✨『美しき天才、エルフォーリオ 〜優雅なる貴公子〜』✨ 作:Riho
第15話は、ついに訪れた年間最高峰の頂上決戦【グランプリ・有馬オールスターアワード】!
猛吹雪の極寒の中、「寒すぎて嫌だ、おうちに帰ってコタツで蜜柑を食べたい」と心で号泣するエルぼっちゃま。
他人の背中に完全密着して風よけにしつつ、「早くコタツへ逃げ込みたい」一心で包囲網の隙間へ強引に身体をねじ込む圧風スパート!
圧勝しすぎたせいで極寒の屋外公式行事に放置される自爆プレイ、そして寒さでタケシの太田胃散をポリポリ噛み砕く爆笑の展開をどうぞお楽しみください!❄️ ✨
皆様、前回の秋の天皇盃において、あのコントレイル・レイとの世代交代をかけた世紀の決戦を見事に制し、無傷の連勝街道を突き進む絶対王者エルフォーリオ様 ✨
そして季節は巡り、寒風吹き荒れる十二月 ❄️ ついにアスリート界最高峰の頂上決戦——【グランプリ・有馬オールスターアワード】(中山・2500m)の決戦当日をお迎えされたのでございます!! ✨
ですが、会場となった中山スタジアムを包んでいたのは、年末の華やかなお祝いとは程遠い、未未有の豪雪と猛吹雪でございました…… ☃️ 絶え間なく吹き荒れる寒風がガラス窓を激しく叩きつけ、視界を白銀の闇へと覆い隠さんばかりの凄まじい嵐となっていたのです!
見学エリアに集まった学園のレディたちも、防寒用のポンチョや毛皮のコートを羽織り、雪に塗れながら悲痛な表情で祈るように身を乗り出しておられます ❄️
「ああ、なんて残酷な環境ですの……! あの麗しいエルフォーリオ様がこんな極寒の地獄で走らされるなんて……見ていられませんわ……!」
「ええ……! 今日のような凍てつく極寒の長距離レースは、スタミナ抜群の前年覇者クロノジェネスや、泥臭い走りが持ち味のディープバインドに有利な展開……! 繊細で美しいエルフォーリオ様には、あまりにも酷な試練ですわ……!」
10万人近い観客が息を呑んで見守る中、決戦のパドックへ選手たちが姿を現します! ♂️
案の定、寒風をものともせず、力強い足取りで踏みしめるのは前年覇者の女王クロノジェネスや、不屈のタフガイ・ディープバインド 白い吐息を激しく撒き散らし、全身から闘志をみなぎらせておいででした! バチバチッ!! ⚡
そして——大きな歓声とともに姿を現したエルフォーリオ様! ✨
相変わらずの圧倒的な美貌と、全身から漂う洗練されたオーラ…… ✨ ですが、ベンチコートを三重に羽織り、特注の防寒パドック用ガウンと高級シルク毛布にぐるぐる巻きにされたその表情は、普段の「冷徹な静寂」を遥かに凌駕するほど、冷ややかで重苦しいものでございました!
「……っ!? なんだ今日のエルフォーリオ様の雰囲気は……!?」
️ ✨ 「いつにも増して周囲を寄せ付けないプレッシャー……! 猛吹雪など歯中にかけない、真の王者の覚悟を感じるわ……!!」
コース状態を分析していた解説者も、マイクを握りしめて興奮気味に唸り声を上げておられます! ️
️「見なさい、あの固く結ばれた口元! 極寒の2500mに怯むどころか、すべてをねじ伏せようとする強固な意志が伝わってまいります!!」
——ですが、皆様 ✨
世界中が彼の「王者の覚悟」に勝手に身震いしていたその瞬間……エルフォーリオ様の頭の中を支配していたのは、文字通り「狂おしいほどの寒さと怒り」でございました!
(……はぁ……なにこれ。どういうことなんだろう……。なんでこんな凍え死にそうな日に走らなきゃいけないんだい……? 口を開けると冷たい風が肺に入って痛いし、手足の感覚がなくなってきたじゃないか……。最悪だよ……本当におうちに帰りたいな……。鹿野宿舎の暖房を最高設定にしたお部屋で、コタツに入って湯気立つ熱いお茶と甘い蜜柑が食べたいんだ……。こんなの絶対に許せないよ……)
自らの美貌を誇るどころか、寒すぎて心の中でシクシクと泣き叫び、一刻も早くコタツに入りたいだけのド天然お坊ちゃま ❄️
そんな彼の、凍えきって半目になっている怪しい瞳を見た周囲の観客や解説陣は、またしても凄まじい大勘違いの狂瀾へと巻き込まれていくのでございます ⚡
パドックを終え、発走直前の控え室へと戻られたエルフォーリオ様 ❄️
特製保温湯たんぽにしがみつき、ガクガクと膝を小刻みに震わせるエルフォーリオ様は、あまりの寒さと理不尽さに涙目になりながら、隣で待機していた執事の服部さんの袖を悲痛な思いで引っ張られたのです……ぽつん…… ☁️
(……じぃ……寒すぎて倒れちゃいそうだよ……。お願いだから、僕の代わりに走ってくれる……? 僕、今すぐ棄権して送迎車に乗るから……っ! )
あまりにも情けなく、王者の尊厳を投げ捨てた、前代未聞の「代わりに走って」という懇願と、即座の「僕、棄権する」という宣言!!
これには、いつもならどんなワガママも重度妄想フィルターで瞬時に美しいポエムへと超解釈するあの服部さんすらも——
「………………ッ!?」
あまりの酷さに、息を呑んで一瞬固まってしまいました! 抱えていた銀盆を危うく落としそうになりながら、目が泳ぎまくっておられたのです!
✨「お、お戯れを……っ! ぼ、ぼっちゃま、今のは『我が情熱の炎でこの吹雪すら代走してみせよう』という……高度な比喩表現でございますね……っ!?」
(違う権ってば!! 本当に代わりに走ってよ!! )
そこへ、首に何枚ものオレンジ色ハンカチを巻き、マイバケツを抱えた鹿野宿舎長が、エルフォーリオ様の元へ全速力で猛ダッシュ!! ♂️
「エルーッ!! ワシの子供が……こんな地獄の吹雪の中で走らねばならんとは……っ! 寒さに震えるその健気な姿に、ワシの目頭が熱狂の炎となって燃え盛っておるッ!!(バケツに涙と鼻水をジャババババ )」
「宿舎長! 凍結した床に涙を撒き散らさないでください! 滑って転倒したら全骨折ですよ!!」
タケシが必死の形相でツッコミを入れますが、服部さんは「ああ……主の気高き精神に涙が止まりません……っ! ✨」とハンカチを噛み締めて感涙にむせいでおられました!
一方、VIP視察席ではノーザンクラブの勝己代表が、高級アッサムティーを優雅に口にしておられます…… ☕ ✨
☕ ✨「フッ……見ろ。過酷な寒冷条件を嫌うどころか、その瞳には冷徹なまでの熱量が宿っている。荒れた天候すらも自らの美学の背景へと変えてしまう……あれこそが最高峰の血統を持つ者の矜持よ……!」
実際には「寒すぎて送迎車のシートヒーターに早く包まれたい」と心から切望しているだけなのですが、代表の勝手な妄想は留まることを知りません ✨
場面は、緊張感が極限に達した発走準備エリアへと移ります!! ✨
白い息を撒き散らすライバルたちが緊迫感を漂わせる中、有力選手たちが鋭い眼光で牽制し合っておられたのです! バチバチッ!! ⚡ ⚡
「中山2500mの地獄を見せてやる! 泥臭く試練を乗り越えてきた俺のスタミナで叩き潰す!」(ディープバインド)
❄️「連覇は譲らないわ。極寒と坂がお前のスタミナを削りとる……!」(クロノジェネス)
「最初から最後まで、誰の影も踏ませずに逃げ切ってみせる……!」(パンサーラッセ)
ライバルたちが勝手に熱く対抗心を燃やす中、防寒ガウンを脱ぎ捨てて極寒のアンダーシャツ姿となったエルフォーリオ様は、ただ半目でポツンと立ち尽くしておいででした……ぽつん…… ☁️
(……うわぁ、何か言っているけれど、寒すぎて一文字も耳に入らないよ。それよりも前を行く人たちの背中にぴったり隠れて風よけポジションを確保しないと……僕のお命が持たない……! ️ ️)
がしゃん……! がしゃん……! ✨
ガシャンッ!! ✨ ✨
地鳴りのような大歓声とともに、運命のゲートが開かれます!
視界を奪う猛吹雪を切り裂き、果敢に躍り出たのはパンサーラッセ! 狂気的な大逃げを打ち、後続をグングン引き離して前半の千メートルを過酷なハイペースで駆け抜けていきました! 追うクラウンホルダー、そしてワールドブレイブ! ⏱️ ⚡
1周目の正面スタンド前、叩きつけるような寒風が吹き荒れる中、エルフォーリオ様の動きはまさに奇跡的なまでに冷徹でございました。寒さに身体を小さく丸めつつ、なんと前を行くディープバインドの巨大な背中にすっぽりと隠れ、一切の風圧を殺す完全密着ポジションを死守しておいでだったのです! ️ ✨
️ 「ご覧ください! あの計算し尽くされたポジショニング! 猛威を振るう嵐を逆手に取り、他者の陰で牙を研ぎ澄ます……これぞ王者の極限なる知略!!」
実況アナウンスが感涙混じりに大絶叫いたしますが、モニターにしがみつくタケシは胃を押さえて叫び散らしておりました!
「知略を発揮してんじゃない!! ただ風が寒すぎて『お願いだから風よけになって!!』って他人の背中に必死で隠れてるだけだろあれ!!」
レースは波乱の2周目、向正面へ! 容赦なく体力を削りとる猛吹雪と急坂の連続に、逃げ粘るパンサーラッセの足取りが重く狂い始めます ♀️
凝縮する集団の影から、満を持して牙を剥いたのは女王クロノジェネス! 鬼神のごとき迫力で前線へと踊り出てまいりました! ❄️
「ここからが真の地獄よ……お前の華奢なお身体で、この中山の急坂と風雪に耐えられるかしら!?」
女王の冷徹なる一撃! さらに内からは怒号とともにディープバインドが並びかけます!
「俺のタフな走りを見せてやる!!」
怒濤の3コーナーから4コーナー! 白銀の嵐が荒れ狂う極限の死闘の中、ライバルたちが死力を尽くし、エルフォーリオ様の進路を完璧なまでに封鎖いたしました! 左にクロノジェネス、右にディープバインド、前には力尽きたパンサーラッセ! 脱出不可能な漆黒の包囲網!! ️
「詰んだわ、エルフォーリオ!」「ここがお前の終着駅だ!!」
誰もが王者の失速と敗北を確信した、まさにその瞬間でございます——! ⚡
包囲網の真ん中で凍え、膝をガクガク震わせていたエルフォーリオ様の頭の中で、ブチリと何かが切れ飛びました!!
(……あぁぁぁもうッ!! うるさい! うるさい! 邪魔しないでよッ!! 寒くて手足の感覚がないんだってば!! 僕が脱出するのが遅れたら、送迎車のシートヒーターも、コタツの温もりも冷めちゃうじゃないかぁぁぁッ!! )
寒さへの恐怖、理不尽な包囲網への怒り、そして「一刻も早くコタツに入りたい」という凄絶なまでの執念が、彼の全身の筋繊維を一瞬で覚醒させたのです!! ⚡
絶望的な包囲網の中、クロノジェネスとディープバインドの肩が触れ合うほどの、わずか数十センチの狭小な隙間!
「なっ……進路がないはずだぞ!?」
「入ってこれるわけが——っ!?」
驚愕するライバル二人をあざ笑うかのように、エルフォーリオ様は人間業とは思えぬ次元違いのスパートを発動!! 急坂など存在しないかのような異次元のピッチで、その針の穴を通すような隙間へ強引に身体をねじ込まれたのでございます!! ✨
️ 「こ、こじ開けたぁぁぁッ!! エルフォーリオだッ! 吹雪を切り裂く絶望的な切れ味! 窮地から一瞬の加速で前を飲み込んでいくぅぅぅッ!!」
「な……なんだあの伸びはッ!?」目を見開くクロノジェネス!
「坂で……坂でさらに加速してやがる……っ!?」絶叫するディープバインド!
死力を尽くすライバルたちの執念を、コタツへの狂気的な執着だけでねじ伏せ、最後は後続を突き放して堂々の1着ゴールイン!! ✨
無傷の連勝でグランプリ【有馬オールスターアワード】の王冠を鮮やかに戴冠し、年間最優秀選手(MVPA)の座に輝いたのです!! ✨
ゴォォォォォールッ!!! ✨
️ 「勝った!! 勝ったのはエルフォーリオ〜〜ッ!! 幾重もの包囲網を打ち破り、有馬を制したぁぁぁッ!!」
スタンドが歓喜の渦に包まれる中、エルフォーリオ様は「よかった! これでやっと帰れるね!」と心の中で胸を撫でおろし、送迎車へ猛ダッシュ!! スタスタ…
——ですが!!
ここで、「圧倒的な勝ち方をしてしまった」ことによる最大の悲劇がエルフォーリオ様を襲います!
極限の包囲網を突き破る記録的勝利を収めてしまったがために——
「グランプリ覇者・表彰式 」「年間最優秀選手・記者会見 」「テレビ生放送での勝利インタビュー 」「ファンへのお披露目パレード 」という、超・怒涛の公式行事ラッシュが確定してしまったのです!
(……え……? アワード表彰式……? 記念撮影……? 嫌だよ……寒すぎるじゃないか……っ! 早くお部屋に帰らせてよぉぉぉッ!!)
送迎車の前で係員に笑顔で捕獲され、極寒の表彰台へと連行されるエルフォーリオ様!!
「おめでとうエルフォーリオ様ぁぁッ!! ✨」
「寒さの中で私たちに最高の感動をありがとうーッ!!」
ファンの大歓声が響く極寒の屋外で、表彰状やトロフィーの授与が延々と続き、寒さで白目を剥きそうになるエルフォーリオ様! 早く帰りたい一心で爆走した結果、「極寒の屋外に放置される時間」が一番長くなるという最悪の自爆を遂げてしまったのでございます ❄️
(じぃ……もうダメだよ……僕の代わりに喋って……っ)
寒さで完全に限界を迎えたエルフォーリオ様がマイクの前で沈黙! 報道陣がざわつく中、パノラマVIPルームの勝己代表が、なぜか勝手に通信マイクを起動させました! ✨
『ガハハハ! 覇者の沈黙は何よりの雄弁! 最高の走りを魅せた男の言葉は、我が専任トレーナー・タケシが代弁する!! タケシ、持論を語れ!!』
「ええぇぇぇッ!? 俺ですかぁぁぁッ!?」
突然、スタジアム全体のスピーカーから大音量で名前を呼ばれ、超満員の観客と何十台ものカメラの前に引っ張り出されたタケシ!!
「え、えーっと……エルフォーリオは……その……寒さの中でも……皆様の熱気を感じて……ですね……」
必死で角が立たない嘘をつこうとするタケシ! ですが、その横で寒さに耐えかねたエルフォーリオ様が、タケシのポケットから勝手に何かを奪い取りました!
(……あ、これタケシがいつも飲んでる白い粒だね……。なんか効くのかな……パクッ)
なんと、寒さの限界を迎えたエルフォーリオ様が、タケシの太田胃散を勝手に口に放り込んでポリポリ噛み砕いたのです!! ポリポリ…
「あッー!? 俺の胃薬食ったな!? それ胃薬だから寒さには1ミリも効かねぇよ!!」
マイクの真前で叫んでしまったタケシの声が、スタジアム全体に大音量で響き渡りました!!
『……え? 胃薬……?』
『エルフォーリオ様、激闘のプレッシャーで胃が限界だったの……!?』
✨『そんな状態であの大爆走を……!? 感動したわぁぁぁッ!!』
観客席から起こる、本日一番の嵐のような大歓声と涙!! ✨
「違う! 違うんです! こいつはただ寒さで頭がおかしくなって……ッ!」
必死に弁明しようとするタケシですが、後ろから全速力で駆け寄ってきた鹿野宿舎長が、タケシの口に水筒を突っこみました!
「タケシぃぃッ! エルの胃を案じるお前の熱い絆に、ワシは泣いたッ! ほら、ワシの『特製・超激熱生姜湯』を飲んで一緒に泣けぇぇッ!!」
「ぶはっ熱ッ!? 胃薬と生姜湯で口の中が地獄!! 誰か助けてぇぇぇッ!!」
極寒の表彰台の上で、熱々の生姜湯に悶絶してのたうち回るタケシ!
その横で、服部さんに抱えられながら「……胃薬、苦かったよ……お部屋に帰るね……」と半目で運ばれていくエルフォーリオ様。
ズキッ……!! ⚡ キリキリ……!!
勝利の余韻に沸き立つ陣営の中で、ただ一人、タケシだけがみぞおちを押さえてうずくまりました!
「ぐはっ……! グランプリ制覇のめでたい裏で……俺の胃薬(太田胃散)のカウントが早くも『15』になった……ッ! ううっ……!!」
タケシは震える手でポケットから15錠目の白い錠剤を取り出し、水なしで喉の奥へ押し込むのでございます……! ゴクッ……! ゴクッ……!
──おや、おや
何という大人たちの壮大な勘違い。何という美しい喜劇が、この中山の地でも華々しく幕を閉じたことでございましょう ✨
グランプリを制し、年間最優秀選手に輝いた美しき貴公子の「有馬の風」伝説は、本人の自爆による極寒放置プレイと、トレーナーの胃薬誤飲というカオスな大事故によって、またしても盛大に歪められていくのでございます ✨
第15話をお読みいただき、本当にありがとうございました!✨
コタツに逃げ込みたい一心で有馬記念を制覇したものの、圧勝しすぎて表彰式や会見などの公式行事ラッシュで極寒の屋外に長引かされる自爆を遂げたエルぼっちゃま!笑
タケシの太田胃散をポリポリ食べて「激痛に耐えて走った!」とファンを大号泣させ、超激熱生姜湯で地獄を見るタケシの奮闘も楽しんでいただけたら嬉しいです!
「自爆で極寒放置おもしろすぎる!」「グランプリ制覇&MVPAおめでとう!」「タケシの胃薬カウンター15到達か……」と思っていただけたら、ぜひページ下部から【評価(★★★★★)】や【ブックマーク登録】をポチッと押していただけると凄く励みになります! ✨
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