心を燃やす中、専用のレーシングウェアに身を包んだエルフォーリオ様は、ただ半目でポツンと立ち尽くしておりました……ぽつん…… ☁️

 

 (……ふふ、いいこと思いついちゃった。前の人の後ろにいたら泥が飛んでくるでしょ……? でも外側を回ったら遠回りだし、転びそうで危ないじゃない……? だったら、一番足場が綺麗で誰もいないところをサッと通って、真っ先に先頭に出ちゃえばいいんだ……! そうすれば泥も飛んでこないし、いちばん綺麗でいられるよね……!『防泥爆走』だよ…… )

 

がしゃん……! がしゃん……! ✨

 

ゲート係員の手によってシグナルが点滅し、一人、また一人と枠へと収まっていきます。1番人気のダノンキッズ、そしてクラウンホルダー……最後に我らがエルフォーリオ様が、靴を汚したくない一心でつま先立ちのような優雅な足取りで枠へと吸い込まれていきました。

 

場内が一瞬で静まり返り、10万人近い観客の息を呑む音が全スタジアムを支配いたします……ゴクリ……。

 

『バンッーーーーーッ!!!』     

ゲートが開いた瞬間、地鳴りのような歓声!きゃああああっ!! ✨ 

 

各選手が一斉に飛び出します! 2000mの長丁場、荒れたコースを考慮して全体のペースは慎重な立ち上がり。

 

予定通り、果敢に先頭へ躍り出たのはクラウンホルダー! 2番手にワールドブレイブ、その後ろにダノンキッズやアドマイヤヒューがつけます。

 

 ✨「さあ、注目のエルフォーリオは……好スタートから無理せずインコースの好位5、6番手をキープ! 完璧なポジショニング! 悪条件のグラウンドを微塵も苦にしていません!」

 

実況の熱いアナウンスがスタジアムに響き渡りますが、モニターを食い入るように見つめるタケシは、胃を押さえながら叫びました!ガタガタガタ!! ⚡️

 

「コースコンディションを克服してんじゃない!! 前の奴らの泥跳ねがギリギリ届かない絶妙な距離感を保って、必死にお顔を背けてるだけだろあれ!!  」

 

その通りでございます。エルの心の中は……

 

☁️**(……あぁ、危ないところだった……。今、前の人の靴から跳ね上がった泥がお鼻の先を掠めちゃったよ……。綺麗じゃないな、すごく嫌だ……。一刻も早く、この不快な場所から抜け出さなくっちゃ……!)**

 

レースはそのまま3コーナーから4コーナーへ! 荒れた走路に足を奪われ、脱落していく選手が出始める中、先頭のクラウンホルダーが粘り込みを図ります!⚡️ 

 

「4コーナー回って最終直線! 先頭は依然としてクラウンホルダー! 外からダノンキッズ、アドマイヤヒューが追いすがるが、泥に足を取られている!」

 

各選手が顔中泥まみれになりながら、必死の形相で腕を振る大激戦!

 

その時でございます!

 

インコースの絶妙なポジションにいたエルフォーリオ様は、前方の選手たちが荒れた内側を嫌ってわずかに外へ膨らんだ瞬間を見逃しませんでした……ピクッ⚡️ ️✨

 

 (……あそこだね。あそこなら誰もいなくて、泥も飛んでこないや……! 一気に抜け出して、いちばんにゴールして、温かいお風呂に入りに行こう……!)

 

「……失礼させてもらうよ……」 ✨ 

 

泥汚れへの嫌悪感と「早くお風呂に入りたい」という気高い執念が爆発したエルフォーリオ様は、荒れ果てた内側のコースを物ともせず、衝撃的な加速力を発揮いたしました!

 

そこから繰り出されたのは、悪条件のグラウンドを全く感じさせない、力強くも洗練された次元違いのスパート!! ✨ ⚡️

 

 ️ 「内が開いたぁぁぁッ!! エルフォーリオだッ! 泥を切り裂く圧巻の伸び! 圧倒的な瞬発力で前を飲み込んでいくぅぅぅッ!!」

 

観客席から割れんばかりの絶叫と悲鳴が上がります!キャァァァァッ!!   ✨

 

「な、なんだあの走り……!? 他の選手が足を取られている泥田のようなコースで、なんであんなにスムーズに加速できるんだ……っ!?」

 

「泥を被りたくない一心の一瞬スパート」を敢行したエルフォーリオ様は、粘るクラウンホルダーやステラノヴァを影をも踏ませぬ勢いで置き去りにし、決定的な差をつけて堂々の1着ゴールイン!!

 

無傷の4連勝で、クラシック第一章【皐月クラシック】の王冠を鮮やかに戴冠されましたッ!!  ✨ 

 

  ゴォォォォォールッ!!!  ✨

1着で駆け抜けた瞬間、エルフォーリオ様は勝利の余韻に浸ることもなく、そのまま一番乗りでシャワールームのある地下通路へと猛ダッシュで消えていかれました!スタスタ……  

 

 「キャァァァァァーッ!! エルフォーリオ様ぁぁぁッ!!✨ ✨一冠達成おめでとうございますーーッ!!」

 

 ✨「泥に塗れることすら恐れないあの勇姿……! 泥跳ねすらも貴公子のアクセサリに見えてしまいましたわ!!」

 

スタンドのファンの女の子たちが大歓声で歓喜の涙を流し、見学エリアのレディたちもその圧倒的な強さにただただ感嘆の息を漏らします!✨ 

 

そして、勝利インタビューの時間がやってまいりました。報道陣の前に現れたエルフォーリオ様は、すでに服部さんによってウェアの泥を完全に拭き取られ、綺麗さっぱりした状態。 ⚡️

 

しかし、まだ足元の汚れが気になってテンションが上がりきらないエルフォーリオ様は、隣の服部さんに耳打ちをいたしました……ささやきボイス…… ✨

 

 (……じい。足元が少し気持ち悪いや。早く温かいお風呂に入って、いちごタルトを食べたいな…… )

 

ですが……服部さんは本日も完璧な「妄想代弁モード」をフル回転!!  ✨

 

服部さんは感動のあまり胸を押さえ、マイクに向かって朗々とその「大捏造通訳」を叫びました!!

 

  ✨「『……この程度の泥など、我らの絆を汚すことはできぬ。勝利の祝杯(タルト)を共に掲げよう』……とおっしゃっておりますーーっ!!」

 

「「「キャァァァァァーーーーーッ!!!✨ ✨(バタバタバタッ!感動のあまり失神者続出!)」」」

 

スタンドのレディたちが悲鳴をあげ、あまりの尊さに倒れ込む者まで出る大パニック!!   

 

一方、テレビの前で応援していた鹿野宿舎長は——!!  

 

  「ううっ……! 見たかタケシ……! 泥にまみれ、過酷なコースに足を取られながらも、あのように誇り高く駆け抜けるぼっちゃまの姿……っ! ワシは……ワシは泣いたーーッ!!(マイバケツに涙ジャババババ! )」

 

オレンジ色のハンカチを絞りながら、バケツに涙の海を作る宿舎長!

 

  「だから泣くなよ!! ただお顔に泥が飛んでくるのが嫌で一番前を爆走しただけなんだってば!! どこに誇りがあるんだよ!!」

 

タケシの魂のツッコミが大歓声の渦の中にかき消されていきます! ✨

 

一方、検量室の奥、特注のふわふわバスローブに身を包み、服部さんに足元を綺麗に拭いてもらいながら高級イチゴタルトを頬張るエルフォーリオ様  ✨

 

 (……タケシ、次の試合の時は、絶対に晴れるおまじないをしておいてね…… )

 

ズキッ……!!⚡️ キリキリ……!!

 

勝利の余韻に沸き立つ陣営の中で、ただ一人、タケシだけがみぞおちを押さえてうずくまりました!胃液が出そう!!

 

  「ぐはっ……! クラシック一冠達成のめでたい裏で……俺の胃薬(太田胃散)のカウントが早くも『4』になった……ッ!  ううっ……!!」

 

タケシは震える手でポケットから4錠目の白い錠剤を取り出し、水なしで喉の奥へ押し込むのでございました……!ゴクッ……!ゴクッ……!  

 

こうして、本人の「服を汚したくない」という切実なワガママを完全に置き去りにしたまま、美しき怠惰の貴公子による無傷の皐月クラシック制覇は、見事に果たされたのでございます……  ✨   




第10話をお読みいただき、本当にありがとうございました!✨
服を汚したくない、顔に泥を浴びたくない、そして早くお風呂に入ってイチゴタルトを食べたい……!
そんな切実なワガママだけで悪条件のグラウンドをぶっちぎり、見事にクラシック一冠目を達成したエルフォーリオ!
彼の「お風呂入ってタルト食べたい」を『勝利の祝杯(タルト)を共に掲げよう』と超絶通訳してしまう服部さんと、またしても胃を痛めるタケシの奮闘も楽しんでいただけたら嬉しいです!笑
「面白かった!」「一冠達成おめでとう!」「タケシの胃が心配すぎる!」と思っていただけたら、ぜひページ下部から【評価(★★★★★)】や【ブックマーク登録】をポチッと押していただけると励みになります!  ✨
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